漫画 水城せとな「失恋ショコラティエ」感想

 

 漫画 水城せとな失恋ショコラティエ」感想
ネタバレありなので、ご承知の上。

相手の女性が結婚してもずーっと片思いしてて、その女に振り回される男の話、というザックリしたあらすじを読んで、最初はあまり読む気にならずにいた。振り回されている様子を見るのはきっとストレスがたまるばかりで面白くなさそうだと思ったから。
でも電子書籍サイトで試し読みで無料で読めたので、2巻ぐらい読んでみたら、思ったよりお話が暗くなくて明るくて面白かったし、表紙で見るより主人公のソータがかっこよくて、他の登場人物も美形ばかりでよさそうだったので、ネットオフで安い時にまとめ買いして読みました。

 

ほんとは数か月前に読んで書いた感想ですが、また読み直して考えて見直してみようと思ったまま、読み返すことなく放置してしまっていました。

結局まとめなおしてませんが、せっかく書いたので。とりあえず。

 
ソータは高校生の時に憧れの女性、サエコさんと付き合えることになり、バレンタインデーに手作りチョコを渡すが、実はサエコさんは前彼とヨリを戻していて、ソータとはHしてないから付き合ってない、と言われて失恋してしまう。
が、その失恋をバネにパリに渡って、5年修行して、ショコラティエになって日本に戻ってきて、自分のお店をオープンする。サエコさんは他の男性と結婚してしまうのだけど、それでもソータはサエコさんを想い続ける。
サエコさんのためにショコラティエになったし、お店の新商品なんかもサエコさんのためにとアレコレ考えてアイディアが浮かんだりする。
サエコさんがソータの仕事の、人生の原動力になっているっていうところがスゴい。
サエコさんを想い続けることが、ただの病んだ痛い人じゃなくて、前向きに生きる原動力になっている、そうしているところがソータの(このマンガの)すごいところだと思う。

でも、じゃあサエコさんは気高い素敵なミューズかというと、そんなことはない。
ソータにとっては妖精さんでも、他の人達から見たら、小悪魔な嫌な女だ。
キレイでかわいい人だけど、わかってて女の武器を使うような人。
ソータもサエコさんがそういう人なのはわかっていて、それでも好きになっちゃったんだから仕方ないって思ってる。
私は最後までサエコさんは好きになれなかったな。

最後の方で、サエコさんが家出してお店の2階に住んでいた間に、薫子さん、マツリちゃんが恋愛相談して、ポジティブアドバイスをもらって、特に薫子さんとはなんだか仲良い感じになっちゃったりしてるけど、そういうのを見ても、なんだか素直にサエコさんのことをかわいいとかいいアドバイスしてるとか、あんまり思えなかった。
むしろ、薫子さん、なんでサエコさんと仲良くなっちゃってんの?とか思った。
最後までソータを振り回す嫌な女だった。

サエコさんが家出して来た時も、ソータがきっとどうにかしてくれると期待してソータの店に来てたんだろうし、その後もソータが携帯を部屋に忘れたのに気付いて誘うためにわざとシャワーの時にソータの携帯を持ってきていた。
あの、ソータとHしながら店の2階に滞在してしてたのって一体何だったのか。
薫子さんとの会話で、離婚するつもりはない、逃避しているんだと、サエコさんが言っていたから、そういうことなのかな。ソータと本気でどうにかなるつもりはないけど、今の旦那との結婚生活に疲れて癒やされるためにソータを利用した、甘えたってことなのかな。
でも家に帰る時に、オリヴィエに言ったこと、「タイミングが違ってたらソータと」っていうのは、あの高校生の時のソータは眼中になかったかもしれないけど、今のショコラティエとして成功しているソータには、ちゃんと心ひかれてて、今その選択はできなかったけど事情が違えばソータとちゃんと付き合う気持ちはあったってことなのかもしれない。
そして、サエコさんが「帰らないと」って言ってて、事情が違えば〜の事情は妊娠なのかな。
家出してくる前も、ソータの店のチョコを食べるのと同じようにソータ自身もサエコさんにとって、うまくいかない結婚生活から逃避する癒やしの存在で、お店に来て思わせぶりな態度をとったりして、ずっとソータのことを振り回してきたってことなんだろうか。

そしてオリヴィエは、サエコさんが帰る時に「タイミングが違ってたらソータと」って言ってるのをフランス語で「日本語がわからない」と言って、わからないフリをして、聞き流しました。
その前のサエコさんとのエピソードで、オリヴィエがコーヒーにマドレーヌをつけて食べてるの見て、サエコさんが「うちでもやってみよ」って言った後のオリヴィエの表情ってどういう意味だったのかなぁ。
今この状況で「うちでも」って軽く言っちゃうのが、家に帰るつもりでいるって思ってひっかかったのかな。ぐらいしかわからない。
とにかく、オリヴィエはサエコさんが家に帰る時、今までのソータの片思いはソータに創作意欲を与えるものだったから反対はしなかったけど、サエコさんが本気でソータと一緒になると考えるのは阻止しようとしたってことなのかなと思いました。オリヴィエ、グッジョブです。
ソータに直接サエコさんが伝えてたり、オリヴィエが伝えたりしちゃったら、ソータがまたサエコさんに振り回されちゃいそうだもんね。
オリヴィエは、人とかその関係性とかをちゃんと見れてる人だと思う。
初めてサエコさんに会った後、ソータに「サエコさんのこと ホントーに好き?」って聞いてて、ソータはそうだと答えていたけど、ソータの好きはパートナーになる相手として好きなのとは違うんじゃないかって感じてたんじゃないかって気がする。
そして「ソータはサエコに夢見すぎ ちゃんと中身開けて目を覚ますべき」と、この時はアドバイスをしている。でもソータが結局チャンスはあったのにサエコさんとHしなかったし、今は言っても無理なんだと思って、様子見することにしたんだろうと思う。ソータとは違う意味でまだ時期じゃないって思ったのかもしれない。
そしてソータのサエコさんへの好き、恋が、ソータにショコラティエとしていろんな恩恵を与えているから、いいと思ってた。サエコさんがお店の2階に居着いた時は、急展開、最終回、ソータもどこまでがんばれるかなーって、面白がっている風だったけど、この展開が「ちゃんと中身開けて目を覚ますべき」出来事になるだろうって思ってたのかもしれない。
そして、ソータの目が覚めることになった後は、ソータが揺り戻されないように、サエコさんの言ってることをわからないふりしてバイバイして、振り切ったのかな。

サエコさんは、ソータがサエコさんにフラレてエレナとちゃんと付き合おうとしたのを自分のために邪魔したんだよね。ソータがエレナちゃんとと思ってたタイミングなのは知らなかったとしても、自分を抑えようとしていたソータに色仕掛けで迫ったのはわざとで、Hするように意図的に持ち込んでいる。
サエコさんは自分の欲のためにソータを利用した。
でも、Hするまでいって、ソータの願いをある程度のとこまで叶えて、そしたらサエコさんとの将来が思い描けない、ってソータが自分でわかったんだから、結果的には、そこまでいってよかったのかもしれない。
サエコさんが出ていって「大好き、離れたくない」って思っちゃったけど、サエコさんとHできてしばらく一緒に暮らせたのはかえってつらくなったのかもしれないけど、でもそこまでになったことが、サエコさんを思い切るために必要だったんじゃないかと思う。
物語的にも、そこまでいって、やっぱりうまくいかなかったっていう方が盛り上がるしね。
そしてさすがのサエコさんで、ちゃんと旦那さんにバレないように祖母の家にいたことにして、そこまで行って旦那さんに迎えに来させて工作していた。

エレナちゃんとソータが一緒にいる時の感じが最初からすごく好きだった。
エレナちゃんとはお互い他に好きな人がいる同士だからこそ、慰め合う&練習のためってことで、すぐにHしてっていう関係にすんなりなれたんだろうけど、でもお互いに好きな人がいないで出会っていれば、やっぱり2人はうまくいっていたと思う。
最初見た時、エレナちゃんの見た目はそんなに好きではなかったけど、だんだんやっぱりキレイだなかわいいなって思うようになった。最終話で最初に出会った時にエレナちゃんの絵が出てくるけど、やっぱ後半のとはなんか違う感じがした。
そんでサエコさんに比べたらエレナの出番はだいぶ少なかったから残念。
しょーがないけど、残念。もっとエレナとソータのラブラブな幸せエピソードが見たかったな。
特にサエコさんが家出してからはエレナとは離れちゃったから、結構長い間ソータとは離れたままだったし。ヨリを戻してからはもう最後の方だからちょこっとしかエピソードなかったし。
エレナ大好き。エレナとソータがうまくいってよかった。もっと一緒のエピソード見たかった。

オリヴィエもいいキャラだった。大金持ちの御曹司でイケメンなのに日本のオタク文化大好きで、お話の中のいい、おもしろ要員になってたし、ソータのよき相談相手だったし。恋愛でも仕事でも。
マツリちゃんもかわいいから、オリヴィエと結婚できてよかった。
マツリちゃんが最後に友人にカッターで怪我させられたのは、オリヴィエとの結婚を決めるためのエピソードだったのかなぁ。二股してた彼はサイテーなやつだったね。いや、普通のやつだったのかな。モテ期で浮かれちゃったんだってことで。オリヴィエも言ってたしね、もっと嫌な奴かと思ったけどふつーだったって。
そしてオリヴィエは普段はわりとおもしろ要員だけど、時々ビシっと決めていいこと言ってくれる。
ソータが結構赤裸々に恋愛事情とか自分の気持とかをオリヴィエに話してて、そういう2人の関係もすごくいいなと思う。「キモいーキモいー」って2人で肩組んで言ってるのもおもしろくて好きだった。

薫子さんは、大人になったソータに恋していて、オリヴィエにはバレてたけど、ソータは全く気づかなかったし(ソータにとっては薫子さんは自分よりずっとレベルの高い人で自分なんか相手にするわけないと思ってた)、薫子さんも結局言わないままだった。最後に一応好きって言ってたけど、あの会話の流れでは、恋愛の好きとは思わない言い方だったし。
薫子さんもいい人、怒ってばっかりだけど、いい人だし、ソータを叱ってくれるいい人になってたと思う。
最後は、ソータにエレナに誤りに行くように言ってくれて、そのおかげでエレナとヨリを戻せたし、薫子さんグッジョブ!
薫子さんには悪いけど、ソータには薫子さんは合わないと思うから、秘めたままでよかったんじゃないかな。関谷とどうにかなるか全くわからないけど、いつかいい人に巡り会えるよね。

ほんとにソータっていい人達に巡り会えてるよなぁと思った。
そして仕事に真面目に取り組んで、新作チョコを考える場面が何度も出てくるけど、何度も試作を繰り返して、とか、そういうのスゴいよな、偉いよなと思う。
努力があって、結果がついてきているんだよなと思う。
私はそんなに貪欲に仕事に取り組んだことがないので、そういうのをみるとスゴいなとおもう。

サエコさんって何だったんだろう。
結局、サエコさんはソータにとって、憧れの人で、妖精さんで、創作のミューズで、そういった距離にいてちょうどいい人で、ソータと結婚して一緒に暮らしても、サエコさんが何考えてるかソータにはよくわからなくて、一緒にいて幸せを感じるかもしれないけど同時に孤独を感じてしまう、パートナーになるにはむいてない人、だったのかな。

サエコさんが家に戻った後は、薫子さんと一緒に食事してるとこしか登場してないから、その後お店に来てるのかわからないけど、「俺のショコラをこっそり食べたあなたが〜」と言ってるから、さすがにあの後は、お店には来なくなったんだろうか。

番外編で、その後のエピソードをいつか書いてくれないかなぁ。
そしたら絶対エレナとソータのラブラブエピソードが入っててほしい。

全9巻で、6年かけて描かれている。
私はそれを2日で読んだ。
連載物はそういうものだけど、リアルタイムで追いかけてたら、ヤキモキしただろうな。
特にエレナと離れちゃってた期間とか。一気に読めてよかった。
面白いマンガでした。
テレビドラマ化されてるけど、テレビドラマを見る気は全くありません。

数ヶ月前に無料試し読みで2巻まで読んでたので、3巻目から読み始めてました。
でも結構忘れてるから、最後まで読んでから1、2巻を読んで、いろいろ考えながら他の巻もパラパラと読み返しました。そして更に思ったことを追記です。

1巻から読んで思ったのは、最初の方に出てきていることが、最後の方に出てきているのが結構あるなってこと。1巻冒頭のモノローグで、サエコさんの赤血球になりたい、というのはサエコさんと裸でベッドで抱き合ってる時にソータのモノローグで出て来るし、「◯◯作ってくださいな、ショコラティエさん」とベッドの中でサエコさんが言うのは、2巻6話目のソータの妄想に出てくるシーンがそのまま実現している。(作って欲しいものは変わってるけど)
そしてサエコさんがソータのことをどう思ってたのか、っていうのって、高校生の時のバレンタインでソータが振られた時にサエコさんが「いい人だし、優しいし、話も合って楽しいし」って言ってたのと変わってなかったんじゃないかと思う。
お店の2階に居着いた時にも薫子さんにサエコさんは「ソータ君優しいし」とは言うけど、一度も「好き」とは言わない。最初に薫子さんが怒鳴り込んだ時も「本気で好きなんですよね?」という問いかけに「本気で好きってどういうことですか?」って聞き返してしまう。本気で好きが通じないってどんな価値観持ってるんだか、ほんとにサエコさんって理解できない。
ソータとエレナも本気で好きの話をしてる時あったし、普通は本気で好きの意味は通じると思う。
「頑張ってあたしのこと1番に好きになってもらおうって」とサエコさんは言っていた。
自分の気持じゃなくて、好きになってもらおうと努力する人なんだね。
そしていろんな人の1番になって、その中から、よりよい人を選ぼうっていう人なのかな。

それからソータはサエコのことをもう諦めようとしてたのにサエコがホワイトデーにやってきての更なるエピソードを経てから別れたのは、2話の結婚式の時にソータが「もっとひどいことを言って立ち直れないくらい俺を打ちのめしてよ そうしたらきっと あなたのことなんか思い出すのも嫌になって この恋を終わらせられる気がするんだ このままじゃまだ痛みが足りない 全然足りないよ」って思ってたその痛みだったのかなぁと思った。あの時ソータは痛みが足りないとは思ってなかったけど、そんだけこっぴどく思い知らされないとまたぶり返しちゃうかもしれないから。

家出してくる前も、デートの時も、珍しくサエコさんの気持ちのモノローグが入って、エレナのことをHはしてるけど彼女じゃないだろうとか分析してたり、そのエレナと逆の雰囲気にしようと戦略を練って化粧したり、ソールの高いサンダルにしたり、帰りに家に誘ったり、思いっきりソータを誘惑して浮気しようとしてた。

元々チョコレート好きで、チョコレートが日々の生活の中の癒やしになってたんだろうけど、結婚してから旦那さんとうまくいかない部分の「逃避」にソータを利用しようとしてた。
本気でどうにかなろうとしてたわけじゃなく、逃避。

本当に私にはサエコさんのことがよくわからない。
作者の水城さんに解説してほしいくらいだよ。
ソータにとってサエコさんは、最後のモノローグにあるようにいろんな出会いが生まれたから、出会えてよかった人なんだろうけど、一緒にはなれなくてよかった人なんだろうね。
一緒になってしまったら、ソータは一緒にいられる幸せと何を考えているかわからない不安を同時に常に抱えたまま、どちらかと言えば苦しい気持ちで過ごすことになっただろう人なんだろうね。

やっぱりこの後の番外編がみたいなぁ。
サエコさんはもうショコラヴィには行かなくなったんだろうか。
それはそれで旦那さんが変に思いそうだけど。
ソータのノートのメモがバレンタイン前日までなのは、もうそれ以降つけるのはやめたっていうだけのことなのか、サエコさんが来なくなったってことなのか。

そしてラストの「それが今でも俺の夢だよ」の「今でも」は、1話にも出てくる夢のこと。
ソータがエレナとちゃんとカップルになってよかったし、オリヴィエとマツリが結婚してよかった。
でもなんでサエコさんみたいなあんな人がソータのミューズなのか、私にはよくわからないよ。

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