漫画「オキテネムル」連打一人 感想


<↑コミックの試し読み>

漫画「オキテネムル」連打一人 感想
ネタバレありなので、ご承知の上。

ピッコマとcomicoにて。完結。
ピッコマは最後の巻は有料ですが、comicoはストアの方で全話無料で読めます。
ピッコマで読んでましたがcomicoストアで無料で読めることに気付いてからはcomicoで読みました。

以下、ストーリーを結構詳しめ(特に後半)に書きましたが一旦読み終わった後に全部を読み返してはいないので、あやふやなところもあり、間違っているところもあるかもしれません。

冒頭、首から上がキリンになった人が暴れているのを特殊部隊のような人たちがやっつけるシーンがある。
主人公は男子高校生のカナタ。耳に指を突っ込むと普通の人には見えないような遠くにあるものが見えるようになったりする特殊能力があり、それをテストのカンニングに使っている。
ネット上のあやしい情報でキリン男の噂が出回っていたが、カナタの高校で女子生徒の首から上がヘビになる事件が起こり、外部情報調査局(通称ガイチュー)の人たちが事件の調査にやって来る。

首から上がヘビになったのは伝染病のせいだからと検査をされることになる。カナタは自分の特殊能力で調べようとするが能力を使った時の副作用で汗が大量に出たおかしい状態になり、感染していると誰かが言い出して騒がれ、一人別室に連れて行かれる。
ガイチューの綾切(アヤギリ)に検査され陰性だったが、カナタの特殊能力のことを知っていて、その力のことを彼らは「オキテネムル」と呼んでいて、その能力を使って感染者を見つけるのを協力してほしいと言われる。
その伝染病は実は病気ではなくて、未知の寄生虫が起こしていて、首から上が変異した死体からは既に宿主を乗り換えていて、誰かが寄生されているはず、という状況。

カナタがクラスメイトの女の子が寄生されていることを発見するが、その子の頭が変異して巨大化していき、巨大な頭だけの生物になる。ガイチューのシキとカナタで戦うが、結局カナタは寄生されてしまう。

序盤のあたりを読んだ時は、オキテネムルの力を持っている人は他にももっといて、その力を使っていろいろな事件を解決していく話なのかと思っていました。
が、違っていて、オキテネムルはカナタの他に二人しか出てきません。二人のうち一人はアス、もう一人はアスの子供で、終盤に出てくる子なので、この時点ではガイチューは把握していません。他に実験によって後付でオキテネムルの力を与えられた人が一人。
今までにアス(とカナタ)以外でオキテネムルがいたという話はこの物語中出てこなかったはず。
つまりカナタが見つかるまではアスしかいないのに、たった一人しかいない能力に名前なんてつけるのか、そしてカナタがアスと同じ能力を持つってどうやってわかったのか、たった一人しかいない能力に能力の分類なんてできるのか、っていうところに疑問を感じました。
カナタが耳に指を突っ込んでるのをみたから?
そしてなんでオキテネムルなんていう文章みたいな名前なの?
この名前の由来って出てきてたとしたら気付かなかったんですがどういう意味だったのかわかりませんでした。
そしていろいろな事件を解決という話ではなく、全部1つの組織につながっていく話でした。

 

その寄生虫は実はオキテネムルを探すために作られた寄生虫で、寄生虫が宿主の行動を操るので、カナタは操られてどこかへ行きます。カナタはその寄生虫を作ってオキテネムルを探していた奴らのところに連れて行かれるのだろう、オキテネムルが目的で寄生虫を作った奴らならカナタから寄生虫を取り出すだろう、とガイチューは予想してカナタを好きに行動させ、後をつけます。
そしてカナタの奪取には成功しますが、寄生虫を作った彼らを捕まえることには失敗します。

カナタが最終目的でオキテネムルを手に入れるために作られてるので、カナタは変異しません。でも、ただオキテネムルを見つけるのが目的なだけなんだったら、それまでの途中の宿主を変異させる必要性はないんじゃないの?って思いました。必要性はなかったけど、元にした寄生虫がそういうタイプだったから(博士の説明によると実際にいるらしい)そういうふうになっちゃったってこと?ただ行動を操るより、変異させる方が大変な気がするんだけど。しかもどこか膨らむとかなだけじゃなく、ちゃんとしたキリンだったり蛇だったりの形になるとか、同じ寄生虫で宿主によって変異する生物の種類が違うとか、高機能すぎじゃないの?本来の目的よりも、ただ物語的にその方がおもしろいからっていうために変異しているような気がして、ちょっとうーんって感じ。
それに、かなりレアなオキテネムルという存在を探そうとしているのにその寄生虫って1匹しか使わなかったの?最初に出てきたキリン男からカナタまでは同じ寄生虫が宿主を乗り換えてきてて、他に事件になってなかったようだから1匹しかいなかったっぽいけど、普通はもっとたくさん世に放つんじゃないの?
(後にわかる謡主の目的からいっても人類がたくさん死んじゃってOKだっただろうし)
日本にいるとは限らないだろうし・・・。

カナタはガイチューに協力するよう言われ、彼らに狙われているのだから、もう元の普通の生活には戻れない、と言われますが、聞き入れず、今まで通りに生活しようとします。
するとカナタの周りでまた襲われる人、変異する人が現れます。お世話になった(バイト先の?)おじさんが魚頭になってか、魚に襲われて死亡。親友のトキジもキリン頭になってしまいますが、トキジは死亡までいかず、ガイチューに保護され進行を遅らせるために人工冬眠のカプセルに入れられます。

おじさん死亡、トキジが変異という事態になって、トキジを助けるため、カナタはガイチューに協力することにします。
この事態を引き起こしている組織の名前(もしくは組織のトップ)は「謡主(うたいぬし)」。

 

カナタを慕い「あにさま」と呼ぶ、セツというガイチューの女の子が出てきます。彼女は謡主に拉致された科学者の娘で、謡主で実験体にされて後天的にオキテネムルの力を与えられていました。が、先天的なオキテネムルと同等レベルの力は出せないらしい。
そしてセツは、昔、ガイチューに謡主から救い出してもらったのですが、カナタがオキテネムルの能力をガイチューで酷使されていずれ殺されてしまうと謡主にそそのかされ、カナタを謡主に連れて行こうとします。が、寸前で阻止され、セツの父親も猫の体になって謡主から逃げ出しガイチューに加わります。

その後、大量の虫みたいなドローンが出てきたり〜の話がありましたが詳しくは忘れました。

カナタは時々、動物を率いる女の子が出てくる夢を見ました。その女の子はシキの姉で、もう一人のオキテネムルのアスでした。
アスとシキの姉妹は戦地で二人で生き延びていたところを昔のガイチューに保護されますが、シキはその戦闘力を買われて、いろいろなところで、戦争の道具に使われます。
ある時、少年兵の育成を任されますが、まだ彼らだけで任務をこなすのは無理な状態で彼らに任務を与えられます。自分たちはもう立派に仕事ができるんだと主張したのはシキでした。アスは反対しましたが、少年兵とシキ達は任務に出発します。結局彼らは劣勢になり、アスは彼らを助けに向かい、間に合ったのですが、彼らのいたところに味方から爆弾が落とされ、アスとシキ以外の仲間は全滅します。(おそらくアスの能力で助かった)
その任務は実は最初から彼らを死なせるつもりのオトリとして使う作戦だったことを知り、アスはガイチューに歯向かい、彼らの上司をはじめ、ガイチューメンバーをどんどん殺していきました。
暴走して殺人マシンのようになってしまったアスに、自分が浅はかだったとシキは謝り、アスの手にすがりつきますが、その時、アスを抹殺するため空から機関銃のようなものが撃たれ、アスをつかんでいたシキの片腕と共に体がバラバラになり、アスは死亡します。

その時、アスの死体が見つからず誰かが死体を持ち去ったに違いないとシキは思い、アスの情報を得るため、アスを探し出すためにガイチューに残った。ガイチューは謡主を最重要ターゲットとしているがいつも肝心な情報を手に入れる寸前で失敗しており、それはガイチュー内部に謡主のスパイがいるからに違いないと考えている。謡主とアスの関係を調べようとすると必ず邪魔が入るので、シキは一人で調べているが、それは逆に何かしらのつながりがあるからだろうとシキは思っている。

カナタは夢の中で小さい女の子のアスを見つけるが「来ちゃダメって言ったのに」「私を殺して」と言われ、アスが大人の姿になって巨大化する。その夢を見てカナタはアスは生きていると確信する。

このカナタの共感力による接触で謡主の元でアスは目覚める。アスの体は再生されていたが、意識がずっと戻らなかった。今までの謡主による事件の数々はすべてアスを目覚めさせるためのもので、オキテネムルによる共感力がアスを目覚めさせる鍵だと推測した謡主が、寄生虫を作ってオキテネムルを探し、カナタの共感力を覚醒させるためにカナタをガイチューに置いたまま試練を与えて刺激した。カナタの大切な親友のトキジを変異させたのも、虫のドローンをカナタの脳に接触させたのも、カナタの共感力を目覚めさせるためだった。そしてそれは成功し、カナタがアスの心の世界に干渉してアスの意識が戻った。
そして謡主の次の目的は人類の浄化だと言う。

 

孫の陸上大会を見にきていた博士は孫が変異するのを見る。完全に変異する前にガイチューで保護し、変異を遅らせ、博士は特効薬を作ろうとする。
博士は昔、医療分野の研究をしていて治療に使うためにミドリムシの研究をしていた。謡主の課長は子供の頃、自分で栄養摂取ができない難病だった。博士がミドリムシの研究を使って治そうとしていたサトルという子が課長だった。けれども患者の一人がある時、錯乱してしまい、博士と一緒に研究していた博士の息子が殺されてしまったため、研究は中止となり、サトルと博士は引き離された。サトルは施設を脱走したが、そこからが地獄だった。サトルは博士の研究の結果、死ねない体になっていた。飢えても体を傷つけても死ねず、終わりなき苦痛があるだけだった。それを救ってくれたのが謡主(のトップの人)だった。

その変異した生物はネーブと呼ばれ、他の人に自分の細胞を流し込むことでどんどん増殖する生物で、全国各地で発生していてガイチューが駆除に出動する。
博士の特効薬が完成するまでは感染してしまうと助ける手段がないので、感染した人は仲間でも殺さなければならない。ここで仲間の東条がネーブに感染してしまい、カナタは東条を撃ち殺すことになる。
東条はカナタのせいじゃない、ガイチューに入った時点でみんな何がしかの理由があり、こうなる覚悟はできていたと話すけど、最初に東条が襲われた時点で、まだ人の姿が残っていたネーブをすぐに撃てなかったカナタのせいではあったと思う。あそこですぐに撃っていれば東条は助かったかもしれない。

ここへシキに会いにアスがやってきてシキとアスは再会する。アスは世界を救うために人類を滅ぼして新たな人類「謡人」が住人となり争いのない世界ができるのだ、私と一緒にいようとシキを説得しにきたが、シキは拒絶しアスに腹を突き刺される。
カナタが来てアスと戦いになるがアスにはかなわず、反作用が出て動けなくなる。カナタを助けようとしてセツはアスに殺されてしまう。セツの死を前にカナタは感情が高ぶり、オキテネムルとして真の覚醒をし、更にアスと戦闘になるが、綾切たちが増援にきてアスが引く。覚醒したばかりで我を忘れたカナタが綾切を襲い、止めようとしたシキも殺そうとするが寸前で自力で止めた。

博士はネーブの特効薬を作るが、これから特効薬を与えるというところで孫は破裂して死んでしまう。
謡主は博士のミドリムシの研究をベースに新たな人類「謡人」を作ろうとしたが、完成させられず、ネーブのような未完成なものしかできなかった。そのため、博士にネーブの特効薬を研究させるために、失敗作のネーブを世に放ち、博士の孫に感染させたのだった。その特効薬の中に「謡人」完成への答えが詰まっているとして、特効薬の薬を自分で飲んでデータと共に奪っていく課長。博士はミドリムシの研究資料を破棄したと言っていたので、課長の体を使って、ネーブを作ったのだろうと思う。
博士は自分の研究のせいで息子も孫も死んでしまったことを嘆く。

 

謡主のトップである人物が、綾切に会いに来る。謡主のトップは昔ガイチューで綾切と一緒に戦っていた仲間で友人のレヴィンだった。昔、ガイチューに協力した村人全員が処刑されるという残酷な行為を前に綾切とレヴィンは、この醜い世界を争いのない美しい世界に変えようと言った。
レヴィンは人類を救うには人類を破壊し新たな人類「謡人」を生み出すしかないと話す。
レヴィンは綾切を謡主にくるよう誘うが断られる。

ガイチューにスパイがいるのでどうしても謡主に先手をとられていいようにされてしまうため、信用できるメンバーのみで極秘にカナタのオキテネムルの力を使って、共感力で謡主の情報を探ろうとする。
ネーブを使った人類浄化計画を知り、阻止しようと一部のメンバーで謡主のところへ乗り込もうとするが、探った情報よりも予定が早まっていて、巨大なネーブに襲われてしまう。
なんとか巨大ネーブの中にある建物のところへ行くが、ここで他のメンバーのために九条は死亡。

カナタ、シキはアスと戦闘になる。
オキテネムルの力は人間を守るための安全装置であるリミッターを解放させて得られるもの、進化のリミッターすら解放できる、言うなれば私は人類そのものを否定する存在なのだから、オキテネムルがこの世界に創造されたことこそが人類が自ら終焉を選んだという証なのだ、つまり人類を滅ぼすことはオキテネムルである私の使命なのだとアスは語る。

戦闘力ではかなわないので、カナタは共感力でアスの心の世界で本当のアスを探すが拒絶されそうになる。その様子をアスとレヴィンの息子のエノク(オキテネムル)が共感力で感じ取り、シキをアスの心の世界に連れて行く。シキはアスに呼びかけるが拒絶され、アスがシキを銃で撃った所にエノクがかばって撃たれてしまう。心の世界の出来事だが致命傷を受けると体も同様のダメージをうける仕組みになっているため(?)、エノクは死んでしまう。

博士はネーブ細胞を消滅させる薬を作っていた。
博士たちが巨大ネーブの核(コア)を発見すると、中から課長が出てきた。課長(サトル)が巨大ネーブのコアだった。博士は対ネーブ薬を投げ入れようとするが、サトルを殺すことを躊躇してしまい薬を奪われそうになる。薬を守るため、エビス、セツの父親猫が死亡。
サトルと博士が対決する。

博士はサトルに語りかけるが、レヴィンにとどめを刺される。
レヴィンに人類滅亡計画を再開するよう言われるが、サトルは博士の作った対ネーブ薬を自ら浴びて消滅してしまい、ネーブも制御できなくなり死滅してしまう。
ここで、ネーブを使った人類滅亡計画は失敗したことが確定する。

課長がネーブを動かしてたのか。
最初に謡主の一員として姿を現した人が課長ですが、意外とかなり重要な人だったのが驚きです。
死なない体だから表に出てきてたのかなーとも思います。
が、ここで博士が課長を説得できた心情の変化というか、なぜ人類浄化を思いとどまったのかがよくわかりませんでした。最後に「僕は強くなりたかったんだ 先生(博士)みたいに」と課長は言いますが、それで?それがどうやって考えが変わったことにつながるのかよくわからない。なんか説得されたんだなー博士の気持ちが通じたんだなーなぜかはわからないけど、って感じでした。

 

綾切も巨大ネーブにやってきて、座って課長の持っていた知恵の輪をいじっているレヴィンに会う。
綾切とレヴィンの殴り合い。友人だから、と言って綾切はレヴィンを改心させようとする。

綾切がレヴィンに「お前はアスを失い、二度とアスを愛せない悲しみに耐えられなかったんだろ?だからアスを蘇らせた後も世界を憎悪することでアスと向き合うことから逃げてきたんだ」と言うセリフがありますが、ここの意味がよくわかりませんでした。
「アスを失う悲しみに耐えられなかった『だから』アスと向き合うことから逃げてきた」って?
蘇らせたけど、また失いたくないからアスと向き合わなかったってこと?

なんとなーくわかるようでわからない。レヴィンはアスを愛しているから蘇らせて、そのために謡主っていう組織まで作ったんだよね。そしてやっと再会できた。意識は戻ってもアスの心が昔のようには戻ってなくて、アスが瀕死になった時の、心が壊れたままになってるのはわかってたけど、ちゃんと昔のアスに戻ってまた失うのが嫌だから、中途半端な状態にしておいたってこと?
これだけの手間をかけてアスの意識を戻したのに?体だけ戻っても動かないんじゃ嫌だったんだよね。それってちゃんと元通りの本当のアス(昔のアス)に会いたかったからじゃないの?
それなのに、動いてしゃべるけど心は元に戻ってないアスでよかったの?
そもそもがアスを元通りに戻すために謡主って組織を作って大勢の人を使っていろんな研究をさせてまでしてアスを蘇らせようとしていたのに、最後は中途半端な状態で満足しちゃうの?
そこまでしておいて、アスに心が戻ってまた失う恐怖の方が強かったの?
また失いたくないからちゃんと元に戻さないくらいなら、最初からアスを蘇らせようとしなければいいんじゃないの?そこでやめちゃうくらいなら、あれだけの執念でここまでやってこれないんじゃないの?

愛する人を元に戻したい、と思ったら当然心も元に戻らないと愛する人と再会できたって感じしないと思う。人の感情は理屈が通らなかったりするけど、でも気持ちとして普通はちゃんと心のある人に会いたいでしょ。だから綾切の言った通りなんだとしたら、レヴィンのその気持ち(アスと向き合うことから逃げてきた)は理解できなかった。
というか、そういうことにした作者の意図が。
レヴィンとアスは世界を争いのない美しい世界にしたいと思っていて、二人共、心の優しいいい人だった。けれど人々の残酷な悪意を強烈に感じる経験をして人類に絶望して人類を浄化=全滅させるという極端な方向にいってしまっただけ。
二人は本当に愛し合う美男美女のカップルで、私の好きなタイプの、お互いを唯一の存在として想い合うカップルだったと思う。だからそんな二人がそんな中途半端な状態で満足するわけがないと思う。

 

そしてこの後、エノクのおかげで本当の心を取り戻したアスとレヴィンは崩れていくネーブの中に残る。シキたちガイチューと一緒に逃げられたのに逃げなかった、つまりこのまま死ぬことを選んだ。
アスはシキにお別れを言うが、レヴィンはアスと向き合う姿が描かれるだけで何も言葉を発しないまま終わる。

そして次のシーンでは元の姿に戻ったトキジが学校に通う様子を遠くから見ているカナタとシキ。
カナタはトキジが元に戻ってからトキジには会ってないようで、このままガイチューに残るという話をして物語は終了です。

え~~~~~っ!!これで終わりなの!?と思いました。
最後、あっさりすぎじゃないですか?
謡主の人類滅亡計画を止めた後の部分があっさりなのはまだいいとして、最後のレヴィンとアスが改心したところとか、死を選ぶ心情とかをちゃんと描いてほしかった。

レヴィンとアスが人類に絶望して、今いる人類を滅ぼして新しい人類を作ろうと考えたところはわかります。新たな人類「謡人」は博士のミドリムシの研究がベースになって作られていて、食料もエネルギーも必要としない、だから争いのない世界になる。
それは一つの解決策だろうと思うし、それが間違っているとは言い切れない。
新たな人類「謡人」については、アス、課長、レヴィンが話をしているけど、完成形って結局作れなかったんだろうか。
もしかして、あの最後に出てきた巨大ネーブなんだろうか。あの人間とは程遠い生物が新たな人類ってのは、どうなんだっていう気がするけど。あんな人間と全く違う、わけのわからない生き物だったら、人類滅ぼして終わりでもいいんじゃないかという気がする。あれはただの人類を滅ぼすための兵器ということで。元になってるミドリムシと大きさ以外たいして違わなそうだし。
動物とかいるし。人間みたいな争いはなくなるだろうから。

ただこういう話が出てくると正義チームは「そんなの間違ってる」と言って阻止しようとしてくるというのがパターンで「なぜ間違っているのか」という理由の部分が納得いくものかどうかは結構重要なところだと思う。
この話では「憎しみや悲しみを消そうとして、大切なものまで一緒に消してしまうからそれはダメ」という理屈でしたが、それは新しく作ろうとしている人類がどんなものか次第じゃないかと思う。
今存在するものはいい物も含めて一旦全部消えてしまう。でも汚い物がたくさんある全てを消して、新しく作るものがキレイなものだけなら、一旦消えた大切なものも蘇るのだから願った通りの世界ということになるんじゃないだろうか。
人類を滅ぼすのがダメっていう理屈としては弱い気がした。
醜いものをただ全部消して美しいものだけにしてしまうんじゃなく、醜いものも選択肢としてあるけど、美しいものを選ぼうとしていく人類になっていくということが大切なんだ、とか、なんかもっとそういう内面的な部分での語りかけの内容に強さが足りなかった、説得力がなかった、薄かった。

 

人類を滅亡させようと思うに至ったレヴィンとアスの絶望には共感できるのに、それをやっぱりやめた部分は納得いかなかった。

やっぱり自分たちの考えが間違ってたってレヴィンが思ったのは何故なのか?
レヴィンとアスの憎悪で、二人の子供のエノクが死んじゃったから?
アスはエノクの死で元の心を取り戻したようだけど、レヴィンは?
アスが死んだエノクを抱いてレヴィンの所に来て以降、レヴィンは一言も言葉を発しません。モノローグもなし。アスの言ったことに納得したんだとしても、もうちょっとレヴィンの心情をちゃんと描いてくれないの?これだけのことをしたレヴィンなのに。

そして綾切はレヴィンに「お前はアスを愛していただけなんだ エノクだって本当のアスを見つけたんだ お前も本当のアスを見てやれよ」と言ったくせに、その後崩壊するネーブに残って死を選択する二人のことを「わかってやるんだ」とシキに言います。
アスに向き合えと言ったすぐ後に、死ぬのはしょうがないってなるの?
ここら辺も「えー!?」でした。

なんとなーくわかりますよ。人類を滅亡させようとしちゃってこの後生き延びても、現実的な問題としてどうやって生きていくのかとは思います。誰が裁くのかは知らないけど、裁かれるとしたらもう確実に死刑になっちゃうでしょうね。でも今までも謡主って組織を作って、正義の組織に捕まらないでやってきたレヴィンの手腕ならなんとかできる気がします。もう今までの目的はなくなっちゃったにしても、なんか新しい良い目的を作ってやっていこうと思えばいけるんじゃないでしょうか。

レヴィンは結局アスを取り戻したいっていうのが本当の一番の願いだったんじゃないかってことだとしたら、それは納得です。でもせっかく二人が元に戻れて、それなのに死を選択するっていうのは、今までのはなんだったんだーという気もしてしまいます。二人がやったことは重大すぎて、この後二人がひっそり普通の幸せな生活を送るには、やったことが大きすぎた、だから罪を償おうとしたら死ぬしかないのかもしれません。
そうだとして、そこら辺のレヴィンとアスの心情をちゃんと描いてほしかった。
あの後、レヴィンはアスと向かい合ってる小さい絵しか出てこないなんて。
もうちょっとアップでちゃんとレヴィンの表情も描いてよ、せめて。
二人が微笑み合ってるぐらいの絵は描いてほしかった。
二人が抱き合って満足している表情で死んでいく姿がちゃんと描かれていたらもうちょっと満足したと思う。

綾切はレヴィンの心を救ったからそれで満足したのかもしれない。この先、生き延びても生きていくのは大変だろうから、死で罪を償うのだとしても、二人の心を救うことができたから、それでよかったのかもしれない。
でもそこも、ちゃんとそういう流れで心情がわかるように描かれてなくて、綾切がレヴィンは大切な友達だから助けたいって話をした後の、死んじゃうのもわかってやれ、までが短すぎて、「えー」って感じになった。

レヴィンとアスが言っていたこの言葉、

世界は人間なしに始まり世界は人間なしに終わるであろう
ともあれ僕らは存在する

これって何だったのか、よくわかりませんでした。
この文語調の言葉、何かの預言とか、文語調なだけに何かしら文書に書かれていた言葉っぽいけど、何かの書物に書かれていた言葉というような話はなかったと思う。二人がよく言っていたというだけ。
何かに書かれたてたとか、書いたわけでもなく、アスがこの言葉を思いついたの?
オキテネムルが何故生まれたのか、うんぬんという話をしていたけど、オキテネムルとしての、本能的な何かから出てきた言葉ってこと?「僕ら」ってオキテネムル?
最初に生物が誕生した時に人間はいなくて、いずれ人間は滅ぶって意味なんだとして、結局この言葉ってなんだったのっていう説明がなかった気がする。

アスを蘇らすために謡主を作ったレヴィンですが、綾切と一緒にガイチューで戦ってた戦闘員だったレヴィンがどうやってあれだけの組織を作ったのか、というのはものすごく謎です。
レヴィン自身にはそれなりな戦闘力がある以外は特別な力はないっぽいし、研究するのは専門の研究者を集めたんだとしても、あれだけの研究をやらせるには相当な資金が必要だったはず。
課長は彼自身の体や環境が特殊だったので、レヴィンの真意に賛同していたんだとしても、他の人達はアスを甦らせるため、人類を滅ぼすためっていう真の目的にそうそう賛同するとは思えない。結果的に自分たちも死ぬっていう目的に賛同するとしたら宗教的な意味合いを持たせて信じさせるとかだと思う。
でも大部分の人たちは真意を知らなかったんじゃないかとも思うけど、どうやって人を集めたのか。
レヴィンのカリスマ性であそこまで求心力があったってことなのか。

そして終盤でレヴィンとアスが来ていた服にもちょっと驚きでした。帝国みたいなのを作っちゃって、王様とか皇帝って感じの存在になってるならわかるけど、それまではわりと普通の服っぽいのを来てたのに、最後になって急に王様とお妃様みたいな(中世風ではないけど)感じの服になっちゃって、何これ?これを準備してたの?っていうのを考えるとなんかなーちょっと「えー」って思った。

そして二人の子供のエノクもどうやって生まれたのかの説明がなかった気がしますが、レヴィンが生物系の研究をいろいろやらせてたくらいだし、人工授精で作った子供なんだろうか。
たぶんアスの死ぬ時(瀕死)の話とかから推測して、その時にアスに子供がいたとは思えないので、たぶん人工授精ってことなんだろうけど、そこら辺も説明が全く無いのはもやっとする。

 

なんか全体的にいまひとつ考え不足な感じがしました。
その方がマンガ的におもしろいから、っていうだけで考えられてるような気がする部分が多い気がして、それがうまく物語の中でおかしくない説明がつけられていないと、ちょっと引いてしまいます。

あといまいち、誰かを説得してる言葉にちゃんと納得できないことが多かったです。流れとしてこの人がこの人を説得してうまくいったんだな、というのはわかるけど、言ってる内容にはあまり納得いきませんでした。何をどう説得して何故相手は納得したのかが、あんまりわからなかった。流れはわかっても言葉の内容に説得力がなかった。

ガイチューは主に海外で活動してた軍事組織っぽかったけど、外部情報調査局って名前は日本の組織なのかどうなのかが、疑問。アス、シキはどこかの戦場で生き延びていた子供だったことを考えると日本人じゃないと思うし、レヴィンも名前からたぶん日本人じゃないと思うけど、それ以外はみんな日本人っぽい。謡人も組織の目的とかを考えたら世界規模で活動してそうだけど、寄生虫を放ったのも1匹だけで日本だけで、基本的に日本しかでてこないっていうのは、なぜなんだろう。
マンガだからロケとか大変だからっていう現実的な問題はないと思うけど、海外での活躍を考えるのが大変だからとかっていう現実的な問題のせいなんだろうか。
アス、シキって名前は日本語からつけてるっぽい気がする。特にアスって英語じゃつけない名前な気がするんだけど・・・。
顔立ちはみんな一緒というか、特に外人っぽい顔の人っていないし、顔からはわからない。
話は世界規模なのに、実際は日本が舞台にしかなってないのが疑問でした。

最後の方は、今までずっと一緒に戦ってきた仲間も死んでいっちゃうのは悲しかったです。
セツが死んじゃった時は、どうにかして大丈夫だったってならないのかと思ってたけど、なりませんでした。セツが死んじゃうとは・・・。でもこの後もラストでどんどん主要メンバーが死んでしまう。
九条も最後の最後で死亡。ちゃんと言葉では書かれてなかったけど、九条はシキが好きだったんだろうなと思わせる最後の描かれ方でした。九条は途中から「イケメンがいる!」と思って気付いた存在だったんですが、最初の方を読み返したみたら、カナタの学校にガイチューメンバーとして来てたあの人だったんですね。その頃からちょいちょい出てたんですね。でも最初の頃はかっこよさげだけど目つきの悪い人だったのに、途中からは超イケメンになってました。なので死んじゃったのは悲しかった。
しかも昔シキに助けられて九条が生きる目的がないと言ってたのを何か見つけろとシキに言われて、その九条が見つけた生きる目的がシキだったんだろうなっていう見せ方で死んじゃうっていう、切なさいっぱいで悲しかった。
東条もイケメンだったのに。
あとは、博士もセツの父親猫も死亡。なんとかずっと生き残ってた研究員のエビスもたぶん死亡。

綾切は生き残ったけど、ガイチューってこの後何するんだろう。
謡主のために存在してたわけじゃないけど、この物語の中では謡主オンリーだったので、そもそも何の組織だったっけって感じがしてしまう。
確か昔はわりと利益重視の戦闘組織で、今は世界の平和のために活動する組織になったんだった気がしたけど。争いのない世界を作ろうとレヴィンと語り合っていた綾切はそれを達成できるのか?と思うけど、達成なんておそらく無理で、それに向かって延々とやっていくしかないんだろう。
カナタとシキはいずれカップルになるんだろう。


この作品をそれほど気に入ったわけじゃなく、どちらかといえば最後に納得がいかなくて書いたのに、新たな人類「謡人」って出てきたっけ?とか疑問点を書くために読み返してたら結構な手間がかかってしまいました。こんなにガッツリ書くつもりじゃなかったのに。

人間が異形になった姿とか醜いし、そういうのは好きじゃないけど、ストーリーはそこそこ面白みがあって、どうなるんだ?と思わせるものがあったのと、美形キャラの絵柄が好みだったから読み続けたって感じでした。後半はみんな前半よりカッコよくなってた気が。
でも最後、戦いが終わった後のカナタはまたゆるい感じになってたような。
シリアスシーンだけイケメンなのか。

 

<↓コミックの試し読み>