漫画「眠れぬ夜の情熱 大富豪の結婚の条件」漫画:羽生シオン 原作:ジェニファー・ヘイワード 感想


<↑試し読み> Renta!

ハーレクイン・コミック。
「大富豪の結婚の条件」という4部作シリーズの1作目。
ハウス・オブ・モンデッリという世界的なファッションブランドのCEO、ロッコ・モンデッリと姿を消していたスーパーモデル、オリヴィア・フィッツジェラルドの恋のお話。

ピッコマにて。完結。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

 

 

ハーレクイン・コミックについて

ピッコマでハーレクイン・コミックをいくつか読みましたが、その中で好きな作家さんの1人が、羽生シオンさんです。絵柄がすごく好きです。

話の内容は、ハーレクインと呼ばれる作品は、大筋では、男女の恋愛物語で、あれこれあって最後はハッピーエンドというストーリーなので、わりと気楽に楽しめるお話だと思います。
あんまり重い話を読むのは嫌、ハッピーエンドがいい、それなりに切なくなったり胸キュンを楽しみたいっていうような目的で、気楽に読めます。

原作はおそらくほぼ海外の作家の小説で、日本の漫画家の方が、自分なりの解釈やアレンジをしたりしつつ描かれてるんじゃないかなと思います。
小説の方を読んだことはないので、はっきりとは知りませんが、コミックの方はだいたい同じような長さになってるので、細かいとこは端折られてるんだろうと思います。

なので、大筋のストーリーは原作者の傾向があると思いますが、漫画としてのキャラの表情だったり、微妙な感情の表し方なんかは、漫画家の方の味が出てるんじゃないかと思うので、ストーリーよりも、やっぱり描かれる漫画家さんによって、好き嫌いを感じるなぁと思います。

 

そして、途中のあれこれは、裏切りかと思うような事とか、誤解、行き違いが起こることが多く、どうなるんだ?とハラハラしたりしますが、最後はあっさりうまくいって終わりになってしまう事が多いです。
誤解が解けた、結婚しよう、とか、愛してるで終わり、みたいな。

途中は面白いんだけど、最後があっさり過ぎて、読み終わるとなんとなく物足りなさを感じる事が多いです。まあ全体的にストーリーは、あっさり目が多いです。激しい感情は出てきても、あまり深い事情は描かれないとか。もしかしたら原作の小説では詳しく描かれてるかもしれませんが、コミックにする際にメインのストーリーに関わらない部分はバッサリ切られてるのかもしれません。
でもその全体的な長さがそう長くないところが、気楽に読めていいところでもあります。

それから、妊娠した、実は妊娠してて相手に知らせず子供を産んでた、っていう展開もよくでてきて、妊娠が絡むことは多いです。避妊に気をつけてたのにとか避妊に触れる事もありますが、話に出てこない事も多く、だいたい現代の話だと思うのに避妊してないのかよってちょっと思います。
話の展開として、妊娠した、子供がいたと知って態度が変わったとか、それでもうんぬん等が好まれるってことなのかもしれないですね。

 

それとハーレクインのレビューを読んでて知りましたが、男主人公をヒーロー、女主人公をヒロインと呼ぶようです。作品を読む上では全く必要ない事ですが、レビューを読んだ時、最初は「ん?」って思っちゃいました。ヒロインは単に女主人公ですんなり理解できるけど、ヒーローは、正義の味方みたいなイメージがあるので、ただの男主人公というのがすぐにはわからなかったです。

ピッコマで「○○セレクション」とタイトルのついているハーレクインコミックは、4〜5冊分がまとまって、ピッコマの中での1冊の扱いになっているので、最後の1作品以外は「無料で¥0」で読めるんです。
なので、オススメです。

私は絵柄がどうにもダメだと思った作品以外で、「無料で¥0」で読めるハーレクインコミックはほとんど読みました。
そしてすごくいいなぁと思った作家さんは、羽生シオン、アリスン、です。
残念ながらピッコマではあまり配信されてないですけど。
でも、羽生シオンさんの2012年の作品を見るとだいぶ絵柄が違っていて、2013年後半以降のがいいかなと思いました。

「大富豪の結婚の条件」4部作シリーズも既に全作完結してますが、ピッコマでは4作目がまだ配信されていないままなので、読めてなくて残念です。
「大富豪の結婚の条件」の前に「ファム・ファタールの息子たち」という3部作シリーズも描かれてるようで、これもrentaで試し読みしましたが、ピッコマで配信されないかなーと思ってます。

 

「大富豪の結婚の条件」4部作シリーズ

各作品の男主人公、ヒーローが同じ大学の友人同士で、今は大富豪になっている人たちという繋がりがあります。大学で、コロンビア・フォーと呼ばれていた4人組のようです。
おそらくコロンビア大学の4人組みたいな意味で、確かコロンビア大学はレベルの高い大学です。

コロンビア・フォーの合言葉は「生きることを忘れるな(メメント・ウィーウェレ)」。
人生を楽しみ、いくらでも冒険をしろ。

1作目にも他3人がちょこっと出てきていますし、他の作品でもヒーロー以外の3人が絡んできます。
1作目に会話有りで登場しているメガネ君の話は1作目では何のことかわからない事も話してて、わからないまま終わってしまいますが、メガネ君がヒーローの3作目でわかります。

 

ストーリー

ハウス・オブ・モンデッリという世界的なファッションブランドのCEO、ロッコ・モンデッリの祖父で、ハウス・オブ・モンデッリの創始者、ジョバンニ・モンデッリが亡くなった。
ロッコの母は妹のアレッサンドラを産んだ後、亡くなり、父は酒とギャンブルに溺れて抜け殻になってしまい、祖父に引き取られ育てられた。

遺産は、父には残されず(ジョバンニは母方の祖父なので)、ロッコとアレッサンドラの他に、オリヴィア・フィッツジェラルドにも残されていて、ジョバンニの死に際にロッコは「オリヴィアを頼む」と言われていた。

オリヴィア・フィッツジェラルドは、世界的なスパーモデルだが、1年前に突然失踪して姿を消していた。
オリヴィアと祖父の関係を知る者はおらず、彼女はあの偉大な祖父の愛人なのかだろうかと思いながら、ロッコはオリヴィアに会いに行く。

オリヴィアはミラノのレストランで働いていて、ロッコは彼女を祖父が買ったアパートメントまで車で送る。部屋のドアで帰り際にロッコはオリヴィアにキスをして、次のカモを探してるのかと言って、オリヴィアを糾弾し始める。

 

オリヴィアはジョバンニの愛人ではなく、昔、モンデッリのモデルをしていたオリヴィアの母親がジョバンニと恋仲だった。二人共不倫で結局、ジョバンニは妻を選んだがオリヴィアの母は夫と離婚しモデルも辞めた。

モデルの世界から逃げ出しマスコミに追われたオリヴィアはジョバンニしか頼るあてがなく、彼がモデル契約の違約金も払ってくれ、アパートメントも貸してくれた。違約金は返していくつもりだという。
ロッコは彼女の話を信じられず、1週間以内に荷物をまとめて出ていくこと、違約金も返済してもらうと言って去る。

ジョバンニの遺言で、会社の持株のうち50%をロッコに、10%を取締役会議長のリアルトが管理する事になったと知る。今までモンデッリは60%の株を保持する事で一族経営を貫いてきた。
取締役会で、ジョバンニのように「国民の息子」と呼ばれるような国民や世界中のユーザーから愛されるような人物かどうかを判断する、ロッコはまだ若くマネーゲームに走っている、結婚して身を固め、もっと人として根を張った生き方をしてほしいと言われる。

 

ロッコはオリヴィアに取引を持ちかける。
取締役会議長のリアルトにオリヴィアを紹介し、彼女がかかえる違約金を報酬から差し引く条件でモンデッリの専属モデルになることになった、自分と婚約しているという。

内容を知らずに連れて行かれたオリヴィアは、自分にはもうモデルはできないのだとロッコにいう。
オリヴィアは重度のストレスとプレッシャーでパニックの発作が起きて、まともにランウェイを歩けなくなったのだという。

オリヴィアはN.Y.に連れて行かれ、コロンビア・フォーの1人、ステファン・ビアンコに紹介される。
オリヴィアは専属モデルと婚約発表の記者会見前に極度の緊張からトイレで吐いているのをロッコに見られる。ステージに上る前はいつもこうなるのだというオリヴィアに、ロッコは手をつないで「大丈夫、一人じゃない、君には僕がいる」と言って記者会見に臨む。

記者会見の帰り道、ロッコと一緒にオリヴィアは公園を散歩しながら話をする。
オリヴィアの母から電話がかかってきても出ない事から母の話になり、オリヴィアの母はオリヴィアをモデルにし、自分がモデルだった過去の栄光を捨てられずに見栄を張って浪費してしまうため、オリヴィアのお金は母に全て使われてしまったという。
ロッコはオリヴィアにかかってきた母からの電話に出て挨拶をする。

 

ここで何をどう言ったか全く出てこないけど、うまく言ったらしく、次のシーンでは「あなたってすごいのね」とオリヴィアに言われている。
そして2人はいい雰囲気になり、一夜を共にする。

ロッコはリアルトに、オリヴィアと結婚したからといって経営権を渡すつもりはない、役員会は結婚すればいいと思っているようだが、私はそういう形では判断しない、考え直すなら今だと言われる。

N.Y.コレクションで、オリヴィアは去年亡くなった親友の妹を見て悲鳴を上げてしまう。
去年のN.Y.コレクションでオリヴィアの親友のモデルが薬物中毒で倒れて亡くなり、オリヴィアはステージに上がれず、そのまま失踪していたのだった。

ロッコはオリヴィアと手をつなぎ、ステージ袖まで連れて行く。
ロッコは公園を散歩した時のように歩いていくだけでいいんだと言い、オリヴィアは初めてステージの上で溶け込めたと感じる。

無事にステージを終えたオリヴィアにロッコは「君はもう自分の足で新しい道を歩いていけるよ、契約を解消しよう、モンデッリの仕事をする時は君の意思でしたいと思った時でいい、結婚式は当日破談した事にするから来なくていい」という。

 

結婚式当日、ロッコはリアルトに「間違った契約から彼女を自由にしたかったから彼女には来なくていいと言った」という。役員会の手前、ロッコが必ず結婚すると思っていたリアルトは、「まだ早い気もするがしょうがない、今の君に読んで欲しい」と言って、株10%とジョバンニからの手紙を渡す。

ジョバンニの手紙にはロッコ達の父の事が書いてあった。
彼はモンデッリの令嬢と駆け落ち同然で結婚した貧しいが勇気のある若者で、妻が亡くなった時、ロッコ達の将来のためにわざとギャンブルや酒に溺れたふりをしてジョバンニにロッコ達を引き取らせた、自分にできる最大限の事だったと後に語ったのだという。
「今のお前は父親の愛によってできている
 愛は人を弱くするんじゃない
 愛が人を強くするのだ
 愛を知って真の強い人となれ」

そこへオリヴィアが花嫁衣装でやってくる。
「本当は契約でもいいからあなたと一緒にいたかった、初めて会った時からずっとあなたに恋をしているの」
「僕もあの契約を使って君を手に入れようと思っていた でも君の事を知れば知るほど 君のことを守りたいと幸せにしたいと思うようになった」
「よければ僕と新しい契約を結んでくれないか 結婚しようオリヴィア 愛してる」

 

感想

結婚式で終わってしまいますが、この後の話は「大富豪の結婚の条件」シリーズの次作に出てきます。
といってもメインは別カップルになるので、ちょこっと出てくるだけですけど。

結局、二人共ずっと憎まれ口を叩いていたけど、最初からお互い一目惚れして惹かれ合っていたってことでした。モデルとしてダメになってたオリヴィアをロッコが助ける場面が2回あるものの、ロッコが全体的にクールで、あんまり甘い雰囲気なとこが少ないのが、ちょっと残念です。
二人とも美男美女で、見た目とか雰囲気はすごく好きなんですけど。

そしてロッコの父の話が、すごくいい話でした。
憎んでいた父が実は、自分たちのためにわざとそうしてたっていう。
でも・・・社会的成功はやっぱり祖父のところに引き取らせたおかげが大きいとは思いますが、父親を憎んだままというのは、彼の精神面に暗い大きな影を落としていたはずで、それよりも経済的に豊かではなくても、ちゃんと父親に愛されていると感じて育った方がよかったんじゃないかと思ってしまいました。

父としてはよかれと思ってやったんだというのはわかりますが、ロッコがクールすぎる性格になってオリヴィアに会うまで愛情を低く見ていたのは、父親のせいだと思うので、人としては、はたしてそれが幸せなんだろうかという疑問が湧いてしまいます。

 

ロッコに能力があるなら、普通の生活からのし上がる事もできただろうし、そもそも父親は普通の標準レベルの生活を送れないくらい貧しかったのかっていう疑問もあります。
よっぽど抜け出すのが難しいくらいの身分制度があってとか、貧しい生活水準でというのっぴきならない事情があるなら、金持ちの祖父の所に行かせた方がいいかもしれないけど、標準レベルの生活なんだったら、愛情ある父親の元で育って、大きくなってから祖父に紹介してという方法だってあっただろうしとか、考えてしまいました。

それに父が祖父に事情を明かした時にロッコにも言ってあげればよかったのにと思います。
父とは今音信不通になってるのかな。

オリヴィアの母も、ロッコが何を話したか全く描かれないのが、ちょっとなぜ?って感じです。
どういう事を言ってどうなったのか全く不明なまま終わってしまいます。
今後、母から金の無心をされないですむようになったんでしょうか。

 

それと、あれ?ジョバンニの恋相手のオリヴィア母は生きてるんだって思ってしまいました。
不倫しちゃったけど、ジョバンニは最後は妻を選んで、だから「取り戻したい」って言ってたって事なんでしょうね。だからオリヴィア母には何も残さないけど、子供の頃から知ってて、まだ若くて自分を頼ってきたオリヴィアの事は気がかりで、ロッコに託したってことなんでしょう。
ジョバンニにとってオリヴィア母はもう過去の人ってことだったんでしょうね。

原作の小説ではもっと詳しく描かれてるかもしれませんが、おそらくオリヴィア母の事はバッサリ切られたんですね。

ロッコ父、オリヴィア母についての方が長くなってしまいましたが、主役2人の見た目と雰囲気がすっごく好きです。また言うけど。
カッコいいし美人だしかわいいし。

全体的にあっさり気味、最後は特にあっさり終わってしまうのはハーレクイン・コミックでは多いけど、この作品は感情的になる人が出てこないので、中でもあっさりな方かなと思います。

 

ピッコマで読むには

「眠れぬ夜の情熱」というタイトルでこの作品単体でも配信されてますが、これは最後の方は有料話になってます。「待てば¥0」で全話読むには「傲慢男子にXXされて...!?セレクション」というタイトルで検索するとその中に「眠れぬ夜の情熱」が含まれていて読めます。

「○○セレクション」は1作品目の作者のみ作者として検索対象になってるので、「羽生シオン」で検索しても、「○○セレクション」に含まれる作品は出てきません。