漫画「冷血公爵の心変わり」原作:Bandalbanji 作画:Eddie 感想(1)

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ピッコマにて。火曜更新で連載中。
伯爵家の妾の子として生まれ虐げられてきたエルインが、囮として置き去りにされ、敵国の残虐非道と噂のペルカ公爵に殺されそうになった時、突然魔法陣が現れ、ペルカ公爵に魔法がかかり、いきなり求婚される事態に急展開。
エルインはペルカ公爵と結婚するものの、彼の愛は魔法によるもので、ペルカ公爵の魔法は解けかかってきて、エルインを溺愛する公爵と冷酷な公爵が時々入れ替わるようになり・・・というお話。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

「冷血公爵の心変わり」感想1
「冷血公爵の心変わり」感想2
「冷血公爵の心変わり」感想3

 

1〜6話

主人公、エルイン・サメードは、パービン公国にあるサメード伯爵家の妾の娘で、使用人にもバカにされ虐げられてきた。

エルインの母は流浪のジプシーで占い術や札術などの神秘の力と美しい容姿を持つ人だったが、その美貌に惚れ込んだサメード伯爵に無理やり妾にされ、彼女に嫉妬した伯爵夫人の嫌がらで衰弱して亡くなった。

メルシア帝国のロアン・ペルカ公爵は皇帝の命令で反乱国を数年で次々に征服。
パービン公国もそのうちの1つで、サメード伯爵家はパービン公国最後の貴族で、メルシア軍が城に迫ってくると、サメード伯爵はエルインを囮として置き去りにし、彼女1人を残して逃げていった。

エルインは「死神の鎌があなたの首を狙う時、怖がらず堂々とその目としっかり向き合うのよ」という母の言葉を思い出して、身なりを整え、メルシア軍を迎えるが、引きずるように連れて行かれて、泣き叫んでしまう。

残虐非道な男と噂のロアン・ペルカ公爵は、エルインを見て「貴族の誇りを失わず無様に逃げ回らなかったことに免じ、一瞬で楽にしてくれようぞ」と言って、剣を振るおうとするが、突然、魔法陣が現れて、ペルカ公爵の胸に光が向かっていき、ペルカ公爵は剣を落とす。

すると突然、ペルカ公爵は優しい微笑みを浮かべて、「僕と結婚してほしい」とエルインに求婚する。

ペルカ侯爵にかかったこの魔法の事は、エルインしか知らない。
その時、他の人達は一瞬時間が止まったように動かなくなり、そんな事が起きた事すら気付かない様子だった。

 

ロアン・アレクセイ・ペルカは皇帝の従兄弟であり右腕。
幼少期に両親を亡くし、若くして公爵の座に就いた。
財力、身分、容姿、戦闘力、すべてを兼ね備えたパーフェクトな人。

当然、周りの人達は、突然ペルカ公爵がエルインに求婚した事に驚き、大部分の人はその結婚に反対した。エルイン自身も結婚を拒否したが、ペルカ公爵の大量のプレゼント攻撃、皇帝からの呼び出しを拒否、結婚するまで断食すると宣言等の行為を受け、ドアから花を敷いた道を作っての甘くて熱いプロポーズを承諾してしまった。

そうしてペルカ公爵と出会って1ヶ月後に結婚。

1年後、エルインはペルカ公爵夫人として、ペルカ公爵邸で暮らしていた。
エルインと公爵の結婚は世紀のロマンスとして騒がれたが、エルインは有名になったプレッシャーのせいで(顔バレが嫌で)社交界デビューをずっと延ばしているため、ペルカ公爵夫人の顔は知られていない。

ペルカ公爵は「僕のことは(愛称の)セイと呼んでくれ」といい、エルインの事は「愛しい僕のカナリア」と呼びかけ、一緒にいる時はデレデレだが、魔法の力による愛なせいか、エルインと離れている時は彼女の事を忘れている。そのため公爵が仕事をして数日会わないことも珍しくない。

 

いつ魔法が解けるかもわからず、魔法が解けたら絶対に殺されると思うエルインは、公爵の元から逃亡する事を決意し、そのための準備をしている。
一般市民のフリをして街に出て、生地を安い時に買って高く売れる時に売る等、財テクで逃亡資金を貯めようとしたり、逃げる準備が整うまでは現状維持するために魔法が解けないよう魔法の事を調べようとしている。

この世界では魔法や魔女は、作り話やただの噂だと思われている。
だが、公爵邸から馬で1日程の距離の、山の向こうに魔女の森と言われる場所がある。

エルインは街で、少し前に留学から戻ったという、ゼバン伯爵家の次男のゼバン子爵に会う。
ハンサムだが女なら見境なく手を出しまくる事で有名で、ついたあだ名が「魔性の黄金蜂(キラービー)」

エルインは一般市民のフリをしてお忍びで街に来ている時に、視察に来たペルカ公爵に会ってしまう。
ペルカ公爵は冷酷な時の表情になりエルインに剣を向けるが、すぐに溺愛モードに戻って剣を向けたことを謝る。

 

その夜、ベッドでまたペルカ公爵は冷酷モードになり、「余に何をした、答えろ」と睨みつけて迫ってくるが、エルインは怖くて何も言えず、ポロポロと涙をこぼしていると、また溺愛モードになった公爵が心配して声をかけてくる。

魔法が解け始めていると感じたエルインは怖くて泣いてしまう。

一度溶けかかった魔法はいつ完全に解けるかわからない危険な状態。
万一に備えて逃げるなり魔法について調べるなりしておかないとと改めて思う。

魔法について本で調べていて、魔法陣についての記述を見つける。
「魔法陣は紋様が複雑であるほど対価も大きい。
対価は魔法を発動させる上で不可欠であり願いに見合うものでなければならない」

エルインは、他の人に見られないようにお城の隅にあるガラスの温室の中で、あの時見た魔法陣を思い出して描いてみることにした。

2ヶ月後、やっとあの時の魔法陣を描けるが、本には載っていない紋様だった。
そのため、発動させてセイの方の人格が消えてしまったりしたら元も子もないので、どうしようかと考えていると、ペルカ公爵に声をかけられる。

 

ペルカ公爵は、いつも目の前にエルインがいないとエルインの事を忘れたかのように、彼女のことを気にかけることはなく、彼の方からエルインに会いに来ることはなかったため、エルインは驚く。

「探した」と言って、何か言いたいことがあったが忘れてしまった様子のペルカ公爵だったが、魔法陣が目に入ると様子が一変して冷酷モードになり「思い出した こんな所に隠れて何を企んでいる」とギロッとエルインを睨む。

ペルカ公爵「今の余がセイではないことくら気付かぬ貴様ではあるまい。正直に申せ」
エルイン「だって仕方ないじゃない。あなたにかかった魔法が解けたら私あなたに殺されるんだから」

と言われて魔法にかけられた時の事を思い出したペルカ公爵は、「このまやかしの元凶がすべて貴様にあるならば貴様を殺せば済むこと。潔く死ね」と言って、剣をエルインの首に当てる。

殺されるなら悔いを残したくないと思ったエルインは「魔法じゃない。心からあなたを愛している」とペルカ公爵に告白する。

するとペルカ侯爵が溺愛モードに変わり「どうして泣いてるんだ」と言われ、エルインは号泣する。
どうすれば泣き止むのかと言われて、エルインは「皆の前でもセイと呼ばせて」というのと剣を習うことをお願いする。

だが、剣の稽古中にまた冷酷モードのペルカ公爵になり、「余に剣を向け 生き残った不届き者は誰一人としておらぬ」という。

 

7〜8話

ペルカ公爵が、魔法にかかってから最初に元に戻った(冷酷モード)のは、初夜を終えたあとだった。

セイという愛称は、おそらく亡くなった母(とか家族?)が彼を呼んでいた愛称で、それをエルインに教えた事を冷酷モードのペルカ公爵は忌々しく思っている。

エルインは、自分が知っているのは魔法陣が発動した事だけ、魔法陣の上に自分がいたのは偶然だと言い、ペルカ公爵は魔法の力で私のことを好きになったんだと説明していると、またペルカ公爵が溺愛モードになってしまうが、エルインは必死に冷酷モードの公爵に向けて、信じてくれと訴える。

その後もペルカ公爵は、冷酷モードになったり溺愛モードになったりを繰り返す。
エルインは、必死に魔法のことを伝えようとするが、どちらのモードでも別の意味で聞いてもらえない。

侍女に公爵と仲直りしたいなら、公爵はドアン港に行ってるから行ってはどうかと勧められて行くことにする。

 

9〜10話

ドアン港でエルインは、カイエン・ゼバン子爵に会ってしまい、「どこかで会ったことあるよね」と言われて名乗られ、名前を教えてほしいと言われるが、社交界に出ていないエルインは正体を知られたくないので、名乗れない。

どうしようかと思っていると、ペルカ公爵が美しい女性、レディー・パラダインと一緒に歩いていて彼女に笑顔を向けているのを見て、驚き嫉妬する。

エルインに気付いたペルカ公爵が冷酷モードで「貴様、こんなところで何をしておる」と言ってくるが、パラダインに貴族なのかと問われたエルインは、貴族らしからぬ服装で来ていたので公爵夫人とバレたくないため、「エルイン・サメード」と結婚前の姓で名乗る。

突然自己紹介した形になってしまい変な空気が流れるが、ゼバン子爵が「人目もはばからず男を誘惑するような軽い女よりずっと素敵ですよ」と言って庇い、ゼバン子爵とパラダインが対立して火花が散る。

ゼバン子爵がペルカ公爵に「いつになれば噂の公爵夫人にお目にかかれるのですか?」と話を持ち出したところで、エルインはその場を辞して、ペルカ侯爵も同じ方向だから送ると言って去る。
残されたゼバン子爵とパラダインはポカンとして二人を見送る。

 

馬車の中で、ペルカ公爵に「何を企んでいる」と言われて、思わず言い返して言い合いになるが、エルインが怯んだところで、ペルカ公爵が溺愛モードになったので、エルインはパラダインの事を聞く。

パラダインはペルカ公爵の昔の婚約者。
戦争がいつ終わるか分からなかったので、待つと言われたが面倒で婚約破棄。
今日はペルカ公爵の領地のドアン港と連携を結びたいと言われたが断った。
仲よさげに笑っていたのは、エルインの話をしていたから。

夜、エルインは前に描いた魔法陣に血をたらそうとしてペルカ公爵に止められるが、魔法陣の上に血がたれてしまう。

 

1〜10話 感想

全体的に翻訳がいまいちなのか、「○○だから○○」「○○なのに○○」というような理屈を言っている部分が意味不明、理解不能なところが多く、話がわかりにくいです。

それに加えて、おそらく、元々のこの作品での世界観の設定や説明もいまひとつなんだろうと思いますが、「んん?」と思うところが多いです。

主人公エルインの生い立ちで言うと、母は貴族社会の中での身分はないとはいえ、素敵なしっかりした人っぽいのに、ダメダメな感じのサメード伯爵のところになぜ死ぬまでずっといたのかというのが疑問です。

無理矢理手篭めにされたとしても、流浪のジプシーだったんなら、家のしがらみとかないだろうし、その後どうにかして逃げられなかったのかとか、逃げられないように監禁に近い形で閉じ込められてたんだとしたら、それだけの執着を持った相手をどうして正妻から守らなかったのかとか、子供を冷遇したのはなぜなのかとか、大量に疑問がわきます。

 

おそらく、母はすばらしい人だった、父親はクズだったっていう事にしたくて、そのカップリングのおかしさとか、あまり深く考えられてないんだろうなと思いました。
父と母についてあまり語られていないので、母親がただ衰弱して亡くなったという事に違和感を感じるものの、絶対おかしいとまで言える程ではなく、ぼんやり語られているだけなので、何かしらの事情でそうなっててもおかしくないという余地があります。

この世界での魔法についての認識がどうなってるのかについても、いまいちよくわかりません。
実際に、魔法陣が出て魔法がかかったようなので、魔法自体は存在する世界だけど、世間一般の常識としては「魔法は存在する」ということにはなっていなくて、作り話だと思われてしまうくらい、忘れられた存在ってことなんでしょうか。

だけど、一応、魔法陣について書かれた本が存在するくらいではあるということのようで。

おそらく、エルインの母がエルインが死にそうになった時に発動するように魔法陣を仕掛けていたんだろうと推測しています。

 

母がどの程度、魔法を使えたのかわからないけど、魔法や魔女の話をエルインに聞かせてはいたようなんだけど、もうちょっとしっかり、教えておけばよかったのにね、と思いました。
エルインが使い方を教える程の年までいってなかったにしても、魔法の存在があるかどうかあやふやに思ってるようでは、あまりにもったいないんじゃないだろうか。

「他の人達は信じてないから言っちゃだめだけど魔法は存在する」くらいの事は教え込んでおくべきだったのでは。

そして、エルインが本で魔法陣について書かれているのを見つけて、いきなりあの時見た魔法陣を描いてみようと決意するんですが、「なぜそういう発想になる?」とぶっ飛んだ考え方に驚きました。

書いてあることの意味もよくわからず、いきなり魔法陣を書いてみようとするか?
魔法の事がよくわからずに魔法陣を書いてみてどうするんだよ。

 

しかも、魔法陣を全く知らない人が、一度見ただけの魔法陣を覚えてるなんて、見たものをそのまま記憶できる能力のある人じゃないと無理でしょ。

そして、解けかかった魔法はいつ解けるかわからないという、切羽詰まった感があったのに、魔法陣の本を見つけて描き始めてから描きあげるまでに2ヶ月もかかったのかよ!
というか、そもそも一度見ただけの記憶だから、完成したといっても何が正解かわからないはずで、自分で完成だと思う自己満足でしかない。

出来上がってみても、持ってる本に載ってない魔法陣だから発動して何が起こるのかわからない。
2ヶ月あったら、それなりにその本に載ってる魔法陣の事わかるようになってるよね。
あの時の魔法陣は何の魔法かわからないんなら、それは置いといて、その本に載ってる魔法陣で、役立ちそうなのはなかったんだろうか?

10話で、魔法陣に血をたらそうとしたところで終わってるので、はっきりわからないけど、おそらくその血をたらすのが、魔法陣を発動させる方法ってことなんだよね。

 

その魔法陣を発動させる方法が血をたらす事っていうのも、何の説明もなく唐突にやるから、推測するしかないけど、その辺りも普通は、本に載ってたうんぬんとか説明をつけるべきところなのに無いのが、わかりにくい。11話で、もしかしたらあるのかもだけど。

そして一番謎なのが、ペルカ公爵がエルインをどう思っているのか。
7話で、ペルカ公爵視点でどう思っていたかが語られてはいるんだけど、ここの「○○なのに○○」の理屈が理解不能なので、彼の気持ちがよくわかりませんでした。

「余が全身全霊をもって接しても、この女は余との間に常に一定の距離を置いていた
余はこの女の祖国と一族を滅ぼしたあげく、あろうことか娶りまでしたにもかかわらず」

ここで「にもかかわらず」「常に一定の距離を置いていた」と言ってるんだけど、ここの「にもかかわらず」の前に言ってることって、エルインに酷い事をしたって内容なんです。
「酷い事をしたにもかかわらず、一定の距離を置かれている」っていうのっておかしくない?

 

酷い事をしたんだから一定の距離を置かれて当たり前でしょ?
酷い事をしたにもかかわらず、好意を向けられてるとか、良い事が後にくるはずだよね。

もしくは、良い事をしたのに一定の距離を置かれている、と言うか。

「あろうことか娶りまでした」って、娶る事もペルカ公爵からするとエルインにした酷い事の1つとしてとらえてるってことなのかな?

なので、ここで何を言いたいのか、理解不能。
そしてこの後、

エルインに「私もあなたの事が好きみたい」と告白されて、彼女の輝く緑色の瞳を見た瞬間、ペルカ公爵は、愛で満ちた心に巨大な虚しさが押し寄せた。

いてはならぬ邪な存在を排除しようと手を伸ばしたが、その瞳を見るたび殺意は薄れ、再びこの女に向かって甘美な愛のささやきを告げる自分を、ただ傍観することしかできなかった。

 

と言ってるところも、彼のどういう気持を表現しているのかよくわかりません。
好きと言われて、虚しさを感じちゃったんだよね。
ここは、単に、その言葉を聞いて本来の自分を取り戻しかけたけど、また溺愛モードになっちゃったっていうのを表してるのかな?

ここの「にもかかわらず」は、その前の酷いことにかかるんではなく、その後のエルインの告白にかかるんだろうか。
「一定の距離を置いていた」は、ただの状況説明で、「酷い事をしたにもかかわらずエルインが告白してきた」って意味なのか?

そうだとすれば「にもかかわらず」のとこの意味は通じる。

けど、その後の部分、「愛で満ちた心に巨大な虚しさが押し寄せた」って、そもそもこの時点は、初夜の後に「我に返った」=冷酷モードになってる時だったんじゃないんだろうか。

それなのに彼は「愛で満ちた心」だったんだろうか?

ここだけ読めば溺愛モードから冷酷モードに変わったシーンの彼の感じ方が描かれているっぽいけど、そもそもが、我に返った状態でのペルカ公爵視点の語りだったのにと思うと、「???ハテナ」になります。

そして結局、ペルカ公爵がエルインをどう思ってるのかはここからは読み取れません。

結婚初夜に最初に我に返ったんだとしたら、その1年後に、エルインが魔法が解けかかってると思うまでの間に、我に返る時はなかったんだろうか?

 

結婚初夜は我に返っても、わけわからず呆然としているうちにまた溺愛モードに戻っちゃったって感じで、エルインに気付かれなかったのはわかるけど、1年後の我に返った時にはすぐにエルインに剣を向けて殺そうとしてる様子からすると、その間に我に返ってエルインに気付かれない事はないような気がします。

魔法がかかって1ヶ月で、もう既に我に返ってたんなら、1年経つまでの間に何回か戻っててもおかしくない感じがしますが。

そして、1年後、我に返った=冷酷モードになると毎回のようにすぐにエルインに剣を向けて殺そうとする状態になってたのに、7話でペルカ公爵の過去振り返りがあって以降は、なぜか冷酷モードになってもエルインを殺そうとしません。

このペルカ公爵の変化がなぜなのかが不明。

この時、エルインは剣の刃を握っていて、その状態でペルカ公爵に剣を動かされたり、払われたりしているけど「指切れないんだろうか?」とすごく思いました。

一応、血が出ている描写はあるけど、練習用の切れ味の悪い剣だったんだとしたら、血が出てるのがおかしいし、血が出てる状態で握ってる剣を振り払われたら、指が切り落とされるんじゃないか、それに近い酷い傷を負うんじゃないかと思いますが、その後、公爵の手を握ってる時に血は描かれてないし、後日包帯も巻いてないし、何ともなかった様子・・・。

 

8話で棘が刺さった時は、大げさに包帯ぐるぐる巻きにしてるのに・・・。

で、結局、ハッキリと言葉では言われてないけど、もう1つのお願いの剣の練習はもうこれで終わりになったんでしょうか。
そもそも何のために剣の練習をしたかったのかも、よくわかりませんが、逃げた後の護身用として?

この後、エルインがペルカ公爵に魔法の話をしようとするのも何のためなのか、わかりません。
「信じて」って何を?
魔法の存在を信じてほしいってこと?
だとして、魔法を信じさせてそれでどうすんの?

冷酷モードの公爵は、溺愛モードが魔法のせいで、その発端がエルインならエルインを殺して解決しようとしてたと思うんだけど。

エルインが信じてほしいのは、エルインが意図してやったわけじゃないって事なんでしょ?
なんか論点がズレてる感じがするんですが。

 

ペルカ公爵の冷酷モードの時の口調も気になります。
「余は〜」っていう一人称は、よく皇帝とか王様が使うもので、それに合わせて全体的な口調も、それっぽい、普通じゃない口調になってます。
おかしいとまでは言えないかもしれないけど、王様じゃない貴族でその口調が使われることはあんまりないのでちょっとどうなんだろうと思いました。

8話で、公爵様も公爵邸の雰囲気も良い方に変わったみたいな、ほっこり話になってますが、「はたして変わったのは公爵なのか それとも公爵邸なのか」ってあるのが、「んんん?」ですよ。
うーん、なんかちょっと言い方おかしいよね。

それに、この人達が言ってる公爵の変わったは、本当に変わったんじゃなくて、魔法の力で強制的に変わってるだけだからね。あんまりここで醸し出してるようなほっこりな話じゃないんだよね。

「良かった」って感じになってるけど、魔法が解けたら戻っちゃうから、むしろ、騙してるみたいでゴメンって感じがしちゃう微妙な雰囲気になっちゃう感じの事だからね。

そして、主人公エルインですが、母は素敵だったっぽいのに、娘のエルインは、いまいちな感じがします。
見た目も中身も魅力に欠けてます。

どういうキャラを目指してるのかよくわからないけど、なんかものすごくモブっぽいキャラだなぁと思います。見た目もたいして美しくもかわいくもなく、性格も素直さとか、健気さとか、芯の強さとかの素敵要素がない。

 

最初に母に言われた事を思い出して身だしなみは整えるものの、毅然と立ち向かえず、泣き叫ぶし。
母の言葉はどこいった?

実際そうなったら怖い、泣き叫ぶ、は普通の反応として理解できます。
けれども、それを母の言葉を思い出して耐えるとか、毅然とはしないまでも、もうちょっとがんばってる感を出すのが主人公じゃないんでしょうか。
ただ泣き叫ぶって、ものすごくモブっぽいんですけど。

その後の言動も、何もかもがモブっぽい。
目先のことにとらわれて右往左往している感じがします。
だから、主人公に魅力を感じません。

6話で悔いのないようにと心から愛してるとペルカ公爵に告げますが、エルインが愛してるって思ってるのは、魔法がかかった方の人格のセイなんだよね。それってどうなの?

ペルカ公爵は、冷酷モードの方は溺愛モードの時の事も覚えてるみたいだけど、溺愛モードの方は冷酷モードの時の事を覚えてない様子。
でも直前にエルインに剣を向けていたのは、覚えていたり覚えてなかったり、曖昧・・・。

 

6話の時も、剣を向けて首から血が出るくらい刺してたのに、溺愛モードになると、この時は剣を向けてたのを覚えてなかったらしく、しかもエルインの傷も消えてて、首の傷はどうしたんだみたいなやりとりもなし。首の血はなかったことになってるし・・・。

たぶん、この作品は、設定が雑気味で、あまりツッコんでもしょーがないんだろうな、とは思ってるんですが、思わず細かくツッコミを入れてしまいました。

たぶんそのうち、魔女の森に行くことになって、魔法のことももっとなんかわかるんでしょうね。

公爵は幼い頃に両親を亡くした後、何かしらの事情があって、冷酷な性格になっちゃったとかで、そのうち、エルインのおかげで、人間味を取り戻していって、二人は結ばれる方向に行くんでしょう。たぶん。

ただ、今のところ、その兆しは全く無くて、なぜかペルカ公爵がエルインを殺そうとしなくなっただけ。
エルインに魅力がないので、うまくいってほしい気持ちもあまりわいてきません。

ペルカ公爵は、溺愛モードの顔があまりかっこよくなくて、冷酷モードでキリッとしてる時のほうがかっこいい。

まだしばらくは、どうなるのかな〜とゆるく見守って読んでいくかなと思います。

 

「冷血公爵の心変わり」感想2