漫画、小説 「liar」原作:もぁらす 作画:袴田十莉 感想

 漫画、小説 「liar」原作:もぁらす 作画:袴田十莉 感想

ネタバレありなので、ご承知の上。

liar : 1 (ジュールコミックス)

liar : 1 (ジュールコミックス)

 

 電子書籍サイトで、コミックの1巻まで無料で試し読み後、続きが気になって検索してたら
原作が載ってる小説サイト(エブリスタ)を発見し、原作を読んだ。
24話までは無料で読めて、その後は最初の数ページを試し読みできるのと
1日1話まで無料で読めるので、それでちょこちょこ読んで、最新の4が無料公開されてるところまで読んだ。
それからコミックの方も同様に1日1話まで無料で読めるので続きを読んだ。

イチさん、とミサオは同じ会社の先輩後輩。
イチさんはぶっきら棒で愛想の悪い人だが仕事は優秀。
そんなイチさんにミサオはひかれていく。

 

イチさんもミサオを気に入っているような素振りでちょっかいを出してきていて
ミサオも両思いなのではと思っていたところに、イチさんに彼女ができたと告げられる。

その後、イチさんとミサオは体の関係になるが、イチさんからは、好きだとも
付き合おうとも、彼女と別れるとも、ミサオをどう思っているのか、はっきりした言葉が全く無いまま、ミサオも好きとは言うものの、彼女のことや、イチさんがどう思っているのかを問い詰めるような言動を全くしないまま、お互い相手がどう思っているのか確信が持てないまま、言葉ではっきりさせないままに、ずるずると関係を続けていく、というお話。

とにかくミサオちゃんがかわいそうでならない。
ミサオに好意があるような言動をしておきながら、他に彼女がいたことがわかるまでの、イチの言動のわけわからなさに、はぁー?一体どういう神経して、あんなことミサオちゃんに言ってきてたわけ?と思って、とにかくイチがどう思っていたのかというのが気になって仕方がなかった。
小説は、3まで完結していて、最近、4が始まったようで。
特に1ではイチはとにかく酷い。
コミックでのあのかっこいい絵柄がなかったら、ミサオがそれでもひかれてしまう気持ちがわからなかったかもしれない。
小説の方で、心情描写を読んでしまうと、コミックは登場人物も話もだいぶ省かれているので、物足りない感じはしてしまうが、絵はとてもきれいだ。

小説も、携帯小説だったらしく?、1ページでの文字数はすごく少ない。空行がすごく多い。

イチさんは結局、最初からミサオのことが好きだったと、後の方の話では振り返っているが、ほんとかよっていうくらいの、よくわからない言動をしている。
最初は自分でそれを自覚していなかったらしく、そもそも普通の恋愛の感覚を持っていない人で、今までちゃんと好きになったことがなくて、付き合った人はいるけど、女の人が泣いたり何かを要求してきたりするのがすぐに面倒くさくなってしまって、全然相手を大切に扱わないので、長続きしたことがないような人だった。

ミサオちゃんが本気になった初めての相手で、なんとなく気になってちょっかい出してたのに、はっきりミサオちゃんのことを自覚する前に、お嬢さんで条件がいいから結婚したら父親も喜ぶだろうと軽く付き合おうと言った相手にOKされてしまって彼女を作ってしまったのでした。

ミサオちゃんの気持ちを知ってから、その彼女と別れようとしたんですが、今まで冷たい態度で相手から愛想をつかされて別れたことしかなく、自分からなかなか言い出せず、そのうち彼女が自殺未遂までしてしまって余計に言い出せなくなってしまいます。
その彼女もイチさんに相当冷たくされてるのになかなか別れようとはしません。
ミサオちゃんの存在にも気付いていて、社長令嬢なので、コネを使ってミサオちゃんを辞めさせようとしたりします。
イチさんも実は祖父の代からのお坊ちゃんで、彼女の父親を経由して、イチさんの父親にも彼女と付き合っているという話はすぐに伝わっていて、父親的に家柄ばっちりで喜ばれていて、元々、父親が喜ぶだろうと思ってではあったけど、そういった家の方のシガラミも生じてしまいます。

彼女と別れられないまま、ミサオとも離れられず、そして彼女と別れられないので、ミサオにはっきりしたことを何も言えないまま、何も言わず、関係を続けます。
とはいえ、結局は、仕事はできて優秀な人間だけど、恋愛に関してはヘタレだってことなだけなんですけどね。
好きとか言わないだけじゃなく、自分は言わないくせに、ミサオが自分を好きでいてくれる言動をミサオに求めていて、ミサオから行動を起こさせるように仕向ける、ずるい奴で、ミサオを傷つけるような言動をし続けます。

ミサオちゃんもかわいそうなんだけど、なんでそこまで我慢するのかなーとは思っちゃうんですよね。
彼女がいて、彼女と別れるとは言ってくれないとかいろんなイチさんの言動に傷つきながらも、イチさんと離れられなくて、イチさんに嫌われたくなくて、彼女とはどうなってるんだとか、自分のことはどう思ってるんだとか、知りたいくせに何も言わないんです。
そしてなんともない素振りをしてしまうんです。
特に会社では。
お互い様なんですが、2人共、相手にシレッとした態度をとって、お互い内心では相手の態度を見て、「何とも思ってないのか」と傷ついているんです。

そして、そのくせ、ミサオちゃんは会うとイチさんに「好き」は言っちゃうんですよね。
私はそれを読むたびに、うーんなんでミサオちゃんそれは言っちゃうのって思ってました。
イチさんにいいように扱われて、結局いつもイチさんに負けちゃって、って感じがして。

ミサオちゃんも離れなくないあまりに何も言えなすぎるのがいけないんですよね。
そんな酷いことされてそれでもなの?っていうのが何度もあって。

1の最後で、他社からの引き抜きの話があって、会社を退社して、物理的に離れることで、
やっとそこである程度決着をつけられます。
やっとそこで、少し本心を伝えて、これで来なかったらもうお終いですっていうメールを
イチさんに送ります。電話をかけたんですがイチが第六感で電話をとらなかったのでメール。

イチさんはそのメールを読んで逆にまだ自分に気持ちがあるんだって安心して、
退社のことを言ってこなかったミサオを懲らしめようとして返事を送りません。
本当は、もう彼女とは別れられていたのに(結局、相手が諦めてくれるのを待った)
1年くらいもそういう関係を続けてきて、逆にちゃんとする変化が怖くてできなかったっていう
ものすごいヘタレです。
ミサオが退社して、しばらくして(数ヶ月?)耐えられなくなって、「今ならいいよ」と
メールしますが、既にミサオの気持ちは離れてしまっていて、もう遅いよ、と思われて
ミサオは返事をせず、そのまま自然消滅するという形で1は終わります。

そして6年も経って、元いた会社の前の上司から声がかかって、イチのいる会社に戻ってくるというところから、2が始まります。
ミサオはその間、誰とも付き合わなかったらしく、結局イチのことを忘れられなかったようです。
が、イチに逢いたくて戻ったわけではなく、仕事の都合でのことで、同じ部署とは知らずにでした。

が、同じ部署ということで一緒の出張先で、あっさり、また体の関係が始まります。
イチは相変わらず天邪鬼なことを言ってますが、この時は実力行使に出ています。
でもやっぱり言葉はないままだったのですが、今回はさすがにミサオちゃんが早めにこれじゃだめだと思って、イチに言葉を求めます。
そしてやっとちゃんと付き合う、ということになるのですが、この後に別れを予感させる感じで、2は終わります。

3は2のすぐ後の続きで、今度はイチの父親が2人の関係を妨害してきます。
ミサオが原因で、父親の気に入っていた彼女と別れたことは知っていて、
そのミサオと復縁したことを知って、イチと別れるようにミサオに直接言ってきます。
前の彼女が自殺未遂していたことを知って、イチの父親に学歴も家柄も釣り合わないとか、
ミサオのことを全く歓迎していないということも言われ、ミサオはイチの父親の言うことが正論だと思い、イチには本当のことを言わずに別れようとします。
父親にも言われたその場で、別れることを約束するのですが、すぐにはできないので少し時間をくださいといいます。

別れると決めたものの、本当はすごく好きなのでそこからなかなか言い出せず、でもイチと距離を取ろうとして、仕事を忙しくすることで、仕事を理由にイチとあまり会わないようにします。
3では1の時と逆にイチがミサオを追いかける感じになっていて、イチは言葉ではまだそれほど素直に気持ちを伝えられないものの、1の時に比べたら信じられないくらいに、ミサオに会いたがって、イチャイチャしたがります。
そしてとうとう結婚しようとミサオに言うのですが、そこでついにミサオの方も何も言わないわけにはいかなくなり、もうイチのことは好きではない、他に好きな人がいると言います。
誰なのかと聞かれて、部長だと言ってしまいます。(本当は部長とは何もありません)

イチからしたらプロポーズという最悪のタイミングで別れを告げられることになります。
部長への嫉妬や、唯一と思った女を手に入れられなかった絶望感とか、1でミサオが苦しんでいた感情を3ではイチが味わうことになります。
1でのミサオを思うとイチもそれくらいは同じ目に合っていいかなと思いますが、1ではミサオが1年以上、彼女がいるイチと自分は2番目だと思いながら、何も言ってもらえないまま関係を続けているのに比べて、3でイチがミサオに他に好きな人がいると言われてからそれが嘘だったとわかるまではたぶん2週間ぐらいと短いです。

しかもミサオは3ではイチの父親から、威圧的な酷い言葉の暴力をくらいます。
1の時に比べたら短いですが、イチの父親に別れるよう言われてから別れるまでに1ヶ月以上、そこからイチが事情をわかって、復縁するまでが2週間位?で、1ヶ月半以上、またミサオは苦しんでいます。
それから別れた直後にイチの同僚、松永がイチと寝たことを匂わせることをミサオに言ってきて、そんなすぐに、しかも知ってる相手とのことで、ショックをうけたりもします。
実は、松永はイチとは寝ていなくて、彼女はイチの父親の愛人で、イチの父親がミサオのことをよく口にするのに嫉妬していて、そのヤッカミでそういう意地悪をしていたらしいです。そして頼まれてもいないのにミサオのことをイチの父親にいろいろ報告していたらしいです。

別れた後、ミサオが妊娠していたことがわかり、それが松永さん経由で、イチの父親にものすごく早く伝わり堕胎するように言われます。
が、ミサオが堕胎しようとしていることを松永から知ったイチが、それが他の男の子供だと思っているにもかかわらず、阻止しようと病院にかけつけます。
ミサオとイチの父親が一緒にいるところにイチがかけつけ、父親がいることに驚きますが、ここで、お腹の子が自分の子だということと、すべての黒幕が自分の父親だということに気付きます。

イチは父親のことを大好きだったし尊敬していたんですが、ミサオとのことに父親が関わっていたことに怒ります。
殴ろうとしますが、ミサオが止めます。
ここのミサオちゃんの行動もいまいちわかりません。
家族だからって、殴っちゃえばいいんじゃないの、止めることないんじゃないの。
男同士なんだし、むしろその方がわだかまりが解消されるんじゃないのって思っちゃったんですが。

父親とは後で話をすることにして、とりあえず、2人でミサオのマンションに行きます。
イチはミサオは何も話してくれないけど、他に好きな人がいると言って別れようとしたのは、自分の為を思った嘘だったんだということを察します。そして、ここで、今までミサオがイチに言われたいと思って言ってもらえなかった言葉をたくさん言ってくれます。
「おまえが一番優先」
「そんな好きなの?俺のこと」といういつもの言葉の後に今までにない「俺の方が、ずっと好きだけどな」
「俺、死ぬほどお前のこと好きだわ」
「だから、死ぬまで俺と一緒にいてよ」
ああ、やっとこういうこと言ってもらえたんだ、と思いました。
そして、最初からミサオのことが好きだったということも言われます。
最初の頃の、結構すき、が結構どころじゃなく好きだったとか、
2番目じゃなく1番だったとか。
うーん、でも2番じゃなく1番は確かにそうだったと思うけど、田所さんとすぐ別れようとしてたのがうまくいかなかったんだけど、最初の方の、結構すき、発言あたりのことのイチサイドの話を読んだ感じだと自覚はしてなかったっぽいんだよね。
後から思えば、最初からミサオのことが好きだった、のかもしれないけど、自分でもそう思う、のかもしれないけど、イチサイドの話の感じからすると、そこ頃は自覚してなくて、だからその後で田所さんに軽い気持ちで付き合おうって言っちゃって、OKされちゃって、という事態になっていったんだよね。
まあとりあえず、それでミサオは少し1の頃からの心の傷が少し解消されたようなんですが、4を読むとまだまだ傷は深いようで。

イチはこの後、父親と話をしに行きますが、学歴とか家柄とか釣り合わないと言い出した父親に、話をしても無理だと思い、話の決着をつけられないまま、帰ります。
それからイチの母親が交通事故にあって入院したという知らせに、ミサオと2人でかけつけると、イチの父親もきて、愛人と会ってた時に連絡が来て、自分のことを反省したのかなんなのか、ミサオに「好きにしろ」と、ミサオたちに反対するのを諦めたふうなことを言いますが、結局父親の問題はどうなったのかに関しては、はっきりした決着をみないまま、終わります。

3の作者のあとがきで、イチの父親の話の番外編があるようなんですが、見当たらず。
あったけど、今は読めなくなってしまっているのか。
そこで本当は何か納得のいく話があったのかもしれませんが、今読める部分で言うと
あんなに酷い仕打ちをしてきたイチの父親に対する決着があんまりちゃんと書いてありません。
それでいて、4では、もう和解してるかのように、父親が挙式を早くしろと言っている、と言っているので、どうなってるんだって感じです。
3ってそもそもイチの父親の横やりで話が展開しているのに。

そして、イチとミサオは結婚して、子供はそのまま産んで育てようということで、3は終わります。
一見、めでたしめでたしですが、恋人期間があまりちゃんとないまま、いきなり子育てはキツイんじゃないのかなぁ、ミサオちゃんかわいそうに、って、3をまだちゃんと全部は読んでいなくてストーリーだけ追えるような重要箇所を読んだだけの時は、そう思っていました。
1の頃にイチに傷つけられた心の傷がまだ癒えていなくて、やっとこれから普通の恋人同士になって、イチからの愛情を感じて、その傷を癒やしていく期間になるはずだったのに、十分なそういう期間のないまま、子育てはどうなのかなと思いました。

そして4はそういう話のようです。本当は恋人期間がほしかった、このまま子育てで大丈夫なのかと不安を感じているミサオちゃんの話です。
2016年12月に4が始まって、無料公開されていて、そこから2017年に更新がないようなんですが、どうなってるのかな。
堕胎を勧めるのは不謹慎なのかもしれませんが、ちゃんとした覚悟のないまま産んでも、虐待になってしまうこともあるし、それくらいなら、今はあきらめて、もっと後でにした方がいいんじゃないかなと私は思います。人によってはそんなの全く容認できない考え方かもしれませんけど。

が、3をちゃんと読んでみると、最後の方ではイチにちゃんと好きだ、大切だって言ってもらっているし、ミサオが子供を産もうと思った理由は、イチと別れていた時に、もうイチのように好きになる人とは出会えないと思っていて、そんな相手との子供を一人で産んで育てていこうと思っていたから、というもので、それはわかる気がすると思いました。
でもその後、イチと一緒になれたので、その点に関しては最初の意味付けはなくなったんだけど、それでも2人が命を大切にしたい、自分たちの子を育てたいって思うなら、それでいいと思います。
でも、それでもやっぱり4ではそこの不安がでてきてしまっているわけで、その不安をかかえたミサオちゃんの決着をどうつけるのか、気になります。

最初、コミックから始まって、最後どうなるのか、要所要所をちょっと読んでストーリーがどうなるかを追いかけて、2を読んで、1の後半を読んで、というところまでは結構夢中になっていたんですが、その後一段落して少女漫画を読んでいたら、もっとストレートにちゃんと気持ちを言うお話で、liarのことが、すごくなんか、この人達何してんだろうって思っちゃいました。
イチとミサオは本当は両思いなのに、お互い自信がなくてはっきり言えず、腹の探り合いをして、離れないでいるために、だめな状態とわかってるのに現状維持して、傷付き合ってた人たちなんですよね。
好きな相手に自信が持てないっていうのは、よくあることではありますが、お互いの気持を言い合えていれば、こじれずうまくいった人たちなのに、と思うと、読んだ少女漫画のストレートさを思うと、何してんだろうって思っちゃいました。
作者が、そういうのを書きたかったらしいので、そういう話なわけで、本心を言い合うなんていう展開になるわけがなかったんですけども。

それで3を読むのはもういいかなーと思ってたんですが、やっぱり読んでみて、そしたら意外と重要なイチがミサオにちゃんと好きって言うところとか読んでなくて、そのあたりを読んだら、1からのミサオのかわいそう感がわりと解消されて、よかったねって思えたので、やっぱり3をちゃんと読んでよかったなと思いました。

でもやっぱり3も今度は特にミサオが、ですが、一人で悩まないで、ちゃんとイチにイチの父から言われたことを相談してれば、この3のややこしいことは全部なかったのにね、となんかそれでおわっちゃう感じの話なんだよなーと改めて思う。
ミサオがイチのことを思って、という気持ちはわかりますが、それでもちゃんとイチに言ってれば、ミサオもイチも余計な苦しみを感じることなくすんだ話で。
そういう大局的な見方ができるのは、全体を見ている読者だからで、当事者にはそう考えられないとか、1からのいろんなことのせいで、ミサオがそう考えちゃうんだとか、そういうのもわかります。

でもミサオが家族だからと避けさせようとしてたイチ親子の衝突は、ミサオのことがなくても元々歪みのあった家族なので、いずれイチが真っ当な恋愛をして家庭を作ろうとした時に、ぶつかることになったであろう衝突なので、むしろそこは止めちゃだめなところだったと思いました。
ミサオが、家族なんだからと止めようとしていたことには共感できなかったです。

結局やっぱり、liarって、イチとミサオがお互いの本心を素直に言えないから生じるゴタゴタの話で、言えてれば終わっちゃうというか、始まらないというか、言えてればすんなりうまくいってお終いな話だなと思いました。

市川父とはゴタゴタしたかもしれなくても、母はすんなり受け入れてくれてたようだし(ちょっとしか出てきてないけど)、絶縁とかなったとしても、父との衝突は、いずれ向き合わないといけない問題だったっていうだけのことだし。

そう言ってしまうと、なんだそれって感じですが、そういう話だったなと思う。

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