漫画「11年後、私たちは」イゼイ  感想

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11年つき合っている30代のカップル、優と千鶴。
千鶴は優の事が今も好きだが、優の方は千鶴への気持ちが冷めてきているのを千鶴は感じていた。
優は友人に誘われて行った飲み会で、大学生の女の子、結衣と知り合う。
連休にどこかに遊びに行こうと約束していたのに、優は千鶴に一度も連絡せず、仕事が忙しかったというが、実は、優は結衣と映画を見に出かけていて・・・。

優、千鶴、千鶴の上司、結衣の4人を中心とした恋愛模様の物語。

comicoにて。完結。
完結してるのを読んだので一気に読めてよかったです。
絵は上手い感じのじゃないですが下手という程でもなく、こういう持ち味の絵柄って感じかな。
なかなかおもしろかったです。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

 

優と千鶴で映画を見に行く時に、千鶴が優のIDを使って予約し、優が連休中に「大人2枚」のチケットを購入した履歴があるのを見てしまう。
気になった千鶴は、優にカマをかけて「女の人と一緒に連休中に映画を見に行ったのを知っている」と言うと、「どうして知ってるの?」と、あっさりクロだと判明する。

飲み会で知り合った子で2回しか会ってない、妹みたいな子で千鶴が嫌ならもう会わないと優は言うが、千鶴が「11年付き合ってる彼女がいるからもう会えない、と今すぐ電話して」というと、優は渋り、「ならもう終わりね」と言って千鶴は車を降りる。
千鶴は優が引き止めてくれることを期待していたが、優は車を降りなかった。
そして優と千鶴は別れた。

千鶴は会社の上司、荻野課長が最近、千鶴の家(実家暮らし)の近くに越してきたらしく、優と別れてから、コンビニや公園で千鶴が落ち込んでいる時に、偶然よく会い、飲みに付き合ってくれたり、上着を肩にかけてくれたり、課長の無遠慮でストレートな優しさに癒やされていく。

課長は田舎から出てきて友達が出来ないまま仕事に打ち込んできて、そのおかげで早く出世したが、最近寂しさを感じていて、千鶴と気軽に話ができて嬉しいから友達になってほしいという。
最初は上司だし気を遣って友達にはなれないと思い断る千鶴だが、後で後悔するかもしれない気がして、課長の友達申請を受けることにする。

 

千鶴に11年つき合っている彼氏がいるというのは会社で知られていて、課長も千鶴に彼氏がいる事は知っていたので、最初はたぶんただの親切心だったけど、課長はいつの間にか千鶴の事が好きになっていて、千鶴が彼氏と別れたという話を聞いて喜ぶ。

課長からすると、友達としてという口実で、一緒に映画に行ったり、食事に行ったり、落ち込む千鶴に夜景を見せに連れて行ってくれたりと、健気なアプローチを続ける。

千鶴は街で偶然、優に会った時に、一緒にいた課長を彼氏だと言い、課長もそれに話を合わせて、その後で優が会社前に千鶴に会いに来た時も彼氏のふりをしてくれた。
千鶴は課長に何度も迷惑をかけて申し訳ないと謝るが、課長は本当の彼氏になれば謝る必要はなくなると、さりげなく自分の気持ちを伝える。千鶴は「気持ちは嬉しいが、まだ誰とも付き合う気になれない」と断り、嫌われてしまうかと思ったが、課長は待つといってくれる。

優は結衣と付き合い始める。
優は「別れよう」と言った千鶴を追いかけられなかったが、千鶴と別れて結衣と付き合いたいと思っていたわけではなく、結衣は自分にときめきを与えてくれる通り風のようなものと考えて、両方と付き合えないか等を考えていた。すぐにバレて千鶴と別れることになったけど・・・。

結衣と付き合い始めると、仕事中の時間帯なのも考えずに、しょっちゅうLINEにメッセージを送ってくる、かまってちゃんなところや、物を買ってほしいとねだってくるところ等、結衣の嫌な部分をみるたびに、千鶴だったら違ったのにと千鶴のよかったところを思い浮かべてしまっていた。

 

結衣の友人が彼氏にノートパソコンを買ってもらった話をして、結衣のパソコンもまだ使えるけど古いから羨ましいといい、優が「まだ使えるならいいじゃん」と言うと、結衣は「買ってほしくていったんじゃない、羨ましかっただけ、なのにさっきの言い方は何?、ウソでも今度もっといいの買ってあげるとか、他にも言い方があるでしょ」と怒り、優が「今度新しいの買ってやるから」と謝り、結衣が「これからは気をつけてね」と言う。

この結衣の言い分がものすごくムカつきました。
はぁ?ツッコミどころがありすぎて・・・。
嘘で「もっといいの買ってあげる」って言われたいの?そんなん絶対後で、「買ってくれるって言ったくせに」ってなるじゃんね。買ってほしくていったんじゃないって言ってるけど、この後、ほんとに優は買ってあげて、それを結衣は友達に自慢します。結局やっぱり買ってほしかったんじゃん!なんなの?
しかも最後に「これからは気をつけてね」って、あんた何様なんじゃー。「まだ使えるならいいじゃん」ってそれほど責められるような言い方だった?普通に返しただけじゃん。
それにノートパソコンって、結構高いものなのにこんな逆ギレみたいなことして買わせるってスゴイな。
まぁブランドもののバッグとかの方が高いのあるけどね。

そしてこんな逆ギレみたいなこと言われて、素直に謝って買ってやるなんて、優もよくそんなこと言うね。
結衣に怒ってもいいくらいの言い分でしょこれ。
優は、結衣に大人ぶってるから、できなかったのかなぁ。
こんな感じで、社会人=経済力があると思ってる結衣には、ムカつくことが続きます。

結衣の家は父親が事業に失敗したりして経済的に苦しく、母から結衣が就職して家にお金をいれることを期待されて嫌になっていて、結衣は早く家を出たいと思っている。
そしてそのために、卒業後に就職せずに優と結婚して家を出たい、と優に頼ろうとしている。

 

結衣は、ノートパソコンの時と同じようなノリで、自分の家の父と母が仲良くて自分にも早く結婚して幸せになってほしいと言われていると結婚の話を持ち出すが、優に「まだ結婚するつもりはない」ときっぱり言われる。それに対して結衣は「付き合う=結婚だと考えている、結婚を考えてないのになぜつき合ったのか、だったら別れよう」と言い、おそらく本心ではなく優が焦って結婚を考え直してくれることを期待してわざと言ったようだが、優は「そういう考えなら仕方ない俺も考えてみる」と言い、結衣の思惑とは違い別れる方向に話がいってしまう。

その後、結衣は「カッとなって言い過ぎた、もう一度話そう」と優にメッセージを送るが、そのメッセージを見て優が連絡したのは結衣ではなく、千鶴だった。
けれども(どのくらい経ってるかはっきりした時間経過はわかりませんが)それなりに時間がたっていて「今さらもう遅い」と思って、千鶴は優からの連絡を無視する。

優から何の連絡もなく焦った結衣は、優の家の近くのカフェにいるからと優を呼び出して話をする。優はもう結衣とは別れるつもりになっていたが、結衣から謝られて言い出せなくなってしまい、様子を見ることにする。優がトイレに立った間に結衣は優のスマホを見て、先日優が千鶴に連絡を取ろうとしていた痕跡を見てしまう。
結衣はしっかり千鶴の電話番号を控え、後で千鶴に電話して「優と連絡を取っているのか、優が電話した事で千鶴が誤解するんじゃないか」等と言うが、千鶴は「もう関係ないし誤解もしてない」と言って切ろうとするのだが、最後に結衣が「お二人が4年もつき合ってたので気になって」と言った「4年」という言葉にひっかかる。

 

結衣からの電話を切った後、千鶴は優がつき合っていた期間を4年と言っていたことに、自分との11年を否定されたように感じて怒りが込み上げ、優に電話して「正直に言ったら重いって思われると思って嘘ついたわけ?あんたにとって私との11年はその程度だったのね?」と、一方的にその怒りをぶつけて電話を切る。
千鶴は自分がいちばんなりたくなかった、クールに振る舞えない元カノになった自分の行動に後悔した。

優は千鶴の会社前に千鶴に謝りに来るが、「もう関係ない」という千鶴に、「関係あるから電話してきたんだろ」と優にいわれ、まだ優のことが吹っ切れていないことに気付いて千鶴は言葉に詰まる。そこへ課長がちょうど来て、また彼氏のフリをして間に入ってくれるが、彼氏が会社の上司だとわかって、優が「千鶴がすぐに別れたのは課長がいたからか」と言ってくる。「それを聞く必要はない」と課長が遮って千鶴を連れて去る。
そして課長は千鶴の八つ当たりを聞いてくれた後、夜景がきれいなところに連れて行って慰めてくれる。

優は結衣に会い、千鶴に連絡したことを怒る。まだ千鶴に未練があるのか結衣が聞くと、答えに詰まる優に「未練があるなら私と付き合わないで」と結衣が言うと、優は素直に認めて「まだ未練があるみたいだから別れよう」と結衣に言う。
結衣「今の言葉、後悔しない?」
優「わからない」
結衣「じゃあもっとちゃんと考えて、私まだ別れられない」

 

やってることがどんどん裏目に出る結衣。
またもや自分から別れるようなことを言っておいて、優に受け入れられて焦るという同じパターン。
自分で付き合えないって言っといて、別れられないって何だよー。
優も「まだ結婚できない」とか「別れよう」とか、たまにハッキリ言ってるけど「別れる」って言ったくせに後悔しないか聞かれて「わからない」って何だよ・・・。そして別れられないって言われてそれを受け入れちゃったんだ。
優も優柔不断なんだよね・・・。きっぱりした態度を取れないんだね。
自分で別れようって言ったなら、別れられないって言われて、「お前が付き合えないって言ったんだろうが!」ぐらいの反論しようよ。まだこの時点じゃ結衣は納得しないだろうけどさ。

結衣は千鶴の事をSNS等で調べて写真を見て、自分より下だと思い、それなのになぜ自分が負けるのかと納得いかず、直接千鶴に会いに行く。千鶴は、もう優とは何の関係もないから、連絡してきたり会いに来たりもうしないでほしいという。そして「自分も最初は優と別れたのは結衣のせいだと思っていたけど違った。関係を維持できるだけの愛がもう私達にはなかったから普通に終わっただけ。だから結衣と優の仲がちゃんとしたものなら自分のような過去の人間のことでダメになったりしない、二人の問題だ」という。
そして最後に結衣に「キレイだし良い年齢なんだから良い恋愛してください」と言って帰る。

 

千鶴は本当はこの日は課長と焼き肉に行く約束をしていたが、結衣からの突然の会いたいという連絡のせいで、ドタキャンしていた。けれど結衣と会っている千鶴を見かけた課長が残業のふりをして、近くのカフェで千鶴を待っていて、千鶴が出てきたタイミングで電話をして、近所の焼肉屋に誘う。
予定していた焼肉屋ではなかったが、二人は幸せな時間を過ごす。

結衣は千鶴の言葉に反発を感じ、素直に受け入れられなかったが、家に帰り父親に「今まで苦労ばかりさせて悪かった、卒業したら家のことは気にせず好きに生きろ」と言われたことで、家を出ようとして優に固執していた自分から目が覚める。

結衣は優に会い、千鶴に会ったことを話し、「優の事は好きだが、優自身を好きなんじゃなくて家や車を持っている優が好きなだけ、優も私が若くて可愛いからすきなんでしょう、私たちは似た者同士」「千鶴に良い恋愛をしてと言われて目が覚めた、なんで別れたがっている人にすがってるんだろうって思った」「つまり別れようってこと」と言う。
優は最初、結衣が千鶴に会ったと聞いて怒ったが、別れ話はすんなり受け入れ、千鶴への気持ちにケジメがついてないのにつき合ったことを謝った。

結衣は優に「優は優柔不断なだけだが、それは女性を苦しめるだけだから」とちょっとした忠告をする。
そして最後に良いことを教えてあげると言って、「千鶴に彼氏はいない」ということを告げる。
でも結衣は、優と千鶴の復縁は無理だろうと思っていて、優も痛い目を見ると良いと思っていた。

結衣は優に頼ろうとしたように誰かに頼らず、これからは自分の足で立とうと決意する。
きちんと就職して兄弟の下の子が大学卒業するまでは家族の面倒を見ようと思う。

結衣は、優に依存しようと甘えた考えで元カノの千鶴にまで迷惑をかける、ずーっと嫌な子でしたが、最後の最後で、「優自身を好きじゃない」と冷静に自分の状況を判断して、いい方向に向かってくれました。
ずーっと嫌な、ムカつく奴でしたが、最後は目が覚めてくれてよかったです。

 

それに引き換え、優はほんとに優柔不断だなぁ。
まあ結衣が別れを匂わせておきながら「別れない」って言ってしがみついてたんだけど、もうだいぶ前から優は別れる気になってたのに、優はそれをキッパリ振り切れないのがダメだなぁと思います。優にとって結衣は結局、自分にときめきを与えてくれた若いかわいい女の子だっただけで、つき合ってみたら考え方も合わないし、大人ぶってた無理が出てきて、すぐにダメだなと思ったけど、自分からは別れると決断できず強い態度も取れず、相手が目を覚ましてくれるまでズルズルつき合っちゃったって事なんだろうな。

そして優はこの後、千鶴と復縁しようという方向に気持ちが向かい、つき合ってた頃、千鶴が喜んだサンドイッチを手作りして渡そうとしたり、12年記念と書いて花を会社に送ったりと、千鶴がキッパリした態度を取っても、千鶴との復縁に固執して諦めない。なぜ会社に送ったんだろう、課長に見せつけるため?
最後には、酔って千鶴の自宅前で待っていて、千鶴の父母とも顔見知りだったので、千鶴の母に言われて、千鶴の母と優は二人で話をする。
「本当に愛してるのなら相手の幸せのために身を引くことも大切」「私くらいの年になると縁というのを多少信じるようになる、千鶴とあなたに本当に縁があったのなら千鶴はあなたとよりを戻したはず、あなたは一度自分の心を見つめ直しなさい、本当に千鶴を愛してるからなのか、ただの未練からなのかをね」と、優は千鶴の母に諭される。

 

帰り道、優は自分の心を見つめ直す。
本当はわかってた。けど自己中な自分がいることを認めたくなかった。
千鶴と結衣を比較して、どちらがより自分を幸せにしてくれるかと考えていた。
千鶴ほど自分を愛してくれる人はもう現れないんじゃないかと怖くなり、千鶴と復縁しようと考えた。
その恐れも愛なのか?

優の中の千鶴が答える「いいえ違う、ただの未練。確かに最初は愛してたけどだんだんと冷めていき、結衣と出会い新しい愛が始まった。そして私はただの重たい荷物になり、さっさと捨てたかったけど、情とか周りの目とかが気になって捨てられなかった。だから私からあなたを振った時、内心ホッとしたでしょ?」
優「その通りだ、悪者になりたくなかったからな」
千鶴の幸せを考えたことはなかった。常に自分のこと、俺の幸せ俺の未来、俺俺俺。
しょうがないだろ、だってそれが俺なんだ。いや・・もういい、もうやめよう。

優はやっと自分の本当の気持ちを認め、「今までごめん、幸せにな」と千鶴にメッセージを送り、千鶴を追うのをやめた。

 

会社では、千鶴の年上の同僚、藤原が千鶴と課長が最近仲がいいのを知って邪魔をしてくる。藤原も課長に気があったが、今まではたいしたアプローチをしていなかったのに、自分より下に見ている千鶴が課長といい雰囲気なのに触発されて、千鶴に「噂がたつと課長の昇進に悪影響がでる」と釘を差したり、自分で千鶴と課長の噂を広めようとしたり、課長を食事に誘ったりして、自分が課長にアプローチするだけでなく、千鶴と課長の仲を邪魔しようと画策した。

その一方で、課長は千鶴に今まで彼氏になる等と言っていたが、その前にちゃんと言うべきことを言っていなかったことを謝り、「好きだ」とストレートに告白する。
そして会社での噂の話は、お互い自分のことは気にしておらず、相手に申し訳ないと思っていたのだとわかり、お互い気になっていた噂の誤解は解消する。

千鶴は優と別れて恋に臆病になり、課長に自分も好きだという気持ちを伝えられなかった。
千鶴は友人の「好きな人と両思いになれるなんて奇迹、早くその課長をゲットしないと絶対後悔する」という言葉に後押しされ、他人に惑わされて自分の人生を左右されるなんてバカみたいだと気付いて、課長に気持ちを伝えることを決意する。

 

思い立ってすぐに伝えたかったが時間が遅かったので、「今日偶然課長に会えたら告白しよう」と思っていると、課長にバッタリ会い、これはやっぱり「運命」だと思い、課長に「好きだ」と伝える。
課長は突然の告白に驚いてすぐに返事ができず、何かカッコいい返事をしなければと思うが、思いつかず、「嬉しさと緊張で何も思いつかない、だからストレートに言うよ、ならこれからは、好きなだけ触るし手も繋ぐ頭も撫でる、今日からよろしくな千鶴」と言って、二人はやっとめでたく両思いで付き合う事になった。

会社では女子社員が噂話をしているのを課長が耳にしてその場で話を聞き、藤原が発信源だとすぐにバレ、課長は藤原と二人で話をして、噂を広めたのは藤原だろうと指摘したが、藤原は認めなかった。課長は藤原に千鶴とつき合っていると宣言し、事を荒立てたくない、仕事に集中してほしい、これ以上私の彼女をいじめないでほしい、今度また変な噂を広めたら承知しないと告げる。

 

また藤原が「整理整頓が出来ない人は仕事も出来ない」と千鶴にいちゃもんをつけているのを課長が聞いて、課長が藤原に出していた仕事はできたのか聞き、藤原がまだできてないと答えると、私が出す仕事は全部急ぎでお願いしますと言い、些細なことで声を荒らげないでと忠告する。

ここまでで藤原が邪魔してきたり意地悪したりしてきた件は片が付くが、藤原は何故自分ばかりこんな目に会うんだ等と考えていて、全く反省していない。
そして、これだけ嫌がらせしておきながら、少し後には普通に千鶴と二人でランチに出かけていて、その神経の図太さに呆れました。二人しかいない部署で、基本的に外にランチをしに出るのが当たり前な職場なようなので、仕方ないんでしょうかね。
私は一人で外で食べるのはあまりしなかったけど、食べる人がいない時は外で買ってきて席で食べるとかしてましたけどね。職場の雰囲気とかもあるので、本心は隠して外面で一緒にランチに行く方がマシなんでしょうか。

 

優、結衣、藤原は退場し、今度は新しく配属された美人社員の一色が課長と仲良くしているのが気になる千鶴。
気にしない、課長を信じる、と思ってはいるが、千鶴の誘いを断って、一色と課長が一緒にいるのを街で見かけてしまう。グルグルといろんな事を考えてしまうが、逃げずにちゃんと課長に話を聞こうと、課長のマンションの前で千鶴は課長を待つ。

千鶴は課長に、なぜ最近忙しいのか、今日一色と一緒にいるのを見たと言っても、課長がはっきりしたことを言わないので、千鶴は「失礼します」と言って、その場を走り去ろうとする。
課長が追いかけてきて千鶴を捕まえ、「ちゃんと説明する、さっきはびっくりして戸惑ってただけ、誤解させて悪かった」と言い、「千鶴、愛してるよ、実はこれを準備してたんだ」とポケットから指輪を出して見せ、「俺と結婚してくれないか?」とプロポーズする。

実は、一色のしていたペアリングを課長が見て、一色にアドバイスを求めて、指輪選びを手伝ってもらっていたのだった。プロポーズのための指輪なので、千鶴には内緒にして買いたかったため、コソコソした感じになってしまっていただけだった。

 

課長は千鶴を部屋にいれ、本当はもっとカッコよくロマンチックにプロポーズしようと思っていたんだと言って、本来するはずだった、室内用のプラネタリウムをつけて、「世界中の星空を俺と一生一緒に見て回ろう」とプロポーズの言葉を伝えた。(前に千鶴がきれいな星空を見に行きたいと言っていた)

千鶴は涙が出るほど嬉しかったが、課長を幸せにしてあげられる確信が持てず、心の準備ができていなくて怖かった。課長は自分の気持ちを伝えたかっただけだから、返事は今すぐじゃなくていい、千鶴の心の準備ができたときでいいといってくれた。
課長は「もちろん君の返事が『はい』だったら最高だったろうけど、謝る必要はない、一人で突っ走ってるんじゃないかと悩んだけど、それでも君と一生一緒にいたいっていう俺の気持ちを伝えたかった、正直言うと俺の望みは結婚じゃなくて君だ、愛してる、だから返事が『はい』じゃなくても俺は平気だ」と思う。

課長と千鶴は娘の星良(せいら)を連れて、満天の星空を見に来ていた。
11年後、私たちは、『私たち』になって変わらず愛し合っている。


最後は、課長と千鶴の11年後が描かれ、結婚して娘もいて、優の時とは違って今も愛し合っているという姿できれいに終わって、素敵なお話だなと思いました。
でも、11年後になる前に、ちゃんと課長のプロポーズの返事を受けるところまで描いてほしかったなぁ。
まだ心の準備が出来てないところで終わっちゃったのは、物足りない感じがしました。

千鶴の絵柄は、優と付き合い始めた頃や11年後のように髪の長い方がキレイだなと思いました。なので、物語中のほとんどの場面ではボブだったのが、ちょっと残念。長いほうがキレイなのに。でもお話的にはそれほどキレイに見えない方が合ってるのかな・・。

 

課長はほんとにいい人だなーと思います。
変に小洒落てなくて、実直で真っ直ぐな感じで、千鶴を思ってくれる姿がすごくよかったです。
でも、課長はある意味、女性から見て理想の姿で描かれていて、千鶴のことを考えて、千鶴が好きなもの、好きなことを知ろうとしてその望みを叶えてくれるけど、課長の望みは何かないのかなと思いました。
この物語の中では課長の望みは千鶴と一緒にいること、くらいしかでてきません。
千鶴がきれいな星空を見たいと言ったのと同じような、課長のやりたいことって何かないのかな、そういう部分は描かれないのが、きれいにまとまってはいるけど、課長という人物像としてちょっと物足りない感じはしました。だって、ただ千鶴の望みを叶えてくれるだけの人で、課長という人間の中身が足りない感じがするから。

物語を読んでて課長が中身のない人だと感じたわけではなく、好きな人と一緒にいられればそれが幸せというのは私もわかるんですが、課長が千鶴に良くしてくれて、千鶴の心をつかもうとする事ばかりで、千鶴の方が課長になにかするというのがほとんど出てこなかったので、一方的すぎると思いました。
優の友人の話によると「千鶴ほど尽くしてくれる子はそんなにいない」そうですが、千鶴が尽くす場面って出てこなかったので。

11年後も、課長が千鶴にブランケットをかけてあげる、千鶴の望みだった星空を見に来ている、という、千鶴に対して課長がなにかしてあげているだけで終わってるし。

 

優が11年つき合って、気持ちが冷めるというのは仕方ないことだろうと思います。
そして特にはっきり嫌いまでいかないし、長く一緒にいた情もあって、何かキッカケがないと「別れる」という気になれずにズルズルつき合ってしまうのも。
でもそのキッカケが訪れて、結局は失敗な相手だったとしても、他の人に気持ちが動いて、もう千鶴には愛情を感じてないと気付いたはずなので、あそこで二股をしようとしたり、千鶴から別れを告げられてホッとしたくせに、結衣が違ったから千鶴に戻ろうとしたりする、優の優柔不断さや自分勝手さは、優が悪い。

気持ちが冷めても、それまでに結婚して子供がいれば、子供のために結婚は続けようとするかもしれないし、それでも別れを決断するかもしれない。ずーっと好きでいられる相手と一緒になれるのが理想だろうけど、そうじゃない人が多いから、離婚が多いんだろうし。

そういう多少、理想的過ぎる感はありましたが、課長と千鶴の恋愛物語は、お互いわりと素直に相手と向き合うことが多く、こじれそうでそれほどこじれないうちにちゃんと言って解決することが多かったので、見ている方もあまり焦れずに、見ていて気持ちのいいお話だったなと思います。