映画「ハーモニー」監督:なかむらたかし/マイケル・アリアス 原作:伊藤計劃 感想

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映画「ハーモニー」監督:なかむらたかし/マイケル・アリアス 原作:伊藤計劃 感想
ネタバレありなので、ご承知の上。

原作は伊藤計劃の小説。伊藤計劃の小説を劇場アニメ化する「Project Itoh」でアニメ映画になった三作品の一つ。
テレビCMで見て、いつか見たいと思っていました。
繋がりはないので、どれから見ても大丈夫だったんですが、u-nextの説明にあった○作目と書いてある順に見ました。

この作品は三作品の二作目ということで2つ目に見ましたが、やっぱりこれも「よくわからない」でした。

物語の舞台は近未来で、徹底的にコンピューターシステムに健康管理された社会で、ほとんどの病気はなくみんな健康に生活できる世界での話。

 

 

だけどその管理された社会を嫌う若者というのが一定数出てくるとかなんとかだったような。
そして今、WHO螺旋監察事務局の上級監察官のトアンは高校生の頃、仲の良かった友人のミアハ、キアンと共に一緒に自殺を図ったことがあった。
頭がよくて健康管理社会を嫌っていて自殺願望のあったミアハが言い出して、薬を作って3人でそれを飲んだんだけど、ミアハだけが死亡して、他の二人は助かって生きている。

トアンが海外勤務から帰国して久しぶりにキアンと一緒に食事をしていると、キアンが高校生の頃の自殺の件で、実は薬を飲んでいなかった、ミアハを裏切った、ごめんねミアハと言って、突然自殺する。
この時、同時多発自殺事件が発生していて、同時刻に世界中で6千人以上の人が自殺していた。

トアンは螺旋監察官として、この事件を操作することになる。
そして、死んだと思っていたミアハが生きていたこと、ミアハはトアンの父も関わっていた「次世代ヒト行動特性記述ワーキンググループ」の実験の被検体だったことがわかる。
トアンは家族を捨てて行方不明になっていた父と再会し、「次世代ヒト行動特性記述ワーキンググループ」は人間の意志を制御しザ・メイルストロムの再来を防ぐハーモニー・プログラムの研究を行っていたこと、ハーモニー・プログラムは完成したが、副作用で人間の意識が消滅してしまうことがわかったため、使われることはなく、かといって破棄もされず、折衷案で、健康管理システムを受け入れている人全ての脳にハーモニープログラムを入れてあるが起動はしていない状態になっていること等を知る。

 

「次世代ヒト行動特性記述ワーキンググループ」は急進派が分裂しており、その急進派の先導をしていたのがミアハだった。トアンの父はその急進派に殺されてしまう。
ミアハはどこかの少数民族出身で、その少数民族は他と孤立して近親婚を繰り返してきた人達で、そのためハーモニープログラムの副作用と似た自我のない人達になっていた。
ミアハはそこから誘拐され、ロシアの軍事施設で兵士相手の売春をさせられていて、それを助けられ、里親の元に養子に日本に来て、トアン達に出会った。
トアンとミアハはキスをするような友情を超えた感じの百合っぽい関係だった。

ミアハに支持された場所へ行きトアンとミアハは再会し、ミアハの目的が、ハーモニープログラムを発動させ、人間の意識を消滅させることだとわかったトアンは、ミアハが望むならそれを受け入れるが、キアンと父の復讐のためにミアハにはそれを享受させないと言って、ミアハを殺す。

最後の展開が何を意味してたのか、よくわからなかったんですが、wikipediaをみるとハーモニープログラムが発動されたってことなんですね、たぶん。わかりにくい・・・。
それにそうだとしたら、螺旋監察官の上司が世界はトアンにかかっているって言ってて、ミアハを殺したから目的達成したように思えるんだけど、なぜハーモニープログラムが発動されたのかわからない。

 


ミアハは元々、誘拐されるまでは意識がない=自我がない?人だったので、ハーモニープログラムの実験で副作用を経験し、その状態に戻りたいと思ったようなんだけど、なんでそれで世界を巻き込んだのか、いまいちよくわかりません。
健康管理された社会に居場所がないと自殺する若者がいたからその人達を救うため、つまり、彼女はそれが世界中の人を救うことになると思ったから、ってことなのかな?

ミアハの言ってることがいまいちよくわからなかったです。
この物語って、たぶん、ミアハという人物に魅力を感じて共感できないといけないんだろうと思います。
ああ、あの素敵なミアハが生きてたんだ、よかった、ミアハに会えるかもしれないって思って、物語を追いかけたくなるはず、なんじゃないかと。
でも、私には全くミアハが魅力的に見えず、見た目はまあいいけど、話し方とかあんまり好きじゃないし、言ってる内容がよく理解出来ないし。自殺願望があるのもなんでなのかわかんないし。

 

誘拐されて強制的に売春させられてたのは地獄だと思う。
でもそこから平和な世界を経験した後に、意識をなくすのが幸福、みんなにとっても幸福って考えるようになる考え方とか、わからなかった。地獄にいる時に意識をなくした方がマシって思うなら理解できる。
でも管理されているとはいえ、平和な世界が嫌な理由は何?
そこがちゃんと見えてこなくて、理解できなかった。

最後、ハーモニープログラムが発動されたってこともわからなかったし、ハーモニープログラムが発動された理由もわからない。

それとタイトルにも使われている<harmony />とかこういうのが映画の中でもずらずら出てくるシーンがあったけど、htmlのタグっぽい感じの文法になってるんだなと思いました。

1つ目の「屍者の帝国」は疑問だらけだったけど、本当は描こうと思っていたこと(だろうと私が推測すること)は私の興味ある内容でしたが、この作品の場合は描こうとしてることも何かよくわからず、三作品の中で私には一番面白くなかったかもしれません。
でも原作の小説は賞を取ってる作品なんですよね。
小説を読めばおもしろいのかな?

3作を全部見て全部に言えることなんですが、いつか、小説の方を読んでみようと思います。

 

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