漫画 McQueen STUDIO「AQUA MAN(アクアマン)」感想(7)

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91〜100話のあらすじと感想です。
ネタバレありなので、ご承知の上。

アクアマン感想一覧

「AQUA MAN」感想(1)
「AQUA MAN」感想(2) 41〜50話
「AQUA MAN」感想(3) 51〜60話
「AQUA MAN」感想(4) 61〜70話
「AQUA MAN」感想(5) 71〜80話
「AQUA MAN」感想(6) 81〜90話
「AQUA MAN」感想(7) 91〜100話
「AQUA MAN」感想(8) 101話〜

 

91話 再結集!

たぶん久しぶりに大学のサークルの部屋に、那琉、和成、空の3人で集まる。
いつもの出前を取ろうと話す。
那琉「何か昔に戻った気がする」
空 「これがうちらにはお似合いなのかもね」

那琉も空も最近食欲がないという。
掲示板で告発された奴は懲戒委員会にまで話がいったらしい。
那琉は気がついたらあの事件のことすっかり忘れていたという。
でも自分の力で克服したわけじゃなく詩織が傍にいてくれたからという那琉に、和成のこの表情はなんといったらいいのか・・。シリアス顔だけど悲しんでいるとまでは言えないような。

詩織がいる時は、那琉がずっと思い描いていた、あんな事件に遭っていない自分でいられた
気づかないうちに詩織に頼り過ぎていた、またあんな子と出会えるかな、という那琉。

和成「でも詩織ちゃんはそういうのが嫌で距離を置かれたわけだろ?ありのままのお前を受け入れるって言ったくせにできなかったんだぜ?」
那琉「だとしたら俺がおかしいって事だよね?」
和成「なんでそうなんだよ 愛してるって言うなら そういう部分も全部含めて愛するべきだろ?」
那琉「そうかな相手は俺の全てを愛そうと努力してるのに当の本人は何の努力もしないなんておかしくない?」

那琉も努力すべきじゃないか、いつまでも言い訳しながら甘えていられない、どんな結末になろうと詩織と一度話してみよう、俺も頑張らなきゃ。
昔の那琉なら自然消滅で終わらせていた、でももう逃げたくない、詩織が苦労して始めてくれたこの関係を無駄にしたくない。という那琉。

空 「那琉の口からそんな言葉が聞けるなんて意外、ようやく大人になったのかな」
空 「じゃあ私はどうしよう」
那琉「空は三好のこと好きなんだろ?」
空 「好きだよ でも はぁ」

空、家でシャワー後に賢から電話がかかってくる。
今日は忙しかったのか聞かれて、那琉、和成とテニスをしてたと答えると、忙しいって言ってたのにわざわざ学校まで行ったんだと思ってさと賢に言われる。少しだけ話して電話はすぐ終わる。

那琉は決意した感じでパソコンに向かって詩織のメッセージ画面を見る。


あの事件を克服したのが詩織のおかげと言う那琉の言葉を聞いた和成は切なかっただろうな。
和成も冷たい言葉を言われてもめげずに那琉に会いに行ってたのにね。

 

92話 当たり前になってしまった大切なモノ

詩織ちゃんとオレの関係が壊れた原因に和成は何割くらい入ってるんだろう
おそらくオレが思う以上に多くを占めているはずだ
それが和成のせいだろうと オレのせいだろうと
2つの愛は共存できないのだろうか?
和成との関係と 詩織ちゃんとの関係は
なぜ共存できないのだろうか?
どちらか一方を必ず選択しなければならないのだろうか?
今どっちか1人だけを選べと言われたら
オレは誰を選ぶべきなのだろうか?

今和成を選べば詩織ちゃんとはもう会えない
オレがもし詩織ちゃんを選んで今までみたいに会えなくなっても
和成はオレを捨てるだろうか?
そう考えれば答えは簡単だ
オレを誰よりも大切にしてくれるのは和成だ
でもオレはどうして・・・

そして那琉は詩織に、別れるとしてもその前に一度会って話したいという内容の長文のメッセージを送る。

空が道を歩きながら那琉と電話。

空 「私たぶん賢と別れると思う 今すぐではないけど
でも私たちこのままじゃお互いに傷つけ合うだけになってしまうから」
那琉「好き合ってるのにどうして別れるわけ?」
空 「本当そうだよね〜私にもよくわかんないんだ
でも昨日の夜 賢と電話で話して決心がついたの
賢と一緒にいて幸せっていう気持ちより
お互いを傷つけ合ってしまう苦しみの方が大きくて辛すぎるなって」

那琉も詩織にメッセージを送ったと空に言う。
空「でも私たちは運がよかった、初めての交際相手がいい人だから、愛されてるな〜って感じられたじゃない」

賢と待ち合わせのカフェに着く空。
最初の軽い挨拶と会話の後、賢が話し始める。

賢は「本当至らないところばっかでごめんな」と言った後、以前、元カノと会ってるのを見られた時のことを話す。
あの日元カノと会ったのは本当に最初で最後で話を聞いてあげただけだという。
賢「空も知ってるだろ?俺が何事にもオールインしちゃう性格だって。俺さ、すごく寂しかったんだ。空と付き合ってる間、一人の時より寂しかった。愛してほしくて空に媚びてる俺、情けないよな。」
賢「空 俺たちもう 終わりにしよう」

 

賢のあの日の言い訳が聞けるとは。もう出てこないかと思ってたのに。でもただ話を聞いただけっていうだけのことだった・・・。抱き合ってるようだったのは元々付き合ってたわけだからそういうスキンシップに抵抗なく自然にできてやっちゃったってことなのかな。まあそういうのもわかるけどね。

そして空も別れるつもりでいたけど「まだ」と思っていたら、賢から先に言われてしまいました。
賢の気持ちわかります。私も付き合ったらべったりいつも一緒にいたい派なので、ちょっとの時間を見つけて会いに行く事に文句をつけられるのは悲しいですよね。
空も那琉と同じく本当に賢のことがすごく好きだったのか、という部分がちょっと疑問で、本気で好きじゃないからそこまでして会いたいと思わないのか、空の恋愛スタイルはべったり会いたいんじゃないからなのか、いまいちわかりません。
でもとにかく、賢と空の会いたい度合いが合わなかったってことですね。

那琉も空も同じような理由で恋人とうまくいかなくなってるなぁ。
相手は恋人になったら友達より優先して一緒にいてほしいと望むけど、那琉も空もそうじゃない。
那琉も空も初めての恋愛、お付き合いだから、相手を本気で好きじゃないのか、べったりしたくない派なのかわからない・・いや、そこはまあ自分の気持に向き合えばわかると思うけど・・。
那琉の場合は詩織が言えばそれに合わせるつもりだったけど、詩織がちゃんと言ってたとして、その通りにしてたら、パソコンを使わせないのと同じように、那琉はそのうち窮屈に感じていたかもしれないし。

空と賢は、そういえば最初も同じような理由でダメになってたんでした。賢はあの時は那琉&和成に嫉妬してたけど、空が賢を優先して会ってくれないからだったから。結局そこは解決できない溝だったんだね。
賢が一人の時より寂しかった、愛してほしくて〜情けないなんて言ってるの、切ない。

那琉が「でもオレはどうして」というのは、和成の方が那琉を大切にしてくれてるってわかるけど、詩織より和成をとるってこともできないってことかな・・・。

 

93話 主導権

賢に「空 俺たちもう 終わりにしよう」と言われて、今までの賢とのことが走馬灯のように思い出される。
空「私 もっとがんばるから イヤな所とか全部直すし それでももう無理?」
賢「そうじゃないんだ 俺たちの努力でどうにかなる問題だったら最初から別れようなんて言ってないよ」
空は毅然とした三好の態度を前にもうやり直せないという現実を思い知った

私にも挽回するチャンスをくれてもいいじゃないという空に賢は
「今まで俺なりに結構頑張ってきたつもりなんだよね だからこれ以上はもう無理なんだ」
その言葉を聞いたとたん空の頭の中に今までの三好の努力の数々が走馬灯のように駆け巡ったという。

連絡がつかなくても理解しようとしてくれたこと
少しの時間でも会いに来てくれたこと
そして一番は ありのままの空を好きになろうと努力してくれたこと

賢「空は本当に素敵な女性だから 俺なんかよりもっと良い奴出会えると思う」
空「私は 賢じゃなきゃイヤだよ」
賢「ううん 俺じゃなくても空は大丈夫だよ」
空はその言葉から今まで三好が抱えていた深い心の傷を知ったという

空「本当にこれで終わりなの?」
賢「ああ ごめん。あまり泣かないで じゃあ俺先に帰るから」
といって帰る賢。

2人の決定権は空にあると思っていた
しかし空も気付かぬ間に2人の位置は大きく変わっていた
オレは恋愛においてどちらか一方に主導権があると思っていたけど
どちらかじゃなく最初から2人にあるのだと空は教えてくれた

最初の別れの時とは全く違う空の態度にオレは戸惑いを感じた
こんな公開している空を初めて見たから
受話器の向こう側で空はずっと泣いていた
空は誰よりも強い子なのに
オレも心が張り裂けそうだった

恋愛は一瞬で人を奈落の底に突き落とす
オレはそんな状況に追いやられた自分を見たくない

詩織からメッセージの返信がくる
詩織も考える時間が必要で、こんな風に逃げたまま終わらせようとしてたわけじゃない、でもこの問題は2人では解決できないから和成も呼んで3人で会って話そうという。

それから他の人のそんな姿も見たくない

関係の主導権が2人にある
それはただの都合のいい言葉
実際はどちらか一方にしかない

オレが今まで守ってきたものが崩れ落ちていく
オレは 転落する準備ができているのだろうか?

3人での話し合いの待ち合わせ
那琉「早かったね」
詩織「うん 久しぶりだね 元気だった?」

今の詩織ちゃんの言葉や表情
何を意味してるのか
オレには全然わからない

那琉は詩織に話しかけるが、詩織は和成が来てから話そうという

和成「遅れてごめん 結構待たせちゃった?」

この関係の主導権が変わってしまった

 


空は賢と別れるつもりでいたし、お互い傷つけるだけだからと言っていたのに、いざ賢から別れを告げられると、別れたくないと思ってしまったんですね。まだすぐじゃない、別れられるかな、とは言ってたけど。

空は賢に会いたがられる方、待ち伏せされたりするのが嫌だとは思っても、会いたくないと思えば避ければいい。賢は会いたいと思う方、だから少しの時間でもと会いにいったのに、それさえも嫌がられ、会いたいのに会ってもらえない、もっと一緒にいたいのに満たされない、空は自分が思うほど自分の事を思ってくれない、と、もっと一緒にいたがる賢の方が、不満は募ることだろうと思います。

ちょっとの時間でも会いたくて行ったのに「計画通りに物事が運ばないと気がすまない性格だから」と嫌がられちゃあ、そりゃあもう無理だと思うだろうなぁと思います。この会話の時どうやって会話を終えたのか気になったし。空が賢を好きってあまり感じられなくて「俺じゃなくても空は大丈夫」って思ったんだろうな。
ただ、空のそういうところは最初に別れる前にわかったと思うので、賢が復縁しようと思ったのは何故なんだろう、それでも好きだって思ったのは何だったんだろうってちょっと思います。

空は那琉に言ってたように「愛されている」っていうのを感じて、それを手放したくなかっただけなんじゃないかっていう気もします。賢の言う通り、賢じゃなくてもよかったんじゃないかと。
空が「嫌な所は直す」と食い下がったけど、ここは折れないで、スッパリ別れてよかったと思う。
だって、賢の思うように会うように空が合わせたとしても、空が無理して合わせることになるなら、長く続かずまたすぐに不満が募るだろうし、ただ嫌な状態を長引かせてしまうだけになっただろうから。

賢はもう限界ってとこまで、彼なりに頑張ったんだろうな。
そして精神的に辛さが限界になって、もう無理で、これはもう合わないんだって思い切ることにしたんじゃないかな。
空だって賢のように思いきれなかっただけで「お互いを傷つけ合ってしまう苦しみの方が大きくて辛すぎる」って思って、わかってはいたんだよね。

そして次は那琉の番。
ここからしばらく3人の辛い話し合いが続きます。

 

94話 主導権(2)

人の心はどうすれば変わるのだろう
変わらないと思っていた心も結局は変わってしまう

時間が戻って、待ち合わせよりもっと前の詩織の部屋で友人との会話

詩織「私できるかな?」
詩織「1年以上も待ち続けて 付き合えたら どんなに幸せだろうって毎日夢見てたほど大好きだった人なのに そんな人とちゃんと別れられるかな」

詩織「告白する時は付き合えたらもうどうなっても良いってくらいの覚悟だったのに 私の我慢が足りないのかな?」
友人「2人で始めた関係なんだよ、詩織一人が努力したところで何の解決にもならないと思う」
詩織「私は新谷さんも私の事 好きなんだって思ってた それがこの関係を守り続ける私の唯一の力だったの でも違ったみたい」

詩織「私のことをもっと愛してくれて大切にしてくれる人と付き合わなきゃ」
友人「そうだよ 詩織は良い子だもん もっと素敵な人に出会えるよ」
ゆっくり休んでと言って友人は出ていく。

詩織「新谷さんのバカ、少しくらい私の事 大切にしてくれても良かったじゃない そしたらもっと頑張れたかもしれないのに」
ここで、おそらく那琉からの長文メッセージが届き、それを見て「そうだね」と詩織はつぶやく。

 

3人でカフェの場面に戻る
遅れてきた和成は那琉に言われて隣に座る。

詩織はこれは私達2人だけの問題じゃないから和成にもきてもらったのだという。
那琉「3人とも関係はしてるけど 結局はオレのせいだから オレの責任なんだ」
詩織「そうだね 新谷さんの責任が一番大きいと思う でもここに責任のない人なんていないの
私にも軽く考えて対処しようとした責任があるから」
那琉「詩織ちゃん でも和成は・・」
詩織「3人の責任なの だって池田さんは私達を意図的に邪魔してたから」

まだ本格的には次から話し合いが始まりますが、「私のことをもっと愛してくれて大切にしてくれる人と付き合わなきゃ」という言葉が、詩織の恋愛に望む姿勢を一番表している気がしました。
みんなたいてい愛してくれる人を望むだろうから、変わってるわけじゃないけど、詩織は那琉みたいなトラウマを抱えた難しい人じゃなく、もっと普通の明るく楽しく付き合えるような相手との恋愛を「夢見ていた」人なんだろうと思います。

詩織は付き合う前に1年も那琉と接していたくせに、空や和成のようには那琉の本質を見てはいなかったんだと思う。那琉の一部分だけ見て自分の理想の恋愛像に当てはめて「夢見ていた」だけなんじゃないかな。
今の時点で那琉は和成をかなり大切に思っていて、詩織が望むほどに詩織を好きになっていないとしても、詩織が気付いた時点で、こういった話を那琉に向き合って話し合っていれば、詩織は那琉のもっと大切な人になれたかもしれない。
空や和成は那琉と深い話をするのに、詩織とは全くそういった会話はありませんでした。
いつも上辺だけな感じの会話ばかり。今回のこの話し合いが初めてのシリアスな会話だろうと思います。

詩織とは深い話しないなーというのは前々から感じていて、だからきっと彼女は、ずっと付き合う彼女にはならないだろうとは思っていました。詩織と軽い会話しかないのは、作者さんも意図的にそうしていたんだろうし。
詩織は、那琉が自分のことを好きじゃないからって言ってるけど、恋愛にもっと軽い感じを求めてる詩織とは合わなかったんですヨ。

だって、和成は那琉に恋愛感情がないのはわかってても、ずっと那琉のことを好きで大切に思い続けているんですよ。ちょっと那琉の恋愛の邪魔したりはしちゃったけど。
その想いの深さに敵うわけがない。

 

95話 主導権(3)

「だって池田さんは私達を意図的に邪魔してたから」という詩織の言葉に、那琉はそれは誤解で、自分のせいで和成は何も悪くないという。
それに対して、詩織は那琉の答えは予想通り、でもこれは誤解じゃなく、意図的に和成は私達のデートに顔を出していたんだという。

那琉は、詩織も自分にとって大切な存在で、怒る気持ちも理解しているつもりだけど、和成も詩織と同じくらい大切な存在、だからこれはオレの自分勝手な判断なんだという。

詩織も和成が那琉にとってどういう存在なのかわかってるから、話すかどうかすごく悩んだ、どうせ那琉は詩織よりも和成を信じると思うから。

那琉「和成はオレの一番の親友なんだよ、詩織ちゃんのことが信じられないとかそういうんじゃ・・
でもどうしてさっきから和成の話ばっかりなの?」

詩織が去年交通事故に遭って、那琉とあまり連絡をとってなかった時期、和成とはずっと連絡をとっていた。あの時は和成のことを信じていて、詩織に協力してくれると思ってたから。でも今思えば協力どころか詩織に諦めさせようとしてた。

那琉「オレの知らないところで連絡を取ってたのはちょっと変だけど理由はどうあれ、和成はそういうつもりでやってたんじゃないと思う」
「だよな?和成」と那琉に言われて、少し頬を染めた何か言いたそうな表情になるが、何も言わない和成。

それだけじゃなく、詩織がバイトしてた時に会いに来たこともある。今思えばそれも那琉といい感じの詩織が気に入らなかったから。

那琉「知らなかった。正直それはちょっと理解できないや」
那琉「でもそれがオレたちの関係を邪魔してたって証拠・・?」

 

「よく考えてみて」と詩織に言われて、
さくら「背が高くてイケメンの男友達ってだけで気に障るのに その人が空さんを好きなんて」
那琉にドタキャンした女「はい 当然2人の間で解決してるんだとばっかり」
というシーンが思い浮かぶ那琉。

那琉「いや和成がオレにそんなこと 詩織ちゃんだって考えてみなよ わざわざ邪魔する理由なんてないだろ?」
詩織「それは・・私の口から言うことじゃないと思う」

「和成!お前が答えろよ!誤解だって!ちゃんとした理由があるんだろ?そうだろ?」と那琉に言い募られて
「ご・・めん・・ごめん那琉 ごめん・・」と顔を赤らめて困惑した表情でいう和成。

那琉「どういうことだよ 和成がどうしてオレたちの邪魔なんか・・」
すっかりしょげた様子の和成。

オレのことなのにオレだけが何にも知らないなんて・・・。

那琉「詩織ちゃんはいつから知ってたの?2人してなんだよ 他にも隠してることあるの?」

詩織も知ったのはつい最近で自分の力でどうにかしようとして那琉に相談しなかったのは悪いと思うが、和成が目の前で認めなかったら、那琉は詩織の言葉を信じてくれなかったと思うという。

那琉「だから黙ってたの?」
詩織「じゃあどうすればよかったの?私より池田さんを信頼しているのは痛いほど分かってるのに」

裏切られたって気持ちより
2人を失うかもしれない恐怖の方が大きい
オレはどうするべきなんだ・・


ごめんとしか言えない和成がツラい。
それは好きだからって部分を言わないと、ただ邪魔してただけの嫌がらせみたいになっちゃうじゃん、と思いましたが、和成はそれしか言えずに終わってしまいます。

 

96話 主導権(4)

詩織「私が言ったところで信じないでしょ 誤解だって言い張るに決まってる それに私は池田さんに勝てるわけない 新谷さんと一緒に過ごした時間 池田さんへの絶対的な信頼に 私が勝てるわけないもん」
那琉「勝つとか負けるとか そういう問題じゃないだろ
オレにちゃんと打ち明けてくれてれば
もっと早く話してくれてたら
こんな風にはならなかったはずだ
突然こんな話されて信じろっていうほうが無理だろ」
詩織「ほらやっぱり
新谷さんを裏切ったのは池田さんなのに早く言わなかった私を責めるでしょ
酷いよ こんなことした張本人より私の方が悪いって本気で言ってるの?」
那琉「ちがう・・ そんなつもりじゃ・・」
詩織「じゃあ何?」

那琉「詩織ちゃんにだけ言ってるんじゃない
ただオレも突然のことで
わけがわかんなくて だから・・
オレは・・詩織ちゃんのこと信じるよ
だってオレにとってすごく大切な人だから」
詩織「今更そんなこと言われたって もう遅いよ」
那琉「違うんだ 和成はオレの恋人じゃない
恋愛とか初めてだったから頭の中がごっちゃになってただけなんだ」
詩織「なにそれ 笑わせないでよ」
那琉「ごめん・・オレは詩織ちゃんを・・」
詩織「もうやめて!これ以上聞いたところで新谷さんに失望するだけだから
今まで通り 友達思いの新谷さんでいて
今さらこんな弁解されたところで何も変わらない
ただ私より池田さんの方が大事なんだって理解した方が楽だから」
那琉「違う オレが大切なのは詩織ちゃんだよ」
詩織「だったらどうして あんなことしたの?」

那琉「オレのこと捨てる気ならどうしてこんな話するの?」
詩織「え?」
那琉「オレのこと捨てるんだろ?
だったら話さなくてもよかったじゃないか」
詩織「捨てる?今度は被害者面するわけ?」
那琉「だってそうだろ?オレを見切って別れる気なんだろ?」
詩織「私が捨てるんじゃない 私たちの関係を先に終わらせたのはそっちじゃない」

 

那琉は泣き始める。
那琉「違うよ 詩織ちゃんだって知ってるじゃないか
オレが・・普通じゃないって・・
だから辛い思いさせちゃうって最初に言っただろ
でも詩織ちゃんは待つって言ってくれたじゃないか!」
詩織「過去のことで 今までの自分の行動を正当化するのは間違ってないかな?」

那琉「じゃあどうして話したの?話す必要ないじゃないか」
詩織「それは・・まだ私が新谷さんのこと好きだから
新谷さんがすごく憎い・・でもまだ好きな気持も残ってる
私が言わなきゃ多分ずっと気づけないって思ったから
そしたら変われないじゃない
一緒に成長していけたらもっと良かったのかもしれない
私がもっと待ってあげられたらよかったのかもしれない
でももう 私には無理だよ・・ごめん」


「だったらどうして あんなことしたの?」のあんなことって、デートに和成を呼んだことを意味するのかな。売り言葉に買い言葉っぽく言い合いになっちゃってる部分もあると思うけど、やっぱり微妙に「こうだからこう」っていう会話のやりとりがつながってない感があって、よくわからない部分もあります。

那琉のトラウマの話をして辛い思いをさせちゃうって最初に言った件を出したのに対する返しが、「過去のことで 今までの自分の行動を正当化するのは間違ってないか」ってのは随分、キツイなと思いました。
その後で「私がもっと待ってあげられたらよかったのかもしれない」とも言ってますが、正論かもしれないけど過去のことで自分を正当化するな、なんて言うとは。
自分が言ったことについてはどうなんだよ、と思うけど、結局つまり詩織は、那琉と付き合う時にはああ言ったけど、やっぱ無理だったってことなんだよね。

 

97話 アクアマン

那琉のモノローグ
待ってくれる気持ちは想像してたよりも遥かに小さかったみたいだ
いろいろ悩んでこの人なら信じられると思ってたけど
結果的に簡単に信じすぎてしまっていたということ
詩織ちゃんの覚悟がオレの心を踊らせたあの日
誰かの覚悟で気分がよくなるなんて
今思えばバカげたことだ
誰かのじゃなく
それは自分の覚悟や意思でなければ
ならないはずなのに

オレの中にある深い井戸から
オレを助け出してくれると信じていた
そう 詩織ちゃんが助けてくれると

でも井戸はさらに深くなって暗くなって
もう二度と出てくることなどできないような気がした

これからオレはこの井戸の中で生きていくのかな

那琉「過去を理由に 全てを詩織ちゃん任せにする気はなかったんだ
本当にごめんね
過去の傷が思ってたよりも大きかったみたい
オレはもう たぶん治せないと思う
ごめん 本当に 辛い思いさせて」
詩織「ごめん私もう帰るね」

那琉「帰っていいよ」
和成「那琉・・」
那琉は伸びてきた和成の手を払う

那琉「今は何も聞きたくない
だから帰って
聞こえなかった?
早く帰れよ」
和成「那琉・・俺は・・」
那琉「こうなったのは全部お前のせいに思えて仕方ないんだよ
それに今後悔してて」
和成「わかった 落ち着いたら話そう」
那琉「うん 話すことがあるかどうかは分からないけど」
和成「ちゃんと・・全部話すから・・」
那琉「全部って・・」

過去に戻れたらどこから正せばいいんだろう
問題は未だにそれが分かってないってことだよな
それとも・・あの頃なのかな(誘拐事件の頃)

那琉の家。まだ渉が滞在しているようで、那琉にご飯食べようというが断られ、部屋に入るのも断られる。那琉は何日もこもっているらしい。

そこへ和成が訪ねてくる。
渉は那琉が最近部屋から出てこないので無理じゃないかと思っているような、気遣うような感じで対応し、那琉に声をかけるが「今は一人にして」と言われてしまう。

和成「那琉 俺だけど」
那琉は「入って」とドアを開ける


「待ってくれる気持ちは想像してたよりも遥かに小さかった」っていうの、ほんとにそうだなと思いました。その後の詩織に期待してたけど失敗だったという後悔の気持ち。
和成が今までになく表情のある顔をしています。
でもなんて表現していいのか・・難しい。

 

98話 アクアマン(2)

渉は気を利かせてカフェに行くという。

和成「具合でも・・」
那琉「そんな話しに来たんじゃないだろ」
和成「そうだな」

和成に対してこんな冷たい言葉を浴びせるなんて自分じゃないみたいだ

那琉「全部話せよ お前が隠してること」

お前の言うことは全部信じてたのに どうしてこんなこと
今でも遅くない・・違うって言ってくれ
前みたいにお前のことを信じられるように
疑いたくないんだ だからどうか・・
もう一度信じさせてくれ

和成「詩織ちゃんが言ってたこと 全部本当だ
それから前に合コンで会った子も俺が邪魔した
気のあるフリしてわざとお前とのデートの日に会おうって言った
詩織ちゃんにお前の知らないところで連絡していたのも本当のことなんだ
でも結局2人が付き合う事になって
だからデートの時に邪魔しようと思ったんだ
そのせいで詩織ちゃんに気付かれることになったんだけど」

那琉「オレたち 友達じゃなかったのかよ
オレはずっと友達だと思ってたのに 勘違いだったんだな」
和成「そうじゃない俺は」
那琉「じゃあ何?友達だったらそんなことしないだろ?
俺はお前より秀でたとこなんて何1つないのに
背だって小さいしモテないし
過去のトラウマも克服できなくて
被害妄想ばっかで捻くれた人間だし」
和成「そんなこと・・」
那琉「こんなオレからこれ以上何を奪いたかったんだよ
そんなことしなくたって
オレはそもそも何も持ってないのに」
和成「ごめん・・本当にごめん・・オレが悪かった 本当に」
と那琉をみつめ涙を流す和成

那琉「もういいよ・・」
和成「お前のことが好きなんだ・・
伝える勇気もないくせに
他の誰かと一緒にいるお前を見るのは辛くて
だから邪魔したんだ・・
ごめん・・本当にごめん
好きなんだ
もうずっと前から」

いつから・・?オレのことが好き・・?オレを・・?
和成の顔と誘拐犯の顔が思い浮かび
はぁはぁと呼吸が荒くなる那琉

和成「那琉!」
那琉「くっ来るな!」
和成「わかった 近づかないから・・ごめん那琉
俺が悪かった 俺・・気持ち悪いよな?」

あぁ・・いっそ知らないままでいたかった・・
お前を許すことも憎むことも・・俺には難しすぎるよ
お前が気持ち悪いのに・・
泣いてるお前を見てると・・
なんでそんな気持ちも薄れていくんだろう

那琉「オレは・・お前が空のことを好きなんだと思ってた」
和成「サクラちゃんから聞いたんだろ?」
那琉「誰から聞いたとかそんなのどうでもいい
オレは・・お前が空のことを好きなんだと思って・・一人で」
和成「お前とそっくりな子と付き合ってて
それをサクラちゃんに知られて 咄嗟に嘘ついたんだ
お前にバレるのが怖くて・・」
那琉「じゃあ最期まで言わなきゃいいだろ!どうして今さら・・」
和成「那琉は・・俺の気持ちに本当に気付いてなかったのか?」
那琉「気付くわけないだろ!どうやって気付けって言うんだよ!」
和成「本当に?少しも・・?」
那琉「知らな・・かった・・
知らなかったよ
今まで一度だって・・言ってくれなかったじゃないか・・」
和成の方を見て涙を流す那琉

過去の記憶がふと頭をよぎった
あの日、オレを見ていた和成の顔が・・
どうしていきなり思い浮かぶんだろう・・

高校の頃の那琉と、頬を染めながら那琉を見つめている和成の回想シーン

 

99話 アクアマン(3)

大学のサークルの部屋のソファで、和成にもたれかかって座って絵を描いている那琉。

那琉「あぁ・・やりたくない〜」
和成「提出いつまで?」
那琉「はぁ明日・・お前何時に出んの?」
和成「そろそろ行くけど」
那琉「え〜何か予定あんの?」
和成「あぁ彼女」
那琉「行くなよ!」
和成「え?無理だよ」
那琉「どうして?」
和成「どうしてって・・」
那琉「ふん!恋人できると友達は二の次だもんな〜」
和成「何だよそれ そんなことないだろ?」
那琉「じゃあ行くなよ」

那琉の部屋、現在に戻る

那琉「知らなかったよ・・本当に・・
お前から言われるまでオレは・・
知らなかったんだ・・!」
和成「そっか 俺さ
今学期が終わったら実家に戻ろうと思う」
那琉「え?」
和成「勉強に集中しようと思ってさ」
那琉「勉強のためにわざわざ実家に戻るのか?どうして?急に・・
オレに全部打ち明けてお前は逃げるのか?
自分だけ楽になるために?
全部話しておいて・・?
一人で逃げる気かよ!」
和成「楽なわけない
お前を置いて行くのに
俺が楽なわけないだろ・・那琉・・」

那琉「じゃあオレは?
オレはどうすればいいんだよ
オレはどう生きていけばいい・・?
オレは・・オレは・・」
和成「俺達はお互いのために離れるべきなんだ
俺は・・好きだからって理由でお前を傷つけてる・・
このままじゃお前は訳もわからないままボロボロになっちゃうだろ」
那琉「もうボロボロだよ!
お前のせいで・・お前の・・
こんな風にしておいて・・
責任取れよ!
そうやって勝手に逃げるなんて卑怯だろ!」
和成「ごめん・・ごめん・・那琉
こうでもしなきゃ
俺はお前から永遠に抜け出せないんだよ
ごめん・・那琉
俺・・そろそろ行くよ」

ドアを開けようとする和成の服を那琉がつかむ

那琉「行くなよ
今行ったら 絶対に許さないからな」

振り返り那琉の手に触れて
「ごめんな那琉・・」と言って部屋を出る和成

 


いい結果とは言えないけど、やっと和成は好きだと那琉に伝えることが出来ました。
98〜99話にかけて、この漫画の今までの中での一番のクライマックスだと思います。
やっぱりトラウマのせいで、那琉は男から好きと言われてトラウマの事を思い出してしまいました。

那琉は詩織に言われた時と同じように和成にも「言わないでほしかった」と言ってしまいます。逃げようとしちゃうんですね。でもここは和成が「好きだ」とちゃんと言わないと、那琉を邪魔する真っ当な理由にならないから。そうじゃないと那琉も言ってるように友達じゃない、ただの嫌がらせになっちゃうからね。

「気付いていなかった」と言う那琉が中学の頃の自分を見る和成を思い浮かべたり、サークルで「行くなよ」って言うシーンを思い浮かべるのは、どういう意味なんだろう?
和成にいいように考えると、気付いてなくなかったってことを表してるのかな。
もちろん意識的にはっきりとはそう思っていなかっただろうけど、考えてみればそうだったんじゃないかって思えるような行動をしてたんじゃないかっていうことかもしれない。
このサークルでのシーンは、那琉が無邪気な小悪魔って感じにも見える。

そして和成は那琉の反応次第だったろうけど、和成もこの数日いろいろ考えて、那琉が受け入れてくれなかったら、離れようって考えたのかな。

「言ってくれなかった」「責任取れよ」とか、聞きようによっては、那琉は言ってほしかった、責任とって付き合って、とでも言いたいかのような口ぶりで、「気持ち悪い」と思っておきながら、行こうとする和成を引き止めるし、離れてほしくはないと思っているんだと思います。
でも今はただ、一緒にいてくれる人がほしいだけ、離れてほしくないだけ、かもしれない。

和成が好きだと気持ちを伝えて、過去のトラウマもあるし、すぐに那琉が受け入れるとは思ってないので、予想通りですが、受け入れてくれなくて、離れることになるのは悲しい。
でも一旦離れるのも二人にとって必要なんだろうと思います。
離れてみて、那琉が、和成が大切なことに気付いてくれないと。

 

100話 癒えない傷

和成が建物を出たところで、渉に会う。
渉「池田君 もう帰るの?話はできた?」
和成「ただ 俺の気持ち 伝えただけですから」

渉は前回4人で会った時の和成の那琉を見る様子を思い浮かべ、何かを言おうとするがやめる。

和成「それじゃ俺は帰ります
那琉・・今すごく辛いと思うんで 支えてやってください・・それじゃ」

渉「俺は何もしてあげられないよ
那琉君の力で克服するしか
立ち向かうか逃げるかは那琉君が決めることだから
那琉君を助けてあげられるのは
結局のところ那琉君しかいないんだ
いくら周りが助けようとしても
那琉君はあの場所から抜け出せない
もちろん俺の言葉で少しは慰めになるかもしれない
その場しのぎのね
近くで見てきた池田君なら分かるだろう?
あの子はいつまで経っても変われない」
一人で生きていかなきゃいけないから

空は和成の気持ちに気付いていたようだった
和成の話をした途端 涙をこぼしていた
どこまで知ってるのかは知らないけど
もうどうしようもできないことはみんな分かっていた

空のバイト先の美術系の塾で那琉も先生として手伝っている

学校も始まり久々に外へ出た
いつの間にか季節が変わっていたことに気付かされ正直驚いた
季節はこうも早く変わるのに

気に入らないから新しくやり直したいという生徒に那琉は、試験でやり直しなんてない、できるところまで直してという。

空にそろそろ片付けて帰ろうと言われる。
那琉は、さっきの生徒の話をし
那琉「気に入らないとやる気なくしちゃうけど」
空「だからって途中でやめたら成長しないし次の絵のためにも完成させて先に進まないと」
那琉「そうだね だから完成させるように言ったよ」

空「仕事の方はどう?」
那琉「やっぱり塾の仕事はオレとは合わないみたい」
空「今週だけでいいからさ」

でもさ 最初からメチャクチャになった絵は
いくら頑張っても直せないんだ


渉はいつもはほんわかキャラだけど、いざという時は本質を突いてくる事をいうなぁ。
最初に那琉と会った頃もそうだったけど。
そして那琉のトラウマ事件のことを知ってるんですね。

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