漫画「精霊王エルキネス」原作:イファン 制作:Nyarrr 感想(2)

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【2019.3.31更新】

ピッコマにて。土曜更新で連載中。
家族から嫌われ虐待されていた高校生男子が事故で亡くなる。家族に愛されなかったのは生まれる世界を間違っていたためだとわかり、異世界に水の精霊王エルキネスとして転生し、幼い皇帝を助けて世界を巡るお話。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

漫画「精霊王エルキネス」感想(1)
漫画「精霊王エルキネス」感想(2)
漫画「精霊王エルキネス」感想(3)
漫画「精霊王エルキネス」感想(4)
漫画「精霊王エルキネス」感想(5)

 

クルモアでラピスが同行することになる

51〜52話

ラピスは前回会った時にエルが言った提案をのむことにして、イサナ達に同行することにしたらしい。
そして、エルは約束通り、ラピスと契約する。
外は雪で酒場みたいな場所でだったが、ラピスが遮音魔法をかけているので他の人には会話を聞かれない。
遮音魔法程度だとドラゴンは呪文や略詠唱も必要ないらしい。
エルはラピスと契約してマナ量が半端なく増え、シキュエル数百体を呼べるほどで、ドラゴンのマナの豊富さを体感して驚くと同時に、ラピスと契約してよかったと現金に思ったのであった。

エルが治癒能力を使ってもおかしくないように、神官のふりをするために神の紋章をもらいに神殿にいくのだとラピスに説明するが、新米の神のエルリエンじゃなく魔神の方がいいじゃないかと言われる。魔神の司祭には治癒能力がないからだし、エルリエンとは繋がりがあるからだとラピスに説明するが、詳しくはまた今度として教えない。
ラピスが数千年も追いかけていた精霊王がエルリエンだと知ったら驚くだろうと思いつつ「会ったらわかる」としかラピスに教えないエル。

神殿への案内人、カイテインを待っていたのだが、彼への監視がついたのでエル達に先に神殿に行ってほしいと手紙で連絡を受ける。そして手配書があってイサナが顔を出せないのだとわかると、ラピスが魔法で姿を変えてくれるといい、イサナは銀髪、金眼(マンガの絵的には白髪、黄色目)の美少年に変身した。
といってもイサナも元々美形なので、イサナの方がちょっと目が大きかったかな?くらいで、髪と目の色が変わっただけだけど、でも確かに美少年。すごいイイ!

 

53話

イサナの見た目が目立ちすぎるというエルと、美しいものがいいという点で譲れないラピスで言い合いになるが、イサナはフードが脱げればなんでもいいと言い、結局、元の姿を想像できないという点でいいかとエルは受け入れる。イサナの輝く銀髪はドラゴンのシルバー一族がポリモーフするとその髪色になるが、目立ちすぎるからわざと他の色に変えるらしい。けれどもそれでもエルの髪色の方が目立つ珍しい色らしい。
美形3人で店の女子の視線を集める。

久々に皇帝イサナと別れた隊長のセリク+親衛隊一行の登場。
大公の追手に見つかるが、追手が「あの時」(いつのことか不明)盗んだ宝剣を取り戻しに来たドラゴンと思われる人物が、一撃(魔法?)で敵=追手を殲滅。
追手の話によると、大公は皇帝を捕まえるため、大陸最強の剣士ファイラン・ドゥ・カリプディス(大公直属親衛軍団の総司令官)を送り込んだらしい。が、話だけで今のところ不明。

聞いても正体を教えてくれなかったので、彼らの推測だが、ドラゴンらしき人物は、セリク達はこそ泥の仲間ではないと判断して、セリク達の武器がボロボロなのを見ると、今回はこそ泥の成敗が目的だったし、まだ探すべき物があって持ち歩くのも面倒だからと、宝剣をセリク達に貸してくれる。
ドワーフ製の物らしく、ドワーフは非常に優れた鍛冶技術を持つ匠種族で、彼らの作る武器は美しさだけでなく岩も砕ける頑丈さで有名。少数種族であることと人間との交流がほぼないことからその価値は非常に高い。

「武器には追跡魔法がかかっているし人間の寿命は短いからいつでも取り戻せる。宝剣を使わずに持ち腐れるよりは、この際、しばらく世に出しておいてもよかろう」と考えてることから、明らかに人間ではない。

 

54話

宿に泊まる時に、3人が美形で宿の人達の目がハートになった。
エルは女性に見られ、ラピスと夫婦、ライは弟と思われる。

エルは女性に見られることに腹を立てるが、そもそも精霊王は無性だし、見た目からいってエルを男性型に見るには無理があるだろうと、すごく最もなことをラピスに指摘される。
そしてエルは生まれる過程で手違いがあって別次元に人間の男として生まれていたので、自分を女に見られることに慣れていないんだと説明する。
精霊王は輪廻の記憶がない一番最初に創造された純粋な魂から生まれるもので、そんなデリケートな特別なことにミスをしようと思ってもできるものではないはずなのだが、とラピスは驚く。

ラピス「日照りがあったのもそのせいだったのか。どうりでロードのじじいがトロウェルとよく話し合ってると思った。成龍たちが度々自ら人工雨を降らしていたのもそのせいだったのか」
と言って、女扱いされたくないことについてはこれから気をつけると言ってくれる。

 

55話

ラピスはどす黒い魔気が2つ近くにあることに気付く。エルはそれに気付いていない。

【ラピス】
奴らの精気の隠し方が上手いのもあるがエル本人の能力に対する自覚が鈍いせいもあるだろう。今までは同行していたトロウェルが奴らの視界をうまく遮断していたということになる。
人間の前世を持つ精霊王か・・変わった奴だとは思ったが・・しばらく楽しめそうだ

これほどの濃い精気は公爵レベル。
魔界の公爵が二人も動いているのか?攻撃せず見張っているだけなのは探り合い?
魔界の公爵が動いているということは魔王も背後にいるということ。
まったくついこの前生まれたくせに なぜこうも大物ばかり引き寄せる
すでに神界で神と知り合い、トロウェルからの信頼も得た
いろいろな意味でエルキネスは侮れないな

約3千年を経て手に入れた存在だ
より特別で愛着がわく わかない方がおかしい
小うるさい面もあるが実は弱い一面があることも悪くない
せっかく手に入れた至福のとき
くだらん邪魔など入れさせてたまるか
挑発には乗ってやる だが覚悟しろ 必ず息の根を止めてやる
奴らの目的がわからない以上、今は様子見だ

 

【魔界勢のデルオンとセルフィス】
デルオンはラピスの正体はわからないが人間ではないことに気付いている。
人が多い場所で誰にも気付かれず最高級魔法を使った、あれほど見事なマナの扱い方は魔界でもそうはお目にかかれない、人間の能力では不可能な領域、あの男と合流してから皇帝一行の気配がさらに薄くなった、ことから推測。

もしかすると皇帝一行で最も危険な相手かもしれない
そもそも精霊王は我々の力を合わせても到底太刀打ちできない存在
だから下手に挑もうとも思わない
しかしあの赤毛の男は違う
あの男から感じるのは鮮明な豪気。
強烈な生命力がほとばしっている
眠れる闘争心を刺激する力

殺したい
しかし、殺そうとする衝動を本能が抑えている
魔道公爵であるこの俺がこんな気分になるとは実に慣れない気分だ
魔族は生まれながらの戦闘種族だ
頑丈な肉体に強力な力を持つ魔族がうごめく魔界においても俺は常に捕食者だ
魔王と一部の公爵たちを除けば俺を脅かす存在はいない
未開民族の住む中間界でまさかこのような感情を抱くとは
自分でも呆れるが悪い気はしない 破壊衝動が湧き出る
魔王になるよりあの男を殺す方が刺激的なのかもしれない

 

あの男の正体なんてどうでもいい
いくら強かろうとも所詮は中間界の生物
熾烈な戦いにはなるだろうが敗北するのは赤髪の男だ

と、デルオンの方もものすごくラピスに闘志剥き出しな様子。
ドラゴンて中間界の生物なの?
この世界の区切りがよくわからないな。
そもそも中間界の生物で人間以外に何がいるのかよくわかんないし。

翌朝、エルが来たからナイアス達がはしゃいで雪が大量に積もっている。
ラピスが雪は嫌い、水もただの水は嫌い、という話から、エルはただの水ではない、それを成す本質だ、という話になる。
暑さを嫌うものだろうと太陽の光がなければ生きていけないように
すべてを超えた根源であり必要不可欠な存在だ

地上の生き物の中で、お前と相性が真逆の存在はありえないのだ
同じ根源であるイフリート(火の精霊王)以外にはな

 

僕は幼い頃からそれを探し求めていたんだ
この肌の下に流れている血液でさえ支配する
僕の肉体の本質に近い水を
それが水の精霊王エルキネスだということに気付くのは
そう難しいことではなかった
だから水ならなんでもよかったわけではない

エル「つまり僕以外の他の水は相性が真逆だから嫌ってこと?」
ラピス「そう その通り」

じゃあなぜレア(ドラゴンの家みたいな場所)に湖を置いたんだと聞くと、眺める分には清涼感が感じられてなかなか気持ちがいいから、趣味で、だそうだ。
エルとラピスの言い合いで、嫉妬するなと言ってラピスは出ていき、エルは更に怒るが、ライにもエルが嫉妬してるように見えたと言われてしまう。

またなんかやたらと怒るエルキネスが、ラピスの登場で目立ってきました。
そんなに怒らなくてもいいんじゃない?って思うんだけどなぁ。
怒りすぎてて、正直共感できないんだよなぁ。
仲良しなケンカ口調の言い合いなら、もうちょっとゆるい感じでいいんじゃない?って思います。

 

神殿へ

56話

宿を出てエルリエンの神殿を目指して歩いていく一行。
エルリエンの神殿は劣悪な場所にだけ建てられていて、それが神力の高い司祭が多いにも関わらず教派が大きくならない一番の理由らしい。

エルはライがものすごく冷えていることに気付く。エルは途中で空間が変わった気がしていたが何かまではわからなかった。エルに言われてラピスは、山全体に空間支配の魔法がかけられ、この空間一体の季節が冬になっていて、幻覚系の魔法だがそれほどレベルの高いものではないからラピスとエルは影響をうけず、人間のライにだけ影響が出たのだと気付く。
神殿を目指して凍死したという人間はこの暗示の影響を強く受けたのだろうという。

幻覚だから生態系には影響がなく、人間の侵入を防ぐ。こんなことをするのはおそらくシルバードラゴンで、今はドラゴンの精気が感じられないから、随分前にレア(棲家)を移したが発つ前に魔法を解除しなかったのだろうとのこと。

 

暗示には、より強い暗示をということで、ラピスがライに炎を出してみせて、暗示を解き、保温魔法をかけてやった。最初からやれよというエルに「頼まれたらやる頼まれなかったらやらない」と答えるラピス。

やっと神殿に到着。
ラピスは神殿が小さい、ショボいと文句をつける。
案内役の従者が来て用件を聞かれ、祈りをするだけと答えて参拝室に案内してもらう。
先日、大天使ナドゥエールが来て「大事なお客様が訪れる」とお告げがあったということで、そのお客様を見ようと参拝者がたくさん来ているらしい。
カイテインと一緒に来ると聞いてそれが自分たちだとわかるが、見世物になりたくなくて名乗らなかった。

カイテイン神官は赤ん坊の時に神の呼びかけを受け、本教団で育ち、最も神聖に近い存在という評価と共に次期大神官の呼び声高い方とのこと。

エルがどうやって呼びかけようか、謝ったほうがいいかと考えているうちに、ラピスは参拝室でもショボい等と言っていると、「どこの馬の骨が私の神殿を侮辱しているのかな」と声がしてエルリエンが現れる。

 

神殿でエルリエンに会う

57話

エルリエンがエルに「ほらこっちにおいで」てな感じで、胸に飛び込むことを?求めてきたので、「マジか」と思いつつ行こうとすると、ラピスに「あいつは誰だ」と止められる。
「神の目には常に本質のみ映る」らしくラピスがドラゴンだということはエルリエンには一目瞭然だそうだが、エルリエンが精霊王だった時にずっと契約を迫ってきたドラゴンだということは、すっかり忘れて覚えていないらしい。

エルリエンはラピスに冷たく「傍に置くものは選べ」とエルに言い、ラピスが「ひよっこ」と言うと「もう一言でも言えば後悔することになる」と警告するが、ラピスがそれを聞くはずもなくすぐに言い返し、言葉通りに一瞬でラピスは痛い目を見る。

地上で精霊王は能力を制限され、神は時間の制約を受ける。また制約なく自由に行き来できる場所は神殿だけ。人間のもろい肉体に制御なき神の気は命にかかわり、神殿以外で神の気にあてられたら大概の人間は即心肺停止状態になる。それゆえにエルを神殿に呼んだそうだ。

イサナ(ライ)も同じ空間にいて息が苦しくなる。

ラピスが懲りずにエルリエンにいちゃもんをつけはじめ、エルリエンもラピスをトカゲと呼び、お互い言い合っているうちに、ラピスはエルリエンが先代のエルキネスだと気付き、エルリエンもラピスが昔契約を迫ってきたドラゴンだと気付く。

 

58話

ラピスはエルリエンに、エルを操ってアクアドンを支配したいのだろう、だからエルにあれこれ言って口を出してくるのだろうと言ってくるが、エルリエンは相手にする価値すらないと言ってまともに取り合わない。

アクアドンは中下級神たちには欲しがられているところではあるが、上級神は全く別の話。
上級神が上級たりえる理由はその存在自体が他者と次元が違うから。
上級神には各自主な管理次元が与えられ、その世界の唯一神として君臨する。
上級神にとって精霊界とはただの通過点、ただの故郷に過ぎない。
管理している次元での仕事だけでも大変だというのにわざわざ増やす意味はない。

エルになぜ口出しするのか、それはエルの父親だからだというと、人間の真似事をして気を引こうとしているのだ、そしてうまく釣れたら操り人形にしようとしているのだ、そんな関係(神が親で精霊王が子の親子関係)は認められない、全部ニセモノだとラピスが言い募ると、エルリエンの我慢の限界が来て、ニコリとした笑顔と共に(エルによると怒りがMAXになるまで耐え抜いた時の笑み)、ズドーンとものすごい音がして、神殿の参拝室が吹っ飛び、ラピスが地面に倒れていた。

 

神の権威に挑む行為は即惨殺の刑で、ラピスはすでに何度もその限界を超えているので殺される理由は十分あると言って、エルリエンはラピスの息の根を止めようとするが、エルが懇願してなんとか思いとどまってもらう。
イサナは気絶してただけで無事。

参拝室が吹っ飛んだので、神官たちが集まってきて、エルとエルリエンが参拝室を壊したのかと言って、槍を向けて取り囲む。エルリエンは「お前たちの無意味な祈りと参拝を毎日聞くのも耳障りだという意味、必要ないから参拝室を消したのだ」と言うが、神官たちは今話している相手が彼らの神だと気づいていない・・・。

 

59話

大神官ルヤン(この神殿で一番偉い人)、カイテインがエル達の所へやってくる。
カイテインがエル達に向けられた槍を収めさせ、エルの隣にいる人はカイテインのよく知る人とエルに言われ、「光をまとったかのような白金色の髪、透き通る青い瞳」からまさか!と思っていると、最初にエル達のところに来たエルンという神官があの者が犯人だ!とエルリエンを糾弾し始める。

が、その直後、エルンは胸を抑えて倒れ死んでしまう。
エルはエルリエンの仕業かと思って見るが「神官が自分の根源を否定したが故、呪われたのだ」とエルリエンが言うと、それで神官たちは彼がエルリエンその人だと一瞬で察して、一斉にひれ伏し「ご無礼をお許しください」と言うが、エルリエンに彼らが命令に従わなかったので、参拝室は復元せず、二度と啓示を受けることもないと言われてしまう。

啓示を受けられない=神との断絶を意味し、エルは責任を感じてこのままでは心苦しくていてもたってもいられないからと、なんとかエルリエンにお願いして、「今日のことは不問に付す」と言ってもらう。
エルリエンが一言「復元」と言うと参拝室は一瞬で元通りになる。神の力すごい!

急にエルリエンの光が強まって威圧感が増し、神官たちもバタバタ倒れだす。

 

60話

エルリエンが地上にいられる時間が終わりに近づいた。
「これ以上ここに留まると都市全体に影響しかねない」くらい神の威圧感はすごいらしい。

そしてエルはすっかり忘れていたが、最後に本来の要件の「神の紋章」をエルリエンがエルの額につけてくれる。紋章があればいつでもエルリエンと好きな時に話ができるようになる。神の紋章は神殿の参拝室のようなもので、神官が直に神託を受けられるのもそのおかげ。正式神官を小さな神殿と呼ぶ理由でもある。
神に紋章を頼んだ精霊王は恐らくエルしかいない。

「あのトカゲとはつるまない方がいい、息の根を止めれば尚の事よし」とエルリエンは忠告する。
エル「神殿に行けばどんな神でも会えるの?」
エルリエン「一概には言えないが精霊王の頼みを断ることは滅多にないだろう」
ちょっと聞きたいことがあるので魔神にも会えるのか聞くと「たいしたことないなら止めておいた方がいい、他の神の紋章を付けて魔神の神殿に行ったところで門前払いされるに決まっている、下手したら厄介なことに巻き込まれかねない。」と言われる。

 

エルはイサナの父を死に追い込んだ神託について聞きたかった。
だがエルリエンには「魔神には極力かかわらないこと、魔神が会いたいと言ってきても同じ、お前が太刀打ちできる相手ではない」と強い調子で忠告される。
そこまで怖い神なのかとエルが言うと、一言で言い表せられるほど単純なものではないという。

エルリエンが帰り、エルは「精霊王、息子」などと言ってしまっていたのをどうみんなに説明しようか頭を悩ませていたが、大神官が意識を取り戻すと「どうしたことか涙がとまりません、忘れてはいけない大事な何かを忘れてしまったような気がします」と言ってポロポロ涙をこぼし、さっきまでの出来事を覚えていない様子だった。
エルリエンが帰る前に記憶を消したようで、イサナ、カイテインも同様に覚えておらず、けれども皆、エルを見ると「エルリエンに会ったんですね」と言ってくるので、エルは不思議に思っていたが、それはエルの額に神の紋章がついていたからで、みんなには一目瞭然だったのだった。

 

大神官でさえ手の甲なのに、こんな目立つ場所に!とエルはエルリエンの親バカぶりにあきれる。
というかエルは額に付けられたの気づいてなかったのかよ!

神官たちが跪いた時にエルも思わずそうしようとするのをエルリエンが止めて、「私はお前の何だ?」「父親?」とエルに言わせたり、天使を遣わせたのは一人息子のエルのためだと言ったり、何かとエルリエンはエルが息子ということを強調してくるけど、エルの方もそう言われて喜んでいるから、前世で親子関係に傷ついてしまったエルには必要だから、やってるのかな。

でもエルリエンは精霊王→神、しか経験していないので、実の親子の経験はないのに、息子だから可愛がるっていう感覚はもってるのかなぁとちょっと不思議に思います。
「息子が自分の司祭とは妙な気分」って言ってるけど、普通の人間のような息子の感覚を持ってないだろうに・・・。エルとだって、神界?で会って自分の後の精霊王だという縁と、エルが前世で心に傷を負ったからということで「息子」にしたというだけで、人間のように一緒に暮らしたわけでもなく、会って少し会話しただけの、親子と言ってるだけの、ほぼ名前だけの関係って感じなのに、と思うので、エルリエンがエルを息子だからとあれこれやることに、不思議というか疑問を感じてしまいます。

 

しかも他の事にはあんなに冷酷で厳しいのに・・・。
ラピスにだって、ラピスの口や態度が悪いとはいえ、根はいい奴なのに、精霊王の時もずっと契約してやらなかったし、今だって、エルにラピスと一緒にいないように言うし、かなり冷たい。
エルリエンは刑罰の神だから、その役目としては正しいのかもしれないけど、冷酷すぎるなぁって感じがしてるので、余計になぜエルにだけ?しかも会って会話した時、エルはエルリエンを怒らせて雷を落とさせたくらいだったのに、そこから息子にしたのだって驚きなくらいだったし、結構、私の中では毎回不思議に思ってしまいます。神だから、いろいろ見通して、エルのために親になって癒やしてあげてるのかもしれないけど。というかそれくらいしか理由がわからないな。

うーん、あの時、神の怒りに触れるくらい怒らせたのに、「息子」と決めたら急に可愛がりだしたって感じが、なぜなんだろうって思ってしまう。

そして最初に自分の神を否定して呪われて死んでしまったエルンも不問に付されて生き返ったんだろうか、それともそこは不問に入ってないのか、その後出てこないので不明・・・。
神の名がエルリエンだからなのか、エル〜という名前の神官が多いな。

あとこの世界では神とか教団とかに明確なルールがあって、神や天使がちゃんと目に見える形でも姿を表わすことがあるように、自分の神を否定すると自ずと死んでしまうとか、世界の仕組みとして物理的にも法則があるんですね。

 

エルリエンが帰った後、神殿で

61話

神官の運命は大抵の場合、生まれて5年前後で決まる。
神の紋章を持つ子供には身分を問わず神官の資格が与えられる。
その他は志願して(させられて)神官の道に進む者で、彼らの多くは紋章を持たず、与えられたとしても上級神官になれる紋章ではない。

なのでエルのように幼年期を過ぎた人(エルは人ではないけど)が上級神官になれたこと自体、型破りで、しかも額に紋章が現れるのも稀なこと。

額の紋章は、その神を最高神として仕える国が建てられる時に現れる。
今までエルリエンを最高神として仕える国はなく、エルにその紋章が現れたことで、この山全体が1つの神聖王国になる。神の御業なので、今回のように神の強い介入があると教団の独立的な主権が国からも認められる。
額に紋章が発現するのはただ一人、神聖王国を治める最上級神官=教皇のみ。

 

だがこのような小さな教団で教皇の役割はそれほど大きくなく、最初の教皇は礎石造りの意味合いが大きく、一般的には大陸を自由に回り、神の教理を説く人が多い。教皇の役割を全うできるのは数世代先になるだろうとのこと。権利はあるけど義務はない名誉職のようなもの。
エルは神官たちからは今後「聖下」と呼ばれることになる。

大神官ルヤンからは、聖下の意思を尊重するので好きにしていいが聖下の安否は時々知らせてほしいと言われる。
また、教皇の紋章は滅多に現れないもので、思わぬ紛争につながる可能性もあるので、隠した方がいいと忠告される。
神聖帝国スワルトの最高神、魔神の教団も代々教皇はいても正式に紋章が与えられた真の教皇は一人か二人にすぎず、他は大神官から選出された「作られた」教皇で、なんの紋章もない教皇もいた。

 

つまり教皇の紋章は選ばれし者にのみ授けられ、神にとっても特別な存在であるということ。
同じ教団にとっては大きな誇りだが、他の教団にとっては妬みの対象になる。
今日多くの者がエルを見たので噂は瞬く間に広まり、ついて回って監視する者もでてくるかもしれない。

治癒術を使ってもラピスの意識が戻らなかったので、エル達は数日、神殿に留まった。

一般的に最初の教皇が誕生したらしばらくの間、参拝を禁じるのが慣例とのことで、滞在していた一般客をすべて帰らせた。神の国に皇室は関与しないが教団は別、自分たちの領域に建てられた別の神聖王国に討伐軍を送ってくる可能性があるので、予期せぬ戦争に備えるため。
元々その地を治めていた神が新たな神の影響力を受け入れない場合、紛争しかない。
最悪片方が消滅することもあるが、そうなったとしてもそれもまたエルリエンの意思なのだとカイテインは言う。

いくら魔神の教団でも神が降臨した教団をむやみに攻撃することはないだろうから大丈夫とカイテインは言う。
また麓では奇迹が起きていて、山全体に濃い霧がかかり、一般の人が山に入ったら一寸先も見えないがエルリエンの司祭たちには神殿までの道が鮮明に見えるとのことで、自然の要塞になっているらしい。

 

【最近の魔神教の事情】
魔神は4大次元の1つである魔界を支配する上級神。

最近の魔神教は教団内で内輪揉めが起きていて、あまり強くないから霧を突破できないだろうとのこと。
神官の数が減り続けていて紋章が与えられる神官も下級神官のみで大神官はほぼないに等しい。

そうなったのは今の対抗が大神官の資格を得た後らしい。
大公は初めから神官だったわけではなく皇室育ちで途中から神の紋章を授かったケース。
年齢的にも早くはなかったので急に大神官になってみな驚いた。

その時、大公は兄である先皇に粛清される寸前で神官になったおかげで生き延びた。
スワルト皇室は皇孫のうち一人を教団に送るしきたりがあり、送られた皇族は名誉大神官になるが、既に大公より先に送られた皇族(大公の継兄弟)がいて、皇族出身の大神官が2人になり雲行きが怪しくなったが、先に送られた皇子が落馬事故で亡くなり腑に落ちない幕切れを迎えた。

 

そのため大公の評判は良くない。
その時期から神官の数も減り始めたので、大公の紋章は偽物ではないか、彼が神官を詐称したのが魔神の逆鱗に触れ、神官が減っているのではないか、と言われている。
だが教皇を含め、大多数の世論は大公を絶対的に支持している。

その話をカイテインから聞いて、エルは結局直接聞いてみるしか、魔神の真意を知る術はないと思うが、何かひっかかる。別れ際にエルリエンに言われた「極力魔神には関わらないことだ、肝に銘じることだ」という言葉が思い浮かび、ちょっとした忠告だったのかもしれないが別の理由があるような気もした。
なんだか見えない手で動かされる操り人形になったような気分だ。

 

62話

ラピスがやっと目覚める。ラピスは1週間眠っていた。
ラピス「僕としたことがエルリエンごときに、なんという屈辱だ」
と、目覚めるなりエルリエンへの怒りを顕にする。

「殺されるところを僕が説得して命拾いしたんだから感謝しろ、ケンカ腰な口の聞き方等のせいで、自業自得だ」とエルはラピスに言う。
ラピスは「血も繋がっていないのに親子だなんて」とまだエルとエルリエンの親子関係が納得いかないらしいが、エルはラピスに、物扱いされるより息子の方がましだと言う。
ラピスはエルに「僕の物」と言われたとしても全然嫌ではないらしく、呼び方の問題なら「僕のドラゴン、僕の物」好きな方で、エルもラピスのことを呼べという。

エル「みんなに誤解されるだろ」
ラピス「せいぜい恋人同士だと思われるくらいだろう」
エル「それが一番困るんだよ」

ラピスがエルの額に神の紋章があることに気付き、「そんなに目立ちたいのか」とあきれる。
額の紋章を隠すために、ラピスは自分の持ち物から見繕ってサークレットを出してくれる。
空間を強制的にひねり、その隙間に小さな空間を作った疑似次元界、いわゆる個人倉庫を持っていて、どこからでも自由に出し入れできる物らしい。ドラえもんの異次元ポケットみたいな奴のポケットなくても出し入れできる奴。ラピスだからこそできるワザらしい。

 

1つ目のサークレットは派手すぎでエルに却下され、2つ目のシンプルなシルバーの金属にラピスラズリのついたサークレットをエルは気に入る。

ラピスラズリは、成功と繁栄、幸福を意味する「祝福をもたらす聖なる石」とされていて、ラピスがそれを探していた2千年前はちょうどその思想の絶頂期でダイヤよりも入手困難だった。
今はサファイアのせいでラピスラズリの宝石としての価値はだいぶ落ちたが2千年前はかなり貴重な宝石だった。
そしてそれは魔神教の祭壇の上に飾ってあった物。けれど当時の魔神教は没落し今の魔神教とは別物だし、今は昔ほど価値があるわけでもないし、魔神教が没落した時宝石のほとんどが略奪されサークレット1つくらい探す気もないはずだから大丈夫だとラピスは言う。

宝石のラピスラズリの話からラピスの名前の話になる。
レッドドラゴンに青い宝石の名前を付けるなんて変わった両親だねとエルが言うと、ラピスラズリという名前は自分で付けたという。
ドラゴンは生まれてすぐ親に名前を付けてもらうが後にまた正式に別の名前をもらう。その時に自分で親にラピスラズリにしてくれと頼んだらしい。元の名前はサードニクスで赤い宝石の名前。

そしてラピスはサークレットが何かの拍子に落ちたりしないように、今後外せるのはエル自身だけになる魔法をかけてくれた。
ラピスの優しさに喜ぶエルの満面の笑顔でおしまい。

 

63話

ラピスはエルリエンにやられた一生の不覚のせいで不機嫌。
ラピスがこの世で許せない3つの部類。
1、無能な奴
2、僕に挑む奴
3、気が利かない奴

神殿には10日滞在している。ラピスが目覚めたので出発することにして、カーウェル公爵にどうやって会いに行くかの話し合いを3人でする。

公爵は何年も邸宅から出てきておらず公式には蟄居中となっていて、邸宅の出入り口は封鎖され大勢の兵士が周囲を取り囲んでいるらしい。
公爵は元々、国境を守る警備隊の司令官で父親が急に病気で亡くなり都落ちしたが、その後も先皇帝と親書を送り合い繋がりを保っていたのに急に連絡が途切れ、先皇帝が処刑された時も何の連絡もなかった。

 

先皇帝のことなら命も惜しまない人で、公爵がいてくれたら先皇帝もあんな悲劇を迎えずに済んだかもしれないと思うので、イサナもずっとおかしいと思っていたが、なぜその状態になっているかはイサナにもわからない。

ラピスは公爵は死んだか裏切ったかのどちらかだと言い、無神経な言い様にエルに怒られ大きな水の塊を顔の周りに被せられる(エルの魔法)が、すぐに火系の魔法で破る。

エルとラピスがやり合っているところへ、カイテインがやってきて、教団が国に昇格してこの地域の領主に関連文書を届ける規則があり、公爵のところへ行くことになったので、エル達も使節の一行を装って一緒に邸宅に入るのはどうかと提案してくる。

エルは喜んでその提案を受ける。エルにはカイテインは天使に見えた。ラピスは魔族に見えた・・・。

 

なにかとエルはエルリエンやラピスにすぐ文句を言いますが、また最初の頃感じたのと同じく怒りすぎだなーと思います。ツッコミ役でもあるんでしょうが、ちょっと私には怒りすぎキャラでそこはいまいち。
ラピスなんて口が悪いだけで、エルのためにいろいろやってあげてるし、エルのことを考えてあげてるのに。一応、前話でラピスのそういういい部分を再認識してはいますが、相変わらずしょっちゅうラピスにダメ出し。

私はラピスが大好きです。
俺様な口の悪さも許せる範囲だし、エルのことを気に入ってる、好きなんだな、ってのがわかる行動をしているところも好きです。精霊王とはいえまだまだ知らないことも多いエルにとって、頼もしい味方だなーと思います。魔法も使えてすごく強そうだし、ドラゴンの中でも優秀なラピスは知識も豊富そうだし、エルが好きだから、絶対にエルの力になってくれるはず。
前にも言ったけど別れてしまったトロウェルの代わりに入った頼もしい味方。
そして恐らく今後魔族が関わってくるだろうから、それに対抗できるだろう頼もしさもあるし。
魔族のデルオンによると精霊王の方が得体の知れない強さがあるらしいけど、エルはまだ自分の能力を全部わかってないしね。
対決する時の、力のぶつけ合いも楽しみ。
あるかわからないけど、ラピスもエルも能力を存分に使ってうわーってのを見せてほしいな。

漫画「精霊王エルキネス」感想(3)