漫画「精霊王エルキネス」原作:イファン 制作:Nyarrr 感想(6)

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ピッコマにて。土曜更新で連載中。
家族から嫌われ虐待されていた高校生男子が事故で亡くなる。家族に愛されなかったのは生まれる世界を間違っていたためだとわかり、異世界に水の精霊王エルキネスとして転生し、幼い皇帝を助けて世界を巡るお話。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

漫画「精霊王エルキネス」感想(1)
漫画「精霊王エルキネス」感想(2)
漫画「精霊王エルキネス」感想(3)
漫画「精霊王エルキネス」感想(4)
漫画「精霊王エルキネス」感想(5)
漫画「精霊王エルキネス」感想(6)

 

船旅、エルフのエンディール

89話

神罰が下ったムースは倉庫に入れられ、停泊地で治安隊に引き渡される。
潔白を証明したエンディールは自由の身になり、船員達に謝罪された。

「作戦成功だね」というイサナに、「運が良かっただけ、寿命が縮まるかと思った」とエルは答え、カイも「実は私もハラハラしていた」という。
エルリエンに後でお礼を言おうと思うエル。

イサナ、カイに、エンディールを放っておけず目立ってしまった事を謝るが、カイは「そういうエルだからこそ尊敬している」、イサナは「エルのそういう優しいところが大好き」だと答え、エルは自分を信じてくれる仲間がいることの有り難さを感じる。

エンディールがエルに、もじもじしながら確認したいことがあるという。
エルは、教皇であることを隠すためにイサナの力を借りて精霊士のふりをしたと誤魔化そうと考えるが、エンディールに「あなたは精霊王・・」と言われて慌てて口を押さえて人の居ない所へ行く。

 

エルはバレてるはずがないといろいろ考えながら話を聞くと「水の精霊王ですよね」とズバリ聞かれてしまう。海底探検で助けてくれた、全部見てたから犯人じゃないって知ってた、髪と瞳の色、フードを脱いでみんなが驚く程の綺麗な顔立ち、神罰は精霊王なら神とも親しいから等、エンディールはいろいろと鋭く推測していた。

エルはあくまで精霊王だということを隠そうとして、友達の水の上級精霊士にお願いしたトリックで、教皇より精霊士の方がエンディールが警戒しないと思ったからだと説明すると、エンディールはポロポロと泣き出してしまう。

 

90話

「やっと会えたと思ったのに」とポロポロと泣き出すエンディール。
話したい事があったというエンディールに、エルフは精霊王とは契約できないというエル。

エンディールは医師も神官もお手上げな妹の病気を水の精霊王なら治せるかもしれないと思い、お願いしたかったのだという。

よく考えてみれば、水の王が贈ってくれたシキュエルを大切にしなかったのに、会ってくれるはずがない、当然だというエンディール。水の王に会えばシキュエルが戻ってくるかもしれないとも思った。
シキュエルに会ってから、いなくなるなんて想像したこともなかったのでまだ実感がわかない。
でも自業自得だから、忘れてください。

 

エルはエンディールの事情を詳しく聞く。
エルフの村の外に暮らして10年だが、人間が近づけないようにエルフの領域には住んでいる。
妹セシルの面倒を見てくれる者はいない。村を出る時に騒ぎを起こして嫌われているからエルフとの交流はない。自分たちにとっては人間の方が野獣やモンスターより危険な存在。

奴隷ハンターに狙われた事も何度もあり、シキュエルがいなければとっくにどこかに売り飛ばされていたかもしれない。今回の旅が終わったら、しばらくは人間がいるところは極力避けないといけない。精霊との契約が解除されたという噂がすぐ広まるだろうから、気をつけないと。
警備隊も所詮は人間だからエルフを守ってくれない。

それにこんな性格だから人間から嫌われて信頼されていない。
街で人気に見えたのは、港町だから精霊士で天気を予測するのを好意的に見られていただけ。
船員たちも古い仲なのに僕の言うことを信じてくれなかった。
エルフを排他的な種族だというけど、人間も同じ。

利用価値があるから傍に置くけど内心信用できない奴と思っている。
だから腹いせに騙したりもした(神殿と結託してた浄化儀式のこと)

 

エルは寂しそうに笑うエンディールを見て、イサナ、カイの温かい目を思い出した。
エンディールの傍にも仲間がいたら今と違った生き方ができていたかもしれない。

そして前世で唯一の友達だった「真」が自分を支えてくれた事を思い出す。
他人を受け入れ強く真っ直ぐで、その人の存在自体が誰かの希望になる人。
いつか彼のようになりたいと思っていた。

シキュエルがエンディールを見捨てられなかったわけがやっとわかった。
彼はエンディールの傷ついた心を癒そうとしたんだ。
それは過去の僕が願っていたことでもある。

 

エルはエンディールの腕を掴み、傷やダメージを治す。
精霊との契約が解除されたのはエンディールのせいではなく、元々繋がりが弱かったせいだという。
エンディールは元々精霊士の資質が低く、シキュエルとの契約は、泉すら入らない器に海を入れようとしたようなもの。

水の精霊王がシキュエルを贈ったのも事実ではない。
君が喜ぶと思ってシキュエルが嘘をついた、シキュエルが勝手にやった契約。

「だから今度はちゃんと僕がプレゼントするよ」
といってエルはエンディールの手を握る。
「フェリスは潜在された親和力だけ取り出せばよかったけど、エンディールは強制的に道を作ってやらないといけないようだな」
「身体機能を完全に変えるために水の精気を一気に送らないといけないから、かなり体にこたえるはず、でも対価はつきもの」
エルの握った手が光につつまれる。

フェリスって誰だっけ?と思ったけど、イサナと最初に一緒にいた精霊士でした。
すっかり忘れてたけど、そういえばフェリスは水の精霊士じゃなかったのをエルが水の精霊士にしたんだっけ。

 

91話

君の身体の性質を変えた、といっても基本的な枠を整えただけ。
簡単に言うと精霊士として必要な基盤を整えたってこと。
井戸がないなら水脈を引っ張ってきて強制的に作るしかない。

エルはエンディールの額の印章のあった場所に指を当て、精霊士の印章をつける。

契約は復活したが、今までとは違い正式な契約の仕方になったので、今まではシキュエルが全責任を背負ってたけど、今後は君と分け合うことになる。
だから精霊を召喚する時、君のパワーがもっと必要になる
その代り限界までマナを消費しても契約は解除されない

流れが変わったから慣れるまでは練習が必要
最初はナイアスを召喚して慣れるまで少しずつ練習して

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ナイアスが召喚できると聞いて驚くエンディールに、エルはウィンディーネも召喚できるし、マナが許す限り召喚できて数も増やせると説明する。
今まではシキュエルの一方的な犠牲による契約だったから、他の精霊は召喚できず、精霊士としての能力も使いこなせていなかったので、エンディールは普通の精霊士ができる事をいろいろと知らなかった。

「ナイアス召喚」って言ってみてとエルにいわれ、その通りにしてナイアスが召喚されると、エンディールは驚愕する。

エルはエンディールの妹の病気について詳しく尋ねる。
神官の神聖力は試したが一時的に回復してまた元に戻った、購入している薬草は臓器と身体能力の働きを助けるもの。

「僕が治せる保証はない、傷は治せるけど病気の治療はまだやったことがないからあまり期待しないでね」とエルが言うと、エンディールは震えながらエルに「本当に本物の水の王なんですか?」と聞いてくる。

教皇と言ったのは遊戯中だから正体を明かすのを避けたかったんだとエルが説明すると、エンディールは夢や幻想かと思って、なかなか信じられていなかった様子。

いくら下級でも水の精霊は基本的に性質が荒いからナイアスを召喚した時にかなりのマナを消費したはずなのに、かなり鈍感なのかも、と思うエル。

 

「もう一度シキュエルに会えるのか」と聞くエンディールに、エルは「会えるけど当分は我慢して」と答える。
エンディールの体が耐えられないだろうし、シキュエルもずっと無理して体が弱ってる状態で強制召喚解除されたからしばらく休息が必要なんだと説明する。

シキュエルからすると命がけだったということをエンディールは知る。
そしてこれからは大切にするし精霊士の名に恥じることはしないとエルにいう。

もう希望なんかないと思っていたのに、自分にこんなことが起こるなんて信じられなくて、と感謝しながらまた泣くエンディール。

エルはエンディールがずっと「水の王」と言ってるのを「エル」と呼ぶように言い、エンディールは照れながら「エル様」と呼ぶ。
エル(コイツとはこれからもうまくやっていけそうな気がする)

戻ってイサナとカイにも報告しようとしているとルカルエムが現れる。

 

92話 ルカルエムとの会話2

「神の紋章ですか、さすが精霊王、教皇職を掛け持ちするとはスケールが違いますね、刑罰の神と親しい仲だとは驚きましたよ」とルカルエムにいわれる。

魔王に報告するつもりかと聞くエルに、命令には従わない事に決めたのに報告はしない、こんな面白い状況を台無しにするわけにはいかないと答えるルカルエム。

エルのサークレットを見て、「昔、魔神殿に飾ってあるのを見た、魔神教団の物を盗んだんですか?」という。「刑罰の神官がこれを持ってること自体が魔神殿にとっては宣戦布告のようなもの」とルカルエムに脅されるが、エルが固まっていると、冗談だという。

みんなとっくに忘れているし、人間の中でサークレットの存在を知る者はほとんどいない。
1つの帝国の領土に教皇が2人いるのは昔からよくあったことだから心配はいらない。
上級神同士はお互いを尊重して共存する雰囲気なので紛争が起こることはまずない。

 

戦争が起こったとしても、今の魔神教団には怠け者が多くて刑罰の教団には到底勝てないから、魔神教団が不利だから問題ない。
私がエルキネス様だったら教皇の身分を利用して戦争を起こし帝国の最高神を変えてたかも。

魔族だからこそ言えること。
小さな次元にある帝国が消えたからといって魔神の権威が落ちることはない。

エルが「それでも戦争はダメ。いつもお世話になっているエルリエンを困らせたり迷惑をかけたりしたくない。」というとルカルエムは「最初から感じてはいましたが本当に可愛らしいお方だ」とプルプル震えながら笑いを堪えるような様子をみせる。

魔神と刑罰の神の仲は気にすることはない、そもそも仲良かったことありましたっけ?
「魔神と刑罰の神が共にいる時は身を隠せ その場に残った者は皆最期を迎えることになる」という話が神話にある。
奥手な人ほどぶっ飛んだキモチの確かめ方するって言うじゃないですか。
とにかくここで起きたことが二人の関係に影響を与えることはない。
戦争で今よりも事態が悪化するわけでもない、もっと「特別な事」が起きない限り。

 

刑罰の神エルリエンは恐ろしいほど冷静で冷たい方だが、理性を失って怒り狂う彼の姿、気になりませんか?

「そんなの知りたくない、さすが闇の子、陰湿極まりないな」とエルが思っていると「とりあえず今日はここまで、楽しめる時間はこれからもたっぷりありますので」とルカルエムは言って、また急に姿を消す。

「今後の活躍を期待していますエルキネス様、これからも私を楽しませてくださいね〜」というルカルエムの声だけが後から聞こえる。


ルカルエムはさすがに長生きしてる特別な存在なだけにいろいろ知ってるんでしょうね。
ちょいちょい意味深な事を言ってきます。
生まれたばかりのエルキネスがかなうはずもない。

魔族は魔王でさえも精霊王に力で敵わないようですが、ルカルエムは実は精霊王に勝てちゃうんじゃないかなーという気がします。
でも勝てる力を持ってたとしても、ルカルエムはそんなことしないだろうし、デルオンみたいに血気盛んじゃなくて、もっと達観してて、今までにない状況の方を面白いと思ってるんでしょうね。

ルカルエムが一行に加わる件はどうなったんだろう?
ルカルエム的には今の状況で加わってるようなもんなのかな?

 

93話

船は停泊地に到着。

エル一行は、船の最終目的地まで行くつもりだったが、教皇の身分を明かしてからの人々の視線がすごいので、エンディールと一緒に停泊地で下船し、遠回りになるが残りは陸路で移動することにした。

【エンディールを交えて4人で今後の話し合い】
エンディールの妹セシルは人間の父、エルフの母を持つハーフで、そのため他のエルフ達から嫌われていた。セシルが病気になった時、成人になる前に死ぬ運命だったんだ、汚い血が混ざってるからクレア様の怒りを買ったんだと言われ、誰も心配したり助けようとしてくれたりしなかった。

クレアはエルフを創造した神の名。

エルフの一族と血が混ざると皆その病気にかかるらしく、成人になる前に発病し、発病したら数年で死ぬと言われていて、だから呪いだと言われた。
でもセシルは病気になって5年経つがまだ生きている、神の呪いじゃないというエンディールに、カイも呪いじゃないと思うといい、神学の話をする。

 

神学で神々の創生論という教理の中で各種族の誕生について記されている
一番最初に創られた種族は人間
その後、彼らのための中間界を創った

そして主神を補佐する神クレアにしばらく彼らを見守るように命じた
人間に興味を持ったクレアは彼らの高潔で美しい部分だけを活かしてエルフを創った

つまりクレアは人間に非常に友好的な神ということ
そんな神が人間と血が混ざったからといって呪いをかけるとは考えられない

エルフにはこのことについて一切教えていない(クレアが?)
エンディールも初めて聞いたという。
エルフだけでなく他の異種族たちも、自分たちが人間より上位種族だと思っているので、人間起源説を嫌う傾向がある。

 

自分の血筋にプライドを持つのは当然だから、そういう考え方を嫌だとは思わないというカイに、「ほんとにいい人だ」とエンディールは言う。
「妹を守るために長い間1人で頑張ってきたエンディールこそ、素晴らしい人だ」とカイが言うと、エンディールは赤くなって照れる。

呪いじゃないのは確か。
呪いだったら神聖力に反発するので神殿ですぐ気付いたはず。
一時的にでも治癒力で回復できたなら、呪いではない。

混血だけがかかる病気という点が気になるので調べてみないと。
異種族とのハーフはかなり稀なので事例があまりないはず。
カイの知る限りではこの病気を初めて聞いたし、ハーフは純粋な人間よりも長生きするはずで、300年かそれ以上生きられる。

 

2ヶ月に一度薬草を購入するのは、一度に買える量が決まっているため。
薬草の自生地が少なくて増やせないらしい。

その前にエルが戻るのは不可能。
目的地に行くだけでも相当時間がかかるし、滞在したら軽く2ヶ月は超える。

エンディールは薬草が切れたらまた買いに行けばいいし今までもずっとそうやってきたから何年でも待てるという。

今まで病気を診てもらった神殿は、浄化、治癒、医術、平和。
刑罰の神殿はまだなく、魔属性の治癒力は試してない。
属性で治療の仕方が異なり、その人の回復力に働きかけ自らの力で病魔に打ち勝つのが天の属性で、病魔自体に働きかけ病魔を追い払うのが魔の属性。
うまくコントロールしないと治療中に患者を死なせてしまうこともある。

 

「毒を持って毒を制すかな、僕の持つ治癒力にも似てるような・・」とエルは考える。
(エルの治癒力ってそっち系なの?逆かと思ってた)

それを確認してカイは、自分がエンディールと一緒に行き、2人が戻るまで患者を診ている、という。
魔の属性も効果があるはずで完治できるかもしれない、可能性は低いがやってみる価値はある。治せなくてもエル達が戻るまでもたせることができるかもしれない。

「魔剣を探すのに私は役に立たないと思うので私の力を発揮できる方を選ばせてほしい」とカイはいう。

こうして、カイはエンディールと一緒に行き、エル、イサナとは別れることになった。

 


エンディールと一緒に行って先に妹を治すのかなと思ったら違いました。
あくまで魔剣の方を優先するんですね。
エンディールの方はそこまで遠くなさそうだし、どうせ魔剣の後、エンディールのとこに行くなら、結局どっちを先に行っても、クルモアに行くのは同じ時になるんじゃないの?
だったら、別に期限があるわけでもない魔剣より、病気の人を先に治してから行けばいいんじゃないのって思ってましたが、そうか、エンディールはここで薬草買って戻るのか。
船でエンディールが乗ってきたところまで戻らなきゃいけないから、なんですね。

エンディールはアルフォンフ帝国領に薬草を買いに行くって船長が説明してたから、今ここの停泊地はもうアルフォンフ帝国領のはず。
そしてここから魔剣を取って戻って2ヶ月以上って、「以上」だけど、そう違わない感じの言い方だよね。
アルフォンフ帝国領の魔剣のとこに行くのに船旅で1年くらいかかるって言ってなかったっけ?
途中で1ヶ月経ったって言った後どのくらい経過してるかはっきりわからないけど、せいぜい2ヶ月程度のはず。あと10ヶ月もかかるんだったら、滞在して云々の前に軽く2ヶ月超えちゃうからそんな言い方しないよね。

 

最初に言ってたのより早くないですか?
それともここからまだ10ヶ月くらいかかるってことなの?

エンディールの話は、最初は口が悪くてエルフのくせにやなやつっぽい感じでしたが、実は病気の妹の為に人間社会でお金を稼ぐ健気なお兄ちゃんでした。
最後はエルが正式な精霊士にしてあげて、いい感じに収まってよかったです。
エルの助けがなかったら、ほんとにエンディールは何の希望もない状況だったなと思います。
冤罪で囚われ、妹を見殺しにすることになるかもしれなかったんですから。

 

そして最初の方は、エルの転生設定あんまり関係ないじゃんって思ってたけど、今回は結構前世のトラウマが関わってきました。
エルは精霊王ではあるけど、ちゃんと前世を忘却しないで転生したせいか、本来、本能的にわかるはずの精霊王の能力をあまりわかってなかったりするので、どうも「まだまだな若造」のイメージが強いです。
だからこういう感じでエルが精神的に成長していく姿は納得するけど、エルの方がわかってるかのような、上位の存在だよって感じの事言ってる時は、逆に「知ってるんだ?」と思って驚きを感じてしまいます。

エンディールの妹の病気は訳ありっぽいので、ものすごく気になりますが、いつ終わるかわからない魔剣の話の後になるんですね、先が長そう。
長かったエンディールの話が終わってエンディールともしばしお別れ。
エンディールが仲間に加わるのかと思ってたら、すぐお別れだった。

そして毎日連絡取ってるはずだけど全然出てこないラピスが恋しい。
98話にサムネイルが見えるので遅くともそこで出てくるはずだけど、週1話更新に変わったからまだ1ヶ月くらい先ですね・・・。