漫画「皇子よ そなたの願いを叶えよう」作画:Ant Studio 原作:Mokgamgi 感想

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ピッコマにて。木曜更新で連載中。
人気のネット小説家の前に、自分の書いた小説の悪役キャラが現れ、小説の世界に連れて行かれ、「お前が無茶苦茶にした俺の人生を元に戻せ」と迫られるお話。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

 

1〜7話

主人公、高月唯は、昼は平凡なOL、しかし実は人気のネット小説家で、ペンネームはパソ。
女性向けファンタジー小説を書いていて、「第1皇子」「第2皇子」の連作は前代未聞の大ヒットを記録し、オンライン課金率70%の超人気小説。
異世界転生もので、主人公が異世界の皇子に転生するストーリーで、皇子シリーズと呼ばれている。

ある日、自分が書いた皇子シリーズの登場人物で、悪役の第3皇子アイゼン・カイトが高月の前に現れる。サイコなファンかと思っていたが、カイトが剣を突き立ててできた穴に放り込まれ、気付くと自分が書いた小説の世界に来ていた。

カイトは現実世界に行った時に、皇子シリーズのコスプレだと思ったファンに話しかけられ、本を借りてざっと小説を読んでおり、高月が自分の話を書いた著者だと理解している。

そして、高月を魔女と呼び、魔女が無茶苦茶にした俺の人生を元に戻せ、羨望を受けていた次期皇帝候補から厄介者として落ちぶれたこの第3皇子をもう一度皇国の皇帝にしろ、兄たちを押しのけ皇帝になった俺が魔界の魔女を送り返すという結末にしろ、と要求してくる。

 

高月は観念して紙とペンを用意してと言って、用意された羊皮紙とインクで訂正文章を書くが、文字がカイトの身体に浮かび上がってカイトが痒がるだけ、部下のペラトは具合が悪くなるだけだった。
なんとなく書いてみた「髪を短く切りたい」と書いたら自分の髪が短くなり、この世界の物を使って変えられるのはこの世界の物じゃない自分だけじゃないかと思いつく。

そしてカイト、ペラトに自分の世界のノートパソコンがあればこの世界の中のものを変えられるだろうと説明する。高月は、一旦元の世界に戻るために、元の世界に繋がっている場所へ連れて行くように言うが、そこはかなり危険な場所だという。

3人で馬に乗りその場所へ行くが、カイトが現実世界に行った場所で剣を突き立てても、何も起こらない。
カイトが現実世界に行った時は、仮面を被った敵に追われて殺されかけた時に地割れが起こってカイトが落ち、気付いたら現実世界に行っていた。

おそらく現実世界とこの世界はどこかで繋がっているのだろうが、むやみに穴を掘るのも無謀だし、どうしたものかと考えていて、高月がある場所を思いつく。
だが、大きな音がして馬が恐れて逃げていってしまい、ペラトは馬を追う。
ペラトとは城で落ち合えばいいと言う。

次に大きな声が聞こえてきて、略奪を終えた様子のノルデンの森の山賊たちが来て、カイトは高月と共に木の上に登って彼らをやり過ごそうとする。

 

1〜7話 感想

小説の世界を変えてほしいと言われて、紙とペンで書けばその場で世界が変わるとすぐに思うところが、そんなわりと確信的にすぐそう思う?って思ってしまいました。
どうしたらできるか?で考えたら、紙に書いてみる、が思いつくことだとは思うけど。
自分が書いた小説のキャラ達が現実世界に現れるってアニメは見たことあるけど。
それでは文章を書くだけじゃなく、大衆の目に触れて認知されると書いたことが反映されるっていう設定で、ある程度試行錯誤してたから、納得いく感じがありましたが。

カイトに変化が現れたら「私ほんとに魔法が使えるの?」って高月が思ってて、「えー?それを魔法っていう?」っていうところもちょっと違和感が。
便宜的にそれを小説の中のキャラが魔法と呼ぶのはわかるけど、高月が文章を書いて小説の世界が変わるのを自分で魔法って言って喜ぶか?って思いました。

 

それからカイトはたまたま地割れに落ちたら現実世界に行ってたっていうだけで、自分で意図して行ったわけじゃないのに、現実世界から戻る時に、自信有りげに剣を突き立てて穴を開けていたのも、解せない。
知ってたかのようにやってたけど、後で事情を知ってみたら、あれってそうなるかどうかはわからないけど、こうすればいいのかもって感じでやってみたってことだよね、たぶん、そのわりに自信たっぷりだったなーと思っちゃいました。

カイトが高月を小説の世界に連れて行くところはサラッと進んでいっちゃっていいし、高月が文章を書けばできると思いつくまでダラダラやってほしいわけじゃないんだけど、これでいいのかと疑問に思いつつやってみたっていうのをちょっとでいいのでわかるように入れてほしかったなと思います。

じゃないと、なんでそうなるって知ってるの?っていう事に疑問を感じちゃうので。

 

8〜11話

山賊達は20人程。
無駄な戦いは避けたいので彼らが通り過ぎるのをやり過ごそうとするが、山賊の1人が女のいい匂いがするといって、カイト達のいる木を切り始める。
山賊の仲間が「やめろ、こんなことをしている場合じゃない、奴らが出る時間だ、早くここから立ち去るぞ」と言って、去っていく。
カイトもここにいては危険だからと言うが、すぐに「キエエエエッ」という大きな鳴き声?がした後、山賊たちの悲鳴と、嫌な音が聞こえてきて、静かになる。

見ると黒豹のような形の魔物が多数いるが、高月は小説に魔物は登場させておらず、驚く。
カイトによると山賊がノルデンの森を拠点に勢力を広げだしてから、その魔物が現れだしたらしい。
「呪われたノルデンの森」という描写をしただけだが、それが魔物を生み出したのかもしれないという。

 

大雨になり魔物の数が減ったので、降りようと高月はいうが、今度は雨のせいで沼ができており、魔物も沼に飲み込まれていて、入れば終わりだという。
2人は木の上で一晩明かすことになる。

カイトが木の上に鳥の巣のような寝床を作り、高月は文句を言いつつも寝る。
悪夢で飛び起きたカイトは寒さに震える高月にマントをかけてやる。
少し眠って目が覚めた高月は綺麗な星空を見に、更に木の上に登ろうとしたところを、逃げるのかと思ったカイトに掴まれ、結局2人で木のてっぺんに登って星空を見る。

カイトは高月の名前を聞き、高月はペンネームの「パソと呼んで」という。
高月はカイトを見て、イケメンだと思い、木を登る時に手を取ってもらったまま手を繋いでいる事に気付いて、顔を赤らめ、そのままカイトにキスをされそうになる妄想をする。

 

その後、カイトが高月に近づいた時に、妄想していたため過剰に反応してしまい、「イケメンなのに一生独身として書いて悪かった、数百人の皇妃に囲まれるくらいのハーレムに書くから、私は対象から外して」と勝手な思い込みでわーわー言う。
高月の言葉に逆にカイトが赤くなってしまい、「俺は皇族だ、そんな欲求などに揺らぎはしない」と否定。

カイトが危ないというのも聞かずに高月が後ずさって枝の端の方に行ってしまい、木から落ちたのをカイトが抱きかかえて、高月をかばいながら2人で沼に落ちる。

だいぶ大きな木のてっぺんにいて落ちたので、かなりな高さがありそう&沼で衝撃が抑えられた?としても落ちたら終わりって言ってた沼に入ったのに沈んでいかないし、なぜ無事なのかかなり疑問ですが、まあいいとしよう。ファンタジー世界だし、カイトは強靭な肉体なんだろう。

 

高月が勝手に騒いで落ちて散々な状態になって怒るカイト。
「まさか俺がお前を女として見ているとでも思ったのか?俺の名誉にかけていっておくが、俺の好みは大人しく貞淑な女性だ、こんな短髪で落ち着きのないじゃじゃ馬などこちらから願い下げだ!」と、高月はカイトに勘違いを指摘される。

2人は城に戻り(たぶん徒歩で)、出迎えたペラトに泥だらけの姿に唖然とされ、まずは風呂に入りましょうと言われる。

高月はお風呂に入りながら侍女に、「一緒に住んでいるはずのカイトの母ラウ・ブルストを、第一皇子オートンが自分の城に連れ帰った、犬猿の仲なのに驚いた」という話を聞く。
ラウは第一皇子と接点がないはずなのに、魔物と同じく、自分が作ってない設定が生まれていて、小説が自ら動き始めたようだと思う。

執務室で、高月、カイト、ペラトの3人で今後の作戦会議。
皇子を皇帝にするには魔女の道具が必要(ノートパソコン)、でもそれがある世界に通じる道は塞がってしまった。最優先事項は魔女を元の世界に戻すこと。

 

高月は2人に元の世界に通じている可能性のある他の場所の説明をする。
第2皇子ヴァインの城の下に次元移動できる地下洞窟がある。
第2皇子は別の世界から来ていて、山に登って遭難して入った洞窟で意識を失い、気付いたら第2皇子になっていたのだが、その洞窟が城の地下にある。
この世界側では、第2皇子が剣術の授業から抜け出した後、行方不明になって大騒ぎになり、東の森の洞窟で頭を怪我して倒れていた第2皇子が発見された。

第2皇子が東側の領土を希望し、洞窟の上に城を建てたのは、自分が来たその道を守るため。
絶対戻れるとは言えないが今のところ一番可能性が高い場所。
高月は「あの道」よりは絶対いいと心の中で思う。

高月は第2皇子の城へ行こう!というが、カイトとペラトは顔を伏せる。
第2皇子の城にも行けないの?仲が良かったんじゃないの?という高月に、カイトは短気だからとペラとが説明する。

カイトは「向こうが先にケンカを売ってきた、自分が過ちを犯し離婚した分際で、なぜ無関係の俺に」というが、高月は「離婚!?」ということに驚く。

 

8〜11話 感想

原作は韓国マンガで、舞台は日本、登場人物は日本名に置き換えられている作品だと思いますが、ペンネームのパソっていうのはたぶんそのままの音なんじゃないかと思います。
ペンネームを良い名前でしょ?とか言う場面があるけど、ペンネームだから自由とはいっても、日本人で小説家のペンネームがパソって「良い」っていうより「変わってる」ってのが第一印象じゃないかという気がします。

韓国名って日本ではほとんど名前に使われないパ行の音が多いので、パソも名前として普通な感覚なのかもしれません。
原作が韓国のマンガをもう結構読んでいるので慣れましたが、日本に置き換えないほうがいいのにと、いつも思います。こういう文化的な違いが出る時に、慣れてないと「んん?」って違和感を感じて、わかりにくいと思うんですよね。

最初から韓国だってわかってれば、知らない言動が出てきたら、文化の違いかなって思えると思うのに。

 

7話までの感想でゴチャゴチャ書きましたが、10話でも木から沼に落ちて無事だったりするし、細かいとこは気にしちゃいけない作品なんだなと思います。
ストーリーの筋に関係する部分での辻褄の合わなさは気になりますが、私がゴチャゴチャ書いた部分は主筋には関係ないとこなので、そこは許容範囲です。

今はカイトは高月はタイプじゃないと宣言してますが、表紙絵から察するに、いずれカップルになるんでしょうね。
絵柄はわりと好みですが、カイトの見た目はあまり好みじゃないので、今ひとつ読み続けたい意欲に欠ける。でも、高月がノートパソコンを手に入れたら、この世界をいろいろ変えられるというのが、とてもおもしろそうな要素だなと思います。
でも、高月がノートパソコンを手に入れられるまでが、とても長かったりするんだろうか?
長いというか、もしかして延々と元の世界に戻れないままな可能性もあるわけで、まだまだ序盤なので、なんともいえません。
今のところ、元の世界に戻ってノートパソコン手に入れられて〜の方がおもしろそうだなと思いますが。