漫画 日高トラ子「三角的恋愛の饗宴」感想


<↑コミックの試し読み>

漫画 日高トラ子「三角的恋愛の饗宴」感想
ネタバレありなので、ご承知の上。

ピッコマで1〜31話(最後6話は有料)まで、マンガボックスで36〜44話(最終話)まで(それ以前は有料)読めます(2018/4/28現在)。マンガボックスの方で週刊連載されていて、ピッコマは定期的な更新はなく不定期にまとめて10話くらいとか更新されるみたいです。つい最近完結しました。
同じ作者の「たわら猫とまちがい人生」をちょっと読んだことがあって、わりと面白いな〜とは思ったんですが、無料で読めたにもかかわらず全部は読まなかったという、そのくらいの関心度でしたが、こちらは恋愛中心の話というのとキャラデザインが好みのキャラがいたのもあって、最後まで読みました。(「たわら猫とまちがい人生」は「まんがきゅんとplus」で今も無料で読めます)
が、この作品はオススメとしてじゃなく、終わり方に納得がいかなくて書いてます。
ざっくり言うと高校生のカップルとそれぞれの妹と弟(中学生)を中心とした恋愛模様を描いたお話です。
少女漫画よりももっと年齢層が上の人向けで、性的な話もわりと出てきます。

亮とかや乃(かやの)は小学生か中学生から続いている安定したカップル。
亮の両親は離婚していて亮が中学生ぐらいの時に父が再婚して、義理の母と小学生の妹ができました。
今は亮は高校生、妹の響(ひびき)は中学生。亮は勉強もできるイケメンで、響は美少女ですがちょっとおバカな子。
響は転校してきた時に周りの子と馴染めず孤立してしまい、兄の亮だけが響と遊んでくれた、というのもあって、亮のことが大好きで、ブラコンを通り越して(実の兄弟ではないからありなだけに)亮に恋していました。

 

亮の父親は大企業の偉い人で、有名一流大学を出ていて、亮にも自分と同じように同じ大学に入ってエリート街道を進むよう期待していて、亮は父親から愛情よりも優秀であれというプレッシャーをかけられながら育つという、エリートな親にありがちな環境で育ち、家庭での愛情不足を彼女のかや乃に求め、そのせいかかなり早い時期からかや乃一筋の安定した関係を築いていました。
亮の母親は詳しくは忘れたけど派手で男好きな人とかで、真面目の反対な人で、母親のことをあまりよく思っていなくて、実の母親がそういう軽蔑するような人であることも、亮の人格形成に悪影響を与えていたようです。

響は無邪気にストレートに亮のことを好きだと言って態度で示していて、寝ている亮にキスしたりもしていましたが、亮は常識的な行動をはずれるつもりはありませんでした。が、響が亮の同級生の男に手を出されそうになると邪魔したり、響が男子とつき合うことに反対したり、兄弟として心配する以上の気持ち、嫉妬があるようでした。

かや乃には昌平という弟がいて、響と同級生で、響のことが好きでした。響は亮に自分の方を向いてもらいたいために、嫉妬させようとして、当て馬として昌平とつき合う。そして亮を振り向かせるためにいろいろ小細工をしていて、昌平にも手伝わせたりしていた。

ここら辺りまではわりとほのぼのしているというか、この後の展開に比べると、響の小細工や振り回される昌平を面白く見れていた。
そして、私は亮と響がうまくいけばいいと思っていた。このあたりまでは。
かや乃もわりとかわいい顔なんだけど、響の方が好みで、見た目だけでなく、性格も、かや乃は真面目で堅物で、それでいて実は戦略的に亮を取り込んでいたりして、したたかで、堅実なお母さんって感じになってて、面白味にかけていて、あまり好きになれず、響の方が私は好きだった。

 

が、亮が大学入学を機に一人暮らしをするために家を出る前夜に、響と一線を超え、更にはその後、亮の借りた部屋がボロすぎて、かや乃が壁が薄いのが気になってせっかくの一人暮らしなので部屋でHするのを嫌がったため、性的欲求のハケ口として響を利用しだしてからは真逆の考えになった。
亮は響のことが好きになったわけじゃなく、ただの性処理の道具として利用した。土曜日はかや乃と会い、日曜は響を呼び出しHをした。かや乃はHがあまり好きじゃなかったが亮はHの欲求が強かった。亮はかや乃にはできないようなこと、フェラとかも響にさせて自分の性欲を響で満たしていた。かや乃で精神的に満たされ響に性欲が満たされバランスが取れているだなんてことを亮は考えていた。響はもう既に亮に恋はしていなかったし、亮とHするのを嫌だと思っていたし、亮の所へ行くのをやめようとしたけど、結局まだ高1だったしおバカな子でもあったから、亮に支配されて怖くて逆らえなくなっていた。
自分は汚れている、汚いとさえ感じていたし、だからもう昌平から離れなくてはと思って昌平を避けるようになり、今まで徐々に昌平にひかれてきていたのだけど、改めて亮への気持ちは間違いで昌平のことが好きだと気付いたけど気付くのが遅かったと涙していた。
響から明るさが消えて、響は諦めてしまっていたので、このままダークな方向に落ちていってしまいそうで、響が性処理の道具にされている話は数話にわたって描かれているのだけど、この終盤の数話は読むのがつらかった。
亮に対してはあまりに最低な響の扱いに憤りを激しく感じてドクドクした。更に亮はエスカレートして生出ししたいと思って響に安全日に学校を休んで来いと言い出した。ほんとに最低。完全に性処理の道具として何してもいいと思ってる。たぶん性処理だけじゃなく、いろいろなストレスのハケ口になっていたんだろう。
ここで響がさすがに妊娠を恐れてピルを手に入れようとして、たまたま電話がかかってきた雷庵(亮とかや乃の同級生で当て馬1号でもある)にピルのことで相談(相談の方向が間違ってるけど)したことから、察しのいい雷庵が響が亮の性処理にされている事態を把握し、手っ取り早く動いてくれたので、響の地獄はここで終わり、これ以上の闇に落ちていかずにすんだ。ここの展開はものすごく早い。お話によっては事態が把握されるまでに時間がかかりそうだが、ヤキモキすることなくさっさと事が進み、雷庵はかや乃に話し、かや乃は最初は響をライバル視していたのもあって響が嘘をついているんじゃないかと疑ったけど、雷庵ともう一人の女の子の説得で、亮に直接聞きに行くことになる。
その前にかや乃は昌平に話をし、昌平が響に怒るよりも心配したことに感銘を受け、自分が一緒になって響を悪く言おうとしてたことを恥じる。そして昌平も響に直接話しを聞きにいく。

 

亮は当然、誤魔化そうとして、響を悪者にしようとするが、かや乃に、昌平が響から聞いた話と違ってたら別れると事前に釘をさされ、響のせいにしようとて、かや乃に頬を引っ叩かれたことで、素直に自分の過ちを認めて謝り、父親への歪んだ気持ちと響への複雑な感情を吐露した。かや乃も今まで亮に「亮くんらしくない」と完璧を求めてしまっていた自分を反省し、亮も自分もダメなところもある人間なんだと思って、二人でやり直すことにする。そして亮の部屋で響にしていたことを私にしろと言い、亮とHをしながら、響への執着を語った亮に怒り、自分が亮を支配してやると考えているという、したたかさをかや乃は最後まで見せていた。
かや乃は「亮のことが好き」っていう甘い感じなことがあんまりなくて、それよりも響や他の女の子から亮を取られないように、っていう感じなのが多かった気がする。だからあんまりかわいく感じなかった。そして最後までそれだった。
亮は自分の家族から愛情を感じなかったので、家庭的な愛情をかや乃に求めていた。だからまだ若いしモテてたのに、女の子と遊ぶことをせず、早いうちからかや乃とお母さんのような堅実な家庭的な関係を築いてそれに満足していた。けどその精神面での満足とは別に性欲の面ではかや乃があまり応じてくれず不満が募っていて、そこが響に向いてしまったのだろう。
亮とかや乃の関係に普通の恋愛のような甘さを感じない。そういう場面もあったかもしれないが、二人とも早いうちから落ち着いた夫婦のような関係になっていた。だから私は最初は響との甘い関係を求めたのかもしれない。
亮は典型的エリート家庭の歪みって感じの愛情不足と優秀さへのプレッシャーを与えられ、かわいそうな事情はあったけど、それでも響への性奴隷のようなあの扱いは許せない。かや乃も許せないとは言っているが許せないと言っているのは亮の響への気持ちのことで、響への具体的な扱いを知らないだろうし、対象が違う。この後、2話で終わるが、かや乃も亮も最後の2話には会話の中でしか登場しない。亮への制裁がこのかや乃に責められるだけで終わってしまい、この後の亮の響への謝罪の気持ちが全く出てこないのが納得いかない。長々と書いたけど、言いたかったのはココ!あんな酷いことしたのに、亮が響に悪いとか全く思ってない、謝罪の気持ちを感じたところが描かれてないのが、ものすごく不満です。

 

この後2話は、昌平と響中心で、この二人が結ばれてほんとによかったと思う。
今まで昌平についてほとんど書かなかったけど、この作品の中で昌平が一番いい子、いい人、いい奴だったと思う。
最初はヘボい感じだけど、実は頭も良くて、ダメダメな響を優しく暖かくつつんでくれる、すっごくいい奴。
響は亮にされたことで自分を汚いクズだと思っていて、そんな自分でも傍にいてくれる昌平にちゃんと好きだと伝えるところは、胸がジンとして、昌平がいてくれてほんとによかったねって思った。
二人はちゃんとつき合うことになり、この後、時がずんずん進んで、約8年後、亮とかや乃の結婚式があるが響は未だに亮に会いたくなくて昌平と一緒に欠席する。亮とかや乃は結婚式があるという会話の中に出てくるだけで登場しない。
響はあれから亮とはほぼ関わらずに過ごしてきたらしい。あの頃から響は女の子らしい服装はほとんどせず、地味に生活していて、昌平から見てやっと最近その呪縛から解き放たれつつあるらしい。それだけ響にとって亮にされた性処理扱いはトラウマになっていたということで、まだ中学を卒業したばかりの若い女の子にはそりゃあものすごくキツい経験だっただろうなと思うし、昌平がいなかったら、もっとダークな方向に進んでてもおかしくなかったと思う。

作者さんも響のトラウマをそれだけの年数かかる重いこととして描いているのに、その元凶の亮への制裁があれだけってのはなぜなの?単行本の描き下ろしがあるらしいので、そこで描かれるんだろうか。そこがもっとキッチリ描かれないと、全然納得いかない。でもそのために単行本を買うつもりはなく、ピッコマで載せてくれないかなぁ・・・。

 

漫画だから、あそこまでにするつもりで、あっさりあそこで助けが入って、助けが入ってからはそこでスパッと離れられたけど、雷庵のスパッとした助けが入らなかったら、響にはどうしようもなく亮にいいようにされ続け、何かしらで周りにバレるまで、どんどん亮の要求がエスカレートしていってもっと酷いことをさせられていたかもしれないし、響は更に精神的にボロボロになってもっと酷い状態になっていっただろう。響のボロボロさ加減に親が気付けばどうにかなったかもしれないけど、気付かれなければ更にそのまま、響の闇が更に深くなり、でもそうなっていたら、全くの他人ではないので、亮も人生を狂わせていたかもしれない。親に気付かれてたら、親からの亮への制裁は厳しいものになっただろうから。
今の状況でも親にバレて、親から亮に制裁があってもよかったと思う。そのくらいの何かがないと気が収まらない。
あれだけの酷いことをして、その後の制裁がかや乃にバレて責められただけなんて、それだけじゃ全くあのつらさが解消されない。
かや乃に女避けのために太らされ、尻に敷かれているのも亮への制裁なんだとしても、それを話に聞くだけじゃ全く足りない。
あの後8年以上も響にトラウマを残すようなことをしたんだよ、亮ももっと報いを受けてよ。

そして、あとがきで作者さんが、思春期の話を書くのは初めてで、この作品を読むことで思春期を感じられて楽しんでもらえれば、みたいな感じのことを書いてたんですが、最後の響のトラウマの重さを思うと、思春期を一緒に感じて楽しむ作品っていう感じじゃないよ・・・って思いました。そういう感じのにしては、最後の展開重すぎないですか?
最後の性的な部分なしで、義理の兄に恋したけど、あれはほんとの恋じゃなくてこっちがほんとの恋だって気がついたっていう話だったらまあ思春期の恋の話って感じだったかもしれないけど。あれなしでも、昌平&響は青春だとしても、亮&かや乃は関係が落ち着きすぎてて全然胸キュンとかじゃなかったし。

とにかく最後の数話が胸くそ悪い話だったわりに、終わりにそれがキッチリ解消されるだけの展開がなく終わってしまって不満の残る作品でした。

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