漫画「もう秘書はやめます」 漫画 : 金明美 原作:鄭景允 感想(1)

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【2019.3.31更新】
ピッコマ、comicoにて。連載中。
1〜55話

主人公は安藤笑美(えみ)(28)。国内屈指の5大企業の一つ、アーバングループ副会長の冴木凌士(りょうじ)(32)の秘書を9年勤めてきた。凌士は容姿も頭脳も運動も音楽も何でもできるスーパーエリートで、かつそういう人にありがちな傲慢で天上天下唯我独尊な性格なので、彼の相手をそつなくこなし、能力もあり気に入られている笑美のような秘書は、貴重な存在。
その笑美がタイトル通り、突然秘書を辞めると言い出したところから物語は始まる。

日本に置き換えられていますが、たぶん韓国のマンガです。
国内屈指の5大企業っていうのは、韓国の財閥のことを指しているんでしょう。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

漫画「もう秘書はやめます」感想(1) 1〜55話
漫画「もう秘書はやめます」感想(2) 56〜66話
漫画「もう秘書はやめます」感想(3) 67話〜

 

1〜55話

笑美の家には借金があり、姉二人と一緒に借金を返してきた。姉二人は医師で彼女たちが医師として落ち着くまで笑美が働いて支えてきた。父親は借金があるのにまたキャッシングしちゃうようなダメ男な模様。その分は副会長に通勤用にと買ってもらった車を売って返済し残りの借金も返済し終わったところで、父親もやっと安定したらしいのでタイミング的に今だと思い、秘書を辞めることにしたらしい。
理由は、恋をして結婚をして家庭を築きたいからで、もう28で今を逃すと婚期を逃しそうだから。

笑美は今はスーパー秘書だが、最初からできたわけではなく、必死に勉強しながらがんばって、凌士に精神面でも鍛えられて、今の有能な秘書になった。

最初の方は、辞めると言い出した笑美をなんとか引き留めようとあの手この手を出してくる、傲慢副会長、凌士とそれを角のたたないようにさらりと受け流す有能秘書の笑美の掛け合いが面白いです。
凌士の傲慢、自己中、ナルシストぶりも面白いし、笑美のそれをスルーするスキルの高さにも感心します。
序盤に出てくる、凌士のパーティに呼ばれるモデルの女性が笑美のところに乗り込んできた時に、いかに凌士がエゴイストかということを話し、あなたは素敵な女性なのだから見る目を磨いて、もっと他にいい人が見つけられるはず、と言って穏便に帰す手際とか、スゴイと思います。

凌士は最初は秘書としての待遇に高条件をだし、断られると、なぜ辞めたいのかを詳しく聞いて、笑美が婚活したいと言うと、俺は独身主義だが恋愛まではしてやる、更には結婚してやる、とまで言うが、笑美にキッパリ断らる。
それでも諦めず、とりあえず後任秘書を受け入れたふりをして、笑美の恋人に求める行動を密かに聞き出して、遊園地デート、花火を一緒に見る、99本のバラを贈る、を一気にやる。ここで笑美に以前友人といったお店でされたアンケートは凌士の差金だったのかと気付き、キスは遠慮しますと先手をうつ。

 

笑美は「凌士はタイプじゃない」と凌士の恋愛や結婚の申し出を断るが、友人に紹介してもらった男性とのデートやアーバングループ運動会で社内の人気投票1位の男性との二人三脚の時に、ついつい凌士と比べてしまい、凌士の方が上だと思ってしまう自分に気付く。
そして凌士にドキドキしたり凌士のことを意識するようになっていく。

凌士の方は笑美に結婚を承諾させようと笑美にアプローチしていきますが、笑美のように意識しだすとかいう感じがなく、自然に男性が好きな女性にアプローチしてる感じになっていくので、凌士の気持ちの変化はよくわかりません。
独身主義で恋愛や結婚をするつもりはないと言う一方で、笑美のことを特別扱いしたり、会社で会う前から知ってて、笑美の事が好きで秘書にしたんじゃないかと思う部分もあり、ちょっと謎です。
ここまでに出たきた凌士の相手の女性、笑美がデートした男性、二人三脚した男性はもうこの後一切出てきません。デートした男性は相手は笑美を気に入ってたっぽかったけど、断ったんだろうか、断ったシーンはあったとしても見逃しました。


序盤はコミカルな感じが強いですが、途中からは笑美と凌士の過去の秘密についてが中心の話になり、シリアスになっていきます。コミカルさも無くなりませんけど。

凌士には兄がいますが、兄の誠吾は海外で生活をしていて、アーバングループの仕事に関わってはいない。
凌士と誠吾の間には過去の事件が原因で確執がある。

その事件とは子供の頃の誘拐事件で、誠吾は3日間、犯人に監禁されていたが、事件のショックでその時の記憶が曖昧になっている。
一方、笑美も子供の頃に迷子になって少し年上の男の子に助けてもらった記憶があるが、笑美も記憶が曖昧で、男の子の名前も思い出せないが、その曖昧な記憶をはっきりさせて男の子を探したいと思っている。

 

笑美は虫のクモ、凌士は結束バンドに、震えて動けなくなる程の異様な恐怖心を感じるのだが、後にその2つはこの事件が原因だったことがわかる。

笑美の友人の結婚相手がマスコミ関係の仕事をしていることがわかり、笑美が子供の頃住んでいた地区で誘拐事件がなかったか調べられないか頼んでみると、アーバングループ会長の息子が3日間、行方不明になった事件があったがアーバングループから圧力があって取材できず、この事件のことを知っているのは一部の人のみだということがわかり、笑美の探していた男の子は凌士か、凌士の兄の誠吾のどちらかだとわかる。

誠吾が海外から帰国してきて、凌士の秘書を長く勤めた笑美に興味を示し、凌士は会わせないように画策するが、結局、偶然会ってしまい、誠吾は笑美が大好きな恋愛小説の作家だったことがわかる。

笑美が誠吾に会った後のオフィスで、笑美のヒールが折れて転びそうになったのを支えた凌士と笑美はいい雰囲気になる。キスしかけるが、笑美の座っていたイスに体重をかけた時のイスのきしむ音から昔の出来事がフラッシュバックしてしまい、凌士は思わず、笑美の座っていたイスを突き飛ばして壁に追いやってしまう(車付きのイス)。怒った笑美は、会社の運動会の二人三脚の1位の景品の結婚相談所クーポンを使うから日曜日に休みをもらいたいと言って去る。

 

笑美が会社の後輩から借りた、誠吾の自伝的小説だと言われる初期の作品に、笑美の探している男の子に関わる記憶と同じ場面の記述がいくつもあり、誠吾が探している男の子なのかと思うが、一緒にいた女の子(笑美)のことが何も書いてないことを疑問に思い、誠吾に連絡をとって直接話を聞く。
誠吾は誘拐事件のことを話し、笑美は自分も一緒にいたことを覚えてないかと聞くが、誠吾はその頃の記憶が曖昧で笑美のことは覚えていないと言う。
そして誠吾は凌士とは幼い頃から仲が悪く、凌士は小さい頃からエラそうでいけ好かなかったが、何でもできる子で、自分は平均的な子だっただけで劣っていたわけではないが、両親や周りの人の関心は凌士に向いていた、小学4年の時に凌士は飛び級して誠吾の友達を味方につけて誠吾をイジメだした、という話をしたが、以前に凌士から聞いた話では誠吾が友達と一緒に凌士をイジメたという話だった。

そして事件の日、凌士に父の会社の公園を見に行こうと知らない土地に連れていかれ、飲み物を買ってくるから待っていろと置き去りにされた後、誘拐された、凌士のせいなんだと話した。
そして一人家に戻った凌士が親に誠吾のことを聞かれても怒られると思って本当のことを言わず、ぜんぜん違う場所を教えたため、誠吾は見つけてもらえなかった、事件の後、罪悪感からか凌士は事件の記憶を無くしてしまった、と言う。
笑美は一緒に逃げ出して誠吾が笑美の家まで送ってくれたと言うが、それも誠吾は覚えておらず、笑美とのことは全く記憶になかった。笑美はずっと探していた人に会えたはずなのにスッキリせず、誠吾の話に違和感を覚えていた。
小4の時の誠吾の友人との話が凌士と誠吾で真逆の話だったが、この9年間見てきた凌士は悪態はついても嘘はつかない人物だったのは確かなので、何故食い違うのか考えたが深く考えるのはやめた。
(35〜37話)

 

笑美は結婚相談所クーポンを使ってデートの予定を入れていたが、現れたのは凌士だった。会社が手配した景品なので、凌士は権力を使って予定されていたデート相手にはキャンセルをして、代わりに凌士が来るように画策したのだった。
笑美は帰ろうとするが、凌士が先日のキスの件を、あれは俺が悪かった「申し訳ない」と言ったり、俺に挽回するチャンスをくれ、今日一日だけ時間をくれ「頼む、安藤」という、今までにない殊勝な態度に驚き、座り込む。
凌士は綿密にデート計画をたててきて、それを笑美に見せたが会社のヘリまで使った計画に笑美は反対し、高級レストランではなく、笑美がいつも家族と利用する焼肉屋に凌士を連れて行く。


ここで家族の話になって、笑美の父親がロッカーでギタリストだってわかるんだけど、この話はすっかり忘れてて覚えてなかったなぁ・・・(読み返した時)。楽器屋で働いてた時に詐欺にあったとか、姉たちの学費のために肉体労働してた等の話がでてきて、序盤で姉二人との会話で出てきた時は笑美の父親はダメ男なのかと思ってたけど、気のいい人で騙されやすかったり世渡り下手でうまくいかなかった人なだけで、人柄はいい父親なんだなと思いました。


焼肉屋の後、街をブラブラ歩いている時にみかけたゲーセンの前で、凌士が兄との思い出話をした時に、笑美は今日誠吾に会ってきたことを凌士に伝える。
幼い頃の誘拐事件の昔話でもしてきたのか?と冷静に言ってくる凌士に、そのことを知っていたのか、なぜ黙っていたのかと驚き憤慨する笑美。凌士は「言ってどうなる?ツラい過去を思い出させるだけだ」と言う。そして「兄は笑美の探していた人物だったのか」と尋ねると笑美は、たぶんそうだが、思っていたほどしっくりこなくて残念だった、と答え、凌士は「記憶は風化するもので時間がたつほど良い部分だけ残るものだから気を落とすことはない」と言う。
誠吾から凌士は昔の記憶をなくしたと聞いたことを尋ねると、凌士はその通りで、あの事件のことは全て忘れたと肯定する。そして笑美にも思い出せない過去など忘れた方がいいと言う。

 

けれども笑美は、凌士の異常なまでの堂々とした態度と誠吾の途切れ途切れの過去の記憶に違和感を感じていた。

この後、UFOキャッチャーでぬいぐるみをゲットし、夜景を見たいという笑美を凌士は自宅に連れて行く。
凌士がコーヒーをいれてくれると言うので笑美が部屋で待っている時に、笑美は自分が秘書に応募した時の履歴書が閉じられたファイルを見つける。自分の履歴書のダメっぷりに赤面するが、一緒に閉じられていた他の応募者の履歴を見ると自分よりずっと高スペックな経歴なことに驚き、なぜ自分が選ばれたのか疑問に思う。
凌士に後ろから抱きしめられドキドキするが、なぜ自分が選ばれたのか聞くと、凌士は「笑美だったからだ」と答える。

この後岡崎社長から電話があり、笑美はその言葉の意味を聞きそびれ、自宅に帰ってからその意味をあれこれと考え、自分が覚えているより以前に凌士に会ったことがあるのだろうかと考える。
そこへ誠吾から「昔の記憶を取り戻したい」と連絡が入り、笑美は「手伝う」と答える。
「拭いきれない違和感と不調和、何かあるという疑いの念 それらが消え去るまで詳しく知りたい」と思う笑美。

 

誠吾が母親に、誘拐事件の時に一緒にいた女の子がいたこと、その子が笑美だということを話すと、凌士母は驚いて、後日笑美を呼び出して話を聞く。凌士母は事件の詳細を知らない様子で、笑美に詳しい話をしてくれるように言う。凌士母は話を聞くうちに感極まって、その子が寒がりだったこと、成長していくうちにどんどん優秀になり、特別で目立つ子だったことを話し、その子のことを「せ...や」と呼んでいた。
前に凌士から聞いた、昔飼っていた犬はセラピードッグだったことがわかる。
そしてその事件以降、私たち家族は毎日が地獄だった、同じ空間にいるだけで今にも襲いかかりそうな誠吾とそんな自分の兄に戸惑っている凌士を見ているだけで心が痛かった、著名な医者による様々な治療も効果がなく毎日泣くしかできなかった、という。
そんなある日、凌士が朝食の最中に気を失い、目覚めたときには、あの事件があった日の午後から倒れるまでの記憶を失っていた、それ以降、表面的にではあるが家族がなんとか元の姿に戻った、という。
そして笑美は凌士母に、誠吾と凌士の仲を取り持ってくれないかとお願いされるが、ここで誠吾が部屋に入ってきたことで中断され、誠吾を追い出した後も「この話はまた今度」と言われて、聞きたいことがたくさんあったがそれ以上は聞けなかった。
(43〜44話)

ここで凌士母は、感極まった時に誘拐事件で監禁された子を「せ...や」と呼んだり、その子が優秀だったことを話し、笑美が「ん?」「あれ?」と違和感や疑問を感じていたように見えます。優秀だったのは凌士のはず・・・ですからね。

昼食に誘ったのに帰ってしまう笑美を追いかけてきた誠吾が、肌寒い日なのに髪が濡れたままで気持ちいいと言っているのを見て、笑美は表情だけだが、さっき聞いた凌士母の「誘拐された子は寒がり」という話との食い違いを感じている様子。

 

誠吾もいまいち本心がつかめません。
優秀な弟と比べられ両親の関心も弟にばかり向いていると感じる疎外感や嫉妬、事件のせいだけじゃなく子供の頃からのこうした状況のせいで、子供の頃から凌士のことが嫌いだったことはわかります。
笑美に対して最初は凌士が大切にしている子だから奪ってやろうみたいな感じで落とそうとしていて、表面的には愛想のいい態度をとっていても裏ではニヤリ、みたいな裏がありそうな態度で、笑美が誘拐事件の時に一緒だったときいてからの態度の変化も、いまいち本心なのか疑問に感じてしまいます。
凌士母に会いに来た時の態度も笑美の訪問を喜んでいますが、突然の無邪気な態度って感じで、あやしい・・・。笑美が帰った後、凌士母にやっと自分の痛みをわかってくれる子に出会えたかもと言ってるのも本心なのかなぁ・・・。誠吾はなーんかものっすごく裏表ありそうなんだよなぁ。


凌士母と会った後、凌士が迎えに来る。笑美は週末、記憶を取り戻す手伝いのため誠吾と会う約束をしたが、凌士に最初「行かないでくれ」と言われるも、やっぱりそれは冗談だから行って構わないと言われる。週末、凌士に会い、凌士を笑美が子供の頃住んでいた街と似た街並みの場所へ連れて行く。そしてあの日に一緒に見た大きなクモの話をすると、誠吾はクモのことは覚えていないが、その時期にクモは冬眠していていないはずじゃないかと言われ、笑美は驚くが、「あれは大きいクモなんだ 怖いクモだから見ちゃダメ」という記憶の中の声は鮮明で、記憶違いなのかなんなのか悩む。

笑美が誠吾と会った日の夜、メッセージを見て凌士が笑美の部屋の前に来ていることに気付き、笑美は下に降りて凌士に会う。家の前でキスするのが夢だと笑美が言っていたことを持ち出し、少しからかいつつも、車の中で凌士は笑美にキスをする。「目をつむると幽霊が見える」と言っていた凌士(前回キスをしようとして突き飛ばした理由)が、目をつむって震えているのを見て笑美はキスをし返す。(47話)

 


凌士のモノローグ

そうだよ
繰り返される悪夢なんか
何度も浮かぶ光景なんか
頭に響き渡る声なんか
もうどうだっていい
心の向くまま進んでやる
俺はこれ以上 あの場でたじろんでいられない
抜け出すんだ
小さな手を握りしめ 飛び出した
遠い昔のあの日のように

 

翌日、凌士が会議中に居眠りをし、今も副会長室で寝ているのを不思議がる岡崎社長。
(たぶん笑美とのことがうまくいってよく眠れるようになった?)
副会長室でも笑美にキス。今夜のオペラ鑑賞用のヘアメイク、衣装を予約してあるから行ってこいと言われる笑美。アーバングループ副会長の妻になるのだから今後は同伴する公の席ではより一層気を使うように、「覚悟しろ これからは手加減しないから」と言う凌士。

オペラの席で(オペラハウス舞台側面にある個室席)、凌士は「長い歳月を共にすることに意味がある だから これからも今までのようにずっと俺の傍にいてくれ」と言い、笑美は「側にいます ずっと」と答え、二人はキスをする。(49話)

ここまでドタバタしてきたけど、これでやっとちゃんとお互いの気持ちを認め合ったってことなのかなと思います。

このキスシーンを向かいの席の三宅先生に見られていた、という話から、子供の頃に母の知り合いのデザイナーの三宅先生に白のカーディガンに栗色のチェックのシャツを仕立ててもらった、と凌士が言う。
それを聞いて、少し寒くないかと笑美が凌士に尋ねると、寒い、子供の頃から寒さに弱いと凌士が答える。眠くなって少しの間と眠ってしまった凌士に「誠也さん」と笑美が呼びかけると「なんだ?」と答える凌士。(凌士は寝ていても呼ばれると返事をするというエピソードがある)
笑美は誘拐事件の時の男の子の名前が「誠也」だったことを思い出していた。
凌士は改名していたのだ、凌士の記憶がないのは本当かもしれないが、あの男の子は誠吾ではなく凌士(誠也)で、誠吾は罪悪感から記憶を歪めたのだろう、凌士の両親は誘拐の悪夢を思い出させるよりも歪んだ二人の記憶に合わせることにしたのかもしれない、と推測する。

 

このオペラの時の、寒がり、三宅先生に服を仕立ててもらった、誠也という名前に答える、ということで、笑美はもう確実に凌士が誘拐事件の男の子だったと確信したことだろうと思います。
改名の話がでてきますが、韓国ではわりとあるそうで、珍しいことではないそうです。
日本だったら、滅多なことではできないと思うので、韓国事情ですね。
飛び級の話も出ましたが、これもおそらく韓国ではできることなんでしょうね(知らないけど)。
日本じゃいくら頭が良くても飛び級なんてないし。
こういう、日本じゃナイヨって事が出てきても何の説明もない。
日本に置き換えてるから「あれ?」って思うんでそのまま韓国の話にしておけばいいのに。
いくつも韓国マンガを読んでるとその辺り慣れてきちゃいますが・・・。

オペラの後、凌士の部屋に寄り、そのまま凌士に泊まっていくように言われ、何かがあることを期待して笑美はドギマギしていたが、風呂からでると凌士が眠っていた。凌士の足首の傷を見て、あの男の子に再会した時に言いたかったことがあったが思い出せず、なぜか胸が痛み、泣いてしまう。
泣いている笑美に気付いて凌士が目を覚まし、笑美にキスをするが、結局、この日は何もせず一緒のベッドで眠った。

 

翌日、誠吾が昼休みに会えないかと連絡してくるが、凌士に確認すると会ってはダメだと言われる。
社内の休憩室にいると返事を待たずに会いに来た誠吾に会ってしまう。
笑美は誠吾にあの日の出来事について、部屋の中の様子や誘拐した女の特徴、捕まった時や逃げた時の状況も全く覚えていないのかと問いただす。すると誠吾は凌士のせいで今までつらい思いばかりをしてきた、何もかも諦めて10年も日本を離れ、家族も会社もあいつに取られたと憤る。
それに対して笑美は冷静に、なぜここで凌士の名前がでてくるのかと問う。
記憶を失くすほどつらい思いをしたのに抱かれているのは凌士への恨みだけ、誠吾の記憶はどれも後になって人から聞いたもの、誠吾は記憶の枠に自身をはめこもうとしている、と笑美は指摘する。
それに対して誠吾は、笑美まで俺を突き放すのか、あの日一緒にいたから俺の苦しみを知っているはず、なぜそんなことを言うんだと、興奮して笑美の手を掴む。
そこへ凌士がやってきて、次にまた笑美に手を出したら兄貴だろうと絶対に許さないと凌士は怒って誠吾の手を掴む。凌士に圧倒され、他の人達が休憩室に来たのもあって、誠吾は冷静になり笑美に謝ってその場を去る。

家に戻って部屋の物をぐちゃぐちゃにして荒れた様子の誠吾。
「どうして俺はあいつに何もかも奪われてしまうんだ、今度は笑美ちゃんまで俺を疑っている、母さんも父さんもあいつもカウンセリングの先生もみんな俺がおかしい、悪いと言う」
「笑美ちゃんだけは絶対に渡さない、父さんと母さんのことも独り占めにしてきたくせに、あの野郎」と言う誠吾の荒々しい様子に、凌士母は「もうこれ以上はダメ、これ以上は誠也を巻き込まないで、弟を巻き込むのはやめてあげてちょうだい」と言う。
誠也って誰だよ、と言う誠吾に凌士母は、「子供の頃誘拐されたのは 誠吾 あなたじゃないわ」と誘拐事件で本当は何があったかを誠吾に話す。
「もう十分事実を受け止められる年になったから克服できると信じている、父と母も応援している」と凌士母は言うが、誠吾は「嘘ばっか 俺を騙そうとしてるんだろ」と言って家を飛び出していってしまう。

 

凌士と笑美は招待された会社の新車発表会に向かう。クリスマスプレゼントの話になり、「必要なものなら最初の年にもうもらってある 今俺が握っている」と笑美と手をつなぎながら凌士はキザなことを言い、笑美は赤面。凌士が今年は欲しいものがあり、それは「無条件のYES」だと言うがそれはどういうことなのか聞こうとするが会場に到着して聞けずに終わる。

新車発表会では、凌士に「この後、寝てしまってできなかった昨日の続きをしよう」と言われてキスをされる等、笑美が赤面してしまうラブラブっぷり。

発表会後の余興のマジックショーを見ていると、笑美のところへ誠吾がやってきて、「記憶の枠に自分をはめ込もうとしているだけだと言ったが、俺の記憶のどこがおかいいのか話してくれないか?」と言われるが、笑美は凌士が誘拐された子供だと確信しているものの、まだ凌士本人にも確認していないことなので、誠吾に話すわけにもいかず、言葉に詰まる。
その様子を見て、誠吾が「言葉に詰まるほど俺の記憶は歪んでいるのか、意味のわからない子供の頃の夢を何度も見るんだ〜」と笑美に話しかけるが、笑美はマジックショーの女性がブランコに乗って揺れている様子を見て、体中が震え始め、あの事件の過去の記憶が蘇ってきて、「クモじゃなかった」と言って気を失って倒れてしまう。

そして56話からはあの誘拐事件の過去の回想が始まります。
58話まで読みましたがまだ過去回想の途中で中途半端なので、ここまで。

 

1〜55話 感想


凌士は誘拐事件の記憶を失くしている事になっていますが、実は覚えているんだろうと思います。
最初に読んだ時はなんとなく気にかかった程度でしたが、ここら辺まで読んでから読み返してみると、チラチラと何箇所も、それを匂わせる凌士の描写がありました。

7話の最後に出てくる、笑美との出会いの過去シーンで、笑美に「俺のこと知ってるよね?」と聞いた時の笑美の答え(会長のご子息)に対する凌士の反応が、違う答えを期待していたようにみえる。
22話で笑美が子供の頃会った男の子の夢の話をすると、クモが怖い理由のところで、凌士は話を遮っている。
32話、キス事件の後、凌士が「とりあえず何も気づいてないってことか よかった」と思う。これはたぶん凌士が誘拐事件のことをフラッシュバックしてたこと。
38話の笑美とのデート中、「安藤は確かぬいぐるみが好きだったな」と言う凌士に「え?そんなこと言いましたっけ?」という笑美の答えに無言。

 

47話最後の凌士のモノローグで「小さな手を握りしめ 飛び出した〜」の部分なんてまさにそれだし、52話で岡崎社長に笑美に隠していることがあるだろうと言われていることや、53話で笑美にはわかりにくい表現を使っているが、相手のために話せないことがあることをわかってくれと言う場面など。


つまり凌士は事件後に、罪悪感で荒れてしまった兄のために、事件を忘れたふりをしていたんですね。でもそんな兄を「憎んではいない、軽蔑しているだけだ」と言うのは何故なのか、その後もなかなか立ち直らず、歪んだ記憶のままに凌士を憎み続けることで、真実から目をそらしているからなのか。
ここら辺は、誘拐事件の過去編の後になるでしょうから、まだまだ当分先です。

今、誠吾は自分が誘拐されたのは凌士のせいだ、と思って凌士を憎んでいますが、それが実は真逆で、自分のせいで凌士が誘拐&監禁されたということがわかって、それを認めた時に、誠吾は何を思うんでしょうか?10年以上も凌士のせいにして憎んできた事が逆恨みもいいところだったとなるんだから、そのショックも大きいだろうなと思います。
誠吾が小4の時の友人にイジメられたというところから誘拐事件まで、誠吾は凌士を自分に置き換えちゃってたんですね。

 

それにしても両親は、子供の頃、カウンセリングを受けさせてうまくいかなかったから誠吾の歪んだ記憶に合わせることにしたのは仕方ないとして、真実を告げるのが遅すぎないですか?
もう誠吾は34歳ですよ。成人してからでもだいーぶたってますよ。
20歳くらいで言ってもいいんでは?大人になったと思うの遅くないですか。
そこまで誠吾は精神的に弱そうだったの?
20歳頃に真実を告げて、またカウンセリングを受けさせてみてもよかったんではと思います。
誠吾の逃避につきあうにしても長すぎ。
誠吾だってずっと不眠症で苦しんでたのは、そこの記憶を歪ませて「凌士のせいで」って思ってたからだし、子供の頃からの凌士への劣等感や両親が凌士ばかりかわいがっているという誤解(両親の様子をみると誠吾にも愛情を持って接していたはず)にも、誠吾は苦しんでいたと思うので、そこをもっと早く解消してあげればよかったのに。
誠吾が凌士にむけた憎しみは誘拐事件に関する部分は逆恨みなんだけど、それをこんな年になるまで告げてもらえず苦しんできたのは、かわいそうだなと思います。歪めちゃったのは自分だし、誠吾は逃避してるだけ、自分で気付くべき部分もあるかもしれないけど、周りが教えてあげることもできた状況なので、かわいそうかなと思います。

 

凌士は、優秀すぎるがゆえにできない人の痛みがわからない人、というところはありますが、本当は自分が辛い目にあったのに、兄の話に合わせて、兄が責めてくるのを甘んじて受けていたんだと思うと、エライと言うか強いなスゴイなと思います。でも誠吾が帰国してすぐの時に責められた時は、笑美の部屋の前に行って気持ちを落ち着かせようとしていたところを見ると、凌士も何も感じていないわけじゃなく、やっぱり傷ついているんですね。それに結束バンドを見るだけで体が震えたり、目をつむると誘拐犯の女性を思い出してしまったりと、相当なトラウマにも苦しんでいます。
それなのに兄の話につき合っているのと兄への軽蔑が何なのかという、凌士の誠吾への気持ちの部分の謎がまだありますが、たぶんこれからでてくるんでしょう。

それと凌士の学生時代の友人で、社長でもある岡崎社長が、社長っぽくなくて、凌士の友人という立場での役割のほうが強く、凌士の相談相手になったり、笑美の相談相手になったり、いい感じで面白いキャラになって、いい味出してます。

 

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