漫画「真夜中のオカルト公務員」たもつ葉子 感想


<↑コミックの試し読み> Renta!


ネタバレありなので、ご承知の上。

コミックNewtypeにて、月一で連載中。

comic.webnewtype.com

コミックは2019/01現在、9巻まで発売中。
ピッコマで読みました。8巻まで配信、7巻まで待てば無料。
私が読んだのは7巻までです。

オカルト事件を捜査する「夜間地域交流課」のお話。
悪魔、天使、天狗、八百万の神、妖精、吸血鬼、等々のことをまとめてアナザーと呼んでいる。


アナザーが見えるのは、一部の人だけだし、一般的にアナザーが存在すると認識されているわけではない、現実とほぼ同じ世界観の世界。
だけど、公的機関にアナザー絡みの事件を扱う「夜間地域交流課」という部署があり、東京都23区のそれぞれの区毎に存在する(東京以外はよくわからない)。
また、対象は人間だが、アナザー絡みの事件を扱う0課と呼ばれる警察の部署もある。
が、それぞれ、知る人ぞ知るで、同じ公的機関に勤める人でも知ってるのは一部の人だけ。

 

新宿区の夜間地域交流課に務めることになった新人の宮古新(みやこ あらた)が主人公。
夜間地域交流課は、採用試験の用紙に特殊な仕掛けがしてあって、それが見えた人の中から、課長が選んだらしい。

アラタは「砂の耳」と呼ばれる耳を持っていて、アナザーの言ってることがわかる、というのがアラタの初仕事でわかる。アラタはアナザーの姿が見えていなかったが、アナザーの姿が見えるようになるスプレーで妖精の姿を見て、それ以降、感化されて覚醒したのか、スプレーなしでも見えるようになった。

アラタは、安倍晴明を知るアナザーからは晴明と呼ばれます。晴明にそっくりらしいです。
宮古家は、安倍家の本家ではなく名字も別にされた分家筋だけど安倍晴明の血筋。

アナザー界?で御三家と呼ばれる一族がいて、陰陽の安倍家、文庫(東洋魔術書の類なら大概揃ってると言われる。古くからの陰陽師の家系だが和洋折衷の魔術職人の一族でもある。対アナザー用アイテムを作っている。)の狩野一(かのいち)家、西の魔女 桔梗姫塚家の三家がそれで、アラタは公にされていない分家筋なので知識は全くなかったが御三家の血筋ということになる。

 

新宿区の夜間地域交流課のメンバー

課長の仙田礼二、姫塚セオ、榊京一にアラタが加わって4人。
現場に行くのは基本、課長以外の3人。

仙田礼二

実家は旅館。地元の幼なじみは神主をやっていて、幼なじみの神主とセオがネットで知り合い、セオが会いに来た時、仙田もちょうど里帰りしていて、アナザー絡み(神社の守り神?)で出会った。
落ち着いていて、クールだけどやる気なさそうというか、いろいろ面倒って感じをだしてる人。

姫塚セオ

イギリスと日本のハーフで、20才くらいまで?イギリスに住んでいた。
仙田と出会った頃は、金髪の長い髪だったが、今は黒髪に染めてオカッパスタイル。
(映画「レオン」に出てくる女の子みたいなファッション)
女性に見える容姿だが、男。
オカルトオタクで、夜間地域交流課で使っている、アナザーが見えるようになるスプレーを開発したり、アナザーのデータベースを作ってたり、なんかをいろいろやってる。

実家が御三家と呼ばれる桔梗姫塚家で、姫塚家は西の魔女といわれている一族で、女性が権力を握っている。セオの容姿が若いのは、姫塚家の血をひいているかららしい。

榊京一

施設育ち。子供の頃、高校生の姉がアナザー絡みで行方不明になり、姉の行方をずっと追っていて、手がかりを探すために夜間地域交流課に入った。
元ホスト。
3巻の「悪魔と喪失感」で、姉が見つかったが、姉はさらわれた当時の年齢のままだったので、今は榊の方が姉より年上になってしまった。

 

ストーリー

新宿御苑の天狗と天使

アラタが最初に関わるアナザー事件、だけど、最初なので軽い事件。
天狗の息子、天使の妹がかどわかされたと争いになっていたが、実は天狗と天使が恋仲になって密会していたというお話。アラタが砂の耳だとわかった時でもあり、アラタのおかげで、誤解が解けて大きな争いになるのを避けられた。
天狗と天使の恋はそれぞれの家族に認められたわけではないけど、とりあえずそれぞれ事情がわかったので、それなりに収まった。

ここで知り合いになった恋仲の天狗が、天狗の若と呼ばれる割と地位の高い奴だったので、この後の事件でもちょいちょい絡んできたりする。
天狗の長老がアラタを砂の耳と言い、晴明と呼ぶ。

天狗は人間と同じくらいのサイズだけど、天使がだいぶ大きいってのが「え?」って感じ。
それと天使は女ばっかり、天狗は男ばっかり出てくるような気が。

それと宮古の実家や蔵にいる白猫ユキの話。

 

都庁展望室のパンドラ

都庁の展望室へいくエレベーターが、たまに変な場所に着いてしまい、その後その人が行方不明になる、という感じの都市伝説のような、ネット上の噂があるのを調べに行く。

結局何だったかというと、パンドーラというアナザーが「恋による喪失感」を回収するためにエレベーターを利用していて、「恋による喪失感」を持つ人間が乗ると自分のところに来るようにしていた。パンドーラは「恋による喪失感」を回収した後、その人間を帰していたので失踪者はいないが、その時におそらく記憶も失っている。異世界エレベーターのネット実況をしていた人がパンドーラに会った後は記憶を失ってるから書き込みしないため、帰ってこないという噂になってしまったと思われる。

パンドーラは次はヨーロッパに行くつもりらしく、パンドーラが去るまで待つしかない。
アラタはパンドーラと話してみて話が噛み合っていないのを感じ、「言葉がわかるからって、話が通じるとは限らない」ということを知る。

 

戸山公園のトリックスター

黒幕はウェウェコヨトル(コヨーテ、琥珀)で、晴明をおびきだすために、シャというアナザーにもらった「玩具」を使った、大掛かりな仕掛けを作って事件を起こした。

千代田区の夜間地域交流課の狩野一茜からの依頼で、狩野一家で窃盗事件があり屋敷神が一部始終を見ていたので通訳を頼みたいということで、アラタ、セオ、榊が狩野一家に行く。
狩野一家の守り神、屋敷神、は座敷童子の鈴鹿(すずか)。鈴と呼んでほしいと言われる。狩野一茜は屋敷神とずっと一緒にいるが何か言っている程度しか聞こえないので、名前もアラタのおかげで初めて知った。
鈴は狩野一家と利害の一致で契約して屋敷神になった。10年に一度、鈴の髪の毛を断髪して狩野一の技術で加工したものを結界の種として、とある神社に奉納しているのだが、鈴も神社の下の何か(悪い鬼)を封じたいらしい。
鈴には、まだ髪はあるからしばらく封印は保つし、人の形の獣で怖い奴だから取り戻すのは止めた方がいいと言われる。屋敷神から話は聞けたし、後は狩野一の問題ということでここでの仕事は終了。
アラタは屋敷神の話し相手に時々来てくれと言われ、セオから狩野一に出入り自由で羨ましがられる。

鬼車(災いを呼ぶ怪鳥、九頭鳥)の目撃情報は、コヨーテがシャからもらった「玩具=キョウシ」の儀式の材料集めの移動に使っていたから。
材料は、生きた鉄(愛知の飯綱(いづな)のしっぽ)、人魚の鱗(輸入雑貨店の窃盗事件)、力のこもった髪の毛(狩野一の屋敷神)、妖精の粉。
妖精の粉を盗られて飛べなくなった妖精3人をアラタは一晩泊めてやることになった(一晩で回復した、吸血鬼の事件で恩を返す)。

 

場所は、戸山公園の箱根山。戦時中に軍の施設があった場所でいろいろいわく付きの場所らしい。
地上にあった光の模様をアラタが不用意に触ってしまい、地下に転送される。
すぐにコヨーテに会うが、コヨーテは晴明に会いたいだけじゃなく、この仕掛けを動かしたい、晴明とこれで遊びたい(晴明がどうにかするのを見たい)ため、会っても終わりにならない。

キョウシ(動く死体)は、指令を出すキョウシが1体だけいて、キョウシが動く魔力の供給源として、コヨーテが悪魔から取引でもらった女の子3人が配置されていた。キョウシと地下の仕掛けは昔、当時の(戦時中?)人間が途中まで作って放置されかけていたのをシャが封印しておいたもの。
コヨーテはアラタにどちらを助けるか等を迫るが、アラタはコヨーテの問いかけに直接は答えず、どうしたらやめてくれるのかと聞いて、コヨーテは晴明がつけた名前で呼べば助けるという。
アラタは昔、祖父から聞いた晴明が使役しなかった妖の話を思い出し「琥珀」と呼ぶ。
結局コヨーテは、途中からは晴明(アラタ)が他人行儀な態度をとり琥珀という名前も呼ばないので、拗ねていたということらしい。

 

それと同時に、応援で来て同じくこの仕掛に入ってしまっていた千代田区の夜間地域交流課の3人(狩野一茜含む)も茜がキョウシの司令塔に狩野一の結界石を使うことで仕掛けを解いた。
たぶんコヨーテが止める前に茜が仕掛けを解いたんだと思う。

結局使わなかったが、仙田もアナザー専門の刑事に頼んで、狩野一のナイフと同等のナイフを持ってきてもらい駆けつけた。(アナザー専門の刑事2人は吸血鬼の話で再登場する)

コヨーテがウェウェコヨトルというアステカの神だとわかり、セオはゾッとする。
コヨーテはこの後ずっと、アラタの傍をうろうろする。

仕掛けに使われていた女の子の中に、何十年も前の行方不明者が当時の姿のままいて、コヨーテが知り合いの悪魔からもらったと言っていることから、榊の姉の10年越しの初の手がかりになる。

 

悪魔と喪失感

女性達が誘拐され発見されるが、身体の機能の一部が失われている(声、足)ことがわかる。
黒幕は悪魔のアザゼル。
アザゼルが昔愛し合っていて、死んでしまった人間の女を再生しようとして、人間の女と似ている部分を持つ女を集め、その部位を使って女性の身体を作っていた。
盗られた女性は、その部位そのものはなくならなず、機能だけ奪われる。
誘拐された女性の中に榊の姉もいて、アラタの幼なじみも誘拐されてしまう。

アラタはコヨーテに聞くが、ケルベロスという大きな番犬のアナザーが守っていて、絶対人間には通り抜けられないずアラタが死んでしまうから教えないと協力してもらえなかったが、結局、アラタが死なないようにコヨーテもついていって、アラタ、セオ、榊で、アザゼルのところへ行く。

 

コヨーテはだからといって最初から助けてくれるわけじゃなく、アラタが危ないときだけ助けている。ここら辺、コヨーテのアナザーゆえの気まぐれさというか、アナザーな考え方が現れている。

アザゼルが集めていたパーツが全部集まり、人間の女の魂を入れるが、人間の女は「またか やめてくれ」と絶叫して拒絶する。どうやら人間の女は、アザゼルに再生されるのを嫌がっていて、もう止めてほしいらしいが、アザゼルにはそれが伝わらない様子。
また失敗だと言ってアザゼル自ら作った人間の女を壊し、それによって誘拐された女性達の奪われていた機能が回復した。

榊はアザゼルを殺そうとするが、他の悪魔ベルフェゴールが現れて、止められる。
ベルフェゴールに「殺すならケルベロスの餌にする、何もしないで去るなら出口の利用を認めよう」と言われ、榊はみんなに止められて、人間チームは出口から帰る。

ベルフェゴールは昔、友人アザゼルと賭けをした。
「人間の女との幸せな結婚は存在しうるか」について、ベルフェゴールは不可能と言い、アザゼルは人間の女と恋に落ち可能だと言った。
ベルフェゴールが「ならば証明してみろ」と言ってから随分経ったが、未だアザゼルは証明できないことを認めない。
コヨーテは「このままじゃ永遠に続くよ」と言うが、ベルフェゴールは「かまわない いくらでも繰り返し失敗して絶望すればいい それは幸せな結婚は存在しない という私の結論の証明になるのだから」と言う。

 

榊の姉シオリは誘拐された時から年をとっていないので高校生のまま、今の榊より年下になってしまった。アラタの幼なじみイズミと年が近く、この事件で一緒になった縁もあり、この後、シオリとイズミは仲良くなる。

この事件で、謎なのは何故、榊の姉シオリは目を奪われないままずっとアザゼルのところに置かれていたのか。声と片足を奪われた子は、機能を奪われて人間界に帰されている。
コヨーテが戸山公園で使う仕掛けに、機能を奪い終わった女の子をあげてしまったり、誘拐してから機能を奪って帰すまでに、人によって差があるのは何故なのか。

身体の一部そのものを奪わず、機能だけ、というのが、榊の姉シオリをちゃんと元に戻してあげるための設定なのかな、という気がしました。
アザゼルが愛した女に似てる人間を探すのが大変なので、部分的に似てる子の部位をとることにしたのに、そのものをとらなくてもいいっていうのが、よくわからないなぁ。
そのものだとツギハギでフランケンみたいになっちゃいそうだから、その部分の霊体みたいなのをとって、粘土みたいな何かで作った身体に入れると、そっくりな形になるみたいな、そんな仕組み?と考えられなくはないけど。

 

袋小路とあの子と俺と

アラタが狐に化かされ、有名なお店の葛餅をくれと言われ、一度あげてしまうと何度もねだられ、更に仲間の狐からねだられるようになる話と、仙田とセオの出会いの話。

仙田が大学生の頃、実家に里帰りして、神社の神主をやってる幼なじみに会いに神社に行ったら、異世界に囚われてしまい、神社の領域から出られなくなった。
神社をうろついて調べていると、金髪で長髪な女の子(セオ)に出会う。
その子は、仙田の後ろにずっといるアナザーが見えていて、ある方角を指しているので、行ってみると埋まっていた呪具らしきものを見つける。
仙田についていたアナザーは、おそらく神社の神使の狐で、呪具を処分してほしかったんだろう、仙田は見えないので、見えるセオを巻き込んだんだろう、と推測。
その呪具はおそらくコトリバコと呼ばれる、人体の一部を詰め込んだ呪いの箱で、呪いの効果がかなりえぐくて主に女性に影響があると言われている(榊の説明より)。

何も知らされず爆弾処理をさせられたようなもので、仙田とセオは利用されたわけで、仙田、榊、セオ、アラタ、が飲み会で、狐に化かされたアラタの話を聞いて、こんな風にアナザーは自分勝手な理由で人間を利用したりするから、気をつけろ、ということで仙田がした話。

結局、アラタは他の狐にもねだられるようになったけど、そろそろ自分で対処できるようになれということで終わってしまって、この後どうなったか出てきてないけど、これをどう解決するんだろう?と思いました。狐は態度は丁寧でしたが、異世界に捉えて強引にアラタに迫っていたので、それをどうしたらいいのかっていうのは、狐の事をよく知っててじゃないと結構難しい気がするんだけどなぁ。

 

砂の耳と新人の根性

御三家の狩野一(かのいち)家の一人、狩野一悟(さとる)が登場。

夜間地域交流課では他の区の夜間地域交流課の人と交流するため、年に一回、各区から都庁に一人出向して一緒に仕事をするというイベントがある。
今年はアラタが行くことになり、そこで都庁の狩野一悟と一緒に仕事をすることになる。

新宿区の経理担当の女性の息子が被害者の、子供が眠ったまま起きなくなってしまう事件を調査する。犯人は廃墟の団地にいた子供のような見た目のアナザーで、昔は子供がたくさんいて一緒に遊べたが最近はいなくなってしまい、一緒に遊ぶために廃墟の団地に遊びに来た子供の夢の中に入り、そこで自分に3回捕まったら自分の異世界空間に捉えてしまうというルールで鬼ごっこをしていた。

アラタは子供アナザーと話をして、もっと人がいるところに行けばいいということで解決しそうになったが、アラタが連れてきた子供アナザーを狩野一が踏みつけて殺して解決してしまい、アラタはショックを受ける。
アラタが新宿区の夜間地域交流課のメンバーに話をすると、アラタの解決方法だとまたその子供アナザーが同じことをするかもしれないから、榊も排除しただろうと言うが、踏み潰すというやり方は酷いとのこと。

 

狩野一はアナザーを嫌っており排除すべきという考え方を持っている。
狩野一家が屋敷神に振り回されているのを嫌い、自分が子供の頃に襲われた時に、屋敷神を優先された事件が大きな原因。

狩野一とアラタは対立し、そういうなら自分が今抱えている問題をアナザーと対話して解決してみろと狩野一はアラタに言う。
国立競技場の跡地に繭のアナザーが大量に発生し、工事の邪魔になっていて、繭を一部燃やしてみても翌日には元通りになっていて、埒が明かない状況だという。
繭の中には赤ん坊の姿のアナザーがいたが、赤ん坊なので会話できない。
その状況をわかってた上で、狩野一はアラタに「会話して解決してみろ」と言っており、かなり嫌なヤツ全開。

人間の生活圏を侵食しケガ人も出ていて放置できない状況、これが無力であるうちに排除すべき、それなのに排除できず、砂の耳も役に立たないならアラタは邪魔だと言われる。
そして元々の予定通り翌日、都庁の職員と交流会のメンバーで繭を全部燃やすことになるが、作業中にメンバーが次々と繭に閉じ込められてしまう。

 

繭を産み付けたのは蚕神(大きい女性型)。毎年10月は神無月で日本の神々は出雲に集まり、そこで必要な糸を作るための繭で、中の赤ん坊は糸を吐き繭を作り、孵化した後は糸の紡ぎ手になる存在だった。
そして出雲に行くまでの間、蚕神をお嬢と呼ぶ天狗の若手衆が蚕神と繭の警護を担当。
蚕神は今まで狩野一達が燃やしても量が少なかったので見逃してきたが、大量に燃やそうとしてきたので、介入した。天狗の若が、アラタを探して国立競技場に来いという。

狩野一は繭から抜け出し、蚕神を殺そうとするが(蚕神は出産後で力が弱っているらしい)、「こんな禍根が残るやり方が本当の解決なわけない」と言って、アラタが止める。

アラタは蚕神と話をする。蚕神は半分以上燃やされてしまっては、もう出雲に行けなくなったので、その代償を支払ってもらうと言う。
アラタは天狗の若と話をして、糸の紡ぎ手として天狗の若者衆と天使に手伝いを頼む。
天狗の若によると天使達は今、アラタに頼みたいことがあるが借りを作りたくないため、アラタから何か頼まれることを望んでいるので、頼めばOKしてくれるだろうとのことだった。

蚕達はそのまま糸を吐き続け、天狗の若者衆、天使、都庁や区の職員達が紡ぎ手になって、糸巻きを作り、巻いた糸の玉の大きさが大小になってしまい、蚕神には「いびつだ」と言われたが、「今回の件、決して忘れはしないが 許そう」と言われ、解決する。

 

狩野一はアラタに「殺すだけが解決じゃないだろ」と言われても「今回はいろいろな偶然が重なって運よく解決に繋がっただけ 理想を追って偶然で解決なんて いつか足元をすくわれるぞ」と返し、全然アラタの考えを受け入れる様子は見えないが、アラタは「俺一人ならそうかもしれないけど仲間がいるから」という。
榊は狩野一のやり方は嫌いじゃないが、宮古の解決は今まで見たことのない景色を見せてくれる、と狩野一に言った。

琥珀も出てくるが、糸で自分の服を作れそうだとか、蚕神達について一緒に出雲に行くとか、自分の好きなように行動しただけ。あの繭は蚕だっていうヒントをくれたくらいか。

狩野一は家と過去に事情があるとはいえ、ものすっごい嫌な奴なまま、ギャフンと言わずに終わりました。
まあこの解決方法は話ができるアラタにしかできないですよね。
いくらアナザー寄りな考えをしているとしても、話ができなかったら相手の事情がわからないだろうし、そしたらどうしてもな時は、排除できるなら排除しか方法はないだろうなと思います。
だから排除以外の解決法って、アラタという砂の耳を持つ人が登場して出てきた新な選択肢なわけで、今までアナザー絡みの仕事をしてきた彼らにそういう考え方がないのは仕方がないんだろうなとは思います。
でも、狩野一は彼の個人的な事情から、それプラス個人的な恨みみたいなのが入ってるので、必要以上に排除の方向で考えるんでしょうね。

そして今回の件は、もう少し、あと数日待ってれば何もせずに解決したことなんだよね。
それがわかってれば、人間側はあと数日くらい待っただろうし、言葉さえわかれば、というところ。
でもみんなが言葉がわかったら、単純に待つだけじゃなく、もっと交渉を考えるようになるのかもしれないけど。

 

上野に潜む秘密の書

長いエピソードの後の短い簡単なエピソード。
前回最後の方に天狗の若に言われてた天使からの頼み事の話。
天使の世界から逃げ出した本を捕まえてほしいという依頼です。

ここにあるというのはわかっていて上野の本屋に連れて行かれます。
本はすぐに見つけますが、アラタが天使について独り言を言ってしまったため、バレて逃げられてしまい、それ以降は警戒されます。新宿区の管轄外だったので個人的な事で済まそうとしてましたが結局、他区に応援を要請し、気になって来てしまったセオがラテン語を読める人で、ラテン語で書かれた「これを読める人に」という言葉通り、セオが手に取ることができました。

本は読まれたい欲求で逃げ出したらしく、本の気が済むまでセオに貸してくれることになり、セオは大喜びで本を読みましたが、魔導のレシピ本を期待したけど、料理のレシピ本でした。
だから天使は貸してくれたわけです。

人間界に天使の言葉で書かれた本が存在し、厳重に保管されていますが、それを天使が放っておいているのは、その天使の言葉が間違っているからとのこと。

 

ひとりぼっちの吸血鬼

人の血が大量に失われ死んでいる、吸血鬼の仕業と思われる事件が発生。
黒幕はセオに業界?学界?から追放された冴島で、セオへの復讐が目的。
アナザー事件を扱う警察の0課の刑事として玉緒家の人が登場。
玉緒家は代々、アナザーを退治してきた一族で、アナザーの恨みを買っているため、アナザーに見つからないようにする呪を刻んだ刺青をしている。
0課の刑事は、玉緒&千草ペア。

吸血鬼は、自力で水(海、川など)を超えて移動することができない。
そのため地域により独自な固有種がいくつも存在する。
日本の吸血鬼は人間に狩られて滅んだと思われていたが、セオがずっと観察してきた最後の一人がいた。
日本の吸血鬼は、吸血して男性体から女性体に変化し、男性体と交尾して子を産む仕組みになっていて、子を産むため以外に吸血する必要はない。

生き残りの吸血鬼は最後の一人でもう子を産むこともできないため、ただ死を待ってマヨイガと呼ばれる常に春の世界で一人で暮らしていた。
そこへセオが年に一度訪れていたが、言葉を交わせないため、今年はアラタを連れて行って話をしようと思っていた矢先の事件だった。

 

冴島はセオの研究結果を利用してアナザーを捉え、実験に使い、大量のアナザーを殺していた。
そのため、セオは実家の姫塚の力も使い、冴島を追放した。

冴島はマヨイガに侵入し、生き残りの吸血鬼に人の血を大量に浴びせ吸血欲を誘発し、新宿区に連れてきて放した。冴島の目的はセオが長年観察してきた吸血鬼を死に追いやり研究対象を失う絶望感を味合わせること。
生き残りの吸血鬼はセオに見つけてもらおうとセオが忘れていったピアスを現場に残した。
生き残りの吸血鬼は人の血を吸ってしまった以上、子を産むまで吸血欲が無くならないが、相手がいないため子を産むことはできず、このまま吸血欲がなくならずに生きていくのは辛いから殺してもらうことを望んでいた。
そして自分が死んだ後に残る灰をセオにマヨイガの桜の木の下に埋めてほしいと、アラタを通じて頼み、最後に自分の名前をセオに教えて死んでいった。

冴島は目的を果たすことができ、警察に捕まることは姫塚の魔女から守られると思って、むしろ望んでいたことだった。しかし冴島の思惑は外れ、姫塚の魔女が拘置所にやってきた。魔女は姫塚に入れない場所などないと言う。そして冴島は刑罰も死刑も怖くないのだろうと、冴島が一番恐れていたこと、アナザーの報復ができるように、冴島のいれていた魔除けの刺青を全部消してしまった。
玉緒家のようにちゃんとした彫師に頼まないと姫塚の魔女には簡単に消せてしまうらしい。

 

冴島にセオの件での復讐なのかと聞かれ、姫塚の魔女は、セオに頼まれたから追放で済ませたが、ちゃんと処分しておくべきだった、私の顔に泥を塗ったからだ、という。
つまり冴島は、セオのせいでと恨みに思っていたけど、セオのおかげで本来はもっと酷い罰を受けるはずなところを軽目にしてもらっていたんですね。

「食い殺されて死ぬのだけは嫌だ」と言う冴島に「食い殺されるだけで済めばいい方じゃない?」と言い残して魔女は去った。
怯える冴島のところへすぐに「ようやく見つけた」と悪魔のベルフェゴールが登場(悪魔と喪失感の最後に出てきた悪魔)。
「お前には大分、同胞を殺されたからな」
「腹が満ちるには小さい?大丈夫 頭があれば再生できる ちゃんと持ち帰ってあげるから 何度でも食べなさい」

玉緒達が気付いて駆けつけた時には既に遅く、冴島の手だけが残っていた。
仙田とセオはマヨイガに吸血鬼の灰を埋めに行った。
アラタは雪の降る中、外にいたせいで風邪を引き、琥珀とユキは出雲から帰ってきた。

玉緒たちが冴島をアナザーに連れて行かれて悔しがってたけど、一応自分たちの仕事を横取りされたから悔しいってことなのかな?
ただ玉緒たちのやり方で冴島を裁いても、冴島にとってはそれも含めて思惑通りになっちゃって、全く彼にとっては罰にならなかったので、この結末が冴島にとって一番嫌な=一番効果的な罰だったんだけどね。読者にとっても、それでこそ冴島が最後に罰を受けて、スッキリなわけですが。

 

冴島が殺したのは悪魔だけじゃなくいろんな種類のアナザーなようだけど、報復する者としては、おそらく悪魔が一番適任でしょう。ベルフェゴールが言ってる同胞はもちろんアナザー全体を指すわけじゃなく(アナザーという分類は人間が勝手につけているだけだから)、悪魔だけを指しているでしょうが、悪魔の報復が一番酷そうだから、きっと永遠というくらい長い時間、悪魔が飽きるまで、食われたり等の酷いことをされ続けるんでしょうから、他のアナザー達の分の報復も十分果たされることでしょう。
(知らされないうちにだけど)

吸血鬼は水を超えて移動できないから独自性を持っているとはいっても、習性とか習慣とかじゃなく、体の仕組み自体が他の地域の吸血鬼と違うって、違いすぎじゃない?って思いました。
そりゃあ、人間とは生きている長さが違う、とは言っても、個体が長命な程、世代交代が遅く、それだけ生命体としての生物的な変化は遅くなると思うので、そんなに違いが出来るほどの時間があるのか?という疑問がわきます。
最初からそこまで深く考えてなかったけど、生殖方法の違い(というか他の吸血鬼はどういう方法なのか出てきてないけど人間と近いと考えて)が出てきた時点で「え?」と思いました。

人間だって移動が簡単になったのはこの数十年で、それまでの数千年、そうそう日本から他の国へは簡単に行けなかったと思います。でも日本人が生物的に他の民族の人と違うのは色や大きさや形くらいで、身体の機能的に違いは生じていないと思います。人間はみんな。

人間とアナザーは違うから設定はなんでもありかもしれないけど、ちょっと「うーん」な感じでした。
たぶん他の地域の吸血鬼は男から女に変わったりしないんだよね、そこまでの違いが同じ種族で生じるのかってのが私にはいまいち納得いかなかったです。
面白い設定だとは思うけど、だったらこの世界の吸血鬼はそういう設定ってことにすれば?と思います。

 

としまえんの付喪神

狩野一家の屋敷神、鈴と狩野一悟、アラタが遊園地にいく話。
鈴がテレビで見たとしまえんのメリーゴーランドに行きたいと言い、茜は仕事で行けないので代わりに悟が頼まれ、アラタは茜から鈴の通訳として依頼されて来た。

メリーゴーランドに付喪神が生まれそうだったから、鈴はちゃんと生まれたか確認したかったらしい、というのが最後にわかる。馬に乗った少女の付喪神。
遊園地では狩野一もアラタも鈴に付き合わされて、いろいろ乗るが、反復系と回転系が苦手という狩野一は途中でギブアップ。鈴は悟とは遊んだことなかったから遊んであげようと思って、だったらしい。
鈴はアラタに「悟は昔っから茜が好きなんだよ」と教えてくれる。

セオは有休をとってしばらくお休み。
セオから夜間地域交流課グループLINEに連絡がきて、渡部瞳という女性と会っているらしく、彼女は仙田の元妻でセオの紹介で知り合ったらしい。瞳はアラタに興味津々らしく、今度東京に来たらみんなで飲もうという話に。

狩野一がギブアップして以降は鈴は一人で好き勝手に乗り物に乗ったり移動したりし始め、狩野一とアラタは二人で座って会話をする。
吸血鬼事件の話から玉緒たちの話になり、アラタは気になっていた、蚕神を狩野一が殺そうとしたことについて聞く。

 

玉緒たちとアラタが一緒に飲んだ時に聞いた話だと、玉緒家でも神とされるアナザーを殺した記録はなく、神を殺したら厄介だからで、特に和系の神の場合、昔から土地に根付いて奉仕されることが多いから手を出したらどういう形で飛び火するか想像がつかない、蚕神なんて殺したら総統な数の和系アナザーから末代まで恨まれ、呪による刺青を相当広い面積に入れざるを得なくなる、狩野一がそれをわかってないとは思えないので、それでも実行しようとしたならそれだけの覚悟を持ってやろうとしていただろうとのこと。
狩野一は、あの時、責任のある立場だったし部下の命もかかっていた、自分一人でアナザーの恨みを買って始末がつくなら刺青なんて代償としては安く、例え全身に入れることになってもいい、子供に受け継がれるなら自分一代で終わらせればいいこと、だと思っていたという。
だからアラタの「こんな禍根が残るやり方が本当の解決なわけない」という言葉は図星だったらしい。

それでも狩野一はアラタの仕事のやり方は好きじゃないと言い、アラタもお互い様だという。

出来事自体はどうということのない事で、仙田の元妻がちょろっと登場したり、狩野一の気持ちと神殺しの恨みについて語られる回でした。
それと鈴の単純に書かれる顔がおもしろかったです。

最後にコヨーテと「戸山公園のトリックスター」冒頭でちょっとだけでてきたシャが登場。
コヨーテがシャに、アラタが晴明だという理由について説明するという形で、琥珀と晴明の昔話が始まり、次から8巻まるごとその話のようです。

 

感想

夜間地域交流課というのがあっても、アナザーの姿は見えて声は聞こえても、言ってることがわからなかったっていうのには、ちょっと驚きです。
アラタも言ってるけど、そんなんでよく今まで対処してきたなっていうか・・・、うーん、この作品ではそういう設定なわけなんだけど、オカルト的にはどちらかというと、「見える」能力のある人は、言語とか関係なく言ってることがわかる、もんだと思うので、能力が高いとわかる度合いが高いとか、程度の差があるならいいけど、基本的に全くわからない、わかる人が希少っていうのは、納得いかない設定だなぁと思いました。

2巻から登場して、それからずっとアラタの周りにいるウェウェコヨトル(コヨーテ、琥珀)はアステカの神、ということで名前が似てるのでケツァルコアトルの読み方が違うだけ、かと思ってたけど、調べてみたらアステカの別の神でした。
コヨーテは、安倍晴明のことをよく知っていて、アラタは晴明だ、というんですが、その晴明、コヨーテの出会いからの話とアラタを晴明と言う理由が8巻で描かれているらしいので、すごく気になりますが、ピッコマでは今有料で、そのうち9巻が配信されたら8巻は無料になるだろうからその時でいいかな。

コヨーテがアラタ(というか晴明)が大好きなんだけど、かといって、アラタをいつも助けてくれるというわけでもなく、アナザーである彼なりの常識の中での好意で、人間の感覚とは違うので、気まぐれに見えたり、ちょっと冷たかったりというのは、それっぽくていいとは思うんだけど、なんとなーくコヨーテの存在は微妙。きまくれでやっかいな人って感じ。

 

最初の登場からして、直前までアラタの仲間(セオ、榊)を殺そうとしていたのに、普通に仲いい感じで話をしてくるとか、アラタもそれに応じてるけど、アラタが他人行儀だからって拗ねてという行動で、人を殺そうとしちゃうとか、人間の命なんてなんとも思ってない感じで、価値観が違うっていう感じを出してました。

アラタが子供の頃よく遊んでた白い猫も実は妖怪で、アラタの家の蔵にある書物等を守るように言われてずっと蔵のとこにいたんですが、子供の頃は姿は見えても言ってることはわかってませんでした。
アラタが覚醒してわかるようになって、「ひさしぶり〜」とアラタにじゃれてくる白猫「ユキ」はかわいいです。ユキも一応、アラタと一緒にいるんだけど、常に傍にいるというわけでもなく、あんまり登場してこないのがちょっと残念。いつも傍にいて、なんやかやとちょいちょい絡んでくる感じだったらいいのに。

オカルトな感じの話は好きなので、割とおもしろいですが、すごくという程ではなかったです。
絵柄は、顔も身体もちょっと線が細すぎて、もうちょっとがっしりした顔、体格の方が好み。
特にセオのスタイルは好きじゃない、金髪の時の方がよかった。

「線上の犬」とちょっと似てると思いました。
オカルトな感じで人外の生き物がいくつも出てきて、公的機関の話ってところが。
絵柄も内容も、「線上の犬」の方が好みです。

 

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