漫画「鬼娘恋愛禁止令」松虫あられ 感想

漫画「鬼娘恋愛禁止令」松虫あられ 感想
ネタバレありなので、ご承知の上。

ピッコマにて。完結。全2巻。
男の子と鬼の女の子の恋のお話。
甘酸っぱい感じだけど、戦いシーンも多い。
絵柄が好きで読んでみました。

母、姉、主人公の八郎と、お手伝いさんをやらされてる12歳の女の子、カレンの4人暮らしの家。
なぜか時代設定は昭和初期っぽい感じ。そして訛りも結構あって「すいてる」とかなんとなーくしか意味がわからなかったです。好きという意味じゃないっぽいのは使われ方からして推測できましたが、後の話の間のページに意味が書いてあって「調子にのってる」って意味らしい。
もっと最初の方の話の間に書いてほしかった。

3歳位の頃にカレンは連れてこられて、居候していますが、なぜ八郎の家で預かることになったのか、という事情は不明。最後までそこの事情についてはでてきませんでした。
お手伝いさんとして母や姉にこき使われていて、姉にはイジメられたりもしているようで、ご飯も一緒に食べさせてもらえず、ちゃんと1人前もらえてなくて残りカスみたいなのをあてがわれている様子。食事を作ったり給仕するのもカレンの仕事。ロウソクを使うのもケチられるという、典型的なシンデレラみたいな状態。

 

八郎には子供の頃は優しくしてもらってたものの、今は冷たい態度をとられている。
とはいえ、お前の作ったまずい飯なんていらない、と言ってご飯を食べず、実はそれをカレンが食べることになるので、カレンにあげている、という、冷たい態度をとりつつも実はカレンをすごく気にかけているというのが、わかってきます。

実はカレンは鬼で、男の子を好きという気持ちがキッカケで鬼に変身するということに、八郎は子供の頃に気付きました。カレンが八郎を好きと言った時にカレンが鬼に変わり、鋭い爪で顔を引っかかれたのが、今も顔に残る傷の原因でした。
母と姉はカレンが鬼に変わることには気付いていません。
八郎もカレンのことが好きで、母や姉に知られたらカレンが追い出されてしまうので、カレンが鬼に変わらないよう、カレンに嫌われるようにわざと冷たい態度をとってきたのでした。

八郎が実はカレンのことが好きで、でもカレンのためにその気持ちを隠している、という切なさがすごく伝わってきます。でも、髪の匂いをかぐのはいいけど、髪の毛1本を落ちているのを探して匂いをかいだり舐めたりはちょっと変態っぽい。
カレンが自分で服を引き裂いた後に意識を失っているカレンに服を着させる時に「俺は変態じゃない」って言ってるけど、それは別に変態じゃないよ、髪の毛のほうがヤバイけど。

隣の下宿に越してきた、イケメンの土橋さんが八郎やカレンにかかわってくる。
カレンは土橋に優しくされ、好意をいだく。夜中に土橋に手引きされて家を抜け出し、最初はホタルをみたりしてなごんでいるが、土橋への好意をキッカケに鬼に変身、カレンが鬼に変わったのを確認すると、やはりお前だったかと土橋はカレンを殺そうとする。土橋も鬼だった。
そこへカレンが家にいないことに気付いた八郎が助けに来る。

土橋によるとカレンは鬼と人の間に生まれた半童子で、そのため鬼の力を制御できないので無意識に人を襲う、だから殺さなければいけないとのこと。土橋が八郎に気を取られている間にカレンに足をぶった切られてしまい、今度はカレンは八郎を狙う。土橋が八郎に、カレンが喰いたいのは人間の男だから逃げろと言う。ケガをしている八郎は逃げ切れず、カレンに抱きつかれ、首元に噛みつかれながら湖(?)に転落。
八郎が落ちながら「俺はこいつに殺されんと 抱きしめることもできんのか」と思っているところが切ない。

 

八郎が気がつくと病院で寝ていた。カレンは行方不明だという。どうやって助かったのかは不明なままで、この後も最後まで説明がでてこない。たぶん自力は無理だしカレンも無理だろうから土橋が助けてくれたのかな、それしか助かりようがない気がする。カレンはしばらくして自力で家に戻ってくる。
土橋は鬼の力で足はくっついていた。今度は妹を連れて訪ねてくる。
八郎に邪魔されないように妹に色仕掛けで足止めさせようとする。色仕掛けにはひっかかってないが、力でかなわない(妹も鬼)。

土橋はカレンの前に現れ、またカレンを殺そうとするが、カレンに地蔵を武器にお腹を強打され、カレンに逃げられる。カレンは八郎&土橋妹のところに現れ、土橋妹とカレンの戦いになる。
八郎は「俺からカレンを取り上げないでくれ」と言ってカレンをかばう。
カレンは「はっちゃん すち(好き)」と言って後ろから抱きついたまま後ろに倒し(バックドロップ?)八郎を気絶させて担いで八郎の部屋に連れて行く。土橋妹は置き去り。
カレンが八郎を襲うのか、といったところで八郎がカレンの首元をチョップして気絶させる。

そこへひょっこり土橋がやってきて、話したいことがあるから明日の昼に稲荷神社にきてくれといって去る。そこで土橋達の事情が話される。
八郎のように半童子と向き合っている人間は初めてだから自分たちのことを話す、とのこと。
カレンの父親は土橋家の長男で、土橋兄弟の兄、半童子を生み出してしまったのは一家の恥、本来はカレンを始末するのはその兄の役目だが、兄が失踪して行方不明なので、土橋がその役目を負わされているらしい。そしてまだカレンをどうにかしないとだが、借りていた部屋をメチャクチャにしてしまったので、しばらく姿をくらませるという。そしてそれまでカレンに食べられないでくださいねと言って去る。

カレンに土橋たちがいなくなることを告げると別れの挨拶くらいしたかったというので、八郎はカレンを自転車に乗せ、駅まで連れていき、土橋達に会わせる。
カレンが土橋に「優しくしてくれてありがとうございました」と言うと土橋は「いつか気付けるといいですね カレンさんのことを本当に愛してくれる人がいることに」といって旅立つ。

 

最後は家に帰ってきた八郎がカレンのことをメス犬じゃなくてカレンって呼んでたということをカレンが気付くのと、八郎がカレンの服の匂いをかいでスーハーしてるところで終わり。

最後まで読んで、え?これで終わり?っていう、ちゃんと終わってない感を感じてしまう終わり方だったのが残念です。もっとちゃんと短くまとまってるお話なんだと思ったのに。

鬼の女は人間の男を喰いたいと思うものなのか、喰ってどうするの?栄養?、鬼は普通に人間を食べたいと思うものなのか、っていう鬼自体のこともいまいちわからないままだったし、カレンの父親が鬼っていうのがわかっただけで、カレンの父と母の事情とか、母は生きてるのか、なぜ八郎の家に引き取られたのか、といった事情が全く不明なままで終わってしまった。

そこら辺はまだいいとしても、八郎とカレンの関係もまだこれからどうなるのかわからないままだし、カレンが鬼の力を制御できないのもそのまま。
鬼のカレンは八郎を好きなまま、ってことのようだけど、でも鬼になってるとき、思いっきり八郎を殺そうとしてきてたし、噛み付いてたし、好きな気持ちはあるけど制御できてないから襲っちゃうってことなのか?最後は八郎を部屋に戻してあげてて、制御できるようになってきたのか?とも思えたけど、どうなのかわからず中途半端なまま。
八郎とカレンの関係はある程度ちゃんと決着がついて終わってほしかった。
カレンが八郎を好きな気持ちが勝って、鬼の力を制御できるようになって、ちゃんと両思いになるって終わり方だったら、多少両親の事情がわからなくても、もっとちゃんと終わった感があって満足してただろうになぁ。
土橋兄弟たちはまだカレンを狙ってやってくるかもしれないというのでもいいけど、八郎とカレンはどうにかなってほしかったなぁ。

それと土橋が意外と弱い。カレンは半童子で半分鬼で、土橋はちゃんと純血の鬼、ってことから普通は土橋のほうが力強いだろうと思うのに、2回ともカレンにやられている。

絵柄とか雰囲気は好きだなぁと思ったので、他の作品ないのかなぁと思って調べたけどなかった。
コミックになるのって(電子でも)結構大変なんだな、と思うのと同時に、この作品をちゃんとまとめて終わりにしてないからなんじゃ、という気もした。

<↓コミック1巻 期間限定無料>

<↓コミックの試し読み>