漫画「あなたの記憶」作画:上杉可南子 原作:リアン・バンクス 感想


<↑コミックの試し読み>

漫画「あなたの記憶」感想
作画:上杉可南子 原作:リアン・バンクス 

ネタバレありなので、ご承知の上。

ピッコマにて。
ハーレクインロマンスのコミック版です。
ミスター・ミリオネアというシリーズ物、三部作の三作目のようですが今現在ピッコマでは前二作は配信してません。

今まで試し読みでハーレクインのコミックは読んだことありましたがあまりちゃんと全部を読んだことはありませんでした。全部読んでみて思ったのは、やっぱり続きは気になるけど、読み終わってみると特に残らない、サラッと読める物語だなと思いました。小説の方を読んでないのでなんともいえないですが、おそらくコミックの方が小説から端折っているところがあるんじゃないかと思います。そのせいもあってか、余計にあっさりしてるなって思いました。

チャラい感じのディランは施設育ちですが、成人してからあるお金持ち一族の血縁だとわかり、遺産で億万長者になりました。ある時、幼馴染で元カノのアリサが事故に遭ったと連絡が入り、かけつけると、アリサは事故のショックでディランのことだけすっぽり記憶がなくなっていました。

 

これはアリサとやり直すチャンスだと思い、ディランはアリサを自分の家に連れ帰ります。
ディランは施設にいたころ、施設で母親が働いていたアリサと知り合い、好き同士になりましたが、アリサの急な引っ越しで離れ離れになります。大学で偶然再会し、付き合いますが、アリサがディランの浮気現場を目撃し別れていました。
ディランの記憶がないアリサは戸惑いながらも、またディランにひかれていきますが、ディランの浮気現場を目撃し別れたことを思い出し、ディランの家を出ます。
旅行に行っていたアリサの母親が呼び戻され、母に会うと、アリサが議員の彼氏と別れていたことを責められます。そこからアリサの母親の過去の悪行の告白になります。実はアリサの母親は今まで何度もディランとアリサを引き離してきていたのです。
今までディランを何度も追い払ってきた、なのに後になって大企業のCEOの落としダネだとわかるなんて、なんて皮肉なんだ、あいつに勝つにはアリサの別れた議員の男が必要だったのに、とアリサの母は言うのです。
施設にいた頃、ディランとアリサがキスしているのを見てしまい、別れさせるために再婚して引っ越しをし、ディランとアリサが離れたくないために二人で逃亡する計画を立てているのに気付くとディランに汚されるくらいならと寝ているアリサの首をしめようとし、それを見つけたディランが別れるからやめてくれとお願いし、それで待ち合わせ場所にディランが来なかったのでした。
大学でもアリサの部屋の前にディランを見つけてなんてしつこい男なんだと思い、いくら奨学金で大学に行こうが施設育ちの子は親が揃った子よりも上の仕事にはつけないんだと言ってやった、何故それがわかるかというと今まで隠してきたけれど自分が施設育ちだからなのだといいます。
それがディランの浮気現場をアリサが目撃し「俺の楽しみを邪魔するな」なんていう酷いセリフをアリサに言うことにつながったんだと思いますが、この辺り、詳しく語られていないので、いまいちはっきりよくわかりません。よーく考えればたぶんそういうことなんだろうな、アリサと別れるためにわざと浮気現場を見せて酷いことも言ったんだろうなと思いますが、なんかいまいちわかりにくいので、もうちょっとここはちゃんと説明してほしかったです。

こうして、アリサが今まで、ディランがアリサを裏切ってきたと思っていたディランの行動は、アリサの母親の干渉のせいだったということがわかります。
アリサ(の母親)の方ががディランを傷つけてきたんだとわかったアリサはディランを探して会いに行き、母親から過去のことを聞いたことを話し、二人は晴れて結ばれてハッピーエンドです。

 

アリサとディランは幼い頃からの純な初恋で結ばれてすごく好きなパターンなんですが、気になったのはアリサの母親のこと。
せっかく自分の娘が望み取り議員の男性と結婚できると思っていたのがダメになった失望感から感情が高ぶって、突然な感じで過去の悪行の告白になりますが、自分のしたこと、自分が施設育ちだから、という告白をしただけで、あんなに酷いことをしておきながら、ディランにもアリサにも謝罪の言葉がありませんでした。

金と地位のある人間と結婚できれば幸せというあんたの勝手な価値観を娘に押し付けんなよっていう典型的なダメ親パターン。この物語の諸悪の根源はアリサの母親であり、母親の妨害がなければ、早いうちに二人は結ばれて幸せになれていたのに、二人の貴重な若い頃の時間をもっと幸せに過ごせていたはずなのに、二人の心に傷をつけて不幸せにしていたのはアリサの母で、しかもそれに気がついていないままなので、もっとギャフンといわせてほしかった。
しかもその話を聞いてアリサは、私がママまで苦しめていたのね、ごめんなさいと、アリサの方がなぜか謝っていた。アリサが母親を苦しめていたのは、アリサがディランを好きになったから?だとしたら、そこは謝るところなの?と、全く理解できなかった。
母親が苦しんだのはアリサのせいじゃないよ、母親が勝手に自分の娘は自分の物、自分の望むようにさせるんだと思い込んで、思い通りにさせようとしたせいだよ。勝手に自分の価値観を押し付けようとしたからだよ。
それが間違ってることに気づかずにいたせいだよ。
そしてお金持ちになったディランとアリサが結ばれたら、母親の望みが叶ってしまうことにもなるので、なんだかなぁ。アリサの母親の部分の制裁が弱すぎて、そこの部分が不満の残る話でした。

<↓小説の試し読み>