漫画、小説 「perfect crime」原作:梨里緒 作画:月島綾 感想


<↑コミックの試し読み> Renta!


ネタバレありなので、ご承知の上。

 

これも途中まで書いて放置してしまっていたようですが、とりあえずある程度のまとまりまで書いてあるので。


liarに続き、またもや電子書籍サイトで、コミックの1巻まで無料で試し読み後、続きが気になって原作が載ってる小説サイト(エブリスタ)で原作を読んだ。
liarと著者は別の人だけど、好き同士なのに本心が言えなくてこじれるとか、話の内容もちょっと似てるし、携帯小説?だからなのか、文体も似ている感じがした。

サラリーマンの恋愛話。完全犯罪っていうタイトルだけど、ほんとの犯罪はでてきません。
恋愛関係のもつれで、罠にかけるとか、そういうことをperfect crimeと呼んでいます。
でも正直、完全犯罪っていうほどのものだったのか、目的が何だったのかいまいちわかりませんでした。

 

 
大手住宅メーカーのデザイン部の本社と香港支社が舞台のお話で、主人公の前島香織はインテリアデザインのプランナーの仕事をしている、独身33才。
そして香織は職場の部長、冬木と7年前から不倫関係にある。
そこへ香港支社から半年間の期限付きで、デザイナーの東雲がやってくることで、物語が展開していく。

冬木は10年前、香港支社に勤めていた。東雲は同じ会社の沙織と付き合っていたが、沙織は実は冬木の事が好きだった。冬木が本社に転勤になる時に、沙織はやはり冬木と離れられないと思い、東雲を捨てて、冬木についていきアタックして冬木に受け入れられ、冬木と沙織は結婚する。
冬木は東雲と沙織が付き合っていたことを知らなかった。そして冬木がそれを知らなかったことを東雲は知らなかった。知っていたら沙織を受け入れていなかったと、後に冬木は東雲に語る。

 

同じ職場で面識はあったろうけど冬木と付き合ってたとか、そういう関係がなかったのに、いきなり空港に行って告白して受け入れられるってのもスゴいな、と思う。あまり詳しくそこら辺のことは書かれてないけど。

東雲は沙織のことを深く愛していたので沙織のことが忘れられず、沙織が実家のある香港に帰省した時に友人として接触してきた沙織と無理に体の関係を持ってしまう。これは東雲の気持ちを考えないで連絡をとってきた沙織も悪いよね。納得のいく別れ方をしてあげなかったのも。
その時、冬木がサプライズで香港の沙織の実家に会いに行ったら沙織がいなかったり電話しても出なかったりしたことで、浮気してたのがバレてしまう。(7年前)初めての浮気であっさりバレるってのも・・。
沙織の浮気がきっかけで、冬木は香織と不倫関係になる(誘ったのは香織からだけど)。
東雲と沙織はその後も体の関係があったのか、はっきり書かれていないのでよくわからない。その後は東雲が日本に会いに行っても合わなかったり沙織が香港に帰省しなくなったり、東雲を避けた描写がある一方で、東雲が冬木と香織が不倫関係にあることを沙織に教えたとあって話はしたようだけど、その時話しただけなのか寝たのか不明。1年近く東雲を避けた後、沙織が東雲に(おそらく冬木の不倫と冬木が笑わなくなったこと等で)「死ぬほどつらい」と電話してくる。東雲は沙織に冬木と別れるよう言うが沙織の気持ちは変わらないことを知って、友人としても含めて沙織との関わりを終わりにすることにした。



不倫関係は6年前には終わっていた。というが、そもそも最初の1回しか体の関係はなかったんじゃないのかとも思えるし、もしその後もあったんだとしたら、他に描写があるように避けようと思えば避けられる沙織が悪い、としか思えない。
沙織は東雲と付き合う前から冬木のことが好きで、それなのに東雲と付き合っちゃったのが悪いんだけど、沙織が冬木のことだけ好きなのは最後までブレない。
でも、結婚後に、冬木も小野さんも日本に戻って寂しいだろうから等と言って、自分に未練を残している元カレに友人として会いに行くとか、残酷な行動をしている沙織の神経を疑う。考えが甘かったとはいえ初回は東雲に抵抗できずに仕方なかったとしても、2回目以降は東雲がそのつもりなのはさすがにわかるはずで、それでも会って寝てたんだとしたら沙織が絶対的に悪い。(東雲に気持ちがないのにそういう行動をしちゃったという意味で)
そして最初の1回しか寝てないんだとしたら、不倫していた、6年前に終わっていた、と、ある程度の期間継続していたような表現になるのは変だ。詳しく書かれていないので、よくわからない部分だが、どっちにしても、なんだかうーん?と思ってしまう部分。



東雲と沙織が不倫関係になった経緯は東雲に残酷すぎる、気付いてないとしたらお気楽すぎる沙織が悪い、と思う。物語の最後のほうで、東雲と沙織が2人で話して気持ちに決着をつける場面で、東雲が沙織のことを、自分が愛した素敵な人だったのを思い出した、的なことを思うんだけど、うーんそうかな?と納得しかねる。
沙織のフラフラした言動のせいで東雲は苦しんだんだし、描かれている部分では、素敵な人とは思えないんだが(悪人ではないけど弱いだめな人)、描かれていない部分で沙織は女性として素敵な人だったのかもね、と補間するしかない。

冬木は沙織と東雲の不倫がずっと続いていると思っていた。
最初の方の、冬木の香織への独占欲強い発言から、冬木は沙織のことはそれほど好きじゃなくて、香織のことが好きなのかと思ったけど、実はそうでもなく、自分をすごく愛してくれる沙織のことも好きで、だけど沙織が不倫していると思ってるから、その満たされない思いを満たすため、バランスをとるために自分をすごく愛してくれる香織が必要だったらしい。冬木は、離婚するかもしれないので切り札として香織が必要、自分を愛してくれる存在が必要なんだと言っていた。



不倫関係にある時、香織が男性社員と楽しげに会話する程度のことで、お仕置きと称して、会社でHなことをしていたような冬木が、香織のためにならいつでも手放す覚悟があったとか言って、あっさり別れたのがどうもしっくりこなくて、実は裏があって戻ってくるように仕組んでたんじゃないかとか思ったけど、結局全くそんなことはなく、別れたあとは、香織の幸せを願ういい上司になった。
香織は冬木のせいで才能ある男性デザイナーとは仕事で組めなかったくらいなのに、そこまでのあっさりぶりが、その変化が、納得できるような心情説明がなくて、どうも違和感を感じる。
冬木の沙織への愛情も、沙織が冬木に絶対的な愛情を注いでくれるから、だから好き、っていうだけしか見えてこないし。香織が初めて沙織に会った時に沙織のことを夫と不倫した相手を許してくれる心の広い人、みたいな感じで褒めてたけど、そこでもまた、うーんそうかな?と思ってしまった。沙織はただ弱い人だから何もしないだけじゃないのって感じがして。
最後の方で、沙織を持ち上げてるけど、そこは全然納得できなかった。

 

東雲は沙織と関係を絶った後、沙織のことを引きずっていたけど、それを忘れるために仕事にのめり込んで香港No.1デザイナーと呼ばれるまでに実力をつける。
が、社内コンペで冬木の不倫相手の香織が自分と同じロッキングチェアで自分に勝ったことで、香織への憎しみが芽生え、沙織のためにもという理由も加えて、香織を潰してやろうと企む。
しかし香織に実際に接してみると自分が思っていたのと違って、香織は才能あるプランナーなのに冬木のせいで男性デザイナーと組めずに思うように仕事ができないでいるのだとわかり、冬木から開放してあげたい、前島香織という素晴らしいプランナーを潰したくない、と思うようになる。
そして2人はお互いにお互いが求めていた感性の持ち主で、2人で組めばお互いのやりたい仕事が実現できる最高のパートナーだと感じ、異性としてもひかれていく。
東雲は香織に罠をしかけ冬木と別れさせようとするが、言葉だけではうまくいかず、最初はそのつもりはなかったけど、たぶん香織にひかれていたのもあって、体の関係を持って自分に惚れさせて、冬木と別れさせることに成功する。
この話では罠という言い方が何度もでてくるんだけど、それって罠って言うのかなぁ?と思った。



東雲が香織と冬木を別れさせようとしたのも罠で、未完成の罠の状態で〜とあるんだけど、何を罠と言ってるのか、完成形だとどうだったのか、よくわからない。
東雲が香織に言ったことは、別に嘘とか騙そうとしてたわけでもないし、わりと正論を言って冬木との不倫関係に揺さぶりをかけていただけじゃないだろうか。

東雲と香織はお互い本気で好きになっていたけど、東雲の方は最初のきっかけは沙織のため、香織を潰そうとしてた、という意図があったため、香織のことは嫌いと言っていたし、素直に好きという気持ちを伝えられていない。
そして東雲と沙織がまだ不倫関係にあると思っていた小野が東雲と香織を離すために、東雲と沙織が一緒にいるところを香織に目撃させ、東雲が好きなのは沙織なのだと香織に気付かせる。
小野は前から香織のことが好きで、冬木から奪いたいと思っていたができず、香織が冬木と別れたのはいいが、沙織と不倫しているような東雲に弄ばれるのを防ぎたかった。
小野と東雲も香港で親しくしていた仲で、小野は東雲のことを弟のように思っていて沙織とのいきさつも知っていたが、東雲と沙織が不倫関係にあったことは東雲から聞いておらず、沙織のことはもうなんとも思っていないと嘘をつかれたことに傷ついていた。(その当時は嘘だった)

この小野の策略も罠と言われ、たしかにこれは香織が目撃するように千夏を使った謀だけど、香織に東雲と沙織の不倫を教えようとしたわけで、それを罠っていうのかなと、これまた疑問に思う。
ほんとうの悪魔は誰なのか、なんていい方をして煽ってるけど、悪魔っていうほどのことしてないと思う。

そして千夏がわざと発注を間違えたことも、仕掛けた罠、って言ってるけど、これただの嫌がらせでしょ。
しかも想い人の小野にも被害が及ぶような。

 

東雲と沙織が抱き合っている場面を目撃して、東雲が本当に好きなのは沙織なんだと香織が誤解し、それでもヒールが折れた香織に優しくしてくる東雲に耐えられなくなって、昨日目撃したことをぶちまけた香織に、東雲は香織に近づいた経緯を話すんだけど、肝心の「今は沙織のことは好きじゃない」「不倫は6年前に終わっている」「香織のことが好きになった」ということを言わない。
何故?香織のことが好きっていうのは素直に言えないとしても、今でも沙織のことが好き、不倫してるっていう誤解は解かないの?信じてもらえないかもしれなくても、それまでの経緯を淡々と語って聞いてもらってるんだから、そこまでちゃんと言おうよ。何故言わない。なんでーーーーーー!!?
あえて誤解させたままにするために言わないでおいたとしか思えない。
なぜあの場面で、もう沙織のことは愛していないと言わないのか。
信じてもらえない云々の前にとりあえず違うって言わないと。
東雲は沙織のために冬木と香織を別れさせようとして香織を抱いただけで香織のことは全然好きじゃないって、明らかに誤解したままだって、わかる状況だよね。

 

この後、東雲は香織の信用を取り戻す可能性はないかと淡い希望をいだいていたが無理だとわかってガッカリするんだけど、信用とかよりも明らかな誤解を解かないとでしょ。
宇佐美との関係を周りは誤解しても俺を「信じて」ほしかったって、何言ってんの?
香織は東雲が好きなのは沙織で自分は愛されてないって思ってるんだからさ、何をどう信じるんだよ、沙織を好きなんだから宇佐美と付き合うはずがないって信じるのかよ。
違うよね、東雲が香織を好きなことをわかってほしいって意味で言ってるよね、でもまず香織の誤解を解かないとそこは無理って思うんです。なのにそんなこと考えてるって、はぁ?って感じで、理解不能でした。
まるで悲劇のヒロインを気取っている、かのような気がしてしまいました。

罠を考えるくらいだから、人の気持ちの動きを結構わかるんじゃないかと思うのに、そこに考えが及ばないなんて考えられない気がするし、作者は何を思ってこうしているのか、悲劇を演出したいだけなのか。

そして東雲は香織の誤解を解かないまま、勝手に諦めて、期間を切り上げて香港に帰ってしまった。

 

香織はコンペを見ればわかる、と意味深なことを数人から言われる。
本心をコンペに託してそこから読み取れって・・・。
同じ会社だから成り立つことだな、と思ってしまった。
ほとんどが同じ会社の人間の間のことだから、それでもいいんだろうけど。

小野はコンペで勝ったら自分を選んでほしい、というようなことを数回、香織に言うが、コンペの結果が出る前に、小野には恋心を持てない、と香織にはっきり断られる。
コンペで勝負に出るにはソファベッドも出す必要があったけど、東雲も小野も勝負するつもりはなく、東雲は香織と約束していたロッキングチェア、小野は東雲のためにテーブルを出品していた。
コンペ後、小野は香織にネタバラシして、東雲と沙織が2人でいるところを目撃させたのは自分で、だけど東雲と沙織は6年前に終わってた、ということを告げ、東雲に会いに香港に行くようにすすめる。

コンペの結果を見た東雲も小野の意図を理解し、小野が身を引いたこと、東雲のためにテーブルをデザインしたことを知り、小野に電話。離れていても気持ちはつながっていたんだ、とお互い思い、わだかまりが解消される。気持ちがつながっていた、という場面にちょっとビックリ。確かにこの2人の確執もこの物語の事件の原因だったけど、そんななんか恋人同士の気持ちのつながりっぽい感じで書かれてるので、えぇっなにこれって感じがちょっとした。

 

香織が香港に行くことを小野から聞いた東雲は空港まで迎えに行き、そこからは変なグダグダはなく、東雲が香織を抱きしめて、ラブラブモードに突入。2人の思いが通じてめでたしめでたし。
特に1部とかないけど、ここで第一部完、みたいな区切り。
 

・・・ここまで書いて、放置しちゃってたのかな。

確かまだ続きがあった気がするけど、今はすっかり忘れちゃってるのでここまで。

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