漫画「仰せのままに」KWON 感想(1)

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侯爵家のお嬢様セレニーを慕う侍女のディアンが、セレニーの政略結婚を阻止し、身分違いの恋を成就させるための逃亡を助けるために、お嬢様のふりをしてエフェンハルト辺境伯の家に滞在しようとするお話。
エフェンハルト辺境伯がむっちゃカッコいいです。

ピッコマにて。木曜更新で連載中。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

「仰せのままに」感想(1)
「仰せのままに」感想(2)
「仰せのままに」感想(3)
「仰せのままに」感想(4)

 

1〜6話 お嬢様が駆け落ちをするまで

ヘモンという国で、世界観はだいたい西洋中世な感じで魔法が存在する世界。
100年前に現れたヘモン帝国には建国神話がある。

大陸最北端の湖に住んでいた妖精女王を1人の少年ヘリオスが連れ出し、世界を見学させた
当時の世界は絶望の恐怖の魔物、怪異な存在によって荒れ果てた状態
ヘリオスと妖精女王は冒険の途中で出会った騎士エフェンハルトと手を取り合い
絶望を北の湖の向こうに追いやり世界を救った
そして成長した少年ヘリオスは皇帝となり妖精女王を妃に迎えこの帝国を建てたという

妖精女王の祝福で、ヘリオスの子孫の中には魔法を使える者がしばしば現れた

騎士エフェンハルトは、皇帝が提案した財産や地位を断り、魔物を退けた湖の向こう側の最北端の地を自分の領地として譲り受けることを望み、災いに見舞われた領土と帝国で唯一無二の辺境伯の職位を授かった。

これは最北端のエフェンハルト辺境伯の城で5日間留まったディアンの身に起きた物語

 

 

ロウェン侯爵の邸宅で。
3日前に入ったばかりの12歳の侍女ボナを侍女アマンダが怒鳴りつけているのを、侍女ディアンが庇う。
ボナは孤児院にいて、ロウェン家のお嬢様セレニーが、孤児院に慰問に来たのがキッカケで侍女に志願した。

セレニーはとても美しく社交界でも評判の美女で、慈善活動にも尽力している心優しい人。
セレニーは母方が皇室の血筋で魔法が使え、妖精女王が好きだったという青い月見草を通じて、どこからでも声を伝えることができる。
セレニーはその美貌と、素晴らしい人となりに加えて、この魔法でその名を大陸各地に轟かせた。

 

 

侍女のディアン、馬子のオットー、騎士のカールの3人は、当時は孤児院もなくストリートチルドレンで死にかけていたのをセレニーに拾われて、約10年前から屋敷で働いている。
ディアンはおそらく17才、オットーは18才。
孤児なので正確な歳がわからない。
カールは剣術の素質を評価されて、剣術の指導を受け、今では建国祭の試合で上位の成績を収める優秀な騎士。カールはセレニーの護衛騎士になり、今は恋仲になっている。

ディアンは助けてもらった恩と人柄から、セレニーに心酔しており、セレニーとカールの力になれることがあるならなんでも協力するつもりで、オットーにも協力するように言う。

オットーは建国神話に出てくるエフェンハルトは存在しない、作り話だと言うが、ディアンは実在したと言い張る。ディアンはエフェンハルトに憧れていて、身も心もエフェンハルト様のものだという。
ストリートチルドレンをしていた頃、建国神話の英雄エフェンハルトはディアンにとって、飢えや寒さに震える辛い状況を乗り切るための心の支えだった。

 

 

オットーはディアンに10年前から片思いしているので、ディアンが神話の英雄に恋い焦がれて夢見ているのを複雑な心境で見ていて、つい、エフェンハルトの事を否定したくなってしまう。

教会のバザーに行って屋敷を空けていたセレニーが、ディアンに会わせたいという客人を連れて帰ってくる。
ディアンが傍にいるとセレニーは魔法が使いやすいと感じるらしく、その原因を探るために、セレニーは魔法使いのドロテアを連れてきた。
セレニーが青い月見草を利用して使う「通送」という魔法は、セレニーが作ったもの。

魔法を使える人には2種類いる。
魔法を作れる魔法使い(ドロテア)と、作ることはできないけど魔法を使える魔法使用者(セレニー)。
魔法使いが魔法を使うときには絶対に欠かせない宝石があるが、ディアンからはそれと似た印象を受けるが、そんな体質の人がいるなんて話は聞いたことがないとドロテアはいう。

 

 

魔法使いがその宝石を作るには普通は10年近く師匠に師事しないといけないので、とてもすごいことなのだとドロテアはいい、今の給料の3倍出すから助手になってほしい、ディアンを研究したいと言う。
被実験者に対する人権条例ができてから昔のように過激な実験はできなくなったから等というドロテアの話を聞いて、魔法使いを恐ろしいと思うディアン。それにディアンはできるだけセレニーの傍にいたいと思っているので、ドロテアの申し出を断る。
魔法使いは頭のネジが外れたような人達ばかりらしい。

ドロテアはディアンに「請願」という魔法をかける。
困ったことが起きた時にドロテアを呼べる魔法で、ドロテアが生きている限り、一度だけ使うことができる。

 

 

セレニーは父に呼ばれる。
ドロテアはセレニーの袖に月見草を入れておいたから、魔法を使ってセレニーと父の話を盗み聞きしてみてはどうだとディアンに言って、侯爵と一緒に食事するハメになりたくないからと帰ってしまう。
教会バザー中にセレニーがプロポーズされた事が気になり、月見草の近くで強く願ってみると、なぜかドロテアが父の書斎にいる様子が映像付きで見えるようになり、セレニーとも会話できた。
(通常、通送では音声のみ)

セレニーのお相手はクェルン子爵。
セレニーは自分には愛する人がいるというが、父に愛人にすればいいと言われてしまう。

 

 

ディアンの提案で、セレニーとカールは駆け落ちすることになる。
2人はお隣の国、神聖国家ブレント公国に行って結婚する計画。
2人が逃げる時間を稼ぐために、ディアンがセレニーのふりをしてエフェンハルト城に行って、数日滞在させてもらう。
エフェンハルト辺境伯は社交界に顔を出さない人なので、セレニーの顔を知らないから、ディアンがセレニーのふりをしてもバレないだろうという。

また、ディアンには内緒で、セレニーがドロテアにエフェンハルト城に行くようお願いしていると、通送でオットーに密かに伝える。オットーもこの計画に巻き込まれ、途中でセレニーとカールを降ろした後の御者で、ディアンが無事、エフェンハルト城に滞在できる事になったら、ロウェン侯爵低に戻り、ロウェン侯爵にセレニーがエフェンハルト城にいると伝える役目。

 

 

オットーは、ディアンがばれずにエフェンハルト城に滞在できるなんて楽観的すぎると、計画にだいぶ懐疑的。

ディアン達が乗ってきたのはいつもセレニーが使っている美しく白い魔法馬車。
この国の街道の一部には魔法がかけられていて、魔法馬車で魔法街道を通ると移動時間を大幅に短縮できる。
魔法街道は初めて作られた魔法で、ヘリオスの構想で、初代魔法使いであるヘリオスの子供たちが作った。
魔法街道&魔法馬車を利用して貴族たちは大陸のあちこちを駆け巡って遊び歩き、貴族間に自由な宿泊風習が生まれた。

だから、エフェンハルトも初対面で泊めてほしいと申し出ても受けてくれるはずだというディアンの論理。
首都の社交界とは全く交流がないらしいエフェンハルトが泊めてくれると思えないというのがオットーの論理。

 

 

6話途中〜10話 エフェンハルト城に着いて

以下、ヤンとエフェンハルトにはセレニーと思われていますが、ディアンの事はディアンと書いています。

エフェンハルト城の執事ヤン・リシュタインが、ロウェン侯爵令嬢のらしき馬車が城に向かっているとエフェンハルトに告げる。
エフェンハルトは、よそ者はいつも通り執事がもてなして帰ってもらうように言うが、セレニーという令嬢の名前を聞くと、興味を示し、本人にだけ会ってすぐに追い返すと言い出す。
勤続50年のヤンが主人に仕えて以来初めての事で、普段は誰の前にも姿を現さないのにと驚く。

 

 

城に着いて、ディアンはシンプルな応接室に通されるが、エフェンハルトは相手が礼儀に欠いた行動をしてきたのだからわざと少し待たせるようにヤンに言う。
部屋の中はとても寒く、お茶も出されず(来客に慣れていない)、寒さに震えるディアンは、主人が来るのに少し時間かかかると言いに来たヤンに、毛布をくれ暖炉をつけろ等と文句を並べて、焦って部屋から追い出してしまう。

エフェンハルト辺境伯が部屋に来て、ディアンに毛布を渡し、細やかな気遣いができない事を詫びる。
ディアンはエフェンハルトを見て、今までに見たことがないくらいの美男子だと思う。

ディアンは用件を聞かれ、父に望まない結婚を押し付けられて飛び出してきた、父の怒りが鎮まるまで泊めてもらえないかと言うが、エフェンハルトにあっさり断られ、話を終わりにされる。

 

 

ディアンはなぜダメなのか理由を問うが、逆になぜ応じると思ったのかと聞かれる。
有名な騎士一族だから困った者に救いの手を差し伸べられると思ってと答え、正式に騎士の叙任を受けたことはないので騎士ではないとエフェンハルトが言うと、エフェンハルト大好きなディアンはカッとなって「エフェンハルト様は世界一有名な騎士です」と言ってしまう。

が、それに冷静に「善行で有名になったわけではない、殺傷術に長けていただけ」とエフェンハルトが答えるので、英雄エフェンハルトの話題が続く。
エフェンハルトが、あくまで否定的な事を言うので、ディアンは話題を変え、社交界への進出は考えてないのかと聞くが、その話題にエフェンハルトは不機嫌になり、早々に話を切り上げられそうになる。

 

 

だが、焦ったディアンが落とした画帖(厚手の紙の間に絵を挟んで保管する手帳)に、エフェンハルトが興味を示したため、それを見せてエフェンハルトに貸しを作ろうとディアンは考える。
画帖にあったのはプロポーズされたクェルン子爵の絵で、何かに使えるかもと思ってディアンが挟んでおいたもの。

ディアンは、前に聞いたクェルン子爵の噂を言ってクェルン子爵を悪く言うが、エフェンハルトはクェルン子爵を知っており、それは彼を妬む者が故意に流した悪意ある噂で、クェルン子爵が爵位を授かったのは皇室の魔法師団で使われている高価な好物の埋蔵地を探し当てたからで、能力や人となりも非常に素晴らしい方だという。

 

 

絵では老齢に見えるクェルン子爵だがまだ30才にもなっておらず、その絵を見た限りでは持病が進行していておそらく先はもう長くないだろう、とエフェンハルトはいう。
そして、余るほどの金があり、明かりの消えた寝室でしばらく夜を共にするだけで誰もが憧れる贅沢を思う存分味わう事ができるのだから、この方との結婚を前向きに検討されたほうがあなたにとって得なはずだという。

そんな事をいうなんてガッカリだとディアンが言うと、「人には期待を抱かない方が良い、そうすれば失望する事もない」とエフェンハルトはいう。
そしてまた「話が終わったならお引取りください」と帰らされそうになり、何か話を続けないとと思って、ディアンは「エフェンハルト様は本当は妖精女王を好きだったんじゃないか」と言う。

 

 

こんな話題しか出せない自分を嘆きつつも、エフェンハルトが黙っているので話を続け、「だからエフェンハルト様は妖精女王の名残がある北の湖がある土地を領地にしたいと言ったんじゃないでしょうか」という。

一方オットーは、エフェンハルト城の馬小屋番ベルペルのところで、ベルペルが馬車の整備をするのを待っている(オットーが整備するんじゃないんだ?というのがちょっと不思議)。ベルペルは温かい飲み物を出してくれたり優しくしてくれるので、悪事に加担して罪悪感でいっぱいの小心者のオットーは、本当の事を話すこともできないので、良心の呵責に苛まれている。

エフェンハルトは「レディーがなぜ結婚を避けたいのかわかった気がする、上辺だけの夢物語にのめり込まない方が身のためだ」という。ディアンは自分がストリートチルドレン時代に3人の英雄の物語が生きる支えだったことを思いながら、そういう話にどれほど勇気を与えられるか分からないのかと、熱く語るうちに、「それだから愛する人と共に逃げるという状況も理解できないんです」と言ってしまい、エフェンハルトに聞き咎められる。

 

 

「望まない結婚から逃れるために愛する馬子(オットー)と共にここに逃げてきたのか?」と聞かれるが、なんて答えようかと考えて黙っているうちに、エフェンハルトに肯定と受け取られ、「クェルン子爵に連絡をとってあなたを迎えに来るように言う、馬子は先に帰してあなたはここで泊まってもらう、クェルン子爵があなたのどこに好意を持ったのかわからないが、私は彼の行く末を応援したいので彼の妻になる方には貞淑であってほしい」という。

クェルン子爵と結婚するとは言っていないという言い合いから、じゃあ誰ならレディーを満足させられるんだと聞かれ、思わず「エフェンハルト」と口走ってしまう。
が、その言葉にエフェンハルトが動揺している様子なのを見て、ディアンはその線で話を進めることにし、「エフェンハルト辺境伯です、一目見た瞬間に恋に落ちてしまった、私は辺境伯を愛しています」という。

しかしディアンの言い方が、恋しているような感じではなく、調子に乗ってる感じ満々。

 

 

11話

「やはり理解不能だ、レディーは世の中甘く見ているのでは?」
「ここに来た本当の理由は?なぜ私を選んだのです?」
と怒ったような様子で、エフェンハルトはディアンのすぐ近くに顔を近づけて言う。

ディアン「辺境伯なら私を愛してくださると思ったからです」
ディアンはエフェンハルトが全大陸に知られている有名人セレニーに興味を持ち、実際に会ってみて噂と違う私と対峙してもまだ話を続けているということは、私を気に入っているのでは?と思っている。

「初対面の男に恥ずかしげもなくよくそんなことが言えますね、正直不愉快です、傲慢にも程がある、どこからそんな根拠のない自信が?どんな男でも落とせるとでも思っているのですか?」とエフェンハルトに手厳しい返事をくらう。

 

 

ディアン「ですよね・・私なんかが、夢を見すぎました、ごめんなさい」

エフェンハルトは、ディアンを諦めるようクェルン子爵を説得してみるという。
ディアンが馬車に乗って帰るというとエフェンハルトは「なんだって?」と大声を出す。
なぜ怒るのか、私はどうすればいいのかとディアンが聞くと、エフェンハルトはひとまずこの城にいても構わないという。
そして、馬車は帰し、クェルン子爵にはこちらに来るよう連絡を取るという。

ディアンは、思ったように事が運び、さっきのエフェンハルトの発言は本当はディアンが好きだが素直に認められないがための発言だと、自分にいいように解釈していた。

 

 

ディアンはぶりっこして「ほんとひどいですわ、勝手に物事を進めようと・・」等と言うが、エフェンハルトはディアンの本心を見透かしたように、怒ってディアンの鼻を摘む。
そしてハンカチを鼻に押し付け無理矢理鼻をかむように言い、ハンカチは自分で洗って返すようにいう。

そして思いついたように、ディアンには今日からこの城で侍女として働いてもらうと言い出す。
ここで世話になりたいなら代わりに働けという、交換条件。

それに対してディアンは、侍女の平均時給を知っているのか、割りに合わない等とペラペラと説明して、1日に4時間だけ侍女として勤務、週末も休まず働き、残りは自由時間という条件を突きつけ、あっけにとられたエフェンハルトは、すんなり承諾する。

 

「仰せのままに」感想(2)