漫画「Adonis アドニス」原作:ヘドリ 作画:チームアドニス 感想(1)

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生涯好敵手として戦い続けた相手に殺された女剣士が、気付くと幼い頃の自分に戻っていたタイムリープ物語。いわゆる転生もの。

舞台は中世のような世界のロアンヌ王国。
主人公は、イアナ・ロベルシュタイン。
イアナはアルハード・ロイギンを好敵手であり宿敵として戦い続けてきた。アルハードからは気に入られ求められていたが、アルハードは彼女にとって敵の立場にあるので拒み続けていた。
そしてとうとうアルハードに負けて殺されたイアナだが、イアナはアルハードのことを憎んでおらず、むしろ剣を交えるのを楽しんできた相手なので、「もし来世があるならお前に剣を捧げよう 生まれ変われるならお前の騎士に」と思いながら死んでいった。

アルハードはかっこよくて、イアナもきれいな方なので、この二人の恋物語、と思ってからはアルハードとイアナの絡む話がみたくて楽しみになりました。
といっても、全然甘い感じじゃないんですが、二人ともそれぞれお互いを唯一無二の存在と認めて求め合っているようなところが大好きです。
途中少し絵柄が変わって、イアナは下半分ふっくら気味な顔から精悍なシュッとした顔立ちになって、私はイアナは後半の絵柄の方が好きですが、アルハードは逆に前半の方がよかったような。

この世界の神話とか神力とかマナとかの世界の仕組みが絡んできて、話の重要な要素なんだけど、一度さらっと読んだだけでは理解する&覚えてるのが難しいので、そういうところをメモしておこうと読み直して書いたあらすじが結構長くなってしまい、かなりな手間になってしまいました。疲れた・・・。

ピッコマにて。日曜更新で連載中。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

 

「Adonis アドニス」感想(1)
「Adonis アドニス」感想(2)
「Adonis アドニス」感想(3)
「Adonis アドニス」感想(4)
「Adonis アドニス」感想(5)
「Adonis アドニス」感想(6)

 

転生からロベルシュタイン家での生活

1〜11話

イアナが気付くと10才の頃の自分になっていた。
(ここでの説明文は「再び生を受けてからいつしか10年がすぎた」とありタイムリープして10年たったかのような言い方なので「ん?」って感じですが、気付いた時のイアナは10才ぐらいの姿だし描かれてる状況からするとたぶんタイムリープしたのは10才の自分)

イアナはロベルシュタイン伯爵家の側室、ルボニーの娘。
父親はチェルノ・ロベルシュタインで、サラチェという正室がいて、そのサラチェの息子のハルツェンという腹違いの兄がいる。
ルボニーはロベルシュタインに一目惚れし、父の高利貸しホルビーの力を借りて、無理矢理チェルノの側室になったので、娘はもうけたものの、チェルノが愛するのは正室のサラチェだけだった。
ルボニーはいわゆる悪女といった感じの人で、イアナをチェルニーの愛を得るための道具としてしか見ておらず、前世ではイアナに持っていかせたお茶に毒を仕込んでサラチェに飲ませて毒殺したり、イアナをかばった侍女のイスピを殺してしまったりした。
そのため、前世ではイアナはサラチェを殺した者としてチェルノとハルツェンに嫌われ、辛く当たられた。
前世で唯一イアナを認めてくれたロアンヌ王国の王子に忠誠を誓い、王子の配下になった後は、恨みのあるロベルシュタイン家を滅ぼしていた。

 

今世ではまだサラチェは生きており、ルボニーは嫌いだが娘には罪はないとしてサラチェはイアナのことを気にかけていたし、ハルツェンも召使いの意地悪からイアナをかばったりしていた。
チェルノもサラチェに言われてイアナのことを気にかけるようになっていたが、悪女である妾のルボニーの娘ということで、イアナは召使いや領民たちからよく思われていなかった。
前世でもロベルシュタイン家でイアナに優しくしてくれたのは、子供の頃から世話をしてくれた侍女のイスピと、剣を教えてくれたカニッツだけだった。

なぜまた自分に生まれ変わったのかと考えていたイアナだが、前世で死ぬ時に、生まれ変わったらアルハードの騎士になると誓ったことを思い出し、前世の時よりも早い時期から剣の稽古を始める。
剣はイアナにとってすべてであり魂そのものだった。

前世でイアナはロアンヌ王国建国記念、青年剣術祭で初めてアルハードに会った。イアナ18才、アルハード24才(2話では19才と書いてあるが66話等他の話では18才となっている)。決勝でアルハードと対戦し、自分と同類だと思い、これほど胸が踊ったことはないと感じた。アルハードに負けたがアルハードもイアナを気に入り、今度会う時はお前を手に入れると言われた。

この時、アルハードはアルハード・ロイギンと名乗ったが、本名はアルハード・ロ・ラルソ・バハムート、後に純血に固執するバハムート帝国で、皇族を皆殺しにして即位した混血の皇帝。

イアナは前世の最後で思った通り、アルハードの騎士になることを今世での目的にして、すべてをそのために考えて生きていくことに決める。

そしてイアナはヴァルゼンタ学術院の剣術学部に入ることにする。ハルツェンはセオドアアカデミーに入っており、貴族の子どもはほとんどがセオドアアカデミーに入る。学術院は平民が多い。

 

イアナの母、ルボニーの正体

12話

前世にもあった事件だが、夜中にイアナの部屋にフードをかぶった何者かが侵入してきてイアナを殺そうとする。前世ではまだ剣を習う前だったので、なんとか相手を殺したが気付くと死体が無くなっていた。
今世では剣を使えるので、余裕で対峙して顔を見るとイアナが思った通り祖父ホルビーだった。なぜかと聞いてもホルビーは何も答えない。身内なら余計に許せないと言ってイアナはホルビーを剣で刺して殺した。すると赤い力がイアナに流れ込む。
そこへルボニーが来て、赤い力に満ちたイアナを見て「あなた」と言って抱きつくが、「誰と勘違いしているんだ」とイアナは突き飛ばす。
(ホルビーはルボニーに操られてイアナを殺そうとした)

「イアナがあの方なわけがなかった、憎くて仕方がないお前を殺しに来た」とルボニーに言われて、イアナは涙を流し「お前が生んだのになぜ?私が何をした?」と言う。(さすがに母親に憎しみをストレートにぶつけられたのが悲しかったのか)
イアナは私の生きる意味を奪って生まれてきたからだと答えるルボニー。
(それについての説明は次回語られる)

ああ、なぜ目覚めてしまったのか
いっそ永遠に眠っていたかったのに
あの方と黄金の悪魔はどうなったのか
唯一神などと崇拝されいい気になってるラオス あの恥知らずめが

と、神について重要そうだが、まだ意味がよくわからないことをルボニーはつぶやく。

 

13話

ルボニーの正体がわかりイアナの正体が匂わされ、神についての説明がある重要な回。

ルボニーが語る。
チェルノに焦がれる側室ルボニーは仮の姿。
ルボニーの正体は、神聖時代の神。

神聖時代 それぞれ特別な力を持つ神々の美しい時代
最下級の神だったルボニーが持っていた力は「洗脳」だが上級の神には通じない。
ルボニーは周りから見下されていたが最高の神ロベルシュタインだけ手を差し伸べてくれた。

終末の直前、あの方(ロベルシュタイン)は自らの神力を全てルボニーに譲りルボニーは封印された。理由は不明。そして気が遠くなる程の時が流れ、封印が解けたのが20数年前。
神聖時代は終わっていて、唯一神と崇められるラオスの姿もなく、神は一人もおらず人間ばかり。
人間はそれぞれの心臓に微量ながらも神力を持っているので、自身の洗脳の力を使って人間から神力を吸い取って生きてきた。
そして悪徳高利貸しのホルビーはルボニーに洗脳され操り人形になった。そしてルボニーが自分の神力を使い切ってもあの方の神力が無くならないようホルビーの心臓にあの方からの神力を一部吹き込んでおいた。(それがイアナに流れ込んだ)
そして、チェルノ・ロベルシュタインに出会い、見た瞬間に、あの方の強靭な魂が宿っていることに気付いた。あの方は赤い気、チェルノは青い気。チェルノには洗脳が効かなかったが、ホルビー等あやゆる手を使って、傍にいるため側室になった。(ホルビーはルボニーの父とした)

イアナが生まれた瞬間、ルボニーにあった神力が全てイアナに移り、チェルノが持っていたあの方の匂いも消えてしまった。私の生きる意味を奪ったイアナが憎かった。

イアナの中であの方の気が強まってきたのは剣を使うようになってから。
その剣があの方の魂を覚醒させている。

前の時代が終わっても今私がここにいるのはイアナをこの世に送り出すためだったのかもしれない。

イアナ「私が生まれた理由が古代の神との約束だったと・・・?」

 

14話

前世でルボニーにされたいろいろなことを思い出し、憐れだとは思うが「お前が憎い」とイアナは言う。
「私は私だ!他の誰でもない」というイアナにルボニーは「そうね お前はあの方とよく似てるけど あの方ではないわね お前はイアナよ」と言う。
ルボニー(あなた よろしく頼むと仰ったのはこの子のことだったのですか?)
けれども今まで散々酷いことをして殺そうとまでした私をこの子は憎んでいるので、もう手遅れで、今となっては取り返しがつかないし、私にはもうそんな気力も時間もない。

そしてルボニーはイアナにもう疲れてこれ以上は嫌だから楽にしてほしい、最後のお願いを聞いてくれる?と尋ねる。神は自殺が許されない。
イアナは「それが望みとあらば聞き届けてやる」とルボニーを剣で刺すと、ルボニーの体は消えてしまった。
イアナは涙を流し「はやくお前に会いたい 我が皇帝よ」とアルハードを想う。

 

15話

イアナはチェルノとサラチェに、ロベルシュタイン家を出てヴァルゼンタ学術院に入ると宣言し、認められる。
イアナを慕っているイスピとカニッツはイアナに付いていくと言うが、イアナは二人だけに最終目的地はバハムート帝国だと明かして、断る。
イアナはイスピ、カニッツに見送られて学術院の試験を受けに、ロアンヌ王国の首都セオドアへ行く。

前世でも利用した宿に来てみると女主人のダンテが前世とは見た目がだいぶ違っていた(前世では太っていた)。巨大犯罪組織ブラックフォクシーだと名乗るならず者達に絡まれた主人達をイアナが助ける。

 

ヴァルゼンタ学術院の入学試験

16話

ラオス聖書

我が黄金の悪魔よ
悲痛な想いに我は慟哭する
約束の証
ファムドラの命は枯れ
楽園は終焉を迎える
今日という日
汝は我が剣に屈し崩れ落ち
誕生と不滅の果てはパンデモニアム
そこで安らかに眠れ
我また何時に付き添う
やがてこの世に
太陽の目が輝くときがやってくる

ルボニーが言っていたことを考えるイオナ。
「黄金の悪魔」はラオス聖書に出てくる、ラオスは創造の神、ロベルシュタインは転生の神なのか?

ブラックフォクシーはこの時代ではまだ知られていないが「バハムートの犬」
つまりバハムート帝国の指示で動く組織
後日アルハードの手足となる組織だし、揉め事はできれば避けたかったけれど

イアナが食事をしているところへ学術院の剣術学部志望のエイジが、昨日の宿での乱闘を見たと話しかけてくる。そして剣の相手をしてほしいと言われて応じる。

 

17話

イアナとエイジが戦い、エイジが負けるが、どんな汚い手を使っても勝つ実践の方が得意だとエイジに言われ、イアナはもう一度戦いを挑む。それでもイアナが勝ったが、本気ならエイジは砂ではなく胸元の毒等を使っただろうから、簡単にはいかなかっただろうとイアナは言う。

イアナに「出世を望んでいるようには見えないのになぜ学術院に行くのか」と聞かれ、エイジは一言でいうと人材発掘だと答える。そして「これ以上話せばどちらかの命が危なくなるからヒミツ」だという。

「冷静そうでいて剣を手にした途端怪物に豹変、こんな人があの人の傍にいてくれたら」とエイジが思い浮かべるのはアルハード。

こういう勝負で真剣を使うってすごく難しいと思うんですが。
相手が避けられなかったら止める前提でやってると常に本気ではできず、セーブしないと止められないと思うし。余裕がなくなっちゃったら相手を怪我させたり殺しちゃうと思うので、それぞれがある程度できる人じゃないと無理だろうし、失敗してケガしたり殺しちゃうことありそうで、怖い。

 

18〜19話

イアナはエイジにもっと口調を柔らかくするよう言われ、努力する。
イアナは学術院の試験申し込み締切日に申し込みにいく。

試験当日、剣術学部の部長ライアンが入学試験の補佐を務める。
剣術学部の入学試験は5次まであり、1次は木人形に木刀で打撃を9999回与えたら終了の体力勝負ということだが、実際は最後まで頑張り抜けるかのメンタルを試していて、脱落者が抜けていき、合格人数の残り100名になった時点で試験は終了する。イアナのように9999回打撃して合格する者は少ない、最後まで残ればいい。

イアナは2時間で合格点を突破し印象的だったとライアンに話しかけられる。
ヘレイス・バンダム(バンダム子爵家の次男、バンダム剣術で有名な家)がか弱い女性のイアナが真っ先に合格するのを見て刺激になり、自分も合格できたとイアナに礼を言う。

 

20〜21話

2次試験。ビーズをひたすら糸に通す。
エイジ20才、ヘレイス17才。
ヘレイスは後継者問題があり、イアナ同様、独立を考えているのでセオドアではなくヴァルゼンタに来た。いつか愛する人と幸せな家庭を築き子供もたくさん作って力仕事は僕が一手に引き受けて、というのがヘレイスの夢で、そのために絶対強い男になるという話を聞いて、イアナは「叶えろよ」と応援する。

ヘレイスの兄は側室の息子。なかなか子供ができずに側室を迎えたが、兄が生まれて1年後にヘレイスを身ごもった。本妻はヘレイスの出産時に死亡。ヘレイスは生まれつき体が弱く、代々健康体質の剣術一家のバンダム家の人間としては出来損ない。

エイジはイアナに「意地が悪くて変態っぽい でもわりと正直で面白い 秘密はあるかもしれないが嘘はあるように見えない 誰だって隠したい秘密はある のちにその秘密がわかって自分の身に危険が及んだとしても今この瞬間お前が私の味方ならば どんな危険でも受け入れる覚悟はある」と言われ、「一体どうやったらできるんだ こんな腐りきった奴の心を 揺さぶって引っかき回すなんて」と思うエイジ。

 

22話

3次試験は筋力、4次試験は瞬発力の試験。
2次試験から知り合っていたが、名乗っていなかったタロウ20才とここでお互い自己紹介。
イアナ16才。タロウは方言をバカにされ標準語を話していたがやめることにした。

ヘレイスは3次でマナを使ったが直後に薬のような物を飲んでいた。
イアナはヘレイスの親和力、意志力は10代と思えないほどだと思う。

マナをコントロールするのに必要な要素
親和力:マナを引き寄せる生まれながらの才能
受容力:マナに耐えられる体力
意志力:マナを呼び起こし維持・解放させる能力
変形力:マナを自由自在に操る能力

 

23話

ヘレイスは体は弱かったがマナを使いこなせたのでみんな優しかった。
しかし10才の時、「マナの呪い」とわかる(発症?)
マナの呪いは、マナを使いこなせても解放する時に暴走したマナが体の中に入り込んできて結局ショックで死に至る恐ろしい不治の病。薬は祖父が作ってくれた。

「薬を飲むとマナが諦めてヘレイスの体から出ていった、つまりヘレイスの心臓は一瞬止まっていた」とイアナが言ってる薬の効果がいまいちわかりませんでしたが、薬で心臓を一瞬止めて、マナを外に出しているってこと?薬自体がマナを外に出すんじゃなくて。だからイアナは薬をやめろと言ったの?
薬でマナを外に出してる、心臓に悪いのはマナの暴走、だと思ってたので、薬をやめろの意味がよくわからなかったんですが、こういうことかな?

イアナも3次試験でマナを使いヘレイスに見せ、自分もヘレイスと同じようにマナの呪いだということを見せる。だがイアナは呪いではなく祝福だと言う。
イアナは「それは才能とも言えるし気持ちの問題でもある ちなみにマナの暴走はお前より私のほうがもっと酷い」
「勇気と根性さえあれば、そして自分の才能を信じていれば強い剣士に十分なれる マナの扱いには慣れているから私がお前になにか出来るかもしれない」とヘレイスに言う。

「マナが体の中に入り込んできて結局ショックで死に至る」のに勇気と根性で何とかなるの?
解放できない「病」って言うけど、結局コントロールできるようになれば、解放できるってことなのか?
「マナの呪い」がいまいち理解できなかったです。

 

24話

5次試験は、ランダムで分けられたいくつかのグループ毎に、残り10人になるまで戦う。
団体戦って言ってるけど、こういうのは団体戦とは言わないんじゃ?

25話

イアナ、タロウは同じグループで戦い、タロウはイアナの強さを思い知る。
イアナ、タロウ、エイジ、ヘレイスはみんな合格。剣術学部の合格者は80名。

合格決定後、王国近衛騎士団長を歴任し、現在剣術学部で指導しているフィリガー・アシュルタント教授の挨拶。権力や地位よりも師弟関係を大事にしていてフィリガー教授と呼ばれている。
アシュルタント伯爵家門の元主、国王の信頼を一身に受け貴族の鏡と言われる人物。

26話

宿でみんなで合格祝いの祝杯。
イアナ、タロウは遠いが一旦実家に戻るという。
入学手続きで必要な肖像画は学術院の学生が書いてくれ、手続きを終える。
イアナは実家に戻る前にラオス神殿に寄る。

「Adonis アドニス」感想(2)