小説「(仮)花嫁のやんごとなき事情9 離婚のはずが大波乱!?」作者:夕鷺かのう イラスト:山下ナナオ 感想


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中世っぽい世界観で、孤児院育ちの女の子が、お姫様の替え玉として、すぐに離婚するミッションで隣国の皇子に嫁いでいくお話。のシリーズ9作目。
前巻に引き続き、皇宮でのお話。物語が佳境に入ってきて、最後はいろいろ気になる状態で終わります。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

「(仮)花嫁のやんごとなき事情1」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情2」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情3」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情4」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情5」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情6」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情7」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情8」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情9」感想

 

ストーリー

前巻の続きで皇宮に滞在中。

「花霊の剣舞」の前、フェルはケイとの会話で、クロウとケイがほぼ最初からフェルの正体を知っていたことを確認する。
ケイはパールが亡くなったのをキッカケにクロウの家令になった。
元々、大商路はケイと意気投合したパールとの計画で、当初クロウは歯牙にもかけなかったらしい。

ケイはクロウに忠誠心はなく打算ずくの関係だが、「あの方が不幸になる瞬間はできれば見たくない」とケイはいう。
フェルはケイに、クロウも最初は打算だったかもしれないが、今はケイを信頼していると思うという。

「すべての東方商人は嘘つきだと言ったらどうします?」というケイの問いかけから始まった会話は「生き延びるためには嘘は大事なのです、つくもつかれるもね?」というケイの意味深な言葉で終わる。

 

「花霊の剣舞」の後、フェルがクロウに会いに行くと、皇子に紛れて、中央教会の禁書区の所で会った青年がいて、パールだと自己紹介される。クロウの相手役の悪役はパールが演じていて、今までパールは東方帝国に遊学していた事になっていて、クロウを含めた皇子4人が自然にパールと話をしている事にフェルは驚き混乱する。

1人先に離宮に戻ったフェルは、途中で会った皇宮の人にも皇子の人数を確認すると皆6人だという。ケイも同じだった。皇子の肖像画にパールの物も飾ってあり、自分がおかしいのかと混乱するが、侍女のラナや黒龍城から連れてきた召使いたちは皇子の数は5人だと言い、変わってない事がわかる。

離宮に戻ってきたクロウに確認しようとするが、クロウがいつになく素直な甘い態度をとってきて、フェルは動揺してしまい聞けない。クロウが騙されたフリを貫き通したいのだと察したフェルは、クロウには話をせず、ラナの協力を得て調べようと思う。

 

翌日、皇子5人とフェルは街に出かける。春分節は花霊の剣舞の後、7日間の断食になり民は外出を制限されるので、皇族や貴族にとって城下視察にちょうどいい期間になる。
また千花絨毯といって、神々をもてなす食卓を作るという意味で石畳に花を敷き詰め、窓から眺める風習がある。
フェルは皇子達と話をしてパールの事に気付いているのかいないのか探ろうとするが、「ユアンは嘘をついていない」と確信した以外はよくわからない。

戻って皇子5人とフェルがお茶していると、ケイが目に適したお茶うけとして、大量の花を持ってくる。ジルフォードの提案で、その花の中から新しい家族になったフェルに、花言葉を考慮して1つ花を選んで捧げることになる。クロウから鈴蘭を渡されたフェルは、やはりクロウは呪毒に冒されておらず、今までと同じように嘘でフェルを守ろうとしているのだと確信し、クロウが自身を傷つける嘘をつかなくていいようにしたいと思う。

 

パールの日記はクロウとフェルだけが知る場所に隠してあり、フェルはそれを調べて、今の状況が呪毒「知らずの理」のせいだと推測する。
「知らずの理」で呪いをかけた者は、いつでも好きな時に何でも好きなことを命令できる力を得る。
かけられた者は、記憶や思考を捻じ曲げられるだけで自分の理性を保っている。
帰れずの霧と違って夕輝晶のような呪毒の核はなく、核は毒を飲んだ人間そのもの。

被害者は最初に呪われた1人の親とその他大勢の子に分かれ、作用は一緒だが、親を見つけ出して呪いを消さなければ子は浄化できない。
親になる条件は、同じ毒に冒された共同体において絶対的な影響力を持つ人物であること。
親も子も同じ毒をずっと身体に入れ続けなければいけない事から、毒が入っているのは水だと推測する。

 

フェルは召使い衣装に着替え、ラナと一緒に井戸へ確認に行く。
皇宮の井戸は全部、中で繋がっているらしいので、どこか1ヶ所に仕込めば一気に全部に毒を撒ける。
親を捜さないとと思い、ラナに呪毒の事を話そうとしたところで、パールが現れる。
フェルは早々に話を切り上げて去ろうとするが、パールに「呪いを解く鍵は見つかったかな?フェルディア」と声をかけられ驚く。

そしてフェルはラナに肩を掴んで抑えられ、ラナがパールに命令されている事に気付き、瞳の力で解毒しようとするが、パールが「捕まえて」というとすぐに元に戻ってしまう。
フェルがパールに何者なのか尋ねると、「すごく教えてあげたいが制約があって俺の口からでは無理なんだ、クロウ兄上が用心深く君を守っているようだが、ほころんできつつある」という。

パールが近づき、「祝福をあげよう」と言ってフェルの額に口づける。
フェルが「放して」と言って身をよじった時に井戸に落ちそうになるが、クロウが現れ腕を掴んで助ける。
クロウは剣でパールに斬りかかるが避けられる。

ここではなんとか場を収めて、パールと離れる。

 

パールが偽物だと認識しているのは、クロウ、ジルフォード、ミゼ、ケイだとわかり、みんなで今後の対応を話し合う。
クロウはフェルに伝えてはまずい事(本当は王家の血筋等)以外の事、妖精王の事などを教えることにする。それをなぜか一応部屋には二人だけ、ミゼ、ケイは屋根裏に潜んで盗み聞きするというのを公然とするシチュエーションで行う(ジルフォードは天井裏をぶち抜きそうなので後でミゼに教えてもらう)。

フェルがシレイネの偽物だという事だけではなく、フェルディアで孤児だということもクロウが知っている事も、フェルは知る。

井戸の所でラナを解毒したがパールに命令されてまたすぐに操られてしまった事をフェルはクロウに話し、クロウは「前々から考えていたが、フェルの瞳の力は解毒ではなく、呪毒の命令を上書きしているんだろう」と推測する。

 

フェルは井戸の所で、パールから祝福のキスをされた際に、2日後に変わると言われていたが、言葉通り、2日後に、妖精世界のものが見え、声が聞こえてしまうようになる。

春分節のイベントの中で、皇帝がある部屋に一人になる時があるので、それを狙って、フェルが皇帝に対峙して、呪毒を解く(上書き)する計画を立てる。

そして、それを実行に移した時、途中で邪魔が入り、クロウは不意を突かれ、ジルフォードに腹を刺される。実は「知らずの理」の呪毒の親は皇帝ではなく、ジルフォードだった。

クロウ、フェル、ケイはなんとか脱出し、森の中へ逃げていくが、途中で兵を連れたパールに追いつかれる。クロウはケイにフェルを連れて逃げるように言い、自分はパール達を足止めする。

 

ケイと共に森を進んで逃げていたフェルは、兵達が見え、もう逃げなくてもいいとケイに言われるが、その兵は紅竜師団の兵だった。
パールが来て「フェルをよく連れて来てくれた」と言い、ケイが裏切っていた事がわかる。
パールに、クロウの長く伸ばしていた三編みを切った束を見せられ、クロウは死んだと言われる。

ヨミは、呪毒に操られているわけではなく、自ら妖精王に協力していた。
ヨミは書庫の本を読んで妖精やこの国に関するたくさんの知識を得たために、以前、妖精王に接触されていた。
普通ならその時点で殺されていたらしいが、ヨミがパールを取り戻したいと思っている事を妖精王が知って、自分に協力すれば、パールを元通りにして返してあげるとヨミに言ったため、ヨミは妖精王に協力していたのだった。

 

ジルフォードは、偽物のパールが皇宮に現れ始めた時に、最初はリグレインの離宮にだけ現れるということで、ミゼに調べさせていたが、ミゼが捕まってしまい、リグレインにミゼを殺すと脅されて、出された呪毒を自ら飲んだのだった。

ジルフォードは、昔、ミゼが自分を庇って大怪我をした時に、ミゼが好きな鈴蘭のペンダントを贈っていた。その時、ミゼは仕事で当然の事をしただけなのだからと怒ったのだが、リグレインに捕まり、呪毒で眠らされ、刃を突きつけられて胸元を探った時に、ジルフォードの贈ったペンダントを着けていた事がわかる。

ジルフォードは、ミゼはいつか自分を庇って死ぬことがあるだろうと覚悟していたはずなのだが、いざその時が来ると、彼女を見殺しにできなかったのだった。

 


感想

お話が佳境に入ってきたようで、最後、一番の味方だと思っていたジルフォードとケイが、まさかの敵側だったということになりました。

クロウの生死も不明なままな状態で終わってしまいました。
まあ既に完結していて、ハッキリとは読んでないものの、最後がハッピーエンドだろう事はわかってるので、死んでないだろうと思ってますけどね。

ケイは、そもそもクロウとは打算ずくの関係ではあるけど、一緒にいるうちに情も湧いてただろうと思うので、今回の裏切りも、裏切ったと見せかけて・・・なんじゃないかなぁという気がしてます。

 

クロウとフェルは、やっといろいろとお互い偽ってた部分が取っ払われて、素直に気持ちを伝えられるようになった(性格的に素直になれない部分はあるけど)のに、離れてしまいました。

今回の話での一番の驚きは、ジルフォードとケイが敵側だったという最後のどんでん返しです。

ジルフォードには事情があって、仕方なく敵の手に落ちたという事がわかりますが、それでも、呪毒にかかった後も、味方だという態度をとっていたので、おおーとという驚きがありました。
呪毒の場合、本人の意志と関係なく動かされてしまったり、裏切りを本人が意識してなかったりするので、バレにくいんですね。

ジルフォードがミゼを捨てられないのは、やっぱりねって感じです。

この巻もここで一段落ではなく、思い切り話の途中、続きが気になる感じで終わってます。
もうこのまま最終巻まではこんな感じなのかな。

 

 

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