漫画「公爵家のメイドに憑依しました」漫画:Aloha 原作:Jooahri 感想(1)

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WEB小説の登場人物、公爵家の子息のリアンドロの事が気に入っていたのに、悲劇的な結末を迎えたことに憤慨して眠りにつくと、その小説の中の世界にいて、公爵家のメイドになっていたという、異世界転生もの。
彼に同情した彼女が、メイドとしてリアンドロの世話をして、彼と心を通じ合わせていくお話。

ピッコマにて。土曜更新で連載中。
以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

 

「公爵家のメイドに憑依しました」感想(1)
「公爵家のメイドに憑依しました」感想(2)

 

 

 

※タイトルでは憑依となっている現象についてですが、マンガの中は憑依とも転生とも言われて混在しているのと、一般的にこの手の話ではこの現象を転生と呼んでいるので、以下の文中では転生と呼んでいます。

 

1話

主人公の女性が読んでいるWEB小説の主人公、リアンドロ・チリロ・ベラビティは、ベラビティ公爵夫妻の一人息子として生まれますが、政略結婚の両親の間には愛情もなく、それぞれに愛人を持っていて、息子のリアンドロにも無関心で、放置され、愛されずに育ちました。

彼が2歳の時、顔と体に、アンブロセティ王国で古代から継承されてきた文字が突然浮かんで、目もよく見えなくなり、呪いだと言われますが、誰もその呪いを解くことができませんでした。

解呪の手がかりに顔の文字が読ませようと、人質のアンブロセティ王国の王女エレオノラをリアンドロに会わせますが、幼い王女は、「バケモノ」と言ってリアンドロの見た目を怖がってしまいます。

その言葉に傷つき、そのまま両親に見放され、心を閉ざして育ったリアンドロは13年後、エレオノラと再会。彼に同情したエレオノラが徐々にリアンドロの心を開き、呪いもエレオノラの力で解け、リアンドロはエレオノラを愛するようになります。

ですがエレオノラは皇室の跡継ぎ、ディエゴを愛していて、失恋したリアンドロは恋のために反乱を起こし、処刑されてしまいます。

主人公の女性がこの結末に憤り、「私だったらリアンドロを幸せにしてあげたのに」と思いながら眠り、気付くとベラビティ公爵家のメイドになっていました。

 

 

2〜9話

小説の中では読んだ覚えのないイベリナという名前のメイドになっていて、モブキャラになるなんて、と思います。

リアンドロは今12歳で、呪いがどんどん強まって、頭痛に苦しんでいた頃です。

イベリナはリアンドロの部屋に行き、掃除の行き届いていない薄暗い部屋の様子、まともに世話をされていない様子のリアンドロを見て、胸が痛み、自分がリアンドロのお世話をしようと思います。

医者や魔術師に呪いはうつらないと言われていますが、呪いがうつるからと噂されて、リアンドロは呪いを受けてから、今まで誰にも触れられた事がありませんでした。

そのため、イベリナがリアンドロの世話をしようとして体に触れるのを、リアンドロは拒否します。
それでも気にせず「呪いはうつらないのを知ってるでしょ」と言って、リアンドロに触れるのを躊躇しないイベリナに驚き、リアンドロは初めて感じる人の体温の暖かさに感動します。

イベリナは、リアンドロの部屋のカーテンと窓を開けて外の光と風を部屋に入れ、部屋をきれいに掃除し、ベッドのシーツ等も替えます。

リアンドロは本気で嫌がりはしませんが、イベリナに文句を言ったり怒ったりして、素直にイベリナの世話を受け入れません。

イベリナがその後、他の仕事で忙しく何日もリアンドロのところに行けないでいると、リアンドロの指示で彼の世話係に任命されます。

それでもリアンドロはイベリナに憎まれ口をきいたり、手伝いを拒否したり、表面上はなかなかすんなりとはイベリナに甘えた態度はとらない、ツンデレさんです。

リアンドロが熱を出して、イベリナが彼の額に手を当てながら傍につき、「視力が回復すればいいな」と思っていると、リアンドロの目がはっきり見えるようになりますが、イベリナが何かしたのかと悪い方に疑いを持ちます(7話)。

イベリナは、一面のひまわりの中で、成長したリアンドロに「待ってたぞ」と言われる夢をみます。(8話)
この夢の意味は35話現在の今もよくわかりません。

メイドのアンナが、小説の筋通り、リアンドロの部屋から宝石を盗もうとして仕事をクビになります。
夜中の出来事で、リアンドロの両親も本館から別館にやってきますが、「そのくらいで騒ぐな」と言い放ち、非道な親っぷりを見せます。(8〜9話)

 

 

10〜12話

リアンドロは目がよく見えるようになり、呪いの黒い模様も薄くなって、元気になってきますが、小説だと、この後に大きな発作が起こってまた苦しむ事を知ってるイベリナは、一時的な改善はかえって苦しませてしまうのではと心配します。

アンナが盗もうとしたリアンドロのペンダントは、彼に「売るなりなんなり好きにしていい」と言われて、イベリナが受け取りました。
イベリナはリアンドロの瞳の色も、このペンダントのように深い青なのだろうかと思いながら、大切に持っていようと思います。

リアンドロは憎まれ口はたたきつつも、イベリナのお世話を受け入れるようになっていきます。
イベリナが2日間お休みをした後は、甘えん坊になって、イベリナに食事を食べさせてもらい、笑顔を見せるようにまでなります。

リアンドロは小説では、エレオノラにしか笑顔をみせていなかったので、イベリナはリアンドロが自分に心を開いてきてくれている事に感激します。

リアンドロがイベリナの髪にキスをして顔を上げると、今まで黒く濁っていた瞳が、青く澄んでいました。

リアンドロの目がきれいになったのを見せたくて、鏡を持ってきて彼に見せますが、リアンドロは、久しぶりに見た自分の呪われた姿にゾッとして、布団にくるまってしまいます。

「気持ち悪いだろ、どうせ他のメイドと同じ様にお前も離れていくんだ」というリアンドロに、イベリナは「気持ち悪くない」と言います。

「本当に気持ち悪くないんだな、ずっと側にいるんだな」
「もちろんです」

リアンドロは、いずれエレオノラに呪いを解かれて彼女に夢中になるけれど、彼が自分を必要としているそれまでの間だけでも一緒にいようと、イベリナは思っていました。

 

 

1〜12話 感想

小説で自分が好きだったキャラ、しかも小説の中ではかわいそうな境遇で育った先に悲劇的な結末を迎えて、かわいそうでしょうがないと思っていたキャラを自分が助けて幸せにしてあげようとするお話で、リアンドロがイベリナのおかげで徐々に環境がよくなっていって、精神面でも救われていってるのを見るのが、見ていて嬉しくなります。

イベリナはあくまで小さい子のお世話をする感覚でいますが、リアンドロの方は、ただ自分に手を差し伸べてくれた優しい人以上の、異性に対する恋愛感情に近いものを持ってきているんじゃないかなぁというのがうかがえます。

リアンドロの見た目が小さめなので、イベリナとだいぶ年の差がありそうに見えてますが、そして私はずっと読みながらそう感じてましたが、思ったほど年は離れてないんですよね。

リアンドロは12歳、イベリナは元の年齢は大人だと思いますが、この世界ではこの少し後でわかりますが、おそらく16歳で、4歳差です。

リアンドロの12歳というのがとても微妙な年で、ちょうど少年から青年に変わっていく時期なのかなぁと思います。
この後ほんの数年でぐっと成長して大人っぽくなっちゃうような時期ですよね。

12歳と16歳だとまだまだ年の差が大きく見える時期だと思うけど、リアンドロは呪いのせい+まともに世話をされてなかったせいで、体が小さめなために、年より幼く見えているようなので、余計にイベリナと年齢差があるように見えちゃってます。

小説ではリアンドロはエレオノラに初めて優しくされて好きになるけど、この世界ではイベリナがそれに取って代わって、もう既にリアンドロの心を掴んじゃってて、きっとリアンドロ&イベリナのカップルになるんだろうなぁっていうのも既に予想できると思います。

貴族と使用人だし、小説で出てくるキャラのエレオノラとかもいるし、いろいろと障害があるだろうことも予想されるけど。

 

 

最初は、今まで誰にも優しくされた事がないし、信用して傷つきたくないだろうしで、リアンドロがイベリナをすぐに受け入れられなかったのもわかるけど、読み返してみると意外とすぐに本心ではイベリナになついてるよなぁと思いました。

12話最後で、抱きしめながら、ずっと傍にいるんだなって確認してるところなんて、もうリアンドロの方は、イベリナを恋愛対象に見てるし(自覚あるかはおいといて)、唯一の人みたいな感じに思ってるよなぁ。

まだ12歳だから、ひねくれきる前の、ギリギリまだ素直に受け入れられる子供の時期って事なのかなぁと思います。

イベリナの本気は伝わるだろうし、そりゃあ人生で初めて優しくされたら、好きになっちゃうよね。

イベリナは小説を読んでる転生者っていうのがあって、小説の筋通りに進むと思っちゃってるし、あくまで傍観者っていう意識でいるけど。

イベリナがリアンドロによくなってほしいって心に強く願うと、リアンドロの目が見えるようになったり、目が澄んだり、熱が下がったり、リアンドロの呪いの症状が改善しているっていうのが、何回も起こってる事に、読み返して気付きました。

イベリナにそういう不思議な力があるのか、ただイベリナの愛情が通じてリアンドロがよくなってるのか。

リアンドロの精神面は、イベリナの愛情が影響しているだろうと思います。

元々イベリナが、自分ならリアンドロを幸せにしてあげられるのにと思った後にこの世界に転生していたという始まりなので、そこが何か関係していて、イベリナが不思議な力を持っていてもおかしくないとも思えます。

リアンドロがイベリナのおかげで、小説とは違ってどんどんよくなって、どう展開していくのか。
小説キャラのエレオノラ等はどう絡んでくるのか、が楽しみだなと思います。

 

「公爵家のメイドに憑依しました」感想(2)