漫画「ご主人様はお医者様」作画:藤井サクヤ 原作:水羽凛 感想


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漫画「ご主人様はお医者様」作画:藤井サクヤ 原作:水羽凛 感想
ネタバレありなので、ご承知の上。

ピッコマにて。完結。
医師と看護師の恋愛物語で、わりと軽く楽しく読めると思います。
途中、それぞれに恋敵が現れて〜とかありつつも、どちらも浮気することなく、相手を一途に思ってて、最後は結婚でハッピーエンドなので、ストーリとしては王道というか、変にドロドロしたりせず適度な横やりで終わるので、嫌な気持ちにならずに読めます。

 

主人公は都内でもトップクラスの総合病院に務める3年目の看護師の及川小春(こはる)。
同じ職場の外科の医師、高木彬(あきら)は、仕事熱心で患者からもスタッフからも信頼が厚い外科のホープで、長身で端正な顔立ちからナースたちからの人気も高い。
小春は知らないうちに元カレの借金を背負わされていて、借金返済のために病院に内緒で夜はキャバクラで働いている。そこへ接待で高木先生を含めた病院のお偉方がやってきて、小春は高木先生に副業をしていることを見つかってしまう。
病院にバラすと脅され、キャバクラで働いている事情を高木先生に説明すると、高木先生は小春の借金を肩代わりする代わりにキャバクラを辞め、高木先生と6ヶ月間一緒に暮らす契約をしようと言われる。
バラすと脅され理由などわからないまま、高木先生との同居生活が始まる。

 

高木先生がとにかくかっこいいです。ほぼそれだけで読み続けました。
小春は目が大きすぎて輪郭とのバランスが悪い絵なことが多くて見た目はいまいちでした。
それと所々、セリフに「ん?」と思うこともありましたが、全体的にはそれなりに面白かったです。

最初は研修医の森先生から小春に対してのアプローチと高木先生にお見合いという横やり。
森先生は実は、高木先生が以前勤めていていずれ戻りたいと思っている大学病院の外科教授が父親で、高木先生のお見合い相手は、その娘で森先生の妹だった。
このお見合いは高木先生にしてみれば騙し討ちみたいな感じで、大学病院に戻る件で話があると両親に言われて呼び出された食事の席がお見合いだったっていうことで、相手にきちんと断ってもいる。
森先生妹は高木先生が医学生の頃に家庭教師をしていたそうで、妹が高木先生に惚れて見合いを希望したらしく、断っても妹は諦めていない。
森教授からは娘と結婚を条件に大学病院に戻してあげると言われたらしいけど、結婚するつもりはないので、高木先生は学会で論文を発表して実力で戻ろうとしている。

という事情なんだけど、高木先生は小春にお見合いしたことがバレても事情を説明せず、小春は森先生から森先生の都合のいいように見合いの話を聞かされ、高木先生が戻りたがってる大学病院の教授の娘である妹の方が高木先生にふさわしい等と言われ、契約関係でしかない自分は好きになってしまった高木先生と一緒に暮らし続けるのがつらいので、契約解消を申し出て高木先生の部屋を出て自分の部屋に戻る。

 

ここで小春が高木先生にお見合い話のこと契約解消の話をした時に、「待て」と言葉をかけつつ、なぜそれ以上引き止めないの?っていうのが疑問です。
ほんとに待てって思うなら、簡単に立ち上がって小春の手をつかんで引き止めることができたのに。
それになぜこの時にちゃんと説明しないの?
お見合いの話は妹が諦めないとごねてるだけで、高木先生としてはちゃんと断ってるんだし、お見合いと知らないで行って騙されたわけだから、それほど変に複雑な状況ってわけでもないのに。
「全部片付いてから話そうと思ってた」って言うけど全部片付いてって論文も含めて大学病院に戻れることになってから?それとも妹が諦めてくれるまで待ってから?
妹は勝手にお見合いされただけで付き合ってるわけでも婚約者だったわけでもない人なんだから、そこでなぜ妹に諦めてもらうまでとか考えるのかよくわからない。
好きな相手(小春)にお見合い相手と結婚すると誤解されたままの方がまずいと思わないのか?
そう思われたまま、全部終わるまでで何ヶ月も経っちゃったら、小春が完全に離れてしまう=他の人と付き合う、もしくは病院を辞めるってことになるかもしれないとか思わないの?
この状況で全部終わってからって考える高木先生がよくわからん。

小春の借金に関しては高木先生の知人の弁護士の協力も得て金融業者が悪徳業者だということもわかり、この件に関しては高木先生が全面解決してくれる。
小春が働いてたキャバクラのマネージャーがいい人っぽかったけど、小春が高木先生に具合が悪いからと連れ出されて、これで辞めるからと急に言われてそのままになっちゃったのが、ちょっとかわいそうな気がしました。

 

小春の友人である同僚が呼んでくれた食事会に高木先生も呼ばれていて、高木先生との関係を知らない友人達がお見合いの話を出したので、いたたまれなくなり小春は途中で用事を思い出したと嘘をついて帰る。
それを高木先生が追いかけてきてタクシーに一緒に乗り、俺から逃げるなんて許さない、側にいてほしい、という高木先生に小春が、ずるい、お見合い相手と結婚するのになぜ側にいてほしいなんて言うのかと言い返し、彼女とは結婚しない、君のことが好きだから、愛してる小春おいで、ということで、高木先生の部屋に行って、やっと高木先生からお見合いに関する説明をうけ、誤解が解消される。
そしてお互い好きで両思いだということがわかって、ちゃんとカップルになる。
それと高木先生は前から小春の仕事ぶりを見て小春のことが好きで、小春が高木先生の担当になるようにしてもらったりしていたし、契約の話を出したのもキャバクラで不特定多数の男の相手をしてるのが嫌だったから、ということもわかる。


森妹が高木先生の職場、病院にまでやってきて、ここに高木先生の好きな相手がいるんだろうと騒ぎを起こすが、高木先生が小春がその好きな相手だと職場のみんなの前で公表し、森妹にもはっきり小春じゃなきゃだめなんだと断る。
ここで、森妹の「そんな人が好きなの?」という問いに「ああそうだよ」と高木先生が答えると高木先生を平手打ちして泣き出して走り去っていくんですが、「はぁ?なぜここであんたが殴る?」って、全くもって自己中の極みな行動で呆れました。
職場にきてこんな話をしだすのも非常識ですが、挙句の果てに高木先生を殴るとは・・・。
最初からお見合いで断ってて、森妹が勝手に執着して諦めないって言ってるだけの関係なのに、あんたに殴る権利がどこにあるんだよ。いわばストーカーみたいなもんで、付き合ってたわけでもなんでもないのに、いい迷惑だよ。

 

これにて森妹の件はおしまいになり、高木先生は論文が森教授に認められて、学会を待たずに大学病院に戻れることになる。ただ森妹はそれでもまだ諦めてないらしく、典型的なわがままお嬢様。

小春も大学病院についていくと言うと高木先生はだめだということで、ちょっともめます。小春の同僚の友人から高木先生が小春をつれていかないのは、断った見合い相手の父親がいる職場に小春を連れて行きたくないからだという話を聞いて納得するんだけど、友人は事情を言わないのを高木先生らしいっていうけど、そういうのちゃんと言わないのだめでしょ。お見合いの件もそうだけど、高木先生言わなすぎ。

結局、小春の癒やしパワーを感じた高木先生が小春と一緒じゃないと自分がだめかもしれないと考え直して、森教授にちゃんと話をして小春も行けるようにしてみるということになり、小春も移ることになる。
小春と高木先生が付き合ってることは職場では内緒という条件で森教授は黙認してくれることになったらしい。

高木先生の恩師で、またその恩師の元で働きたいと高木先生が思った森教授ですが、この人、人としてちょっとどうなの?って感じがします。まず娘が断られたお見合い相手の職場に行って一騒動起こすって、同じ業界の関係者として、立場的にもどうなのって思うんですが、特に父が娘を叱ったらしき様子もなく、親バカなのかもしれないけど、だめな子供になりますよ〜って感じで、親としても全然だめっぽくて、娘をもっとどうにかしろって思いました。
娘との結婚を条件に出して仕事の話をするっていうのもどうなの?って思います。
そんな人としてイマイチっぽい感じのする教授のところに高木先生は戻りたいんですか?
仕事面では優れているんだとしても、そんな人と仕事したいか?って思っちゃいました。

 

研修医の森先生の方は小春にふられて、小児科の方で別の看護師さんとちょっといい感じになってるようで、一応こっちはハッピーな感じのその後です。

大学病院に移ってからは、同じ外科女医の平賀先生が高木先生にちょっかいをかけ、小春には同じ看護師の先輩、沢木さんがちょっかいをかけます。
平賀先生はいつも高木先生にべったりな様子で、小春は素直にその不満を高木先生に言いますが、「嫌なら元の病院に帰れ」と厳しいことを言われてしまいます。
でもまた小春が素直に嫌だと言って泣いたのを見て、小春のそういうところが愛おしくてたまらないと言ってくっついていって仲直り。
なんかわかるようなわからないような・・・高木先生の気持ちの変化の早さがちょっと「ええ?さっき帰れとか言っといてその直後に愛おしいって気持ちの変化早いなっ!」って思ってしまう。

 

平賀先生と高木先生が2人だけで2週間、学会に行くため海外に行くことになり、それを事前に聞かされていなかった小春はまたショックを受けます。
今回はちゃんと言うつもりだったけどその前に平賀先生に発表されてしまったということですが、その前に話がきててそうなりそうとかわかってたはず。高木先生はきちんと決まるまで言わないタイプってことなのか。そこら辺、お見合いの時も、大学病院に移る件も、高木先生が「そうなりそうかも」な時点では話をせずちゃんと決定になってから話そうとする、自分の気持を言わない等、高木先生が言わないことで小春を不安にさせるのが何度も繰り返されてるなぁと思いました。
きっと高木先生の性格なので、これは改善されていくかもしれなくても今後もずっとありそうです。

沢木さんと小春が二人でカラオケに行き、沢木さんにキスされて襲われそうになったことがあった(高木先生の名前を呼んだことで沢木さんがやめて、高木先生と付き合ってるのがバレた)後、仲直りのために沢木さんが小春をランチに誘い、謝って「許してくれる?」と沢木さんが聞いた後に、小春がうなずくと、沢木さんが「もし先生が不在で寂しかったらいつでも相手してあげるよ」って言ったのにはビックリでした。
その直前にセクハラ行為の謝罪をしてホッとしてたくせに、その直後でそんな冗談言うか?
冗談言うにしても別の話題にするでしょ、普通。謝罪したのと同じ内容のことをまたするみたいな冗談よくいうね。冗談言ってははははは〜って感じの流れになってるけど、小春もそんなこと言われてよく普通の対応できるよね。ほんとはまだ許せない気持ちだけど他に味方がいないからみたいな打算的な感じで、許すことにしたのに、そんな冗談に笑える?ここはちょっとこの時点でのこの内容の冗談を言わせるセンスにビックリです。

平賀先生と高木先生が学会から戻った後、小春、沢木も呼び出して、平賀先生が高木先生にお腹の子のエコー写真を見せ、小春と別れて自分と結婚してと迫ります。
この後、高木先生が「僕は責任を取る必要はない」と言ったため、沢木が酷いやつだと殴ったり〜というゴタゴタした事態になりますが、ここ、エコー写真を見せられた時点で高木先生はこの週数で学会の時にできた子供のはずがないとわかったはずで、だから責任を取る必要はないと言ってたんだと思いますが、言い方がまどろっこしいんだよ!
これわざとここで揉めさせるためにこんな言い方してるでしょ、させてるでしょって感じがしました。
最初にズバッとこれは○週だから学会の時の子のはずがないって言ってれば、いいことだと思うのに。
ゴタゴタさせて平賀先生と沢木に本心を言わせるため?
そう思えなくもないけど、微妙・・・。

 

平賀先生と沢木は、以前、付き合っていた。
けれども実家が病院で結婚相手は病院の後を継いでくれる人を希望されている平賀先生には自分はふさわしくないと自信のない沢木は平賀先生と別れてしまう。
沢木より年上の平賀先生は沢木はもっと若い子の方がいいんじゃないかと不安に思っていて沢木にヤキモチをやかせたくて高木先生にちょっかいを出していた。
お腹の中に赤ちゃんがいることがわかった頃に沢木が離れていってしまったので、このまま高木先生と結婚すればいいんじゃないかと考えて、すぐバレる嘘をついてしまったとのこと。
お腹の子は沢木の子だとわかって、沢木と平賀先生は復縁。
沢木は医師を目指すことにして平賀先生の両親を納得させ、数カ月後に結婚。

結局、沢木&平賀カップルに振り回されてしまっただけな感じの主役カップル。
すぐバレる嘘のエコー写真ですが、相手も医師でバレるってわかっててよくあんなに堂々とお腹に子供がいるから結婚してなんて言えたね。冷静さを欠いて騙される可能性もあるだろうけど、あの場では騙されても絶対後でバレたよね。
そんなバレるのわかってる嘘ついて、バレた後どうするつもりだったんだ平賀先生は。
それだけ精神的に追い詰められてたってことなのか。それにしてもお粗末すぎないか。
しかも相手に彼女がいるのわかってて騙して別れさせて自分と結婚させようとするってかなり酷いことしようとしてたわけで、この人も人としてどうなんだと思ってしまう。
いくら追い詰められてたとしても、やることが酷すぎないか。
沢木にちゃんとぶつかる勇気はないくせに、別の男は略奪しようとするずる賢さはあるんだね。

沢木&平賀の結婚式に高木&小春も出席して、キレイだね〜なんて呑気に喜んでますが、こんなことされたら、私は相手に共感して許すなんてできそうにありません。

 

そして沢木は医師を目指すことに決めてとサラッと書かれてますが、医師になれるの?って思ってしまいました。かなり大変ですよね、きっと、いろいろと。
そして医師になると言わないと認められないような相手と結婚してうまくやっていけるのかな、とも思ってしまった。平賀先生が医師なんだからいいんじゃないの?結婚相手も医師じゃないとだめっていうような親とやっていけるのかなぁ・・・。それくらいがんばろうって思えるくらい好きってことなのかなぁとも思うけど。それに病院のオーナーが医師である必要もないんでは?経営と医師としての能力は別だよね、等いろいろぼんやり思ってしまった。

とまあ、結構ツッコミどころはありました。
最後は、高木先生の本当の両親のお墓に小春と一緒にお墓参りに行って、そこでプロポーズ。
亡くなった両親の前でっていう気持ちはわかる。
でもお墓でプロポーズってどうなの・・・ちょっと微妙だなと思ってしまった。

育ての親(高木先生の叔母夫妻)に挨拶に行って、高木先生の母が着たウェディングドレスを見せられ、それを着ることに決め、結婚式でおしまい。
と、沢木&平賀のゴタゴタが終わった後は、大団円に向かって特に面白味もなく淡々と進んだって感じでした。

高木先生の見た目がカッコよかった、が一番です。
口数の少ないキャラは嫌いじゃないですが、中身はかっこいいというより、言葉足らずで小春を不安にさせてしまう不器用な人って感じ。
気持ちの流れがいまいちよくわからない部分もありましたが、それなりにおもしろかったです。

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