漫画「シマシマ」山崎紗也夏 感想

 

夫と別れてから不眠症に悩む女性、シオが、エステ店を経営しながら、添い寝屋「ストライプ・シープ」を4人のイケメン男子と始めます。そこでのいろいろな人間模様のお話。

以前、電子書籍サイトで2巻まで無料で読んで、ちょろっと感想をかいた作品です。
今回、アプリpalcy(パルシィ)で、期間限定キャンペーンで最後まで無料で読めたので、改めて感想を書きます。

前回のを読んでみたら、5年も前でした。
しかもほんとにちょこっとしか書いてなかった・・。

群像劇はそれなりにおもしろかったんですが、主人公シオの恋愛事情がどういうことなのか、あまりはっきりしないままで、終わり方にも不満が残りました。

無料で読めるのを発見して、前に気になったけどいまいちな印象だった記憶があるので、とりあえず最後の方だけ読んでみたんですが、最後にシオが選んだ人は後ろ姿だけで出てきて誰なのか気になって、半分ぐらいから後半読んで、最初から読んで、って感じの変な読み方をしてしまいました。

いろいろ気になって更に〜って感じで読んだので、それなりに気になって読んでしまう話ではありました。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

 

 

 

添い寝屋

主人公のシオ(28)がリーダーで、お客さんと面接、仕事を受けてメンバーに割り振る仕事をしてます。
メンバーは、ガイ、ラン、リンダ、マシュー、の21〜22才の男子4人。

シオ自身が、夫と離婚後に不眠症になって、夫の弟ガイにたまたま添い寝された時にぐっすり眠れたのをキッカケに、不眠に悩む女性のためにということで、始めてます。

作者さんも最終巻のあとがきに書いてますが、実際にこういう商売ができるかっていったら、添い寝のできる男子を集めるのが難しいだろうなーと思います。

一応、シオが最初にお客さんと面接して、客を選んでやってましたが、どうしても性的な事が絡んでくると思う。
この話の中にもでてきてたけど、お客さん側が求めることもあるだろうし。

そしてお客さんの家に行くっていうのも、トラブルありそう。

お客さんが女性ってのは家を知られちゃうリスクが大きいし、襲われた時に抵抗できないし。
実際に家に行くっていう性的サービスはあるようだけど、最初から性的な事が目的ならいいけど、それはなしってことになってて襲われるのを防ぐってのは難しい気がします。

まあ実現可能かどうかはおいておいて。

ただ添い寝するってだけじゃなくて、不眠な人が安眠できるように、飲み物を用意してあげたり、寝やすいムードを作ってあげたり、マッサージしたりと結構いろいろ気をつかってやってるのがスゴイなと思います。

しかも、初めてのお客さんは、ほんとに眠らせてもらえるの?っていう、上から目線でくる事が多い。

そこをがんばってやってる彼らはすごいと思うけど、安眠の責任まで持つのって厳しいと思うなー。

必ず眠れるという保証はないけど、不眠な人が添い寝で寝れるかもしれないから、ただ単に添い寝のサービスをするって事でもいいと思うのになーと思いました。

それと、不眠な人が知らない男の人に添い寝してもらって、寝れるのかなぁ?っていうのもちょっと疑問に思ってます。

シオの場合は知らないうちに添い寝状態になってた状況だったので、相手を知らずに寝てて、ただ単に人肌があって眠れてたわけだけど。

性的なサービスを受けようと思うのと、不眠で添い寝を頼むのとでは、気持ちが全く違うと思うんです。
不眠=不安な状況で知らない人の隣で寝て安心できるかなぁ?

お客さんの中に小さい子供の子育て中で、夫が単身赴任で不在な女性がいましたが、これはちょっと私的には、無いなーと思いました。

子育てが大変、ストレスなのはとてもわかります。

不眠というより話し相手として呼んだっぽかったけど、男性と話をするにしても、だったら昼間に子供を一時保育に預けて、その間に何か男性と話せるサービスを利用するとかをした方がいいし(休むとかショッピングするとかでもいいし)、知らない男の人を夜、家に入れるっていうのは無いなー。

実際自分がそれをやるかって考えると、ありえないくらいに無い。

育児中にたわいのない日々の育児の愚痴を話すのはストレス発散になるんだけど、それをこういう形で達成しようという発想が全くわかないなぁ。

それにうちの子供が小さい頃、長時間続けて眠る事がなくて、夜中に何度か起きてたから絶対無理だったんだけど、続けて寝る子だったとしても、絶対起きない保証なんてないと思うので「子供が起きてくるかも?」っていう事の方が気になって安眠できないと思うんだよね。

と、そのお客さんに関してはだいぶ違和感を感じました。

この作品中に出てきたお客さんは、最初不安だったりとかはあっても、最終的にみんな寝れてたので、彼らが眠るまで何かするいくつかのパターンは描かれても、それ以上のトラブル等はなく、サラッとしてます。

それとスケジュール管理が結構あいまいというか、なーなーというか、適当だなと思いました。

メンバーが4人しかいないし、この仕事はアルバイト感覚なので、彼らの他の都合で随時仕事を入れたり入れなかったりしてるから、あの様子をみると、かなりお客さんの方も予約を入れようとしても、なかなか返事がもらえなかったり、キャンセルされたりが多そうだなーって思いました。

そして添い寝屋は、ラン以外の3人の将来の道が決まりだしてから、あと1年で辞めると決め、彼らが大学卒業して就職する春に終わります。

自分と同じように不眠に悩む女性のためにで始めた添い寝屋だけど、結局シオは添い寝屋をやって、その達成感を得られたのかなぁ?

この話って、添い寝屋の仕事面にはあまり焦点を当ててなくて、いかに不眠症を解消するかは、メンバー任せで、ほんとはそこって重要だと思うんだけど、シオがそれを彼らに指導するような場面もありませんでした。

彼らはただ添い寝するだけじゃなく、相手を眠らせる事にも力入れてやってたから、本来ならそこはノウハウをみんなで共有、教育するんだろうと思います。

そこをやってほしかったわけじゃないんだけど、添い寝屋がメインの話のようでいて、その仕事内容はそんなにしっかり描かれてなくて、それを軸にして、シオと草食男子4人の人間模様を見るためにあっただけだなぁと思いました。

だから、他のメンバーを探すってとこをがんばらないで、彼らのような人たちを集められたのが奇跡、彼らがいなくなったら終わりって事で、あっさり終わらせちゃったんでしょうね。

 

 

ユミ、ストライプ・シープに潜入ルポ

途中、リンダの仕事関係で知り合ったユミが、雑誌の仕事でストライプ・シープに潜入ルポし、シオ達が添い寝屋をやってた事がバレてしまいます。

否定的な感じで記事を書かれて、お得意さんからシオに連絡がきたりもしたようですが、結局この件は、知り合いであるユミに偏見をもたずにわかってもらおうとするだけで、添い寝屋閉店の危機にはなりませんでした。

ユミを責めずに添い寝屋をやってる自分たちの雰囲気をわかってもらおうって考えるのが、スゴイなと思います。

私だったら、そんな平和的な考えできないなー。
会ったら、責めるような事言って言い合いになりそうだなぁ・・・。

ユミは最初はちょっと出るだけのキャラのつもりだったそうですが、担当編集さんに気に入られて、登場が増えたそうです。

結局最後まで出てくる脇役キャラになりましたが、添い寝屋メンバーとは和解したものの、添い寝屋を始めたシオに対しては、わだかまりが残ったままなようです。

それって結局、ユミは添い寝屋を理解できなかったって事なのかなぁ?

私はユミのようには思わなくて、知り合いが添い寝屋やってたとしても別にいいと思います。
いろいろどうしてるのか気にはなると思うけど。
ただ、子育て中のお母さんが利用するのは理解できなかったけどね。

 

 

シオの離婚事情

シオのエステ店は夫のヒビキと共同経営で開店したんだけど、1年で突然ヒビキが女を作って家を出ていってしまい、ヒビキから一方的に捨てられる形で、離婚する事になったようですが、なぜヒビキは出ていってしまったのかは、はっきり語られていません。

開店時の借金は全部シオが負うことになって大変だったようですが、離婚に至るまでの経緯も詳しく語られてなくて、その辺りがゴタゴタしたのかどうかもわかりません。

弟のガイがヒビキに会いに行って理由を聞いた時に「商売に向いてなかった」とは言ってるけど、それだけじゃ離婚までする説明に足りない・・。

離婚後のヒビキの様子とか、シオの語るヒビキの性格から推測して、忙しく真面目にエステ店を経営する生活が嫌になって、嫌になっちゃったから、シオも含めて全部捨てて逃げ出したって事なんでしょうか。

ヒビキの今の生活もいまいちよくわからなくて、初登場時に旅立つらしき女性が「彼女」だった人で別れて、その後、別の女性と暮らしてるのかなんなのか。

ぐーたらした生活してるようだけど、両親は事業やっててそこそこお金持ちぽいし、困ってるならやると父親に言われてたから、お金は親から援助してもらってるのかなとも思ったけど、ヒビキの性格からするともらってなさそうでもある。

ちょっとライターの仕事して、ヒビキの面倒見てるらしき女性のヒモみたいな生活なのかな。

ガイがヒビキに会いに行った時に、離婚理由等、気になる事がわかるのかと思ったら、ほとんどわからないままでした・・・。

シオは離婚後もヒビキに未練を残していたようです。

ヒビキはこの作品で描かれてる草食系男子とは真逆の野性味ある破天荒タイプの男性っぽくて、悪い男にひかれる的な感じで、女性がひかれちゃうのはわかります。
ヒゲは好きじゃないけど。

ただ、不良だったわけじゃなく、父親の事業の仕事に連れ回されてた時期もあって両親からは期待されてたようだし、今いるところの飲み屋の女性に「真面目」だからどーのこーのとも言われてて、なんだろう?よくわからん。

「夢破れて落ちぶれてる」ような感じっぽいけど、ヒビキが立ち直る等もなく、なんか中途半端に描かれて終わってる感じがしました。

夫の母親=義母は、シオがヒビキをダメにしたと思ってるようで、嫌っているんですが、どうしてそう思ったのかの説明がなく、わからないまま終わってしまいました。

ただヒビキが自分たちの言うことを聞かなかった、離れてしまった、それをヒビキの嫁のせいにしたい、人のせいにしたいっていうだけの事なんですかね。

義母はガイがシオと今も連絡をとる事を防ごう、シオからガイを守ろうって考えてて、シオのエステ店にも3回くらいやってきて釘を差していきます。

シオは義母にほとんど言い返せず言われるがままになってて、義母もそういう嫌な人として登場するだけで終わってました。

義母もヒビキも物語中で特に変化することなく、シオとの詳しい事情もわからないまま、終わってしまいましたが、ちゃんと何があったのか知りたかったなぁ。

 

 

ランとガイの間で揺れ動くシオ

この作品中、序盤を除いて、ずーっとシオはランとガイの間でフラフラしてたなーと思います。

二人とも草食男子って事になってるけど、ランとガイってだいぶ違うタイプだと思うんですよね。
どちらかというとランの方がヒビキ(元夫)に近いような。
見た目のせいもあるかもだけど。

兄弟だけど、ヒビキとガイって真逆な感じで性格も見た目も全然違います。

だけど、通してみると、シオはちょいちょいガイにひかれているっていう描写があるんです。
ガイに会いたいって何度か言ってたり。

でもランに対しては、ランが一歩引いた時に気になっただけで、ガイに対してあったように、惹かれてるっていう感じの描写はなかった気がします。

シオの好みってどうなってるんだろう?
たぶんヒビキがドンピシャだったんだろうと思うんだけど、それでガイに惹かれるかなぁ?

どっちを選ぶかで悩んだ時に、「安眠できたから」でランを選んだけど、うーん、それはなんか違うようなって思っちゃいました。

シオがちゃんと付き合ったのは、ランだけなんだけど、その付き合い始めも別れる時も、どっちもちょっと理解できなかったです。

ランがシオに「関係性を変えたい」と言って、待つ姿勢を見せた後、シオは落ち込んでる時に、寝てるガイに勝手に添い寝して、ガイに惚れてると自覚します。

なのに、その直後、ランがシオに付き合ってというと、シオはガイに気持ちが向いてるからと断ろうとするものの、ランの強引さに負けて、なぜか付き合うことになっちゃっていました。

ここで急に強引になったランにも驚きました。

この前もこの後も、いつもすぐに引いちゃう感じなのに、ここでだけなぜか強引でした。
だって、シオは明らかに断る感じの返事をしたのに、「それは聞けません、恋人になってください」と言ったんです。

ランがなぜここでこんな強引になったのか、その前のガイの行動が関係してるんだろうけど、その心情の変化が私にはよくわかりませんでした。ちゃんと心の声で説明してくれ。

ランはほとんど心の声が描かれなくて、何を考えてるか、わかんないんだよね。

そして、ここで返事はしないまま別れて、翌日くらいにその返事をしたっていうのも、えぇ?でした。

強引な「恋人になってください」の後が「明日また迎えに行きます」なので、もう付き合うことになったのかと思ったんですが、その後、シオはガイとランのどっちを選ぶか悩むんです。

そこで、んんん?って思って、あれで返事待ちって意味になってたんでしょうか。
私にはよくわかんなくて、「えぇえ???」でした。

だって「ごめん」って言ったら、それは聞けない、恋人になってくれ、なんだから、当然ここでOKの返事しか受けないって言ってるようなもんですよね。

それで返事待ちみたいになるってなんなの?

シオはガイとランのどっちを選ぶか、すごく悩んで、ランで安眠できたからでOKしてたけど、結局もうエイヤって感じで決めちゃったような感じです。

直前までガイに気持ちが向いてるからって断ろうとしてたのは、どうしたんだ?
それに安眠できたのはガイだって同じじゃん。

そりゃあランの方が私は好きだけど、シオはガイに気持ちが向いてたんじゃないのか。

結局、強引な感じの押しの強い人が好きだから、ああいう態度をとられてランを選んだってことなのかなぁ。

としか思えない。

 

 

そしてシオとランは付き合うんだけど、ランは添い寝屋メンバー他3人が一緒に住む事になった時に、シオのとこに住まずに、彼ら3人と一緒に住む事にします。

これもなんで?って周りは思うんだけど、ランがどうしてそうしたか、ランの気持ちははっきり語られません。
ここはまあ、なんとなくわからんでもないけど、でも、ランがどう思ったか、をちゃんと語ってほしかったな。

ランが時々シオの家に泊まりに行くって感じで、お付き合いはそれなりに順調にいってたんだけど、ガイがシオに再度アプローチをかけたのをキッカケに、一気に破綻してしまいます。

ガイはシオに直接「まだ好きだ」って言うんですが、シオは今更言われても困るって態度を取ります。

今更遅いってシオはいうんだけど、「今更」っていう言い方にちょっと違和感を感じました。
今更って、もっと早く言ってくれればって事だよね。

いやそもそも、ランかガイかでランを選んだんだよね?
ガイがもっと前に言ってても同じなんじゃないの?違ったの?

って思ったんですが、あの時、本当はガイに気持ちが向いてたのに、ランの強引さに引っ張られてランを選んだように、ガイがあの時好きって言ってれば、ランにいかずにガイに行ってたって事なんでしょうか?

だとすれば、ほんとにシオにとってランもガイも、どっちもどっちだったんだね。

その後ガイは「やっぱりシオが好き」って話をランにします。(人に言われて仕方なく)

そこでランは、ガイがまだシオを諦められない事については「そうだろうね」と理解を示すんですが、そこはいいとして、更にガイに「もう一度がんばってみれば」と言うんです。

「ただし俺は手を抜かないよ」と付け加えはするものの、ガイにもがんばれっていうのはちょっと「えぇー?」と思いました。

でも、この話をランがシオに話したのが決定打になってしまい、シオはランがガイに「好きにすれば」って言った事(シオにはそう説明した)にショックを受けて、ランを避けるようになってしまいます。

そして、この後、ちゃんと別れのやり取りが描かれないんですが、シオとランは別れてしまったようなんです。

そりゃあ、ガイにがんばれっていうのはどうかと思ったけど、「せいぜい、がんばんな、でも俺は負けないぜ」的な意味にもとれるし、言い方はそこまで強くなかったけど、負けないぜ的な事は言ってたから、私はそこまでには思わなかったんだけど、シオはそれを重く受け止めたようです。

それにしても、それだけで?

シオがそれだけで別れたことの方が驚きです。

まあそれが決定打になってしまっただけで、付き合うときだけ強引だったけど、それ以外は全体的にあっさりめで、「束縛しないようにこっちを向かせようとしてた」っていうやり方が、シオには物足りなかったのかもしれません。

その後、シオの家に行った時にチェーンをつけられてて、家に入れてくれなかった時にすぐに引いちゃったのも、ダメだったのかなぁ。

でも、あのガイへの返事で破局までいく?

そういう部分でダメって思っちゃうのって、結局、シオはランの事、それほど好きって思ってなかったって事だよなぁ。

しかも部屋に入れなかったのを最後に、後は添い寝屋の仕事の依頼の会話とかだけで、付き合ってたのに別れるという話さえなしに、自然消滅なの?

それって酷くない?

このシオのランへの対応の仕方が信じられない。
あれで別れるのも驚きだけど、なんでちゃんと別れ話しないの?

最初の方に出てきた仕事がらみの人と付き合った時は、別れ話してたのに。

ランを家に入れなかった後すぐぐらいは、シオがランとガイに試練を与えてるふうな発言をしてたのに、彼らが自分たちでシオにふられたなーって自覚して、そのままになってしまうという・・・。

なんなんだ。なんでこんな終わり方なのー?

正直、シオも見た目はいいけど、ランやガイへの態度はどうかと思うから、ランとうまくいかなくてもいい。

ランはまだまだ若いし、ランにはもっといい出会いがあるさって思う。

でもなんでこんなはっきりしない終わり方なの?
こんな中途半端に終って、それでもまた普通に接することができるのが、彼ら草食男子ってこと?

あー、ものすごいモヤモヤした。
ちゃんと別れを描いてほしかった。

最後があまりにあっけなくて、その前にランがガイに負けないぞ的な事を言ってたり、父親に別れないよとか言ってたりしたのは、なんだったんだとむなしくなる。

前にランは、万が一これでガイを選ばれたら、どうなっちゃうんだろうって考えてました。

ガイは選ばれなかったけど、万が一ぐらいに考えてたのに、それからすぐに別れることになっちゃって、その後、ランが落ち込んでるのは描かれてたけど、それがどうなっちゃうんだろうの答えなのかなぁ。

ちょっとの間、落ち込んではいたけど、その後は淡々とした態度だったから、別れてもどうにもならなかったねって思ったよ。

ランにとっても、シオは少しの間凹むくらいで、その後は普通に接する事ができる程度の人だったのか、彼がそういう人なのか。

そして、ランとガイどっちにも結局、本気になってなかったと思うシオの事は、フラフラしてるばかりで好きになれませんでした。

 

 

ラン

作者さんのあとがきによると、ランはこの作品中の一番人気なキャラだったそうです。

私もその中の一人で、ランが一番好きでした。

ただ、心の声がほとんど描かれないので、何を思ってその行動をしたのかがわからない人だったので、そこは残念でした。

その見た目が一番のポイントで、シュッとした感じでカッコいいです。

ランの目は白に黒い点で描かれていて、茶色がかった黒目を表現してるそうなんですけど、それにしては白すぎると思います。カッコいいけど、ちょっと人外っぽいです。

ランは父親の居酒屋を手伝っていて、イケメンなランのおかげで女性客の多い店になってます。

シオとの出会いはその店のお客さんとしてシオが訪れた時で、ランのそつのない女性客のあしらい方や手際の良さをみて、シオがランをスカウトしました。

この出会いの時のランは、女性客とそこそこ会話して愛想よく対応してる感じに描かれてるんだけど、本編でのランは、どちらかというと無口な印象なので、なんかそこがチグハグな感じがしてしまいました。

ランは4人の中で唯一大学生じゃないんだけど、経歴は詳しく説明されてません。

お店にヤンキーっぽい、ランの後輩が来たことがあって、シオは昔不良だったのか後で聞いてみようって思うんだけど、ランに聞かないまま終わってしまいました。

シオにスカウトされた時、シオの笑顔がかわいかったからついていったそうなので、最初からシオに惹かれてたんでしょうね。

シオがガイにひかれてる事にも気付いていて、ガイの言動がキッカケになってシオにアプローチしてたようだけど、何を思ってそうしたかの説明がないので、どうして急にあんな強引な告白をしたのか等、わからなかったのが、残念です。

シオに家に入れてもらえず、避けられた時は落ち込んでたけど、そこで「なぜ?」ってシオに理由を聞かないんだね。

そういうところが、シオがランと別れた理由なのかなぁ。

ランが付き合ってからも「束縛しないように適度な距離をとって」なんて考えてたのが、シオにはダメだったのかなぁ。

だとしても、ちゃんと別れが描かれないまま自然消滅になってるのが納得行かなかったです。

ランは、他3人が大学卒業して添い寝屋が終わった頃、父親の紹介で鎌倉のイタリアンのお店に修行に行きます。

ランは家を出る時にシオと一緒に住まずに、添い寝屋メンバーと一緒に住むことにするんですが、そこは結果的にはシオと別れた後も住むのに困らなかったし、鎌倉に行った後も東京に戻った時に泊まれるしで、よかったと思います。

ただ、シオとうまくいくためには、シオと住んでたら別れないですんだかもしれないとも思います。

私は一緒に住む派ですが、まだ付き合い始めだし、まだ別に部屋を持ちたい、一人の時間がほしい、男友達同士の生活を楽しみたい等、理由はいくつか考えられるし、理解できないことではないです。

でも、ランはなぜそうしたのか、をちゃんと語ってほしかったです。

他のメンバー含め、シオとその後も普通に接してるのが、よくわかんないけど、シオと別れたのは、ランの事を考えればよかったのかなぁとも思いました。

結局なんか、シオとランはお互いの事をあまり理解できてない関係だった気がするので、まだまだ若いランはもっといい人と出会えるよって思います。

もっとランの気持ちを知りたかったなぁ。

 

 

ガイ

ガイは、基本的にずっと一歩引いて、楽しければいい、めんどくさいのは嫌って感じの人でした。

シオの事も、元兄嫁でしかなくて、恋愛感情は全く持ってなかった。

兄ヒビキと別れた後に泣いて荒れてたのを慰めた経験から、シオを悲しませたくないって思ってただけだったんだけど、ふとアリかも、新しい扉を開いちゃうかも、という、なんか若さゆえの冒険心みたいな感じで、シオに気持ちが向いてただけな気がします。

一番やる気を見せたのが、ランがシオの返事待ちをしてた時で、ランに返事するのを待ってと言って、ヒビキに会いに行ったんだけど、この意味がわからなかった。

なぜヒビキに会いに行ったのか。

会って、なぜシオと結婚、離婚をしたのか聞いてたけど、それでどうなるつもりだったのかも、それが何か意味があったのかも全くわからない。
ヒビキに東京に戻ってくるなって言ったのはわかるけど、自分の気持の整理にどうつながったのか、理解できなかった。

ヒビキとの会話も、結婚離婚の理由を聞いた以降は、ほとんどまともなやり取りになってなかったし。

帰ってきても、シオに鍵を返しただけ。
ヒビキには俺が鍵を持ちたいって言ってたのに。

ランへの返事を待っててって言ったのは、どうなったの?
なんなんだ、ガイ。

一番のやる気は結局、意味がわからないまま終わって、また一歩引いた感じに逆戻り。

初詣ではシオを抱きしめて充電したり、シオが落ち込んでて寝てるガイに勝手に添い寝すれば、及び腰になって逃げようとしたり。

ランが言ってた「姉をとられそうになった弟」が的を射てるのかなぁ。

添い寝状態から逃げようとしたくせに、シオがランと付き合うと、やっぱり惜しくなったのか、またシオにアプローチしはじめる。

でも、それをランに宣戦布告しろと言われると怖気づく。

なんか本気で好きっていう感じじゃないんだよね。
ガイのシオへの気持ちって。

シオが最後にガイに言ったように、ただ大人なお姉さんに時々甘えたいだけだったって事なのかなぁ。

ちゃんと付き合って責任取るのはめんどくさいから、気楽に適度にスキンシップとって甘えられる存在が、近くにいてほしかっただけなんじゃないかな。

両親、特に母親が過干渉気味で、父親の事業を継いでほしい(ほんとは兄の方にだったけど)っていう圧力とかあるのは、かわいそうな家庭環境ではあったけど、そこは嫌なら嫌って言えないとダメなとこでもあったし、ガイがそういう事もちゃんと向き合わずに逃げてたせいでもある。

一応そこは家を出る時に、父親に言うことは言えてたのが、ガイが唯一少し成長できたのかなと思えるところです。

最後は、父の紹介で旅行会社に勤めて、ちゃんとサラリーマンしてるみたいだったけど、ガイって結局、めんどくさがりなままだった気がします。

一応勤めてはいるようだけど、その仕事もやりたいことを見つけたってわけじゃなく、父親の仕事は継ぎたくないし、働かないとだからとりあえず紹介された会社で働いてみてるだけな感じなので、彼もまたこの作品中であまり変わらない人だったなと思います。

ガイが気持ちを向けた相手はシオしか出てこなくて、ガイの心情はわりと語られてはいたけど、結局めんどくさいばかりで、真剣に向き合うのを避けてる人っていう印象でした。

かわいい系のイケメンかもしれないけど、恋愛対象としてのガイの良さって、正直わかんなかったです。
なんで、ヒビキを好きになる人が、ガイに惚れるのか、シオがガイを好きになるのがわかんなかった・・・。

 

 

リンダ

リンダは黒縁メガネをかけてて、メガネをとった顔と結構印象が違います。
私は基本的にメガネ顔は好みじゃないので、メガネなしの方が断然好きです。

メガネの時はおちゃらけキャラって感じがするけど、メガネとるとすっごいイケメンだなーって思いました。

たまにしか見れませんでしたが。

リンダは添い寝屋のお客として知り合ったアートディレクターの女性と恋仲になって、途中、彼女がリンダのために別れたりはしましたが、最後までうまくいってました。

1回目読んだ時は気付かなかったけど、よく見ると最終話に彼女がちょこっと登場してて、ちゃんとうまくいったんだってのがわかるようになってました。

だいぶ年上の女性っぽかったけど、それまで女性関係が適当だったリンダの本気がうかがえる言動だったし、彼には合ってるんじゃないかなーと思えます。

この作品中、一番相手に本気になって恋愛してる気がしました。

 

 

マシュー

4人の中で一番存在感が薄い人でしたが、わりといいキャラしてました。

見た目はあの髪型が、いかにもファッション誌に載ってるオシャレな男子っぽい。
私は好きじゃないけど。

マシューは添い寝屋のお客の紹介で知り合ったTV関係の仕事をしてる(?)女性を通じて、TVドラマの脚本家になります。

この歳で実際にTVドラマの脚本に採用されるってのはすごいんじゃないでしょうか。

いつも淡々としていて、女性の気持ちがあまりわからなかったのが、添い寝屋を通じてだんだん理解できてきたようなんだけど、そんな程度で、脚本かけるのかなぁ・・・?とは思ってしまいますが。

高校時代の女の子の友人に、友達として今でも時々映画等に誘われてましたが、一緒に連れ歩く事で周りに自慢して、自分の容姿を利用されてるんだって事に気付きました。

その時会った彼女の彼氏となぜか友達になってしていた会話はなかなかおもしろかったです。

ただ、その女の子はあまりいい子じゃないと思うので、別れちゃえばいいんじゃ?と思ってしまいました。

 

 

 

シオが最後に選んだ人

最終話で、シオが久しぶりに(半年ぶりくらい?)4人と再会した後、家に帰って電話をかけた相手が、新たに一緒に眠る人らしいんですが、後ろ姿しかわかりません。

あとがきで作者さんが、最後のシオの相手が誰かわかりましたかって言ってるんですけど、ということは作品中に登場してる人ですよね。

そしてメガネかけてる人っていうと、シオのエステ店の関係者の社長、あのセクハラ野郎しかいないと思うんですが、だとしたら、「なんであいつなの?」って思いました。

セクハラ発言を嫌がってたじゃん!?

あれからの半年の間に何かあったんだろうけど、それにしてもセクハラ発言ばっかりするあいつと何で?としか思えません。

えー?シオさんの好みが理解できないんだけど。

結局、草食男子はシオさんには無理で、クセの強いやつの方がいいって事なんですかね。

ランと別れたのかどうなのかって頃、添い寝屋メンバーが出てくる夢を見て一人で眠れたってシオさんは喜んでて、眠れたから、もうランはいらなくなったという事なのかとも受け取れて、なんだかなーと思いました。

最終話でも、また一人になるかもしれないけど、彼らが夢の中に出てくるかぎり、もう一人で眠れるから大丈夫って言って終わるんです。

私的には「えーーーー!?なんだそれ?」って感じです。

他の人と付き合っても、一人になったらいつでも思い浮かべるのは、添い寝屋の4人なの?
永遠に?

うーん、私にはちょっとその心理が理解できないなぁ・・・。

私は今、子供が生まれてからはずーっと自分の子供と一緒に寝てて、一緒に寝ることに幸せを感じているから、一人で寝るようになったら、理解できるのかなぁ。

シオさんにとって恋愛対象じゃない彼らは、安眠の元になれるような特別な存在ってこと?

彼氏だと別れた後、思い浮かべても安眠できない、むしろ不安の元になるから、そういう対象じゃない彼らを思い浮かべて眠れるってこと?

つまりランは、付き合って別れたけど、彼氏枠じゃなくて、別れた後に思い浮かべても安眠できる人で、恋愛対象じゃなかったってことなの?

うーん、マシュー、リンダ、それにガイもまあいいとして、自然消滅な感じで別れたランに会ってもシオはなんとも思わないのかなぁ。

シオはランに結構ひどいことしたと思うんだよね。
それなのにシレッと普通に会う神経が理解できないよ。

 

 

 

まとめの感想

人肌があると安眠できるのは理解できるけど、それを商売にできるかっていうと難しいだろうなと思いました。

お話としてはおもしろいけど、結構そこら辺の危ういところは適当に描かれてるなと思います。
でもそれは別に軽い感じでこんなのあったらおもしろいかもね、でいいと思います。

それと出てくるのがガラケーで、スマホじゃない時代なんだなーと思いました。

シオの離婚理由、夫ヒビキと何があったか、義母はなぜシオを嫌うのか、ランはなぜ急に強引になったのか、シオはなぜランにはっきり別れをつげなかったのか、等々、気になるところが全然描かれない作品だったなーというのが、全体的に感じたことです。

シオがランと付き合って別れたのは一体何だったの?って思ったし、ガイがシオにちょっかいだしたり離れたりは一体何なの?って思いました。

それなりにおもしろかったけど、気になる事がちっともわからないまま終わっちゃったし、最後も全然理解できない終わり方だったので、読んでモンモンとしてしまう作品でした。