小説「百花繚乱 社内ラブカルテット」作者:水守恵蓮 感想


<↑試し読み> Renta!

会社の同期同士の付き合って1年のカップルが、男の浮気が発覚し、女には別の男からのアピールが入り、同じ社内で修羅場もある男女の四角関係のお話。

完結。ピッコマで読み始め、
最後の方は、amazon kindle unlimited にて。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

大手銀行に勤め、外国為替課を担当する古川帆南(ほなみ)29歳は、同期で営業の田神景(けい)と付き合って1年。二人でランチの時に、帆南の後輩で新入社員の高村紀子(のりこ)が、彼氏に結婚のプレッシャーをかけるためという理由で退職するという話をすると、景は固まってしまったのだが、帆南は時間がなかったのであまり気にせず職場に戻る。

帆南はその日、景と夕食を一緒にとる約束をしていたが、ドタキャンされたため、営業部から頼まれた残業をして、出来上がった物を、営業部の課長、樫本凉矢(すずや)33歳、のところへ持っていくと、樫本に飲みに誘われ、行くことになる。

樫本と一緒に会社のビルの1階に降りたところで、景が紀子と一緒に待ち合わせてどこかに行く様子なのを見かけてしまい、帆南は樫本との約束をキャンセルして追いかけるが、樫本もついてくる。
タクシーで二人の後を追う車中で樫本には景と付き合っている事を打ち明ける。
景の住むマンションに着き、景の部屋のドアの前に立つと中から男女が睦み合っている声が聞こえ、景が紀子と浮気をしているのが確定する。

 

ショックで崩れ落ちそうになった帆南を支え、そのまま樫本は帆南と飲みに行き、帆南は飲みすぎて酔っ払って、樫本と一夜を共にする。
翌朝、帆南は樫本に昨夜のことは忘れて欲しいと言うが、樫本は前々から帆南に好意を抱いていたので、これをチャンスと帆南にグイグイ迫っていく。

終業時間後、樫本に仕事にかこつけて呼び出され、会議室で二人で昨夜の事を話し、樫本は帆南に好意を持っている事を伝え、景と別れるように話す。気付くと会議室のドアを開けて景が立っていて話を聞かれており、景は帆南が樫本と寝たのかと、ショックを受け固まっているが、樫本に昨夜、紀子を自宅に連れ込み浮気していた事を知っていると言われ、動揺する。

帆南も動揺して会議室を飛び出してしまい、この場はこれで終わるが、翌日、景と話をすることになり、帆南が景にほだされて簡単に浮気を許し、なかったことにならないよう、樫本も同席するという。
翌日の就業時間後、喫茶店で景、帆南、樫本が会って会談、途中で紀子も加わって4者会談になる。

景は紀子との関係は4月から始まっており、居酒屋にそれぞれグループで飲みに来ていたのが、同じ銀行の社員同士とわかって合流したのがキッカケだった。紀子は無表情無口な性格で周りから浮いており、人付き合いがうまくない様子の紀子が気になって、こういう部下に慕ってもらえる上司にならないとという気持ちもあって、お節介をやき、冷めた表情だった紀子が景と話して笑顔を見せたのがうれしくてつい・・ということらしい。

 

景が何度か誘いを断ると泣かれ、景は自分以外とうまく接する事ができない彼女を放っておけなかった。
帆南は景が紀子を突き放せず、自分と紀子のそれぞれの前でカッコつけてしまうのは理解できるというと、景は許しを期待する表情を浮かべるが、帆南が自分もショックで弱くなり樫本と寝たと話すと、景は帆南が認めた事にショックを受けるが、1回だけの事を責めないし忘れられるという。

そこへ樫本が割り込んできて、それで終わらせない景から奪うつもりだというと、景はドンと机を叩き、帆南は俺の彼女で帆南と別れたくない、本当に好きなんだという。
そこへ紀子が現れ、景以外の人がいる事に驚く。
紀子は景が帆南と付き合ってることは知らなかった様子で、「俺の恋人は帆南だけ、二人で会うのはこれきりにしてほしいと」景に謝られると、紀子は驚きで固まってしまう。
樫本に「この先は二人の問題だ」と言われて帆南は二人を残して店を出る。

樫本は帆南と二人で話し、帆南と名前呼びする許可をもらい、携帯番号メアドもゲット、帆南を慰め、好きだ、早く俺のものになりに来いと言ってアプローチ。帆南は樫本への返事は待ってもらう。

 

翌日、紀子は会社を病欠で休むが、帆南の窓口に客としてやって来て、昨日景に振られた事を話すが、樫本が一緒にいたのは帆南も樫本と浮気しているからじゃないのかと言い、そんな帆南が彼女だと言われてもあきらめられないと興奮し始め、「絶対、田神さんは渡さないんだからぁ」と絶叫して泣き出し、騒動になる。

課長に連れられ、帆南、紀子は応接室へ。樫本、景も呼び出され、部屋に入るなり二人は課長に謝罪。
窓口業務時間の終了間際で、他の客がいない状況だったので、上には報告しないが、エリート行員でも女で簡単に足元をすくわれるぞと課長に忠告される。

景は紀子の慰め役で、また二人を残して他の人は退室。
樫本は帆南が一番傷ついているだろうと帆南を気遣い、帆南も樫本に一緒にいてほしいと言うと、樫本は帆南を夜のドライブに連れ出す。樫本は帆南を慰めつつ、ここ数日、帆南に接して更に好きになったとアプローチ。

ドライブから戻って帆南を家に送っていくと、景がマンション前で待っていた。
今まで樫本といたこと、それを帆南が望んだことに景は怒り「絶対にお前と別れる気はない」と帆南につかみかかりそうな勢いの景を樫本が遮り、「帆南に二度と触れるな」と言って景の目の前で帆南にキスをする。

 

そこへ紀子が現れ、樫本とキスしていた帆南に、「樫本とは浮気じゃないんだ、田神さんは私のものだ、田神さんは、私にくれたっていいじゃないですか」とまた興奮してきて絶叫。
そんな紀子に帆南は「景は物じゃない、景の心を決めるのは景だけ」だという。

樫本が紀子を車で家に送り、残った帆南と景は、部屋ではなく近くの公園で話をする。
帆南は景が言った「一度裏切ったら二度三度も同じ、最初の罪悪感は麻痺して薄れていく」という言葉に心をえぐられる。景が罪悪感を感じなくなっていくと言ったのが、自分の思っていた「一度も二度も裏切りは裏切り」というどっちにしても罪悪感を感じるというのと違い、景は何度も浮気を繰り返すうちに罪悪感を感じなくなっていたのかと思い、景を信じようと思う気持ちが揺らいだ。

帆南は景に「一度距離を置こう、紀子と向き合ってほしい」という。
紀子とちゃんと別れたら樫本を断って、俺と続けてくれるんだなと景が確認すると、帆南は「それは約束できない、樫本にひかれてるから」と言って、固まる景を残して去る。

部屋に戻った帆南に樫本から電話があり、紀子はちゃんと送ったと報告される。
行ってもいいか?という樫本に帆南は承諾し、景を入れなかった部屋に樫本を入れる。
まだ景と別れたわけでもないのに樫本を入れることを自覚して、自分で最低だという帆南に手は出せないと言って、抱きしめるだけで樫本は帰る。

帆南は四角関係だと言われた4人の中で、他の3人は気持がはっきりしているのに自分だけが揺れていると思った。

 

翌日、紀子はまた会社を休み、帆南は「挨拶もせずに辞めてしまうのは、今後の彼女のためにもならない」と、紀子の家に会ってくれるまで行って説得したいという。
仕事帰りに毎日紀子を訪ねるが会えないまま1週間が経ち、金曜の夜、景が帆南を待っていて話をする。

先週の金曜の夜、あの後、もう一度帆南と話して気持ちを伝えようとしていた景は、樫本が帆南のマンションに入るのを見ていた。そう言われ、言い訳じゃなく謝罪する帆南に、景はガックリする。

「体の関係をずるずる続けておいて説得力がないだろうけど、紀子のことは放っておけない後輩としか思ってなかった。8ヶ月もの間、ずっとそうだった。今さら恋愛感情なんて湧かない。俺は帆南を愛してる。俺が紀子と向き合っている間に帆南を樫本に奪われるなんて嫌だ」

「樫本に惹かれてるだけじゃなく、好きなんだろ」という景に帆南は「ごめんなさい」と何度も謝るが、謝られるのは俺にとって追い打ちでしかないから謝らないでくれと景に言われる。
景は気持ちを振り切るように、紀子のことは俺がなんとかするから帆南は帰ってと言って去る。

 

月曜日、紀子はまた会社に来なかったと思っていたが、窓口業務で、訛りの強い英語を話す客の対応に困っていた帆南を紀子が助ける。帆南は紀子とランチに行き話をする。
景は毎日来てくれたが一緒にいるだけで何も言わなかったという。
だが、帆南が来てくれていた事を話すと「心配してくれる人に一言も返さず追い返し、人の気持ちをないがしろにするようじゃ、みんな離れていくよ、俺ももう傍にはいられない」と言って怒り、週末は来なかったらしい。

帆南に俺にまかせろって言った金曜日に紀子のとこに行って傍にはいられないって怒ったってこと?どうにかするって言っといて土日は行かなかったのは押してダメなら引いてみろ的な作戦なの?それに帆南と話した時に帆南が行ってることは昨日聞いたって言ってたけど、聞いた時すぐに怒ったんじゃなくて、帆南と会った後に紀子に会って怒ってもういられないって言ったの?話のニュアンスは、それまで何も言わず、帆南が来たことを聞いてすぐ怒った感じだったけど。帆南と会う前に聞いて怒って「もうそばにいない」って言ってて、「俺がどうにかする」じゃなんかおかしいし・・・。と、なんかいまいち辻褄が合わないような・・・。

紀子は、景が来なくなって、景がどんな気持ちでいたか考えてなかった、物扱いしてた事に気付いた、人の気持を考えられない自分は傍にいられないと言われても自業自得だ、という。
そして、同情して振れないなんてただの自己満足、樫本が好きならちゃんと気持ちを伝えて、景を諦めさせてあげて、と帆南に言う。

 

ここの紀子の言い分は私には共感できませんでした。
帆南が言うように、まず景と別れる話をして、それから樫本に気持ちを伝える、でいいと思うんだけど。
先に樫本に言っちゃダメってこともないけど、樫本がOKでうまくいったから景と別れるみたいな感じもしちゃうし、まあ樫本からはっきり好きって言われてるからちょっと違うけど、その順番で妥当だと思いました。
ただ帆南に景と早く別れてほしくて、とにかく先に進めようとしているの?

紀子は景と会って話をしようと電話するが、仕事が忙しいからと断られ、また1週間が経つ。
土曜日、突然連絡なしに樫本が帆南の部屋を訪ねてきて、簡単に身なりは整えたものの、スッピンに部屋着の姿を見て「営業本部の男共が見たら嘆くぞ」と言われる。

私はなるべくすぐに素を見せて取り繕わない派なので、これを読んで私は、突然来ておいて普段着姿見てそんなこと言われたら、「こっちがドン引きだよ」と思いました。
その後、スッピン見せてもらえて嬉しいって言ってるけど、だったら最初にそんなこと言うなよって思う。

 

帆南は樫本に好きだと気持ちを伝え、樫本は喜び、自分のことを涼矢と名前で呼んでほしいと帆南にいう。
気持ちは伝えたけど景と話をするまでは許すのはキスまで。
年末は一緒に過ごそうと約束をする。

紀子は実家が旅館で、既に亡くなっている両親の後を兄が継いでいる。
兄嫁が妊娠して人手が足らなくなったのもあって、紀子は実家に戻って家業を手伝う予定になっている。
大晦日に実家に戻り、もう東京には戻って来ない予定なので、景に最後に一度会いたいと思ったが、仕事が忙しいと断られたと、紀子は帆南に話す。

景と話さないまま年末年始に入りたくないので、帆南は仕事帰りの景を待ち伏せして、景と話をする。
「帆南は、もう樫本さんのものなんだよな。そうなるだろうって思ってたけど、がっくりきてるんだ。」という景に「ごめんね、さようなら、1年間ありがとう、紀子にも会ってあげて」と別れを告げて去る。

 

「物扱いするな」という話が出ていての「樫本さんのもの」発言にちょっと引っかかりました。

大晦日、樫本、帆南は紀子を見送りに新幹線のホームへ。
帆南は、紀子が仲居仕事に慣れた頃、みんなで泊まりに行こうかと同僚と話していたんだと紀子に伝える。
景は隠れていたが樫本に見つけられ、樫本&帆南がいなくなるのを待っていたという。

紀子は「最後に会えて嬉しい、今までありがとうございました。一生忘れません」と景に別れの挨拶をするが、景は「最後にはしない、仲居の仕事に慣れる日なんか来ないなんて頼りないこと言われたら放っておけないだろ、今すぐは無理だけど、必ず会いに行く、だからもうちょっと待ってて」と紀子にいう。

樫本と帆南は二人を置いてそっと離れる。
帆南は樫本の部屋に行って一緒に大晦日を過ごし、そのまま泊まって、一緒に新年の朝を迎える。
おしまい。

 


四角関係のメインの登場人物、4人の誰もあまり好みじゃなかったんですが、浮気がバレてどうなるのかっていう、主に景はどう言い訳するんだ、ってとこが気になって読みました。
景は振られて、樫本と帆南が付き合うことになるんだろうなーとは思いましたが、景はどんな気持ちで浮気してたんだってのが気になりました。

でも最後、景と浮気相手の紀子が結ばれることになりそうな感じで終わったのは「えー?」でした。
予想外というより、それは安易すぎるでしょって思います。

だって景は、あれだけ帆南が好きだ、樫本に渡したくないって言ってて、「紀子のことは放っておけない後輩としか思ってなかった、8ヶ月もの間、ずっとそうで、今さら恋愛感情なんて湧かない」って言ってたのに、くっつく?
「今さら恋愛感情なんて湧かない」んだよ?
帆南に振られたからって、同情で紀子にいっちゃだめだよ?
それはないでしょーと思いました。

 

最後に景がそのままじゃかわいそうだから、相手を作ってあげたって感じで安易すぎる。
恋愛感情わかないって言ってたのに、やっぱわいたの?8ヶ月も違ったのに?
今まで友達だったとかじゃなく、体の関係もあって相手は付き合ってるつもりな関係の付き合いをしてて、それで恋愛感情なかったのに、気が変わる?

景だって樫本ほどじゃなくても出世頭で、イケメンで、29才ならまだまだ出会いのチャンスは十分あるだろうし、恋愛感情ない紀子じゃなくていいじゃん。
むしろ、そんな安易なくっつけ方されたら景がかわいそうだよ。
それに、紀子は景は私の物だとか絶叫しちゃう修羅場を2回もやった人だよ。
思いつめたら怖い人ですよ。
そんな紀子を好きになる人もいるだろうけど、景は同情でしょ・・・。

紀子も二股かけられてるとは知らず結婚を考えてたので、景の被害者ではあるけど、結婚を迫るために退職するっていう考え方が怖い、受け入れがたい、そんな考えする人嫌だと思うし、いろいろ理解できない人でした。
実家の事情もあってっぽかったけど、ほんとにただ彼氏に結婚迫るだけの理由で、せっかく入った大手銀行を1年も経たずにやめるなんて、思考がおかしすぎて信じられません。
紀子みたいな無表情無口なタイプの人が大手銀行に採用されるのかなぁとも思ってしまいました。
(実際どうなのかは知りませんけどね)

 

帆南は紀子に対する態度が善人すぎじゃないかなぁという気がしました。
OJTで担当した新人の後輩とはいっても、それほど仲が良かったわけでもないみたいだし、そんな程度の仲で、あと1ヶ月もしないで辞める人に会社に出てくるよう説得しに自宅まで行くかなぁ?
OJTはやったことありますが、私だったらよっぽど仲良しになったんじゃなければ、そこまで世話焼こうなんて思いませんよ。

しかも相手は恋人の浮気相手。嫌な感情を持つだろうと思うのに、そんなに親身になれるかなぁ。しかもあんな修羅場を演じた人を。
樫本がいるから気持ちに余裕があるってこと?

やめるとはいえ、そのまま出てこないんじゃなく、ちゃんと最後は挨拶くらいして辞めた方が本人のためになるのはわかります。でもそこまで面倒見てあげる気にならないなぁ、紀子だったら。

そして最後に同僚みんなで泊まりに行こうって話をしたって帆南は言うんだけど、あの修羅場で騒動起こした人で、それまで仲良くもなく、1年もしないで辞めちゃう元同僚のとこに遊びに行こうと思う?
騒動起こしてなくたって、仲良しじゃなく、ただ同僚だったってだけの人のとこに遊びに行きたいと私だったら、思わないです。そういう話になったら、その場ではとりあえず何も言わないかもしれないけど、「えー行きたくなーい、うわーほんとに行く気あって言ってるのかなーと、もしそうじゃなかったら、むしろ言わないでほしいよ、口だけだったら」って思う。

聖女と言われるマドンナだったから?
そういう人もいるだろうけど、世話焼きキャラだったわけでもないのに、善人すぎる対応に、うーんでした。

 

樫本はスーパーエリートで、超イケメン、ハイスペックな人の設定ですが、文字面で読んでて、カッコイーって思うことが特になかったです。
たぶん表紙の男性が樫本なんだろうけど、ああいうイメージじゃなかったなぁ。
すごい自信家だなーって感じのセリフが多いなと思いました。
なんかなぁ、なんだろう、君は俺を好きになる、俺の所に落ちてこい、彼から君を奪う、とか、とにかく、帆南が自分の所にくるようにみたいなセリフか、帆南の容姿とかエロさをいうセリフが多くて、もっと中身のある心にグッとくるようなセリフってのがあんまりなかった気がします。

むしろ景の方が、帆南を想う気持ちが伝わってきて、切なくてかわいそうになりました。
「俺が紀子と向き合っている間に帆南を樫本に奪われるなんて嫌だ」とか、ほんとそうだよね、切ないなーって思いました。

景は、帆南が営業本部のマドンナなんて言われて、ライバルが多いのを知ってて、浮気なんてしちゃってたんだから、自業自得なんですけど、景の帆南を好きなんだ、樫本に渡したくないって気持ちは痛いほどに伝わってきて、それなのに紀子と向き合えって言われちゃってるのが、かわいそうでした。
景からしたら、紀子なんてもうどうでもいいんだよ、帆南を返してーって感じで、それだけに最後、紀子にいくのは「えー?」でした。

 

付き合って1年で、そのうち8ヶ月、半分以上も二股してたんだからね。
ほんとにしょーもない。
恋愛感情なくて、Hする関係だったっていうのは、ほんとに男の本能な部分を優先させちゃったってことなのかな、結局。でも割り切った関係じゃなくて、紀子は自分と付き合ってるつもりだったなら、それなりに束縛されそうだと思うんだけど、休みの日に一緒に出かけるとか、そういうところで、お互いおかしいと思うことがなかったんだろうかと思います。

だって、帆南は景の部屋の合鍵を持ってたのに、景は紀子を自分の部屋に連れてきてたんだよ。
付き合ってたら、連絡なしに来るってことだってありえるよね。そこら辺が甘すぎる。
自分の部屋に、帆南がいる時と、紀子がいる時があって、そこをなんとも感じなかったんだろうか。
それに彼女の物を自分の部屋に置かれる事もあると思うんだけど、そのへんもどうだったのかなと。

よくよく考えちゃうと、片方の女性が浮気ってわかってて付き合ってるわけでもなく、両方を部屋に入らせてるような状況でバレないってあるのかなぁとか、わりと設定が荒い気がしてきました。
景があえて二股をしているような人だったら、バレないように気を使ってあれこれやるんだろうけど、そういう人なわけじゃなく、紀子はずるずる続けちゃっただけみたいだし、部屋でばったり会わないようにする小細工をそんなにしてなさそうだから、バレそうな気がします。

 

あと、紀子と会うのを何度か断ったら泣かれちゃってと言ってたけど、付き合ってる相手に、会うのを断られるって、紀子はどう考えてたんだろう?まだ付き合い始めだからとか?付き合う前?
付き合ってて何か用事があるって断ったんだとしたら、泣くってなんでだろう。
会えないのが続くと寂しくてってことで?

あと恋愛感情ないって言ってたけど、じゃあ景は紀子に好きとか愛してるって言葉は言わなかったの?付き合おうとかもはっきり言わないで、会ってたの?それでも紀子は付き合ってると思ってたの?
景と紀子の付き合い方がどんな感じだったのかってのが、よく考えちゃうと結構疑問です。

景の浮気はしょーもなくて共感はできないけど、それ以外で気持ち(帆南への気持ち)に一番共感できたのは景でした。
紀子はクレイジーで理解不能だし、樫本&帆南の恋愛感情はあんまりよくわからなかったです。

あれだけ、帆南を想ってたのに、紀子との未来を予感させる終わり方は、景がかわいそう。
浮気したから帆南と復縁は無理でも、他にいるでしょうに。

樫本と帆南がくっつくんだろうなとは思ってたけど、それでもどうなるのかという展開はハラハラドキドキがありました。ただ、それぞれの心情は共感できない事も多く、ただただいろんな事が起こる展開がおもしかった感じです。そもそもこの手の小説に深い話を期待してるわけじゃないんですけど、でも景が浮気をどう思ってやってたのかという気になる部分は、理解しようと何度も読み返してみたりしてしまいました。
結局、ただ男の本能に負けたみたいな感じだったってことかな。
あまり深く考えると上に書いたようにいろいろ「んん?」なとこが出てきちゃうので。