漫画「仮面女子シオン」原作:Min 絵コンテ:Hanna Park 作画:Melin 感想

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ピッコマにて。水曜更新で連載中。
食品会社で社長秘書をしている香月紫音の夢は絵本作家になること。
1冊だけ出版された絵本「仮面女子」を社長の甥が気に入っている事から作者を捜されて・・・。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

 

1〜15話

香月紫音(こうづき しおん)は、エンゼル食品の有能な社長付き秘書。

社長の西園寺龍我(さいおんじ りゅうが)は非常に有能だが、仕事に厳しく、朝来ても挨拶も返さず「企画書は?」と聞いてくるような人物。
自分が有能すぎて、そうじゃない人の気持がわからないタイプっぽい。

紫音は今でこそ有能な秘書と言われているが、そうなるまでは
「仕事もまともにできないくせに給料だけはきっちりもらって随分なご身分だな」
「辞表なら受け取ってやるぞ」
等のキツイ言葉を社長から受けていた。

社長はイケメンなので他の社員からは羨ましがられたりするが、紫音は社長に全く恋愛感情はない。
昔は「大企業のイケメン若社長が会社では容赦のない冷血人間だけど自分の彼女にだけは情熱的で・・」等と考えたこともあったが、今はこんな人の彼女がかわいそうだと思っている。

紫音の夢は絵本作家になることで、1冊だけ「仮面少女」という絵本を出版してもらえたのだが、売れ行きはかんばしく無いため、2冊目が出せる予定は今のところないような状況。
仮面少女は、ガルーという意地悪な男の子?にイジメられる女の子が、仮面をつけてパープルとして立ち向かうお話。

 

ガルーは西園寺がモデルで、エピソードも紫音が新人時代に西園寺から受けた厳しい体験が元になっている。
例えば、朝早く会社に来て、コンビニで買ったパンを食べているとそれが他社の商品だったため、社長に「社長秘書ともあろう人間がのんきにライバル社の商品を食べてるようじゃSG(他社)に勝てるはずがない」と怒鳴られた経験等。

西園寺は、姉の息子である幼稚園児の甥、真大(まひろ)と一緒に暮らしており、姉夫婦は亡くなっていて、家政婦さんがいる。
真大を溺愛しているのだが、その真大が仮面少女を気に入っている。
幼稚園の友達に小学校に行ったらママみたいな女の人が必要になると言われ、おじさん(西園寺)に彼女を作らないのかといい、おじさんの彼女は仮面少女のパープルがいいという。

西園寺はパープルに聞いてみると真大にいい、パープル=作者を探すよう部下の小宮に依頼する。
まずは出版社に問い合せる事になり、それを聞いていた紫音は急いで出版社に電話して、自分の身元を尋ねる電話がきても、絶対に明かさないようにと頼む。

 

真大が熱で倒れて入院し、なぜパープルにおじさんの彼女になってほしいのかと小宮が尋ねると、「おじさんが時々さみしそうだから、おじさんにもいい友達がいたらいいなあって、パープルが真大の友達になってくれたみたいに、おじさんとも本当の友だちになってくれると思うんだ」と真大が言っているのを西園寺が聞いていて、「どんな手を使ってでも作者を探し出してくれ」と小宮に頼む。

小宮は出版社に電話して作者が誰か聞くが、あっさり断られ、アポイント無しで直接出版社に行き、紫音を担当してくれてる人でもある編集長、柏木に会って頼むがやっぱり断られる。
でも柏木は小宮がかわいい系のイケメンでドストライクだと思って、この時、冗談で「デートしてくれたら」等という。

紫音が体調を崩して西園寺の目の前でフラつき倒れそうになったところを西園寺に支えられるが、ハッとしてすぐに離れ、熱はないかと額を触られるとさりげなく後ろに下がって離れる等、紫音が西園寺を嫌いな様子が見受けられる。
病院に行くよう強く言われ、1人で行けるという紫音に西園寺は無理矢理付いてくる。
診断はストレスによる緊張型頭痛。薬だけでいいという紫音に西園寺が点滴をお願いし、豪華な病室で点滴を受け、それを傍らで西園寺が座って仕事をしながら待つという事になる。

 

眠ってしまった紫音の目が覚めると、まだ西園寺がいて、自分を心配してくれるいい人なのかと紫音が思っていると、西園寺は「新しく求人を出すのも面倒だからな」と言って帰る。

どうしても作者の連絡先を教えてもらえないと小宮から聞いて西園寺は、会社の寄付予算を使って仮面少女の初版本の在庫を全部買い取り寄付し、代わりに作者のサイン会をしてほしいという条件を出版社の柏木に出してくる。

仮面少女の出版を柏木が無理矢理通して進めた責任もあり、その申し出を断れずに受ける。
それを聞いて紫音は事情(お金の問題)は仕方ないと受け入れるが、作者を探している黒幕はガルーのモデルでもある紫音の上司の社長で、甥が絵本を気に入っているらしいという事情を柏木に説明し、柏木のアイディアでサイン会は紫音がパープルのかぶりものをかぶって行うことにした。

キッズカフェでのサイン会だが、真大、西園寺、小宮以外に客はいない。
真大は大喜びでパープルのかぶりお面を被った紫音に仮面少女を読んでもらったりしているが、西園寺は当然不満顔、でも真大の手前何も言えない。

 

休憩時間にお面を取っていた紫音の後ろから西園寺が「在庫の買い取り、サイン会の費用も負担しているんだから、直接挨拶する機会くらいもらえませんか?」と声をかけてくる。
紫音が慌ててお面を被って後ろ姿のまま固まって「もうだめだ」と思っていると、その後ろから真大が「おじさん、何してるの?」と声をかけてくる。

これをチャンスと紫音は、かぶりものを西園寺にかぶせて逃走。
パープルのお面をかぶった西園寺を見て、真大は号泣。
紫音は、真大には挨拶できないで終わってしまったが、後は柏木がなんとかしてくれるだろう、これで全部終わって元の生活に戻れると思った。

西園寺はパープルのお面を持ち帰り、翌朝、お面を抱えて出社。
当然、社員たちは何事かとヒソヒソ声のオンパレードで、紫音は青ざめながら「なぜ私は何年もの間、あの男の異常さに気付かなかったのだろう?」と思う。

 

真大はあの日以来、「どうしてパープルにいじわるしたの、おじさんなんて大嫌い、もう二度と話したくない」と言って、部屋にこもっている。
「というわけで、今度は人形の持ち主を探すことになりました」と後輩に説明し、皇子がシンデレラのガラスの靴を探すみたいでロマンチックという後輩の言葉を聞いて、紫音はそれを想像してしまい「最悪」だと思う。

「今度は」って、人形の持ち主だって同じ作者じゃんって思うんですが、ここはよくある翻訳ゆえの齟齬なんでしょうか。他にも「ん?」ってとこはあって「いやだからさっきそれ言ってたじゃん」とか思ったりしました。

どうしても作者の連絡先をゲットしろという社長の指令に、小宮は思い切って柏木に「代わりにデートしよう」と電話するが、大笑いされて「本気にするなんて自意識過剰、作家のプライバシーを守る義務があるから無理、連絡先と関係ないデートのお誘いなら歓迎する」と言われてしまう。

 

「仮面の持ち主を見つけてやる」とガルーが仮面を持っているスケッチを紫音が会社でしていて、そのスケッチブックを会社の机の上に出しっぱなしで置き忘れてしまう。
それを小宮が見つけ、「もしや・・?」と思うものの勝手に見た罪悪感でまず紫音に確認してからと思うが、そこへ西園寺がきてごまかそうとするものの、あっさりスケッチブックを見られ、西園寺が柏木に電話して「香月が本人であると申し出ました」とカマをかけて、あっさりバレる。

帰宅後に唐揚げを食べながらビールを飲んでいた紫音は、柏木から西園寺にバレたと連絡を受け、退職願を書いていると、呼び鈴が鳴り、西園寺&小宮が家に来て、部屋の中に2人を上げ、小さいテーブルを囲んで3人で対面するハメになる。

Tシャツに短パン、メガネ、ヘアゴムで1つに結んだかなりラフな紫音の格好に、西園寺が「会社でのイメージと随分違うな」というと、紫音は「今は勤務時間外ですからどんな服装だろうと個人の自由では、それにこんな時間に社員の自宅まで来るのはいかがなものか・・」と顔を上げずにブツブツ言う。

 

なぜあの絵本の作家だと言わなかったと西園寺に言われ、私はお探しの作家ではありませんと一度はシラを切るものの、「からかっているのか」と言われてすぐに自分だと認める。

明日の朝退職願を出すという紫音に、なぜクビにしなければならないんだと西園寺が言うと、紫音はいろいろ煩わせてしまったからという。

なぜ事実を隠していたのか理由を言い給えと言われて、「副業が問題になるか心配だった、あの絵本は秘密の日記のようだったので社長だけでなく誰にも知られなくなかった、社長と私的な関係を持ちたくないからでもある」と説明する。

「香月君が私との私的な関係を望んでいないとは意外だった、むしろ切望しているかと思ったんだが。この本にわざわざ私を登場させている程だからな」と西園寺に言われるが、紫音はそれは社長ではなく、フランス語から取った名前だと説明する。

 

西園寺「非常に残念だ、私は君が求める私的な関係を作ることができると思っていたんだが」
紫音「お気遣いいただかなくて結構です、社長と私的な関係だなんて、私達釣り合うわけないじゃないですか」

西園寺「私は真大の幸せのためなら何でもするつもりだ、だからあの子を笑顔にしたただ1人の人物を探し出し、一番近くにいてもらいたいと思っている」
紫音「甥っ子さんを思う気持ちはわかるが、私は絵本作家なので、読者にはもっといい絵本でお返しをしなければいけない、それに真大くんのために友達になるということだけど、不自然なのはよくない」
西園寺「自然とはなんだ?」
紫音「お互いを尊重しあい何が好きで何が嫌いか相手のことを知って親しくなって、というのが自然だということ。こんな風にむやみに家に押しかけるんじゃなく」

 

というと、西園寺が立ったので、やっと帰ってくれると思ったが「どんな男が好きなんだ?」と聞かれる。
「クマみたいに大きくて優しくて包容力があって心の温かい人が好きです」と紫音がいうと「参考にしよう」と言って西園寺は帰る。

帰りの車中、西園寺が小宮に「俺はどんな上司だ?」と聞くと小宮は良い上司だという事を棒読みでペラペラと言うが、正直にといわれて「気難しくて完璧主義だから細かいし、1人で仕事をするなら構いませんが他の社員はついていけない、みんな一度くらい失敗するのに社長は我慢できずに・・・」と本音をペラペラいう。

小宮「香月さんだって入ったばかりの頃は相当大変だったはず。はっきり言って、香月さんが社長のこと嫌いなの理解できます」
西園寺「もういい、そこまでにしとけ」

翌朝、まだ寝ていた紫音に西園寺から電話があり、「あと20分で家の前に着く。会社まで乗せていく。私が遅れるのは嫌いなことよく知ってるだろう?」と言われ、その日から朝、小宮の運転する社長の車に乗って送られることになる。

 

会社では西園寺が誰か女性と一緒に出勤したと噂になっていた。
西園寺はランチはいつも紫音が予約して店で食べていたが、紫音について社員食堂で食べることにし、紫音が取るおかずが多いだの少ないだの、唐揚げは好きだったんじゃないのか等、紫音にいろいろ言ってくる。

「大好物ですから」と言ってヤケになって唐揚げにかぶりつく紫音の姿を思い出して、仕事中に笑ってしまう西園寺。「本当に面白い女だ、なぜ今まで気付かなかった?いつも冷静沈着で感情がないように見えたのに、あんな一面もあるとは」

西園寺は真大に言われてタバコを辞めているようで、仕事が忙しく一息つきたくなってタバコの代わりに、屋上?の休憩所へ風に当たりに行くと、紫音の声が聞こえ(西園寺は紫音から見えない)、チョコを食べながら「西園寺龍我め、紫音様が全部食べつくしてやるわ!」と叫んでいるのを聞く。

 

その後、金岡部長が女性契約社員に、セクハラ&パワハラをしているのを目撃、西園寺が出ていこうとすると、紫音が助けに入り「生意気な」と言って金岡部長が紫音に殴りかかるところへ「改めないなら社長に報告する」といい、金岡部長は引き下がって去る。

女性契約社員にお礼を言われるが、彼女が去ると紫音も実は怖いのに虚勢を張っていたのでヘナヘナと崩れ落ちる。

翌朝、また西園寺が迎えに来て車に同乗するが、社長の車で出勤していると知れたら大問題になるから会社の手前で下ろして欲しいといい、「問題?全く問題ないと思うが・・」という西園寺に「私が!私が大変なんですってば!」と紫音は怒鳴る。
西園寺「香月君、性格が変わったと思わないか?」
小宮「社長のせいだと思いますけど」

 

セクハラ部長の金岡は、いきなり退社したという。
今までもセクハラを繰り返してきていたらしく企画部の女性社員達はこれで羽を伸ばせるという後輩。

西園寺に金岡部長の退社理由を知っているかきくと、「私がかわいがっている社員を脅すようなことをしてね」と答えるのを聞いて、社内の権力争いなのかと誤解する紫音。

そして西園寺に紫音は日曜日に予定はあるかと聞かれる。
紫音が警戒していると、西園寺は真大に「君に会わせてやる」という条件で許しを得たという。
渋る紫音に、熱烈なファンにもう一度会いたくはないのかと西園寺がいうと
紫音「社長もご一緒されるんですよね?」
西園寺「もちろん時間外手当は好きなだけつけてもいいぞ」
紫音「他のものでよければ考えてみますが」

 

1〜15話 感想

わりとセリフの翻訳がいまいち気味で、「んん?」と思うところが多いです。
意図がわかるものもあれば、どういう意味なのかわからないセリフまであって、ストーリーの理解に少し支障をきたしています。

紫音が絵本の作家だとバレた後の西園寺との会話で、2人の「私的な関係」と曖昧な言葉で匂わせている関係は、表面上は「友達」だけど実際は「恋人」を意味するのかなと思いますが、友達と解釈して言ってたり、付き合う云々言ってたり、どっちのつもりなんだ?と、おそらく表現も微妙な感じで表現されてると思うけど、翻訳も微妙なのでわかりにくい。

それと絵本の中のキャラのガルーが西園寺だとすぐに西園寺にわかっちゃってるのが何故なのか疑問だったんですが、これもおそらく「ガルー」というのが韓国語の西園寺の名前だとすぐわかるような名前だったってことなのかなと思いました。

 

そして、西園寺が、有能でプライドが高く、紫音が自分との交際を望まないのが理解できないみたいな奴なのが、ムカつきます。
社長と秘書のストーリーで秘書が全く社長に恋愛感情持ってないのは少ない気がしました。
「もう秘書はやめます」の最初の方もそんな感じだったけど、でもあれは実は結構社長の頃を信頼していて、気付いてないけど根底には気持ちがあったって感じでしたが、この作品は今のところ違うような。
でも、部長のセクハラ事件で西音寺を信頼はしているようではあったし、不満を感じつつ辞めないのはやっぱり紫音も西園寺に実は好意を持っていたってことなのかなぁ・・・。

でも、電話で話してもいつも紫音が最後まで言い終わらないうちに途中でブチって切っちゃうのとか、おはようの挨拶を返さないのとか、そういう些細なところに西園寺の傲慢さがにじみ出ている感じがして、嫌いです。

 

西園寺の方は、紫音が体調不良の時に病院にまで付いて行くのとかから推測すると、元々紫音に好意は持ってたんでしょうね。たぶん自覚はなくて、他に交際している人もいないようなので、恋愛事態にそれほど興味を持っていなかったのかもしれないけど、実は紫音を結構気に入っていたんだろうと思います。

でも、甥に言われて自分の結婚相手(彼女)に絵本の作者を考える、作者が紫音だとわかって、甥のために紫音と結婚して紫音が甥の母親になればいいと思う、っていう思考回路は嫌です。
紫音が作者だとわかってすぐに家に押しかける時の強引さも。
退社後に事前に何も紫音に聞かずに突然来て、ちっとも申し訳ない様子もなく、私的な関係を持ち出してくるのが、傲慢すぎる。

たぶん徐々に2人はいい感じになっていって、最後はカップルになるっていう流れなんでしょうが、今のところ、西園寺が嫌すぎて、「香月さんが社長のこと嫌いなの理解できます」でしかない。
少なくとも西園寺には、自分の傲慢さを思い知ってからにしてほしいです。

紫音がスケッチブックを会社の机に置きっぱなしにしてバレてしまいますが、そこは紫音があまりに気を抜き過ぎじゃないの?って思いました。ストーリー展開的には紫音が西園寺に見つかるまでを長引かせないのはいいと思うけど、紫音は見つかりたくなかったらスケッチブックを会社に持っていっちゃダメでしょ。
あまりにダメダメな理由でバレたのが、拍子抜けでした。