漫画「プリンシパル」いくえみ綾 感想

 

高校生の女の子と男の子2人を中心とした恋愛&人間模様が描かれた青春物語。
どういう意味なのか、解釈にあまり悩むことなく楽しく読めました。

完結。全7巻。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

 

 

弦がちょっと「潔く柔く」のハルタに似ていた。
途中で髪を切ったらもっと似た感じになった。
でもハルタにちょっと梶間っぽさがプラスされてる感じ。

絵によってだいぶハルタっぽいのもあるけど、性格はちょっと似たところもある程度。

まだ「潔く柔く」の苦しい余韻から逃れられないでいた私は、弦がハルタに似ていると思うことで、生きていたハルタのお話と思おうとしたけど、それにはちょっと無理があったかな。

でも「潔く柔く」みたいに解釈に悩むことなく素直に読めて、楽しい話だったので、その意味では苦しさが和らぎました。

まずは和央、弦、糸真(しま)のやりとりが楽しい。
全体的にコミカルな部分が多くてやりとりが楽しい。

そして、え?今のでそういうことわかったの?っていう、みんなの洞察力の深さにびっくりすることが多々あった。

今のがこういうことっていう解釈がでてくるので、「今のでそこまでわかった?」っていうのはあっても、「どう解釈したらいいかわからない」ではないから、まあいいんだけど。

糸真が友達になる主要人物の女の子、晴歌に裏表があるのは結構早いうちに出てくるけど、それが糸真にバレてからも、糸真が一番話しをする友だちでいる。

途中、和央にほんとに友だち?みたいな指摘をされつつも、物語の最後の方でもスゴいケンカをしたりもしつつも。

 

 

晴歌は糸真が自分の裏の顔を出して付き合える相手になったけど、やっぱり表裏があるのは変わらなくて、全部をさらけだしてるわけじゃなくて、最終話でも糸真に対して思っている本音がモノローグででてくる。

晴歌はそういう人だから、そうなんだろうけど、最後の方でも「こいつバカか?」とか思っちゃってて結構ひどい。

それでも糸真は晴歌にとって「本当のあたしを出せたのは糸真だけだ」という人だった。

二人ともふられてはいるけど、やっぱりそれでも弦に対して恋のライバルだから、そこらへんでは結局最後まで気を許せなかったんだろうね。

晴歌に他に好きな人ができないと、弦に対する気持ちがなくならないと、そこはそうなんだろうな。
そして高校生のうちはずっとそのままだったんだね。

最終話で、高2から大学生までさーっと時間が経過する。

それに加えて、高校時代の高2から卒業までの話と大学生になってからの今の話が交互に出てきて、切り替わりがわかりにくくて、1回読んだだけだと混乱する。

 

 

晴歌は大学生になってからの話には登場してこないので、卒業後も付き合いがあるのかどうか不明。

お父さんが「はるかちゃんが遊びにきたら車を出すよ」という話はするけど、約束があるわけじゃなくてただの仮定の話なので、なんともわからない。

ハブになるとか、ぼっちとか、っていうことが結構この物語の中で主要なテーマ?として出てくる。

晴歌はそうならないために付き合っていた、敵にするには怖い人、でもあって、本当に心からの気を許せる友人かっていうと微妙だった気がする。

3年でクラスが分かれても一緒にお昼ごはんを食べる仲だったようだけど、一緒にいたから親友ってわけでもないしね。

晴歌は弦のことが好きで、そのために、弦と仲良くなろうとする女子をハブにしたり黒い部分がある子で、物語の途中からは弦とつき合ってたので、糸真が弦への恋心を自覚しても告白できなかった障害でもあって、晴歌はあまり好きになれない子だったな。

 

 

和央と弦だったら私は断然、弦が好きだな。

和央みたいなかわいい系の容姿が嫌いなわけじゃないんだけど。

和央と弓ちゃんは、和央の弓ちゃんへの一途な想いは、すごいと思うけど、共感はできなかった。

「わかんなくていー誰にも」って思う、そのこと自体は、そうだなと思う。

他の人にわかってもらえなくても、自分は弓ちゃんのことが好きなんだから、他の人に理解してもらえなくてもどうでもいいって気持ちは、よくわかる。

和央が弓ちゃんを好きになった理由の説明として、弓ちゃんとの子供の頃からの過去の出来事が描かれていて、子供の頃から大変な時に助けてもらってたというのが大きいみたいで。

でもたぶん、それだけじゃない、何か惹かれるものを和央は弓ちゃんに感じていて好きなんだろうね。

ただの恩人だけじゃ、やっぱり異性として好きにはならない気がするから。

そしてそれに共感できる他人もいるかもしれないけど、当人同士にしかわからなくてしょうがないことなのだよね。

私にとっては、和央くんと弓ちゃんは、そういう感じの関係で、共感はできませんでした。
糸真ちゃんや弦と同じく。

 

 

糸真ちゃんが、「なんかこの人やだ」と感じる時があって、「あれ?弓ちゃんほんとはヤバイ人?」と思ったりもしたけど、あれはただ糸真ちゃんがそう感じただけなんだね。

そして最初は和央くんのことが気になってた糸真ちゃんでしたが、和央くんの弓ちゃんへの愛はゆるぎないことがわかって、和央くんとは本当に兄弟のような、仲良しの関係になりました。

最初から、何かと気の合うところがあったしね。

そして、弦のことが好きってわかって、でも晴歌と付き合ってるし、どうしようもなくて、他の人を紹介してもらって、金やんとつき合うことになる。

でもやっぱり違うってだんだん気づいて、申し訳ないことしたと思うわけで、金やんは本当にかわいそうな人だなと思うけど、ストーカーっぽくなっちゃって怖い。

かわいそうな役回りの人だけど、嫌な感じのやつでした。

弦と晴歌が別れて、ついに糸真ちゃんは弦に告白しちゃうけど、晴歌と別れたばっかで、女の子とつき合うとかはもうコリゴリ気味な弦は、無理といって断ります。

ここが、最終話の1つ前のお話。

 

 

物語としてはもう最後の最後って感じですが、糸真が弦にふられたのが高2の半ば。

そこから和央を気遣う同志として、つまり友人として過ごすわけですが、高3でクラスが別れて、そこから冬まで数ヶ月話をしないくらいに離れてしまったらしい。

高3の間は、あまり付き合いがなくなっちゃったっぽい。

そして、卒業式の日、糸真が帰ってくるのを糸真の部屋で待っている弦。

そして糸真に「俺 おまえいないとつまんないみたいだ 次必ず受かって東京行くから 待っててくんないかなと思って」と弦がいう。

大学生になってからの話と並行でこの高校時代の話が進んでて、ほんとに最終話の最後の最後で、やっと糸真ちゃんと弦がつきあうことに。

大学生の方でも、そうなってたんだなーってのがわかって物語が終わる。

このお話としては最終話で、だけど、糸真が弦にふられてから、1年半くらいかかってるよ。

しかも1年位はほとんど話もしなくなって離れてたっぽいよ。
ながいな〜。

ふられるまでの、このお話で描かれていた期間が約1年くらいだと思う。

あれこれいろんなことがあっての1年だったのに、その後もクラス別れるまではそれなりに楽しく過ごしてたのかもしれないけど、高3の1年もの間ほとんど離れてたって考えるとなんかすごく寂しいな〜。

 

 

和央とは一緒に住んでるから話してだだろうけどさ、和央と弦は同じクラスだから話してたかもしれないけどさ、糸真とは別になっちゃって1年もそのままだったなんてね。

高校という閉じた世界の話だからとはいえ、ながいな〜。

やっぱり友だちとしてじゃつらいから、離れてたのかな、糸真は。

そして7巻で収まるのにちょうどいいからとか、そういう感じの理由で、最後は駆け足な感じで、時間が過ぎたんだろうか。

全体としてはコミカルで楽しいお話でよかったんだけど、糸真と弦がくっついてからのお話も読みたかったな。

最後、弦は髪切って日焼けしてるせいか、だいぶ違う感じになってました。

うーん、一緒に描かれてる高校生のときの弦の方がカッコイイよ。