小説「なんちゃってシンデレラ」著者:汐邑 雛 イラスト:武村 ゆみこ 感想


<↑小説の試し読み>BookLive!

33才独身パティシエだった女性が、12才で既婚の王太子妃に異世界転生するお話。
「王宮陰謀編」「王都迷宮編」のあらすじと感想です。
表紙のイラストやあらすじは軽いラブコメっぽいですが、意外とガッツリ王国の謎があったり、黒幕は誰だというミステリー色が強いお話です。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

 

ざっくりなあらすじ

「王宮陰謀編」
主人公アルティリエが命を狙われる理由、黒幕は誰なのか、王家の秘密が最後にわかるミステリーなところと、15才年上の夫である王太子ナディルと徐々に愛情を育んでいくところ、元パティシエの知識を活かしたお菓子作りや料理を楽しむところという要素のあるお話。

「王都迷宮編」
ナディルの父である王が亡くなって喪に服す期間の終わる1年後、もうすぐ建国祭&戴冠を控えて、後宮に移ったり、ナディルの妃になろうと目論む女性たちの話があったり、ナディルの代わりに王位を狙う者、またまた命を狙われて逃げて一人下町で奮闘するアルティリエの話があったりしつつ、建国祭&戴冠が終わるまでの話。

最初はピッコマのノベルで1冊分くらい読み、「小説家になろう」サイトでWEB版が読めるのを知ってからはそっちで読みました。「王宮陰謀編」「王都迷宮編」はそれぞれ完結してますが、その続きの「王国騒乱編」は3冊まで出てまだ完結してないようです。「王国騒乱編」は書籍のみでWEB版はないので未読。

書籍の方はWEB版に追記されてる箇所もわりとあるようです。全部を読み比べるほど大好きじゃないので、気になったところしか読んでないですけど、書籍1冊目の終わりからWEB版に移る時に、どこら辺か探すために読んで気付いたのは、書籍1冊目の終わりのアルティリエとナディルがアルティリエの作ったパウンドケーキ?を食べるシーンがWEB版はまるまるないこと。

書籍は「王宮陰謀編」最後の王様とアルティリエが話をする時に、古代遺跡の図書室に行ってるけどWEB版では行ってないこと。なのに、「王都迷宮編」WEB版は書籍の方の続きで書いてるのか、王様とアルティリエが図書室に行ったことになってて、最初「んん?」っと思いました。

 

「王宮陰謀編」感想

最初、ピッコマのあらすじには、転生した姫が転生前の知識を生かして食に興味のない王子に料理を作ってあげて、徐々に胃袋を掴む話、みたいな感じで書いてあったので、軽い感じのラブコメかと思ってました。
が、転生した時は実家のエルゼヴェルト家にいて、湖に突き落とされて死にかけたのを助けられた、というところから始まり、しばらくはそのエルゼヴェルト家にいて、毒見役の侍女が死んだりというのもあって、肝心の王子が全然出てこない状態が続きます。

あれ?王子ちっとも出てこないじゃん。
しかも王家とか貴族社会の陰謀とか暗殺とか、誰が犯人かとか、そういう話ばっかりなんだけど?
王子の胃袋つかむっていうあらすじ説明のところまでなかなか展開しないんだけど?
と、あれ?って感じでした。

読み終わってみると、ラブコメっぽい要素もありますが、どちらかというとミステリー要素の方が多いかなーという気がしました。&料理の話。

料理の話は、マンガや小説でこういう料理が得意なキャラが出てくると、いいなーそういう人が身近にいたら楽においしいものが食べれていいよねー、と思います。
でも、どこ産のあれがどうのこうの、現実世界のあれに似てるうんぬんとか、作り方がどうのこうのという話にはあまり興味が無いので、サクッと流し読みです。
当然のように出てきたガレットというお菓子の名前も全然知らなくて調べちゃったしね。
料理要素もだいぶあるので、そういうの好きな方にはいいと思います。

ラブコメというか、ナディルとアルティリエの恋愛部分に関しては、ナディルのキャラは好きなんだけど、アルティリエの方は、ちょっと大人っぽいというより、おばさんっぽさを感じてしまうので、二人の関係性は好きなんだけど、アルティリエがいまいちなので、いまひとつな感じがしてしまいます。

 

ナディルがものすごくなんでもできるスーパー人間で、頭脳明晰だし、政治力もばっちりだし、剣術も強いし、超美形の天才なんだけど、ほんとは学者になりたかった人で、恋愛にあんまり興味ないし、女性にアプローチされるのもウザったいでしかない、って感じのキャラは大好きで、話の通じない子供は嫌いなんだけど、アルティリエが中身が大人っぽいし(中身は大人になっちゃったし)、王子が苦手な女女した感じの人じゃないので、知的なところに惹かれていくっていうのも好きです。

なんだろう、アルティリエが明るくてナディルの食事の世話をするってのは、ナディルに足りない部分を補ってくれる癒やしで安らぎの存在なんだろうけど、女女してないタイプでも、もっと素朴な感じのキャラの方が好きなんだよなぁ。
なんかちょっとどういうところがなのかよくわからないけど、ぺちゃくちゃしゃべくるおばちゃんっぽさを感じるというか。

ナディルがアルティリエの知的なところを気に入って溺愛して、他の人には見せない笑顔を見せたり、いつも抱き上げて移動したり、っていうところは好きです。でも、アルティリエの方に違和感を感じてしまうので、もうちょっと違う感じのキャラだったらなぁと思います。

そして、この話の大きな部分を占めると私が思う、王家の謎の部分。
王様とアルティリエが「王宮陰謀編」の最後で会話をして、ここでそれまでの謎が一気に明かされるんですが、いまいち理解できないところがあって、スッキリしなかったんです。

 

まず、王家の成り立ち。
むかーし、今ある国々をまとめて統治していた「統一帝国」があり、その最後の皇女が王妃となり、ダーディニア(アルティリエ達のいる国)の建国王と作ったのが今のダーディニア王国の始まり。
ダーディニア王国の王宮&王都の地下には古代遺跡があり、その遺跡には統一帝国の皇室の血筋に反応して開く扉があり、この古代遺跡はこの皇室の血筋が鍵になって動くようになっているものがある。
古代遺跡の仕掛けや仕組みは研究されているが、わかっていないことが多いため、どういう仕組で血筋に反応するのかはわかっていない。

その統一帝国の皇室の血筋=鍵を守るために作られたのが、ダーディニア王国であり、国王と四大公爵家の当主にだけこの秘密が受け継がれてきた。
男系だと途中で気付かず途切れる可能性があるため(DNA鑑定とかないので他の男の子供を産む可能性を完全には排除できないから。つまり女性に浮気されて子供ができても確認できないため)、女系で血筋の継承を管理されている。
最初の王妃の娘を建国王の弟であるエルゼヴェルト公爵家の妻にしたのが始まりで、四大公爵家の中でもエルゼヴェルトが血筋の継承の重要な家となっている。エル・ゼ・ヴェルトは、「鍵の姫」という意味。

 

エルゼヴェルトは王妃の家と呼ばれ、エルゼヴェルトの母か妻を持たない王はいない。
王家とエルゼヴェルト家の間で、婚姻を繰り返しており、エルゼヴェルトの娘は国王か王太子の妻になるのが基本。2人目以降の娘は、王家か残りの三公爵家の妻に。王家の娘や王にならなかった王子は四公爵家と婚姻。
他に長子がいてもエルゼヴェルトの妃が生んだ子の王位継承権の方が上。

そしてもう何代も一人ずつしか鍵の姫を生み出せておらず、今はアルティリエが最後の一人(アルティリエの母も祖母も出産で亡くなっている)。
建国祭の儀式で古代遺跡の仕組みを利用して、鍵の姫の資格があるかどうかがわかるようになっていて、建国祭の儀式とは、実は鍵の姫かどうかを確認するための儀式。

という、古代遺跡の封印された扉を開ける力のある血筋という、実用的な?理由のある血筋を守るという隠された大きな使命がある。王家は国王、四公爵家は当主にのみその秘密が受け継がれるので、国王はもちろんそれを知っている。

 

という背景があるというのを踏まえて。

エレアノールの母(アルティリエの曾祖母)は、恋に落ちて、(鍵の姫なので)本来許されない他国に嫁いだ。
そのためその娘エレアノールは生まれる前から王家に嫁ぐことが決まっていて、ダーディニアから侍女等を付けてダーディニア式に育てられ、エルゼヴェルトの実家にも毎年遊びに来ていて、幼い頃に国王と出会った。

そして国王はアルティリエの祖母エレアノールと恋仲になった。アルティリエに国王が使っている愛称のティーエは元々はエレアノールのものだった。当時の王である父親に、結婚したいと申し出たが、当時第五王子で、上に4人も継承権のある王子がいたため、エルゼヴェルトの姫であるエレアノールを妻にすることはできなかった。
当時は秘密を教えられていないため、なぜ認めてもらえないのかは知らなかった。
アルティリエの祖母は、第一王子に妃にと勧められたが、既に妻のいた第一王子はエレアノールの顔を見ずに、他国の姫など妻にしたくないというのもあって拒否(エレアノールは美人だったので後に後悔したらしい)。

それで国王が再度結婚したいと申し出たが認められず、駆け落ちしたが3日で連れ戻され、国王は外遊させられ、エレアノールは当時の国王の第四王妃にさせられ、二人は離された。
国王は外遊先で、エレアノールが娘を産み亡くなったことを知り、自分の子供は王位継承等に振り回されないように外国の姫を妻にした。

 

が、第一〜第三王子が第三王子の婚約者を巡る争いで相次いで命を落としたため、国王が王位を継ぐことになった。(第四王子はどうしたのか不明・・・)

エレアノールの娘であり、アルティリエの母であるエフィニアは、エルゼヴェルト公爵が婚約者として決まっていたが、だいぶ年齢差があったので、公爵には妾がいた。年齢的に仕方ないことでもあり、公爵に妾がいるのは普通のことなので、それは問題ではなかったが、公爵はその妾を愛していた。
そのため、エフィニアが結婚しても幸せにはなれないだろうことは周りには察せられることだったため、その婚約を取りやめて、別の相手と、という話はあり、その第一候補は王太子になったナディルだった。

エフィニアは国王の妹であり、ナディルには叔母にあたるが、年は近く、数才ナディルが年下なだけで、年齢的な釣り合いも取れていた。王太子と鍵の姫の結婚なので、今までの血筋を守るルールからいっても妥当な婚姻。
また、ナディルはエフィニアが初恋だったらしく、エフィニアも悪くは思っていなかったらしいが、エフィニアはエルゼヴェルト公爵に恋していた。

しかし、国王はエフィニアとナディルの結婚はどうしても避けたかった、認められなかったという。そのため、不幸になるのはわかっていたが、エルゼヴェルトとの婚約を取りやめずにそのまま嫁がせるしかなかったという。

 

ここまでの事情で、今までの血筋を守るルールからいっても妥当な結婚なのに、国王がエフィニアとナディルの結婚を避けたかったのか、という理由は二人が実は姉弟だからなのかなと読みながら思っていました。
けれど、長々と続く国王の秘密話を最後まで聞いても、二人が兄弟だという話は出てきませんでした。
あれだけ言っておいて、しかもアルティリエがわざわざ国王になぜか聞いて本人の口から言わせるとか言ってるけど、そのものズバリは言ってません。別れさせられて1年未満で娘が生まれたといってるだけなんだけど、それで察せられるはずのことなの?

それだけじゃ国王の父の子だとしてもおかしくないし、貴族のしかも王族の娘だったら結婚前に男と寝たりしないだろうとかも思うので、それだけでエフィニアが国王の子だったって推し量るのは難しいと思うんだけど。
なぜそこをはっきり言わないんだ?あれだけで察するのは無理だと思う。

だから、好きな女の娘を自分の息子に嫁がせて、二人が一緒なところを目にするのが辛かった、自分の息子は自分に近すぎる存在だから嫉妬してしまうが、エルゼヴェルトなら離れた場所で暮らすし、許せるとかいう理由なのかとか考えました。

 

そして確か「王都迷宮編」の方の最後の方のアルティリエとナディルの会話で、自分たちがイトコ同士だというシーンで「でも本当は叔父と姪だけど」とアルティリエが内心思っているのがあって、「ああやっぱり、エフィニアとナディルは姉弟ってことなのかな。でもそこはっきり言ってたっけ?」と思って、WEB版を読み返してみたり、ピッコマの書籍版のその辺りを読んでみましたがやっぱりはっきり兄弟だとは言ってないし、「別れさせられて1年未満で娘が生まれた」という以上の、推測できるようなことは言ってないと思いました。

ここら辺の事情の発端となった「エレアノールの母の初恋のために外国に嫁いだ」という件も、エレアノールの母の子供たちの権利を守るためにその結婚を認めないわけないはいかなかったということなんですが、それもつまりちゃんと結婚する前にその外国の王子との間に子供ができちゃってたってことなのかな?

そうだとしても、女系が重要で、エルゼヴェルトの女性が妻なら王になれるようなルールなんだから、子供の父親が外国の王子だろうと、鍵の姫が外国に行ってしまう事に戦々恐々とするくらいなら、結婚は許さずに誰か別の王家&四公爵家の人と結婚させちゃえばよかったんでは?
だって、エレアノールだって、エフィニアが国王の子供だったってことなら、他の男との子供を妊娠してるのに当時の国王の第四王妃として結婚させちゃったんだから。

 

そこまで鍵の姫を最重要事項として守ってきたんだったら、初恋がどうのこうのなんて無視して国外に出す事を阻止するでしょ。女系が大事で、父親は最悪誰でも関係なかったんだし。
そこの、どうしてもそうしないわけにはいかなかった理由付けが弱いなと思いました。

エレアノールも最初から王家に嫁ぐことが決まってて、ダーディニアに定期的に来させてたのに、なんで第一王子に会わせておかなかったんだ?顔も知らずにってことは第一王子は会ったことなかった、第五王子だった国王は会ってたって何故?貴族とか王族なんだから、第五王子がエルゼヴェルトに出かけていったなんてのは把握されてるだろうし。
それになぜエレアノールより先に第一王子に妃をとらせちゃったの?年齢的に合ってたってことだから、エレアノールより先に妃をとらせなきゃよかったのに。

エフィニアが国王の子だってことは、可能性としてあるだけで、どっちかははっきりわからないんだとしたら、そこまでどうしてもで避けなくてもいいんじゃないのって思います。ただアルティリエが「実は叔父と姪」ってのをはっきり言ってるので、たぶんそこはそうってことなんでしょう。

エフィニアが国王の子で、ナディルとは兄弟なんだとしたら、兄弟だから結婚をどうしても阻止しようとしたってことなんでしょうが、それもそこまで気にすることなの?って思いました。
現代日本では、親子、兄弟間の結婚は不可でイトコなら可ですけど、叔父と姪も不可です。
でもこの世界では叔父と姪での結婚はいいようです。
そもそもの始まりの建国王と王妃の娘が建国王の弟の妻になってエルゼヴェルトが始まっていて、叔父と姪の結婚です。

 

エフィニアとナディルが兄弟だとしたらナディルとアルティリエは叔父と姪です。
そもそも、統一帝国の皇室の血筋を守るためとして、王家&四公爵家の間で近親婚を繰り返してきてます。
奇形が生まれる可能性が高くなるから近親婚が不可で兄弟の結婚がダメってことなら、これだけ近親婚を繰り返してきて、「今さら?」って感じがします。
倫理的な問題で兄弟間はダメってことなら、つまりそれは血筋としての兄弟ということじゃなく、兄弟として育った間柄ではダメってことなら、エフィニアとナディルは兄弟とは認識されない環境で育ってます。

どちらにしても、叔父と姪の結婚がOKな世界で、実は兄弟なんだとしても公式には叔父と姪の結婚をそこまでして、どうしてもダメだってなるかなぁって思っちゃいました。
現代日本の感覚では兄弟間はダメで通るから、「どこはどうしてもだめ」が当然のように描かれてるけど、他の部分で違う背景(近親婚を繰り返してる)を考えると、そこの理由付けも弱いなぁと思います。
叔父と姪はOKだけど兄弟はNOって事もハッキリ書かれてるわけじゃないし、兄弟はものすごく嫌悪されることとかいう背景が書かれてれば納得いくかもしれないけど、何もないのでわかりにくい。

 

そしてナディルが「エルゼヴェルトの血など一滴もひいていない」からエルゼヴェルトの妻を持たせないといけなくなった、エルゼヴェルトの血をひいていればアルティリエと結婚しなくてもよかったのに、と言うんですが、ナディルはエルゼヴェルトの血を父方から思いっきりひいてますよね。
母方からは全くありませんが、父方は普通に王家の直系なので「一滴もひいてない」なんてことないと思います。母系で考えてるから父系の血は関係ないってこと?そうは言っても父方だって実際には全く関係なくなかったんだから・・。

ナディルがエルゼヴェルトの母を持っていたとしても、今までのルールからいったら王様の妻は基本エルゼヴェルトの娘ですよね。

国王は自分が子供を持たなければエフィニアが死ぬことはなかったって言ってたけど、そこの意味がわからない。エフィニアはナディルがいなかったらどうなったっていうの?エルゼヴェルトの他の候補でナディル、それ以外にいなかったからエルゼヴェルトに嫁いだんだろうから、どっちにせよエルゼヴェルトに嫁ぐことになったんじゃないの?

 

そして更に、ここまでの事情を踏まえて、国王は現エルゼヴェルト当主=アルティリエの父をものすごく憎んでいると言います。エフィニアを国王の元から奪い、不幸にして死なせてしまったからなようですが、不幸になるのはわかってて嫁がせたのは国王で、アルティリエの父に鍵の姫であるエフィニアを大事にする意識が薄かったにしても、それは愛情面で他に好きな女がいたってことで、生活面ではそれなりにちゃんとしてただろうから、エフィニアを愛さなかったってのは仕方ないと思います。

そもそもそこら辺は、愛情第一じゃなくて、血筋第一で政略結婚を繰り返してるんだから、むしろエフィニアの方がエルゼヴェルト当主に恋してたのに気持ちの面で叶わなかったからといって、王族なんだから仕方ないって教育しとかないとダメなことじゃないのかなぁ。
まあ18歳でアルティリエを産んですぐに亡くなっちゃったので、そういう面で折り合いをつける間もなく、亡くなってしまったって事なんでしょうが。

だから、国王がエフィニアを奪われたと言ってエルゼヴェルトを憎むのは理不尽な感じがして、全然共感できないんですよね。そもそも自分が嫁がせたわけだし、「エルゼヴェルト」というものに対する憎しみが深いみたいに言ってるけど、エルゼヴェルトは昔から守ってきたものっていう意識があるはずで、それがあるのにそこまで「エルゼヴェルト」を憎む?当主本人だけじゃなく「エルゼヴェルト」に対する憎しみって描かれてるのが、「ええ?」って感じでした。

 

当主本人にしたって、そこまで憎むほどの事はしてない気がするんです。
政略結婚の妻であるエフィニアを愛さなかったのは貴族社会的にはよくあることだろうし、衣食住で不自由はさせなかっただろうし、亡くなったのは出産のせいで、当主のせいなわけじゃないし。
ここまでのことって、物語中では今ここに説明しているのとは逆の順番で説明されていってるので、後から憎む理由が上に書いたように語られるんですが、わかってみると、そこまで憎むこと?国王の逆恨みじゃないの?国王だって不幸になるのがわかってて結婚させたわけだから、同罪じゃないの?って思いました。

そして、その憎むべきエルゼヴェルトの娘であり、愛しいエフィニアの娘でもあるのが、国王がアルティリエに対して、愛憎の入り混じった複雑な気持ちを持つ理由だと語られる。
そしてその国王の憎む気持ちを敏感に感じ取って、王妃を始めとする周りの者達が、アルティリエに意地悪をするようになり、最初は物を隠したり壊したり程度だったのが、どんどん伝播してエスカレートしていったということらしい。

さらに国王は、周りの者に意地悪されているアルティリエが泣いたり沈んだりしているのを慰めてあげる事に喜びを感じ、自分がその元凶でアルティリエを傷つけているのだという事にも喜びを感じるという、歪んだ感情を持っていた。
アルティリエが涙を流し、耐えきれずに1つずつ感情を無くしていく様に心が震え、アルティリエを害する者に処罰を与え、アルティリエを庇護しているという事に酔った。

 

うーん・・・・・国王、ものすごく病んでると思いました。
エルゼヴェルトとか関係ないんじゃないかな・・。
美しい小さい女の子を自分で(間接的に)傷つけて慰めて庇護して喜んでるって、かなりヤバイ感じだと思います。エルゼヴェルトの娘だからとか関係なく、今までの人生のうっぷんがアルティリエに対する歪んだ感情になってるだけって気がしました。

身体的に傷つけるのは許さず、それに対しては厳罰を与えていたというけど、エスカレートしていって危険なのをわかりながら、完全にやめさせはしなかったっていうのが、歪みすぎてて怖い。
エルゼヴェルトの唯一の鍵の姫になる存在だってわかってるのに。
それが結局、湖にアルティリエを突き落としたり、毒を盛ったりになったわけで。
エルゼヴェルトの姫を守る使命よりも、自分の歪んだ感情が優先されちゃったってこと?
国王の気持ちは全く理解できない。

これがアルティリエが転生前に人形の姫と呼ばれるようになる程、感情を無くしていた理由。
身体を傷つける事には処罰を与えたとはいっても、処罰を与えたって事は、実際に傷をつけられちゃったってことだろうし、厳罰を与えても無くならなかったから湖から突き落とされる所までいっちゃったわけで。
身体を傷つけられなかったにしても、自分が大切にしてるものをダメにされるとか、無くされるとかを、自分の母親代わりの王妃や身の回りの世話をしてくれて身近にいる侍女達に、延々とされ続けてたら、そりゃあものすごく辛いでしょうね。
彼女には逃げ場がないし。

 

そしてそれをわかっていながら、よしとしてやらせ続けて喜んでいた国王って、最低ですよ。
ものすごく。エルゼヴェルトを憎むとか言ってるけど、エルゼヴェルト当主より国王の方が断然酷いでしょ。エフィニアも若かったけど一応成人してたのに比べて、アルティリエなんて、いたいけな子供ですよ。
しかも育ててもらって面倒見てもらってる人たちが、自分に悪意を向けてきてるなんて、まだ自分ではどうにもできない年でそんなことされ続けるって、どれだけ陰湿なイジメなんだよって事です。

物語中では今ここに説明しているのとは逆の順番で説明されてて、アルティリエが命を狙われる行動の発端は王妃(王妃は殺そうとはしてない)、王妃の行動の理由は国王の望みを叶えようとしたため、国王はエフィニアの死の責任があると思ってるエルゼヴェルトを憎んでいるからその娘のアルティリエに愛憎の混じった歪んだ感情を持つ、エフィニアは国王の愛したエレアノールの娘、エレアノールに繋がるエルゼヴェルトの血筋、ダーディニア建国の理由は統一帝国の皇室の血筋を守るため、と説明されていきます。

最初の方では国王がエルゼヴェルトを憎いってものすごく言ってて、どれだけすごい理由があるんだって思ったら、それほどたいしたことなくて、国王の方がよっぽど酷いことしてるじゃんって思いました。

 

それと国王が、ナディルとの遊戯、賭けだって言ってるのが何なのかもよくわかりませんでした。
ナディルが国王達の悪意からアルティリエを守れるかの勝負?
でも国王も結局、アルティリエを死なせるつもりはなかったんだよね。
それで何が勝ちで何が負けになるの?
アルティリエがここに来た時点で国王の負けだとか、アルティリエが勝ったんだとか、勝負がつかないうちに死ぬんじゃないかと焦ったとかも意味不明。

これだけ長々と事情説明をしているわりに、そのものズバリをちっとも言ってないので、ものすごくわかりにくい。なんでナディルとエフィニアが兄弟とか言わないの?
血筋を守るのが国を作った理由とまで言って大切なはずの血筋なのに、なんでいまいち詰めが甘いの?
それが最重要事項なんでしょ、王家と四公爵家の。
だったら、姫を外国に行かせない、第一王子に会わせて根回ししておく、くらいのことは誰かが考えるでしょうに。

 

WEB版はわかりにくいところがあってもしょうがないと思うけど、書籍版は出版社の編集の人がチェックしてるはずで、それでここわからないって思わなかったのかなぁ。

私はそんなに物分かり悪いほうじゃないと思ってるんだけど、私にはものすごくわかりにくかった。ナディルとエフィニアが兄弟って読み取れなかったし、国王がエルゼヴェルトをそこまで憎む理由も理解できなかったし、勝負の意味もわからなかったし。

国王はアルティリエは死ななくても、周りの者に死者が出て誰かが死んでも興味がないとか言っちゃってるし、もう完全にダメでしょ。人としても王様としても。
自分でも自覚してるっぽかったけど、自分「も」っていうか、国王が一番ヤバくて、ダメな人だから。
エルゼヴェルトはたいして悪くないし、国王がエルゼヴェルトを憎んでるのって逆恨みだし。

毒見役の侍女が死んだってのも結局、悪意が伝播して周りの者に出た死者の一人って事で、国王か王妃の意図を拡大解釈してアルティリエを殺そうとしちゃっただけってことなのか?彼女自身も王妃から送り込まれた意地悪工作要員の一人で、また別の誰かの工作の被害に合ったってこと?

湖に落とされた事件も同じように悪意の伝播の結果で、黒幕=国王が殺そうとしていたわけじゃなかったってことなの?黒幕は誰だ的な感じだったのに、突き止めると結局肩透かしな感じ。それはそれで、湖に落とされた事件の黒幕は殺意を持っていなかったってハッキリ言ってほしかったなぁ。

そしてこれだけ陰湿な酷いイジメをさせていた元凶に対して、その頃の記憶がないとはいえ、そういうことされてたって聞いただけでも結構酷いと思えるような事を、最後は「もういいかな」みたいな感じで、軽く許すみたいな感じでアルティリエが終わらせてるのも、納得できなかった。
余命短い相手とは言え、かなり病んでるし、人としておかしいこと言ってたよ。

 

王妃だって結構なものだよ。
王妃は侍女に毒をもたせてないとか言ってたけど、お茶会で、下剤と別の麻痺薬を入れたのは、王妃なんでしょ。同じような麻痺薬を昔飲んだ人は小指に未だに麻痺が残るくらいだったんでしょ。
それってもう毒を持ったのと一緒なようなもんでしょ。身体の弱い人だと死ぬこともあるって言ってたし。
母親面して、いたいけな幼児に意地悪を繰り返すって、好きな男のためとはいえ、人としてダメだと思います。
相手が大人ならわかるけど、12才以下の子供ですよ。いい大人がそんな子供をイジメ続けるの?児童虐待ですヨ。

王妃は前例のない外国出身の王妃で苦労したはずだけど、周りに慕われて認められてるのでスゴイって言われているけど、そんなスゴイ人が子供をイジメるの?

そして王妃は特に処罰されるでもなく、国王が亡くなって引っ越しはしたけど、普通に暮らしてるわけで、表立って処罰もできないし、母親だからってものあるだろうけど、何もなしってのは納得いかない終わり方だなぁ。
国王も王妃も、やってることは結構酷いことだったのに、それが明らかになって終わったというだけで、特に処罰とか、痛い目を見るとかなく、最後はあっさり終わってるのが納得いかない。

と、だいぶ長々と書いて、疲れたので、この件についてはここまで。
この秘密の暴露でほぼこの話は終わり、最後はエピローグのナディルとアルティリエのラブラブシーンでおしまい。

 

「王都迷宮編」感想

最初はナディルが国王になるということで、二人目以降の王妃、もしくは側妃を狙う女性たちの話がでてきます。前巻のダーディニアの血筋の事情で、アルティリエが産んだ子供しか王にはなれないんですが、そこは国王と四公爵家の当主ぐらいしか知らない秘密なので、ナディルに見初められ子供を産めば未来の王の母になれるかもと想っちゃう人がいるわけです。

夜会で作法を無視して無理矢理ナディルに自分がナディルを慕っているという気持ちを伝えてきたお嬢さんの話で、彼女がナディルを慕ってるのは構わないけど、彼女が縁談を断ってきた理由をナディルにするのが許せないとアルティリエが言ってるのはいまいち理解できませんでした。
ナディルはもうすぐ王様で地位はめちゃくちゃあるし、美形だし、誰もが憧れて慕う女性が多いのは仕方ないとして、それでもやっぱりそういうのを目の前で見るのは「嫌だ」って思います、私だったら。

でもそういうのはよくて、縁談を断った理由をナディルにするのが許せないっていうのが、私にはよくわかりませんでした。ナディルもその部分を口に出して怒りますが、それはつまり作者さんはそう考えてるってことなんでしょうけど、私にはそれこそ彼女が何を理由に縁談を断ろうが彼女の理由なんだからどーでもいいんじゃない?って感じます。それより自分の好きな人=ナディルに対する恋愛感情を見せつけられる方が嫌だと思うんですけどね。

 

だって、縁談を断る理由にされたからってナディル達にはほぼ関係ないし被害を被ることもないだろうこと。殿下のせいでうちの娘が縁談を断って困るなんて言ってくる貴族はいないでしょう。
そしてそうやって勝手にあれこれナディルのことを考えたり理由にしたりして心の中で思ってる人ってのはおそらくいっぱいいると思います。殿下の役に立つように勉強をがんばろうとか、殿下が美形過ぎて殿下の絵ばかり見て勉強が手に付かないとか。そういうナディルに直接関係ない勝手なことを言ってるのと同じレベルのことって気がするんですよね、ナディルのために縁談を断るってのは。
そしてそういう直接関係ないことは、どーだっていいじゃんって思うんです。害もないんだし。
それに彼女は縁談を断るほどに慕ってると言ってるだけで、縁談を断る責任をナディルに押し付けようとしているわけじゃないと思います。

でもナディルを慕っているというのは、勝手に心の中だけで思ってるのはいいと思うんですが、こうやってナディルを止めてまでして行動を起こされると、ナディルにとっても無駄な時間を取らされて迷惑になるわけで、こっちの方が断然怒ること、嫌なことだと思うんですけどね。

それとこの時、グラーシェス公爵が話を聞いてやってくれと言った理由がなんだったのか、よくわかりませんでした。実は大事な話だったのかなと思ったら、ただ「ナディルが好きだ」って伝えてきただけの迷惑行為だったわけで、なぜこのアホなわけではないらしい公爵が自分への温情を持って聞いてくれと言ったのか、ハテナでした。
結局、最初に声を掛けるのに利用された公爵の妻のことを公爵が溺愛してたからってことなんですかね。この娘のほうじゃなく。

 

そして、アルティリエはグラーシェス公爵の妻、エレーヌを暗殺しようとする事件に巻き込まれ、逃げて地下遺跡に入り込み(王家の血を引くか、鍵の姫以外の者が入ると不思議な番人に殺される)、出ると王宮の外に出てしまい、命を狙われているのでそのまま普通に門から入ることが出来ず、箱入りで物知らずのエレーヌと共に困った事態になる。

グラーシェス公爵家の王都屋敷(エレーヌの家)に行くことにするが、体の弱いアルティリエは歩いていて途中で倒れてしまう。エレーヌはどうするか迷いつつ、アルティリエを置いて馬車を見つけて乗り屋敷に戻って助けを呼ぶことにするが、その間に、アルティリエは孤児院の子供たちに発見され孤児院で保護される。

平民が貴族の家にいきなり行って話を聞いてもられることもないので、子供たちに頼んでグラーシェス公爵家に言伝ても頼めず(間に人が入ると途中で敵に邪魔されるかもしれないし)、どうやってナディルの元へ帰ればいいか考えつつ、孤児院で世話になり、お祭りで売るお菓子づくりを手伝ったりする。

孤児院の近くの教会に、ナディルの弟であるギッティス大司教シオンが来ることがわかり、アルティリエはその時にシオンの視界に入って見つけてもらおうと考える。
が、同時にナディルもアルティリエの行方をつかんでいて、シオンの護衛に扮してナディルもシオンに同行して来ており、祭りで孤児院のお菓子売りをしてて、ガラの悪い商売敵にアルティリエが暴力をふるわれそうになったところを、ナディルが助ける。王子様的な危機一髪で助けるやつ!
そこで無事、アルティリエはナディルに抱っこされて王宮に帰還。

 

アルティリエは疲れで途中で眠ってしまい、目覚めるとナディルの寝室で一緒に眠っていた。
戻ってきた時にタイミング悪くアルティリエの部屋にすぐに戻せず、とりあえずナディルの寝室に寝かせておいて、ナディルは仕事で遅くなってしまったので、そのまま一緒に寝たらしい。

寝起きの寝室にナディルの侍女が「自分の気持を伝えたくて」と夜這いをしかけてきたところへ、ナディルは剣を突きつけ、近衛兵を呼び、侵入者として連行させる。ナディルはわざと近衛兵をはずして侍女が寝室に入ってこれるようにして罠にはめたらしい。

この後、アルティリエは「(いろんな意味での)大掃除」のために自分の宮を離れてしばらくナディルの宮にいることになり、男装してナディルの小姓として傍に付き従う事になるが、側近のフィンに連れられていく途中ではぐれてしまい、ファーサルド子爵に追いかけられる事になって、逃げているうちにナディルの執務室に到着。
そこで人が来る気配に思わず隠れてしまい、ナディルと異母弟のエオルの会話を聞いてしまう。

アルティリエ&エレーヌ襲撃につながった事件と、夜会でエレーヌを介して令嬢がナディルに気持ちを伝えた事件、アルハンの令嬢を後宮に入るように勧めた事、直近でファーサルド子爵がアルティリエを誘拐しようとした事件(ファーサルド子爵に追われたのは侍女に渡された鍵を奪おうとしたためで、ファーサルド子爵は捕まりそうなのを逃げていたと思われる)などの、黒幕がエオルだったということ。

 

黒幕といっても、エオルには悪意はなく、エオルはアルティリエに恋をしていて、アルティリエと結婚するために?王太子の地位を狙っており、そのことをいろいろなところで公言していた。エオルは自分の地位や立場を理解しないで安易に自分の希望を口にしてしまうオバカさんな王子だったのだ。
それを野心的な側近のファーサルド子爵が利用して、悪事はエオルの名前を利用してファーサルド子爵が計画して実行していた。

エレーヌ襲撃は、前の巻で出てきた疫病が広まってしまった原因がエレーヌの行動だという噂を利用して、その時に親しい者を亡くした人に甘言をして利用し、襲わせたということらしい。
ここではエレーヌの行動は疫病が広まったことと関係なかったってことになってるけど、前巻(WEB版)では、全体像やその先を見ないで目の前の善行を優先させた結果、疫病を広めることになってしまった愚行ってことになってなかったっけ?と思ったけど、確認するのはもう面倒なのでまあいいや。

ってことは、襲ってた人たちの標的はエレーヌだったけど、黒幕の標的はアルティリエだったってことなの?
だとしてなぜアルティリエを殺すんだろう?うーん、なんかはっきりズバリ言ってくれないのでよくわからない。

エオルは、アルティリエの誘拐計画を、エオルの恋心をくんだファーサルド子爵がアルティリエを自分のところに連れてきてくれようとしただけだ、と軽く考えてるような脳天気な思考で、エレーヌ襲撃とかアルティリエの命が危なかったとか知らなかったけど、「王太子には自分のほうがふさわしい」とか王太子の地位を狙うような発言を何度もしていることや、アルティリエの命を脅かした事は重罪として罪に問われる事になる。

ファーサルド子爵は処刑され、エオルは表向きは病死という事で死罪になり、葬儀が行われた。
が、公式には死んだことになっているが、エオルはアルティリエがお世話になった孤児院で、新しい修道士として暮らしていることをナディルはアルティリエに教える。

 

建国祭の鍵の姫の儀式と、戴冠式のための潔斎の儀式のため、ナディルは北の塔へ、アルティリエは王宮の地下にある祈りの間へ行く。
そこで翌朝まで過ごし、翌朝、ナディルがアルティリエを迎えに来ることになっているはずだったが、体力のないアルティリエを助けるため、裏技を使ってナディルがアルティリエの所へ助けに来た。
ここは古代遺跡で、ナディルは学者たちと研究していて遺跡に詳しいので抜け道を知っているのだろう。

祈りの間はエレベーターになっていて、乙女役が鍵の姫でない場合は祈りの間は動かず、地下への道が開かない。また祈りの間も北の等も建国祭の期間しか地下への道が開かれない。

ナディルはアルティリエの鍵の姫の力を使って、王家の宝剣ルファナザートの逸話を確かめたいという。
そこにあった石像の剣をアルティリエが触ると、光って本物の剣になった。
その場所で夜を明かして翌朝、いろいろと歩き回って辺りを調べたナディルが「始まり」の場所を見つけたと言ってアルティリエを連れて行く。
統一帝国の祖先は空から来た=宇宙から来たと言われているそうで、その血筋に時々異能を持つ者が現れ、ナディルもその一人、学問に特化した頭を持つ者だそうだ。
そしてその場所には、人工的に作られた薔薇を含む青い花々が咲いていた。王家やエルゼヴェルトの紋章にある青のロゼフィニアは、ダーディニアの王宮にしか存在しないらしい。

その場所で、ナディルとアルティリエは二人で宣誓の儀式を行った。
ナディルは「私はすべての知を守る者なのだ」という。
詳しく語られないが、おそらくナディルはこの世界の人の常識を覆すような事も知っているんだろう。

 

地上に戻って、聖職者たちの見守る中で決められた宣誓の儀式をし、ナディルは国王になり、アルティリエと共に、パレードで街中を回った。国王陛下万歳。王妃殿下万歳。

「王宮陰謀編」で書かれている王家の秘密が納得いかない部分が多くて、思わず長文を書いてしまいました。そういう謎なところは好きなんですが、ハッキリ言わなすぎてモヤモヤする。
「王都迷宮編」の方も、黒幕(エオル)が意図してないことまで周りでされちゃって思わぬ方向にいく話だったけど、国王の方が意図して無くてもわかってたってとことか断然病んでてヤバい人だったけどね。

ナディルは好きだけど、アルティリエがちょっとおばちゃんぽく感じてしまうところが・・・残念。
それと、イラストの見た目もナディルはかっこよくて好きだけど、アルティリエはかわいい系すぎて、もうちょっと美形な美人系の顔の方が釣り合い取れていいのになぁ。作品中でもそんな感じの描写だと思うし。

この続きで、WEB版無しの書き下ろしで「王国騒乱編」が書籍で出ているようですが2019年4月現在完結していないようです。

 

小説の試し読みはコチラ 1〜9巻

マンガ版もあります 試し読みはコチラ