漫画「もう秘書はやめます」 漫画 : 金明美 原作:鄭景允 感想(2)

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【2019.4.4更新】
ピッコマ、comicoにて。連載中。
56〜66話。
以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

漫画「もう秘書はやめます」感想(1) 1〜55話
漫画「もう秘書はやめます」感想(2) 56〜66話
漫画「もう秘書はやめます」感想(3) 67話〜

 

凌士(誠也)の誘拐事件の真相

56〜63話

凌士(誠也)の誘拐事件の回想。
凌士の視点で語られる。

凌士は兄の誠吾に、遊園地がもうできていると言われ挑発にのって、アーバンランド(遊園地)予定地に連れてこられていた。喉が渇いたという凌士に、誠吾が買ってくるから待っていろと言い、そのまま凌士を置き去りにする。
30分経っても帰ってこない誠吾に騙されたと気付いた凌士は、とりあえず店を探して飲み物を買おうと思うが、歩きまわっても人に出会わず怖くなる。

そこへスーツケースを引いた女が現れ、足を怪我しているので荷物を運んでくれないかと頼まれる。
凌士は最初は断るが、家で夫と子供が待っていてと情に訴えかけられ承諾する。
ヤクルコという名のヤクルトみたいな飲み物を渡され、喉が渇いていた凌士はそれを飲むが、その後の記憶が無く、気付くと手足を縛られて、どこかの家の中に座らされていて、女がハサミを持って立っていた。
凌士は、すぐに自分の置かれた状況を察した。

閉じ込められて3日経ち、凌士は自分がなんてバカなのかと落ち込み、家に帰らせてくれるか、代わりに誰か連れてきてくださいと神様にお願いしていると、女が笑美を連れて戻ってきた。

笑美は、家で寝ていたが、少し空いていた扉の隙間から女の人が通ったのが見えて、母親かと思い外に出た。
それはあの女だったが、「お母さん?」と呼びかけたことで、母親を探しているなら連れて行ってあげると言われて、ついてきていた。

笑美は凌士を見ると「お姉さん、私にもあの腕輪つけて〜」(結束バンドのこと)と言い、それを聞いて凌士は「よりによってどうしてこんなバカを!」と思う。
「せいや」と笑美に名前を教えるが笑美は「せいや」と言えず、「セーラーお兄ちゃん」と言い、凌士は「お前バカだろ うちの兄ちゃんみたい」という。笑美は4才。凌士は8才。

笑美は自分の母親が死ぬかもしれないと父や姉が話していたが、「死ぬって何?」と凌士に聞くと、凌士がわからないと答えたので、「お兄ちゃんバカなの?バカだねバカ」と笑美に言われ、天才としか言われたことのなかった凌士はショックを受ける。

 

鼻くそをほじりだした笑美を見て凌士が「鼻くそちびにバカと言われる筋合いはない。死んだら会えなくなるに決まってんだろバカ」というと、笑美は「それじゃ笑美はもうお母さんに会えないの?」と言って、うわーんと泣き出してしまう。

女が隣の部屋から来て、「いい子にしなきゃね、お父さんが帰ってくる時間でしょ」といって、凌士はそれに話を合わせるが、笑美はお父さんは病院だ等と本当の事を女に反論していくので、女は「変な事を言わないで」と怒ってしまうが、凌士がそれをなんとか取り繕って、女は隣の部屋に戻っていく。

笑美は「あのお姉さんは変だ、家に帰りたい」とまた泣き出すので、凌士は最後の1個を非常食として取っておいたキャラメルを笑美にあげてなだめる。

凌士は今まで身代金目的の誘拐だと思っていたが、笑美の話を聞いて、それが本当だとすると笑美を連れてきたことに特に理由はない。子供に危害を加えることが目的だったら自分たちは死ぬかもしれないと思う。

女は紐を持ってきて、凌士と笑美に近づく。笑美は眠っている。
女は、子供まで堕ろした不倫相手に捨てられたらしく、自分が死ねば相手が罪悪感を感じるかもしれない、でも一人は嫌だから一緒に逝こうと、凌士と笑美を道連れにしようとしていた。

凌士は、笑美は母親が病気で死ぬかもしれない、自分は学校でいじめられていて辛い、人それぞれ痛みを抱えていて辛いのはおばさんだけじゃない、そんな卑怯なおじさんなんて忘れて前に進みましょう、今からでも十分間に合います、と女を説得しようとするが、「ううん、もう遅いわ」と言われてしまう。

 

それを聞いて凌士は女のことを弱くて身勝手だ、自分のことしか考えていない、弱すぎる、こんな弱く身勝手な大人にだけはなりたくない、と思う。

「だけど、励ましてくれてありがとう それと ごめんね」と言って、女は扉をあけたまま隣の部屋に行く。
首吊り用のロープを作り椅子に乗る女に、「絶対に通報しませんから だからやめてください」と凌士は叫ぶが、女は「あの人の代わりに私の最後を見て さようなら」と言って首吊り自殺をする。

凌士はその姿を見ないように目をつぶることはできたが、両手を縛られていたので耳を塞ぐことは出来ず、女が死ぬまでの声や音を防げなかった。何も音が聞こえなくなった時、眠っていた笑美が目を覚まして、ぶら下がっている女を見てしまうが、凌士は「あれは大きなクモだ、見たら噛まれるから見ちゃダメだ」と言い聞かせて扉を閉める。

だが結束バンドを切るには女がいる部屋にあるハサミを取りに行かねばならず、凌士は既に結束バンドが食い込んで足が痛むのをこらえて、隣の部屋に這っていく。怖いという笑美に、凌士は歌をうたってあげる。女を見ないようにしていたが、風でキィーと揺れる音がして、思わず女の死体を見てしまう。
凌士は笑美に、泣きながら「そこにいるよな?返事してくれ」と叫び、答えてくれた笑美の声を聞き、笑美がいるということを心の支えにして、ハサミを取って戻る。

 

お互いの結束バンドをハサミで切った後、外に出るには女のいる部屋を通らなくてはいけないため、笑美には目をつむらせて手をつないで、二人で外に出る。

凌士は笑美を家まで送り、もう夜中に外に出ちゃダメだというと、笑美は「わかった」と言った後、「笑美と結婚して」という。王子様みたいで、顔も声もかっこいいからという。
そして「ナナちゃんのスイートホームセット」を買えるくらい金持ちかと聞く。それはアーバンの子会社が作っているオモチャだった。
笑美に指切りしようと言われて無理と断り、「結婚はおとなになってから好きな人とするものなんだ、その時に好きにならないと結婚できない」と凌士が言うと、笑美は「それじゃそのとき笑美を好きになればいいじゃん!」と言った。それに負けて凌士は指切りをしてやり、また遊びに来るからと言って、帰っていった。

凌士は足の痛み、空腹、眠気、疲れを封じて、無我夢中で走り、明かりの灯った場所を見つけて、足の力が抜けてその場で眠ってしまった。
気付くと病院で、父と母が泣いていた。
凌士は、寝れば悪夢を見てうなされて叫びながら目を覚まし、起きれば足の痛みと恐怖が蘇り、というのを繰り返す日々を送った。
足首の傷は一生残るかもしれないと言われた時、一生あの日に縛られたまま生きていくのか、と思った。

家に帰ると兄の誠吾が、凌士の部屋にいて凌士の服を着ていた。
そして誠吾は「出て行け、お前のせいで3日間も閉じ込められて死ぬとこだったんだぞ」と凌士に向かって言い、そこには罪悪感からか、拉致されたのは自分だと思い込んでしまった兄がいた。

 

凌士が見つかって入院中の時、誠吾はお付きの人に頼んで、凌士が監禁されていた家を見に行った。
何気ないただの冗談から始まったこの1件は、冗談では済まない重い結果をもたらした。

誠吾は最初は嘘をついて、凌士を置いてきた場所を言わなかったため、凌士の発見が遅れた(結局凌士は自力で逃げた)。
凌士は、暗く古びた家に3日間も閉じ込められていた、足首の傷は一生残る。

追求されて追い込まれてついてしまった嘘、子供だから仕方ないと周りに言われても、本人は全て自分のせいだとわかっている。その罪の重さに耐えかねて「俺のせいじゃない」と繰り返しつぶやく誠吾。

誠吾を医師に診せ、誠吾の異常行動の原因は過度な罪悪感による「記憶操作」で、記憶をすり替えてしまっていたとわかる。拉致されたのは自分だと信じて疑っておらず、周りが自分を騙していると攻撃的な面を見せており、無理に事実を強要するのはかえって逆効果だから、様子を見たほうがいいと言われる。

凌士は初めは戸惑ったが、辛い目にあったのは俺なのにとだんだんと悔しさと怒りが湧いてきて、誠吾に反抗し始め、大人が止めなければ収拾がつかないほど悪化していった。
カウンセリングは全く効果がなく、誠吾は摂食障害を患い、部屋に閉じこもって泣いてばかりになった。

いつの間にか誘拐事件から一月経っていて、凌士は笑美にまた会いに行くと約束していたことを思い出し、笑美の家があった場所に無理を言って連れて行ってもらうが、既にアーバンランドの工事中で街は無くなっていた。

 

両親が誠吾を精神病院に入れることで言い争いをしているのを凌士は聞いてしまう。
母が「死にたい」と言うのを聞いて、人は辛い気持ちを表すのに死という言葉を使うが、凌士にとって死はそんな抽象的なものではなく具体的に鮮明に記憶にある物で、「今よりもっと状況が悪化すればみんなあの女みたいになるかもしれない」という考えが凌士を支配した。
震えながら布団をかぶって一晩中考え、凌士は記憶を失くしたフリをすることにした。

食事中に急に倒れ、その後、誘拐事件の事を忘れた演技をし、凌士が誠吾を置き去りにして誠吾が3日間誘拐されていた、という話に合わせた。

両親は凌士の記憶喪失を話し合い、母はそのままにはできないと言うが、父はもう一度凌士にあんな辛い事件の記憶を思い出させるよりも、忘れたなら今のままの方がいいと言う。誠吾は誘拐事件を経験したと思っていても実際には経験していないんだからトラウマにはならないだろう、と。

そして、両親も誠吾の話に合わせることにし、凌士の足首の傷は幼い頃にできたものとなり、似た名前の誠也は誠吾の混乱を煽る可能性があるため、凌士に改名した。
誠吾も凌士を責め立てなくなり、凌士を許そうと努力までした。

凌士は、その後も、悪夢にうなされたり、あの女と同じ年頃の若い女とは向き合えなかったり、結束バンドを見るだけで極度の恐怖を感じたりするトラウマに悩まされたが、「俺はこの世で誰よりも素晴らしく強い人間だから 平気だった」

 

そして会社で、笑美に再会する。
凌士は笑美を一目見て気付いたが、笑美は覚えていないようだったので、寂しさは感じたが、あの日のことを一生抱えて生きるのは自分ひとりで十分だと思い、何も言わなかった。
そして笑美を、自分の海外随行秘書として採用し、自分のそばに置き「絶対にお前を手放さない」と決めた。
「俺は最初からお前じゃなきゃダメな人間だったから」

笑美の入院する病院で、「笑美に何を言った?また昔の話をしたのか?一体いつまで昔の事で周りの人間を苦しめる気だ」と誠吾を責める凌士。
「本当にすまなかった、全部俺のせいだ」と言う誠吾。
「本当に悪いと思うならこのまま出国して二度と笑美の前に現れるな。これが弟として言う最初で最後の頼みだ」と凌士は言って去り、誠吾はその場に崩れ落ちる。

凌士が病室に戻ると笑美が目を覚ましていた。
そして忘れていた誘拐事件の記憶を思い出していて「記憶を失くしてないですよね?フリをしてるだけですよね?」と笑美は凌士に聞く。最初はとぼける凌士だが、「せいやお兄ちゃん どうしてお兄ちゃんを見つけたかったのかやっとわかった お礼を言いたかったんです お兄ちゃんも怖くて辛かったはずなのに私を守って傍にいてくれて ありがとうって」と笑美に言われ、「俺以外に誰があんなことができる 俺だからこそできたんだ 最後まで隠し通すつもりだったが失敗したようだな」と認める。

それを聞いて大声で泣き出す笑美。
笑美「ずっとずっと一人で隠して抱えて・・」
あの日の記憶を思い出させたくなかったんだという凌士に、笑美はその苦しみを一緒に分けあってほしかったと言う。そして「もう私に隠し事はせず、全部分かち合うって約束してください」と笑美は言って、凌士もそれを承諾する。

 

56〜63話 感想

ずーっとチラチラと匂わされていたいろいろな謎が、全てこの誘拐事件に関係していて、やっと全部スッキリわかりました。
笑美が少しだけ覚えている幼い日に会ったお兄ちゃんのこと、凌士と笑美のトラウマの原因、凌士が笑美を入社前から知っていたらしき理由、誠吾の記憶、等々。

ただ、凌士が発見された時の事や誠吾が嘘をついた場面など、今までに部分的に出てきてたところは省略されていたので、そこも繰り返しになってもちゃんと入れて再現にしてほしかった。
だってもうほとんど忘れちゃってるからね、出てきたのがだいぶ前すぎて。

死ぬかもしれなかった状況、首吊り死体を間近にみてしまった恐怖、足首の消えない傷、事件後にずっと悩まされ続けている悪夢と恐怖のトラウマ、自分の方が辛い思いをしたのに兄の話に合わせて家族の崩壊を防いだ事、と一番大変な思いをしたのはもちろん凌士ですが、ちょっと意地悪するだけのつもりが弟を死ぬかもしれない目に遭わせてしまった誠吾の罪悪感も相当なものだっただろうなと思います。

すぐに正直に言わないで嘘をついてしまった気持ちもわかるし、それが更に弟を危険な目に遭わせてしまうことになって、余計に罪深くなってしまった自分の状況への恐怖もすごかっただろうなと推測できます。

 

そしてその前から、出来の良い弟に対する劣等感と、自分は両親に愛されていないと感じていた寂しさもあって、余計に追い詰められてしまったのでしょう。
それに向き合えなかったのは誠吾の弱さだけど、人としてそれに立ち向かえなかったのは、当時まだ小学生だったという幼さもあるだろうし、立ち向かうには大きすぎる罪悪感だと思うから、仕方ないとも思います。

そして本当は自分がやったことなのに弟が自分にやったと思い込んで、弟を責めてきたとわかった今も、また更に罪悪感が追加されてしまったことでしょう。

けれど、記憶をすり替えて凌士のせいにして逃げてはいたけど、誠吾自身もずっと不眠症になるくらい悩まされてきた事で、決して凌士のせいにして楽をしてきたわけではなかったと思うし、もっと早い時期に真実を伝えた方が彼らにとってよかったのではとも思うので、誠吾も本当にかわいそうだなと思います。
まさか誘拐事件になるとは思わなかったでしょうし、そこはほんとに不幸な事故だったと思います。

20年も。前にも書きましたが、彼らが成人してからもうちょっと早く真実に向き合わせようとは思わなかったんでしょうかね。
まあ笑美がいて結局丸く収まるって感じなので、笑美がいないとこの後の家族の修復がうまくいかなかったのかもしれませんが。

謎は明らかになりましたが、凌士の親兄弟との完全な修復はこの後。

 

笑美の父 登場

64〜66話

凌士に精密検査を受けろと言われて、笑美は必要ないと言い合いに。
「安藤のその責任感の強さと仕事への情熱は理解しているが、これからはダメだ」
「俺の女だからな 無理をさせるわけにはいかない」
と言われ照れてしまう笑美。

そこへ笑美の父が病院に来る。
凌士が笑美の家族に連絡してあった。

安藤寅泰(とらやす)58才
ナイトクラブのバンドでギタリストとして活動中

見た目、ヘビメタの人っぽい、ウェーブ、ワンレン、ロン毛。

お互いちゃんとした感じの初対面の挨拶をした後、凌士が笑美と結婚を前提に付き合っているということも伝え、笑美父は驚く。笑美も交えて3人でお茶を飲みながらの会話。
笑美父は「口が酸っぱくなるほどサイテーだの傍若無人だの避難しまくってた上司とねぇ」と言い、いつからつきあってるのかと聞かれて、二人は出会いは23年前で部下になったのは9年前だけど、その頃は付き合ってないし、そういえばちゃんと付き合おうって言ってないから、いつからなのかと言い淀んでいると、「なるほど、覚えてなくらいずっと前からか」と笑美父が勝手に納得してくれる。

そしてその後、「単刀直入に言わせてもらおう 交際は認めない」と父が言うが、それを聞いて凌士は、「初めて他人に認められなかった しかも俺の義父となる人に 人生何が怒るか分からないものだな」と思って、フッと笑うが、それを見た笑美父と笑美が「笑うとこ??」と心の中で驚いて突っ込む。

 

直後に会社から緊急の連絡と言われて凌士は退室。
笑美が父になぜ認めてくれないのか、今までパパに話してたことのせいならそれはただの愚痴で、というと、父は「アイツ 見れば見るほど欲しくなるな」と照れながら言う。
どうやら、凌士みたいなタイプは反対されて障害物がある方が燃えるタイプだから、笑美のためにあえて反対したということだったらしい。

父はイベントの前にちょっと寄っただけらしく、もう帰ると言い「アーバングループの副会長とねぇ・・Good Job!」と親指をたてて去る。
病室を出たところで、父は凌士に会い、一緒にタバコを吸いながら会話することに。
「正面から交際を反対されたのに動揺もせず、めげもしないあの度胸と態度、そして美しい姿」と笑美父は凌士を惚れ惚れとながめる。

笑美父「笑美は家族に心配をかけたことが一度もなく、服は姉のお下がりだったが文句も言わず、成績はトップで末っ子のくせに一番しっかりしている、オレがダチに詐欺られて楽器店が潰れて途方に暮れた日、笑美の成績表が出る日で、姉たち同様、奨学金をもらって大学に行けたのに就職してお金稼ぐと言い張り、笑顔で「大丈夫だよ」とオレに言った。」
笑美父「どんなに辛い時でもニコニコ笑って耐えてるのが笑美だ、あいつの笑顔を真に受けるな」

 

「どれだけオレを恨み、家族が憎かったことか」と言う笑美父に、凌士は「笑美は家族だからお義父さんを恨んだり憎んだりしてないと思う」と言う。
誰が悪くて誰が悪くないのか、そんな犯人探しをしたところで無意味だと思うと凌士は言い、そしてそう言った瞬間、自分も心の片隅では兄と両親を恨んでいたことに気付いた。
全ての苦痛を和らげるために自ら犠牲になると息巻いたが、それにより歪んだまま固まった事実のせいで、実際の所みんな苦しんだということを、誰のせいにすることができるだろうか、俺が一人で選択してもう過ぎたこと、今さら兄に悪態をつき咎めたところで何が変わる?

むしろすべてのことが辛うじて本来の形に戻った今、淡々と受け入れるのも1つの方法なのかもしれない

笑美父は凌士の部下にイベント会場まで車で送ってもらうことになる。
笑美父が人相見の心得があり、凌士に「帝王の相があるな。お前みたいな息子が欲しかった」と言って、「実の息子だと思って頂いて構いませんよ」等という展開を予想していたが、「お義父さん、地上に帝王は二人もいりません」という予想外の答えが凌士から返ってきた。

 

外で女の子が人形を抱えているのを見て、凌士は笑美が昔言っていたことを思い出し、「パンピーのスウィートホームセット」という人形セットを取りに行って、笑美に渡す。
笑美は懐かしいと喜び、凌士に「それだけあれば夫になるにふさわしいだろ?」と言われるが、自分が昔言った事は覚えてなかった。あの事件の直後、その事業が潰れて、子供の頃に苦労して探し求めて保管しておいた物だったらしい。

笑美「あの頃は本当に大事にしてて可愛いと思ってたのに、今見ると・・・」
凌士「ダサいだろ」
笑美「す・・少し?」

前に凌士が言っていた記憶の風化なのだろうかという笑美。
普通の犬用のガムは牛皮で作られてて、土に埋めて時間が経てば全て腐る、今頃は跡形もなくなっている、ビッグバンの犬用ガムは、と凌士に言う。

そして凌士が笑美にキスをする。
凌士「いつの間にこんなにも好きになってしまったんだろうか 愛してる」
笑美「私も 愛してます」


笑美の父は、最初に笑美姉妹の会話で借金を抱えていて、また更に借金した危なっかしそうな人って感じだったので、すごいダメそうな人かと思ってたけど、思ってたよりずっとカッコいい人でした。
とても個性的でおもしろそう。きっと人が良くて騙されちゃったとかなのかな。

犬用のガムの話は、記憶の話と絡んで前に凌士が何か言ってたんですよね、確か。
でも詳しくは忘れてしまいました。

 

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