漫画「もう秘書はやめます」 漫画 : 金明美 原作:鄭景允 感想(3)

大企業の副会長の秘書を9年務めた主人公が、秘書をやめるといいだして・・・から始まる物語。
マンガはピッコマ、LINEマンガで配信中。
タテヨミマンガで全98話で完結済です。
以下、ネタバレありなので、ご承知の上。
漫画「もう秘書はやめます」感想(1) 1〜55話
漫画「もう秘書はやめます」感想(2) 56〜66話
漫画「もう秘書はやめます」感想(3) 67話〜80話
漫画「もう秘書はやめます」感想(4) 81話〜98話
凌士と家族の和解(冴木家)
67〜69話
会社で、秘書の豊橋に、最近、副社長と安藤が付き合っているという噂があるが、否定しておいたと言われ、思わず飲み物を吹き出す笑美。
副社長室で、週末の仕事の予定をキャンセルしてデートしようと凌士が言うが、仕事を優先しないとと言う笑美に、うるさい口をキスで塞ぐと言って、凌士に笑美がキスされているところへ、岡崎社長が笑美の入院を心配して飛び込んで来て、岡崎社長と豊橋に抱き合ってキスしてるのを見られてしまう。
騒ぐ笑美に、「この機会に公表すればいい」と言う凌士。
そこへ凌士の両親が会社に訪ねてきて、誠吾から話を聞いた、話をしようと言う。
【回想】
誘拐事件後、凌士が誠吾に「置き去りにして悪かった」と謝り、誠吾は「許せるように努力する」と言う。
両親は「いつか凌士の記憶が戻ったら、あるいはもう少し大きくなって事実に耐えられる年になったら、その時にすべてを話そう。今はこれで このままでいよう」と言う。
【現在、両親と凌士の3人での会話】
父が「俺が卑怯だった、心を鬼にしてでも全てを元通りにするべきだったのに俺は逃げた」と凌士に謝る。
母も「私のせい。あなたが誠吾を入院させようと言った時に私がわがままを言わなければ」という。
凌士も「私が全てのチャンスを奪ってしまったのかもしれません。誰も信じられず自分一人で全て守れると決めつけ、自分勝手に全てを覆い隠し元に戻るチャンスさえも覆い隠してしまった」と謝る。
母は、強がらなくていい、文句を言って私たちを責めていいんだと言うが、凌士は「あまりにできた息子なのでそんなことはできません。だから理解してほしと文句を言ってます」と言った後、思いついて、笑美と交際しているが許してほしいと言う。
誠吾が部屋で一人考えている。
俺はなんてクズな男だったんだ。
どれだけあいつを妬み憎んでいたんだ。
いっそ死ぬか・・・。
そこへ凌士が来て「なんだ思ったより元気そうだな。自暴自棄になって死のうとしているのかと思ったんだが」
と言う。
そして誠吾に謝るために来たと言う。
あの時、俺は兄さんを無視した
兄さんは弱くて俺より劣っているから
あの状況を打開できるのは俺しかいないと決めつけた
もしかしたら兄さんは打ち勝てたかもしれないのに
俺の決めつけのせいでその道を塞いでしまった
結果はどうなろうとみんなで切り抜けるべきだった
意図せず罪を犯した兄さん
ちゃんとした治療を受けるチャンスを兄さんから奪った俺
仕方なくそれに会わせて苦労した父さん母さん
苦しんでない人は一人もいない
今更だが元に戻ったんだ
解決できるものはさっさと解決しよう
俺はそれで十分だ
「長い間お前を苦しめて生きてきた俺をお前は許せるのか」と聞く誠吾に、凌士は「今まで辛くなかったと言えば嘘になるが、それは兄さんのせいじゃない。あの日に俺が受けた精神的ショックに比べたら兄さんが俺を妬み苦しめた事はなんてことない。初めから兄さんのせいで苦しんでたわけじゃなかったんだ。だから許すも何もない」
誠吾「なんでもかんでもいいとこ取りしてなんでも簡単にこなして無関心なフリしてカッコいい約は全部取りやがって」
凌士「当然だ 主人公とはそういうものだ」
泣き出す誠吾に出国の時は見送りに行くと言い、更にまた笑美の周りをウロついたらボコボコにすると釘を差して凌士は去った。
凌士の笑美への執着行動
70〜75話
【笑美と豊橋】
豊橋に「副会長はドライで相手を寂しがらせそう」と言われるが、笑美は真逆だと言う。
笑美の入院中、父が帰った後に姉二人がお見舞いに来て、そのまま明日の朝まで3人で一緒にいようとするが、同席していた凌士が、わざとらしく咳払いをして、早く帰ってほしそうな合図を何度もしてくる。
笑美が凌士と二人で話すと「俺が明日の午前中までいるから、お姉さん達には帰ってもらえ。片時も離れていたくないからだ」と言ってきた。
その後も、笑美に精密検査をさせたり(ただの貧血だった)、自分のスケジュールをキャンセル、役員会議は病院で行い、笑美のトイレにまでついていく程、「片時も離れない」状態だった。
会社の前で、会社の運動会で二人三脚をした企画課の石原課長(イケメン)に偶然会い、石原が買ってきたたい焼きのお裾分けをもらい、凌士&岡崎社長に出したが、石原から笑美がもらったたい焼きだと知ると、凌士は食べかけていたのをやめる。そして石原の連絡先がスマホに入ってるのを確認し、なぜ連絡先を知ってるんだ等と嫉妬し始める。その様子を見て、笑美は「凌士は自分に執着している」と思った。
凌士と言い合いになって怒った笑美は、今日は総務の飲み会に出るからもう退勤する、凌士は一人で集まりに行ってくださいと行って帰る。
岡崎社長と二人になり、凌士はだいぶおかしい、笑美も恋愛初めてなんだから「ゆっくりじっくり」とアドバイスされる。
凌士は御曹司達との集まりで、同席者の一人が以前、秘書と付き合っていたが、飲み会が多くなり浮気していたという話を聞いて、笑美が心配になり、岡崎社長に総務部の飲み会の場所を調べさせて、そこへ向かう。
総務部飲み会で、酔っ払った豊橋が、笑美は最近彼氏ができたのだと言ってしまう。
相手については必死に隠そうとした笑美だが、そこへ凌士が現れ、「俺が自分の女を連れて行くのに意義のある者は?いないな?」と言って、笑美を連れ出してしまい、副会長への挨拶のために総務部の面々は全員立ち上がっていた状態のまま、ポカーン&目が点になった後、「ぎゃああああ」と大騒ぎ。
「会社の広報室のことも考えてください、公式資料を準備する暇もなく明日の早朝からスキャンダルでパニックですよ」と笑美は凌士に言うが、凌士は「これで社内でお前に手を出すやつがいなくなってよかった」と話にならないので、笑美は怒ってもう帰って寝る、「話すことはありません」と言うと凌士はシュンとしてしまう。
初めて凌士のシュンとした姿を見て心動かされた笑美は、そのまま部屋に帰るのをやめて話し出す。
「副会長はあの事件のせいで若い女性と向き合えず誰とも付き合えなかった。でも私はそうじゃない。ずっと副会長だけをみて愛してくれる確信がないから不安で、そんなにも執着するんですよね?」
「あの日、狂いそうな恐怖の中、俺一人じゃない笑美がいるから大丈夫だ、笑美、笑美と呪文のようなものだったのかもしれない。そうやって呼んでいた名前が俺の心に刻まれていたのかも。だから笑美だけは大丈夫だったのかもしれない。」
「笑美に出会うためにあの事件に遭ったんだとしたら、笑美と出会うためなら構わない、何千回とあの経験をしても俺は絶対に後悔しない」
「ご自分の姿を見てください。こんな男性をほうって他の男性に目移りする女性なんていません」
「本当に信じてもいいのか」
「ここで信じなきゃ本当のバカですよ」
そこで笑美は自分の部屋に入ろうとするが、「俺は今ゆっくりじっくりな気分だ。決して焦っているわけではないということを肝に銘じろ。と同時に今日だけは絶対に譲歩できないということも」と言った後、ポカーンとする笑美をよそに、笑美を抱きしめてそのまま部屋に入ってしまう。
そして二人は初めてのHをする。
翌朝、二人の交際の事はすでに記事に出ていた。
二人で出社しようとすると凌士に、両親から笑美を連れてすぐ来るようにと電話が来る。
笑美は何度も凌士の両親に会ったことはあるものの、交際相手として会うのは初めてなので緊張するが、元々笑美のことを気に入っていた母はニコニコで笑美と話をする。
76〜77話
冴木家で、笑美は誠吾と二人きりになる。
誠吾はフランスには戻らず、今度は本当の旅をしようと思うと言う。
誠吾「ヘトヘトになるまで歩き回って自分の居場所に帰ったらその時は大丈夫じゃないかなって」
笑美「いい考えですね」
今カウンセリングを受けているという誠吾。「凌士が感じてた苦痛に比べたらたいしたことないけど。俺自身を認めることから始めている。自分を凌士と比べて苦しめたから。それで俺はアイツを一度も心の底から恨んだことはない事に気付いた。羨ましくてアイツみたいになりたかっただけ。いつも比較される自分自身を恨んでた。俺はアイツより劣ってるってことを認めて楽になろうかな」という誠吾に、笑美は自分と姉たちの話をする。
笑美と姉達は、子供の頃、周りの人から「末っ子の子はお姉ちゃんたちと違ってかわいいね」と何度も言われていた。その人達に悪意はないだろうが、悪意がないからといって誰も傷つけないとは限らない。姉たちはうちの妹かわいいでしょって笑って返すだけだったが、その状況で傷つく人がいたとしたら誰の責任なんでしょうか。
比較というのは比べられる対象どちらにも心苦しいモノだと思います。それが家族ならより一層ツラいでしょう。
でも本当に恨んだことがないならお互いに違う道をいくらでも見出だせると思う。誰がすごくて誰が劣ってるか、悪いか、そんなものは重要ではない。
誠吾「今からでも遅くないよな?違う道を見出すの」
笑美「もちろんです」
誠吾「ありがとう」
その2人の会話を陰で聞いてしまった凌士母は、凌士父に「親でも子供の事を全て理解することはできない、その事にもう少し早く気付いていれば今がちょっとは違ったかしら。こんなに年をとっても、いい親になるというのは難しいものね。私たち、誠吾にも無頓着だったわ」と言って、おそらく笑美と誠吾の会話のことを父に話したのだと思われる。
両親は誠吾を呼んで、「俺達の無神経さがお前を傷つけただろう。今更だが許してほしい。すまなかった」と謝る。
笑美と凌士は、冴木家の庭でビッグバンがガムを埋めた場所で、ガムを過去の嫌な記憶に見立てた会話をする。実際見てみたらたいしたことないのかもしれないのに、勝手に恐れていただけかもしれない等。
これからは私も手伝えるから大丈夫という笑美。
退勤後はどちらの家に行くか、ホテルかと言う凌士に、今日は嵐のように忙しくて遅くなるかもしれないと笑美は言うが、自分の権限で定時退勤だと答える凌士。
そして昨日あれからずっと考えてることが2つあると凌士が言う。
1つは「どうして今まであんなことを知らずに生きてきたのか」
もう1つは「笑美の行動1つ1つが愛おしすぎる」
笑美もその2つともに同感だと答える。
そこへ2階の窓から誠吾がいつまでもイチャイチャしてないで早く会社に行ったらどうだと声を掛ける。
誠吾の後ろには両親が微笑んで立っている。
凌士が実は記憶を無くしていなかったことを家族が知り、誠吾は記憶をすり替えていて誘拐されたのは凌士だった事を理解し、凌士との比較や両親からの関心不足に苦しんできた事から開放され、冴木家の両親と誠吾、凌士がずっと苦しんできた事件のトラウマや家族間の軋轢がやっと解消されました。
悩みがあるように見えない傲慢自己中大王のような凌士が、実は物凄いトラウマに苦しめられ続けていて、それを周りに悟られないようにしてきたというのは、すごい精神力だなと思います。
でもそれを支えていたのは、連絡が取れず行方がわからなくなっていた間も笑美だったんでしょう。
そして誠吾も物凄い罪悪感だったろうし、事件の前から出来すぎる弟との比較に苦しんできて、「逃げ」から記憶をすり替えてしまったんだとしても、その結果は決して楽ではなく、彼もずっと不眠症に悩まされるくらい苦しんできたわけで、本当にかわいそうだったと思います。
笑美が倒れた後、誠吾の記憶違いがわかった時点で、凌士に責められたままで海外に行ってしまっていたら、誠吾は救われなかっただろうと思うので、その後、ちゃんと凌士とも両親とも和解できてよかったなと思います。
凌士が誘拐事件に巻き込まれた罪悪感だけでなく、その後、記憶をすり替えて逆に凌士を責めていた事で、更に罪悪感は増えてしまっていたわけで、死のうかと考えてしまっていたくらいですから。
両親の人柄から推測して、両親は決して誠吾をないがしろにしていたわけじゃないと思うんですが、出来すぎる弟の方を構ってばかりいるように見えちゃったんでしょうね。そしてそのつもりはなかったけど、誠吾がそう感じちゃってることを両親は気付いてなかった。
笑美の言うように誰かが一方的に悪いわけじゃないけど、結果的にひねくれて不幸になった残念な状態。
でもそれらが20年もかかったけど、やっとみんなに心の平安が訪れて本当に良かった。
そしてそういう事に、自力で気付いている笑美はすごいなと思います。
そしてそして、私は凌士より誠吾の方が、色気があってカッコいいと思ってます。
顔はすごく似てるんだけど、たぶん髪色のせいだけじゃない、微妙に違う部分で、誠吾の見た目の方が好き!
それに誠吾って笑美が大ファンな作家でもあって、しっかり才能もあるじゃないですか。
会社の経営とかそういう方面じゃなかっただけで。
ここにて、ずっとあったいろんな問題が解消ってことで、ほんとーによかったよかった!
二人のクリスマス
78〜80話
クリスマス休暇を凌士の軽井沢の別荘で一緒に過ごす予定の凌士と笑美。
行く前に取ってきたいものがあると、工事中の自分の部屋に何かを取りに行く。
軽井沢へ行く日、途中でアーバンランドに寄りたいという凌士。
そして「ここに連れてきたかったんだ」と言ってメリーゴーランドの前に行く。
ちょうどこの場所に、凌士と笑美が閉じ込められたあの家があったらしい。
知りたくなって航空写真や昔の地図を見て調べたという。
そして今は同じ場所で幸せそうに笑う人たちで、あの時の記憶が塗りつぶされたような気がして「よかった」と思い、笑美にも見せてやりたいと凌士は思ったという。
そして笑美の家があった場所は噴水になっていた。
凌士「笑美にはわからないだろう。こうして誰かとなんてことなくこんな話ができるというのが、俺にとってどれだけすごいことなのか」
笑美は凌士に「キスしてください」と言って二人はキスをする。
別荘では二人きり。
笑美に「凌ちゃん」と呼ばせる凌士。
最終日の3日目に何をしていたか振り返ると「食べて寝てシて」の繰り返しだったらしい。
仕事の電話がかかってきてノートパソコンで少し仕事をする笑美の横で、ピアノを弾く凌士。
その後、クリスマスのプレゼント交換だと言って、二人はバスローブのままの格好で、笑美を椅子に座らせ、凌士は跪いて指輪を笑美の指にはめ、「笑美、結婚しよう。俺に笑美の夫になる栄光を与えてくれ」と笑美にプロポーズ。
笑美は凌士に抱きついて「無条件のYESです」と答える。
別荘に来る前に取りに行った物がおそらく指輪で、前に笑美に聞かれて今年のクリスマスプレゼントにほしい物として答えていたのが「無条件のYES」。
ドラマ化された韓国ドラマ
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