漫画「はじまりのにいな」水森暦 感想


<↑コミックの試し読み> Renta!

全4巻で完結。

15才で亡くなった女の子の前世の記憶を持つ女の子が、前世で好きだった男の子と再び出会い恋をするお話。

元々は1話読み切りとして描かれたそうで1話でもそれなりな感じにまとまってます。また更に3話まで(1巻分)は毎回、そこで終わるつもりで書かれていたようで、それぞれそれなりにまとまってます。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

 

主人公の新菜は10才の女の子。
前世の記憶を持っていて前世では15才で亡くなってます。

そして10才の時の引越し先で出会った裏の家のお兄ちゃん篤郎(25才)は、前世で新菜の好きな幼なじみで同級生の男の子でした。つまり前世で亡くなってすぐに生まれ変わってて、前世の女の子は亡くなって10年経ってます。

篤郎が前世で好きだった男の子だとすぐに気づいた新菜は、鶏の世話をする口実で毎日のように篤郎の家に会いに行きます。前世での新菜=千歳は篤郎と出かける予定の日に先に駅に向かう途中で階段でころんだ妊婦さんを助けて亡くなりました。

篤郎は10年経っても千歳のことが忘れられないでいます。

新菜は10才ですが篤郎に告白します。篤郎はそれに真面目に答え、10年間ずっと好きな人がいますと言って断ります。それに対して新菜は「うんいいよ」と言い、「しょうがない また片想いから始めましょう 惚れさせてやりましょう」と思います。
(ここまでで1話)

 

篤郎と新菜は家族ぐるみの付き合いで日々を過ごし、篤郎は新菜の存在に癒やされていくのを感じます。そして時は過ぎ、新菜が高校生16才になった時、父親の転勤で北海道に引っ越すことになり、離れる前にもう一度告白することにしました。

「好きです つきあってください」と10才の時と同じくストレートに言いますが

「お前は俺にとって特別な子だよ お前が泣いてたらどこにいたって飛んで行くよ 北海道だろうが どこだろうが でも俺にはお前を守ってやる自信がない」と篤郎は答えます。

それに対して「ありがとう ありがとう篤郎」と言う新菜。

「今度はごめんって言わないでくれた 私の気持ちも篤郎の優しさも重ねた日々も謝ったり断られたりするようなものじゃない 全部愛しかった」と思い、篤郎の前では笑顔で去りますが、その後泣きじゃくります。

 

その後、引っ越しまでの間、新菜は篤郎に会いにいかなかったようです。

引越しの日、新菜は買い物に出た際に事故に会い、病院から家に電話がかかってきます。怪我はたいしたことなかったのですが検査入院した病室で、篤郎が「お前の手を取るのが怖かった 昔俺が手ぇ離して守れなかった子がいるから だけどまた無くすくらいなら お前がいないくらいなら 怖いほうがましだよ 放したくない今度こそ」と言います。

そして引越しで新菜が旅立つ時、「今度は俺が会いにいくよ」と篤郎が言い、新菜のおでこにキスをします。

「離れても あしたにつながる明日があるのなら 歩き出せる 始められる 何度でもあなたに恋をする」

ここで3話、1巻が終わります。引越しで離れるところで終わりますが、気持ちは通じ合うことができて、ここでもそれなりにまとまっています。

 

この作品の感想を検索すると1巻の最後で2人が結婚しているところが描かれているそうなんですが、私は「マンガパーク」というスマホアプリで読んでいて、描き下ろしが載ってないのか、そういうシーンはありませんでした。

この後、北海道での新菜のお話になり、しばらく篤郎はほとんど出てきません。

3話の最後で気持ちは通じ合ったっぽいですが、付き合おうとかはっきりしたことにはならないままのようです。北海道の高校で、新菜のことが好きな男の子が出てきたり(でも素直じゃなくて新菜に意地悪なことばかり言うので周りの子は気づいてるけど新菜は嫌われていると思っている)、千歳の弟が学校の先生としてやってきて再会したりします。そして新菜が前世の記憶を持っている意味を考え、千歳の家族に会いに行き、篤郎から聞いた話として千歳が家族それぞれに思っていたことを伝えます。

 

夏休みに篤郎が北海道に行ったり、新菜が新潟(篤郎、新菜達は新潟に住んでいた)に行ったりして会います。篤郎の大学生の時の元カノが今同僚で学校の先生になっているんですが、その元カノに新菜のことがばれて、(篤郎は学校の栄養士をしている)、立場上、高校生の子と付き合っているのはどうなんだと釘をさされます。

元カノは篤郎のことを友人として心配しているという体ですが、付き合っていた頃、千歳のことを忘れられなかった篤郎と一緒にいられずに別れたので、なぜ新菜ならいいのかという嫉妬が入っています。大切な友人だから云々言ってますが、いや絶対それ嫉妬でしょ、どうして自分じゃないのかっていうことを自分が納得したかったから、つまり自分のためだよね、と思いました。じゃなきゃ、友人の彼女に勝手に一人で会いに行くっておせっかいすぎる。

新菜は新潟の大学に進むつもりでいますが、篤郎がいるからという理由でそのことを話すと、もっとよく考えろ、そんな気持ちで来てほしくないと篤郎に言われてしまいます。

 

自分がやりたいことは何かといろんな人に話を聞いたりしながら考え、教育学部に進むことにして、新潟ではなく東京の大学に進学することに決めます。また更に4年間遠距離になってしまうけど、大学を卒業したら新潟に行くといいます。

ここで、ものすごく疑問なんですが、何故東京の大学じゃないといけなかったんでしょうか?東京にしかないような学部、学校で学びたい、そういう仕事を目指すっていうならわかるけど、教師になるために教育学部だったら別に東京の必要性特に無いよね?その後、新潟で就職するつもりで教師だったら、新潟の大学でいいんじゃないの?

教育学部じゃなくても教師にはなれるしね(大学入る前から教師を目指してるなら教育学部がいいだろうけど)。ここの説得力が全然ないなーと思いました。

 

なんか、恋愛第一じゃだめみたいな、まずはやりたいこと見つけて、そのために離れることも厭わないでいなきゃいけないみたいな流れになってるけど、いいじゃーん、恋愛第一で、好きな人と一緒にいたいの優先で何がいけないの?って思った。

でも篤郎は新菜があまり考えずに決めているようだったのでもうちょっとよく考えろってことで、それでも新菜が篤郎と一緒にいるのが優先って思ったならそれはそれでよかったんだろうなと、後でよく考えてそう思った。

でも、東京の必要性は全然ない。

そしてそれを決めたことを篤郎に告げた後、篤郎が新菜に会いに北海道に来て、新菜に高校を卒業したら結婚してほしいとプロポーズしますが、ちょうどその時に新菜の家族が来てしまい、新菜の父親がそれを見て激怒してしまいます。

 

そんなのはまだ早いと父親は言い、新菜も篤郎も自分の気持を父親に伝え、結局、この後、大学に受かるまで、篤郎と新菜は会っちゃダメ、メールも電話もダメでそれができるなら付き合ってもいいということを言われます。

えーーーーー!お父さん厳しすぎるよ。メールも電話もだめってそりゃないでしょう。

この時たぶん高2の冬でまだ1年以上あります。高3の冬だったらまだわかりますよ。

高校生だったら恋愛してお付き合いとかするもんでしょ。それをやっちゃダメって言ってるってことで、そんなのかわいそすぎる。高校生はお付き合いしちゃいけないのかよ。Hしちゃだめとかと違うよ。全く連絡もとらせないって非情でしょう。

しかもお父さん、この時初めて篤郎に会ったわけじゃなくて、新潟ですぐ隣に住んでて家族ぐるみでお付き合いがあったみたいだから何度も会ってるはず(少なくとも2回は会ってる)。新菜が毎日のように篤郎の家に通ってたら、年の差があるから幼い恋心とは思ってたとしても気付いててもおかしくない状況なのに。それなのにその反応って酷すぎない?お父さん。

 

そして大学合格してもまだ遠距離が続くんだよね、卒業まで。北海道よりは近くなるけどさ。高校、大学って一番恋愛してうかれたい時期にそれが思うようにできないって、新菜がかわいそうすぎる。相手がいるのに。なんで東京の大学?ほんとに理解できない。そんな恋愛したい時期に相手がいるのに一緒にいれないなんて。

ほんとになんでなのって思いました。一緒にいさせてあげればいいじゃない。なんでそんな話の展開にしたんだろう。ただ切なくしたいためだけに、お父さんをきびしくさせ、東京の大学にして、離れ離れにさせてるんじゃないの?って感じがしました。

 

でも、ここからは時が飛ぶように過ぎていきます。

大学受験で東京に行った時、どうしても会いたくなってしまい、篤郎に会いに行ってしまいます。次は篤郎が大事な挨拶をしに新菜の両親に会いに行くというシーン。恐らく結婚の挨拶だと思います。ここから篤郎は髪が短くなり、挨拶に行くからちゃんとした身なりと話しているけど、この後のシーンではずっとこの短い髪型のままです。ちょっと長めの方がかっこよくてよかったのに・・・。

次はもう結婚式のシーンです。高校の時の友人が出てきて、新菜に片想いしていた男の子は出席できないようでこれから出勤と言っているので大学卒業してから?と思ってたけど、あの男の子は高校卒業後就職してたんだった。この結婚の時期が高校卒業後なのか、大学卒業後なのか、よくわかりませんが、たぶん大学卒業後なのかな。

 

そして千歳のお墓参り。新菜はずっと篤郎に言ってなかったこと(たぶん生まれ変わりのこと)があると言いますが、篤郎は新菜が最初に告白した時に言った言葉を覚えてるかと聞いてきて、「私は絶対あなたより先に死なないよ」「俺が聞きたい言葉はそれだけだよ」と言い、結局、新菜は前世を覚えていることを話しませんでした。

でも今までに何度か新菜が千歳の記憶があるから言えることを言ってしまっているのに篤郎が気付いているような描写があって、篤郎はなんとなくわかってるっぽいです。

そして次は小さい2人の子供と篤郎と新菜で、篤郎の家で食卓を囲む様子でオシマイです。

とにかく篤郎が超カッコよかった!(髪切る前)

そこが一番好きなとこ。あとはどうなるのか気になる程度にはそれなりにお話も面白かったと思う。ただ最後の方の意味なく離れ離れにさせる展開はいまいちだった。

 

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