漫画「彼氏います。」PIBI 感想

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ピッコマにて。水曜更新で連載してましたが完結しました。

サッカー少年、陸(りく)が中学の頃の恩人でもあり好きだった男の子、日向(ひなた)と大学で再会しての恋物語。BLです。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

 

浅見日向(ひなた)は英語科の大学2年生。
裕福な家庭だったが、中学3年の時に家が破産して夜逃げ、母は家を出てしまい、そのショックで父が倒れて亡くなってしまう。父の保険金がたくさんあったはずなのに、日向と弟の宙(そら)を引き取った叔母の家では、もう保険金が残り少ないと言われ、いつもお金の事で文句を言われていた。
日向は家を出て寮生活をしているが、宙(中学生)の修学旅行代8000円さえ叔母には払ってもらえず、修学旅行代+生活費を振り込んだと連絡すると、修学旅行どころではない、授業料や教科書代もかかっているんだと言われるほど。

日向は勉強とバイトで忙しくいつも疲れた顔をしていた。

皆藤陸(りく)は、日向の中学の頃の同級生。
日向が陸を父親にサッカーが上手な子と紹介し、日向の父のつてでサッカーの強い学校を紹介してもらって行くことになり、その後、順調にサッカー選手になる夢に向かっていた。
日向と同じ大学の体育科のサッカー部に通っていて、たまたま同じ授業で席が隣になって2年の時に日向に再会した。

 

陸は中学の頃、日向の事が好きで初恋だった。
東京の学校に行くことになって引っ越す時に、日向に連絡先を書いた手紙を渡して、手紙をくれるように言ったが、日向から手紙は来ず、日向も急に引っ越して連絡もとれなくなって音信不通になってしまっていた。日向の家が破産して両親もいなくなるという激変があったため、その騒動の中で手紙を失くしてしまったし、当時の日向にとって陸はただの友達だったので、日向の方から陸に連絡を取ろうとするようなことはなかった。

そんな状況で陸と日向は再会したので、陸は大喜びしますが、日向は連絡先を教えたものの、バイトと勉強で遊んでいる暇がないため、陸からの電話に出ない(出られない)し、いっぱいいっぱいの生活に疲れていて、陸からのアプローチに冷めた反応。
日向は、時間もお金も友人と遊ぶ余裕がないため、大学で友人付き合いをしてきておらず、同期の集まりに声をかけられなかったり、学校行事へもほとんど参加しなかったりして、大学の同級生たちともあまりうまくいっていない。

 

そんな日向を陸が同級生と仲良くなれるように手助けしたりしつつ、陸が日向にアプローチして、徐々に陸の心をひらいていく、という展開がしばらく続きます。

最初の方は適当に読んでたので、日向の家の事情は両親が交通事故で亡くなったか何かかと思ってました。最終話まで読んでから最初の無料3話を読み返して、破産&母家出&父死亡だとわかりましたが、両親がいない理由はこの後も特に絡んでこないので(父の保険金のみ)、別に問題なかったんですが。

そして、こんな感じで、日向の事情、環境が暗い感じなので、もっと酷いことになるんじゃないか、何か酷いことがおこるんじゃないかと、ヒヤヒヤ、ドキドキしながら読んでました。
それほど辛いシリアスではないけど、それなりにシリアスで、明るい話ではないので、読む気にならないときもあり、時々まとめて読んでました。

 

それとタイトルが「彼氏います。」ですが、陸と日向がくっつくまでにだいぶかかるので、なかなか「彼氏います。」にならないじゃん、って思いながら読んでました。

日向は叔母や弟、お金の問題、プライドもあって最初はなかなか陸の好意を受けなかったりするし、男同士というのもあって、付き合うと決めるまでにはだいぶ時間がかかりますが、陸ががんばって、日向とカップルになります。
カップルになってからも、陸を好きなマネージャーの邪魔があったりします。
それと2人がカップルになってからの後半はHシーンもあります。

そして日向の状況の一番の障害であり元凶であった叔母ですが、実はというかやっぱりというか、保険金は十分たくさんあったのに、日向と宙の生活費や学校の事に使う以外に、自分たちの事に使っていました。
日向達のイトコ、叔母の娘の病気の治療費に使ったというのもありますが、それ以外にも家を買ったりまでしていたようです。
日向達のイトコは日向達の味方で、叔母が隠していた書類を持ち出してくれて、そのイトコの協力と、日向のバイト先の先輩の知り合い?の協力もあって、それが発覚します。

 

最終的には、陸が将来有望なサッカー選手としてテレビにも取り上げられるようになって有名になっていて、その陸が叔母に日向にお金を返すように頼み、彼に公に糾弾されたら世間体的に困ると思った叔母が、大部分の保険金を日向に返すことになります。

弁護士をつけるとか特に法的な措置をとったわけじゃなく、陸の有名さの威力で叔母が話に応じたということなので、叔母は元々日向達のものであるお金を返しただけ。
しかも「私のお金が〜」と言っていて、全く反省していません。
返せるだけのお金があったってことなので、うちも経済的に厳しいんだとかいってたのは嘘ついてたってことだし、甥である日向から生活費までとってたのは、なんてがめついんだって思うし酷すぎる。

 

日向だけでなく弟の宙にも言うことを聞かないからと体罰をしたりしていたようです。
この叔母のせいで日向は肩身の狭い思いをして、バイトに明け暮れることになって、お金をとられていただなんて・・・。ほんとに酷い。この酷い事をした叔母が反省もせず、酷いことをしただけの制裁を受けないままに終わってしまったのが、ものすごく納得いかないです。

お金を返してもらい、日向は宙と2人で部屋を借りて一緒に住むことになり、これ以降はもう叔母の話は解決したってことのようで、でてきません。
そうなるのはわりと終盤です。それだけ長く苦しめられていたのにと思うと叔母への制裁の甘さが残念です。

 

そして終盤になると、陸がサッカー選手としての能力を認められて海外のチームから声がかかり、海外に行くかどうかで、揉めます。陸は日向と離れたくないので行かないことにしますが、日向はチャンスを生かして欲しいと思い、結局、陸は海外チームに行くことになります。

陸と日向は毎日ネット回線でTV電話してますが、離れて3ヶ月の頃に陸がケガをし、日向にはたいしたことないというものの、1ヶ月たっても復帰できないくらいのそれなりのケガで、日向には言わず、2人の共通の友人には話していたことで、日向は悩み、飛行機に乗って陸に会いに行きます。
陸は今まで順調にサッカーをしてきて選手になっていて、初めての大きなケガでどうしたらいいかわからなかったのと、日向に心配させて負担になりたくなかった等があって言えなかったのですが、日向が会いに来てくれたことで、ふっきれます。

 

ここで2人が会うのが1年半ぶりって言ってるのが、たぶん間違ってると思います。
「今年の春に会ってからだから」と言ってるのがそもそもおかしいし。
1年半空いてたら同じ年内に会えないし。
3ヶ月+1ヶ月で4ヶ月くらいじゃないのかな。

そして44話では、陸と日向が付き合い始めて7年が経っていて、陸は海外でのサッカー選手生活が続いていて、日向は学校の先生になったようです。
共通の友人(大学の時2人を手助けしてくれたりした人)の結婚式で、数カ月ぶりに会います。
TV電話では毎日会話しているようですが、会うのは年に数回という生活が続いているようです。

 

そして、陸が結婚しないのかと人に言われるのを聞いたり、偉い人から急に娘を紹介されそうになったりがあった後、2人で海を見に行って、日向が「年に数回しか顔を見れないことに疲れた」と言い、別れ話を切り出されるのかと思った陸が「聞かない」と言って話を遮りますが、日向は1年間の語学研修で休学して陸のイギリスについていくと言います。

一緒に暮らせるとわかって陸は大喜び、ってことでおしまい。

「もう周りの目を気にしなくていいのか」って言ってるんだけど、母国よりイギリスの方がゲイに理解があるからって意味なのかな?
プロサッカー選手だから町中で騒がれるっていうのは、海外でも同じような気がするし。

このあと、酔っ払いが海に入っちゃったのを陸が助けて風邪を引いて休暇が伸びるってエピソードも入るんだけど、その助けてお手柄なエピソードいらなくない?って思いました。
その分、日向と陸のイチャイチャにページ使ってほしいよ。

 

そして最後、エピローグで、陸が日向と再会する前の年、2人が1年生の時に、日向は陸の新聞記事を見て、同じ大学に通ってる事に気付いていて、大学で見かけたりもしていたって事が語られて終わるんですが、えーーーー?なんでこのエピローグなのぉ?って思いました。

日向が陸が同じ大学にいるって気付いてたってのは1話でわかってることだし、理由はエピローグで語られたのとは違うけど、新しく知る事実ってわけでもないこのエピソードがなぜエピローグ?
2人で暮らしてる幸せな様子の方が見たいんですけど。
最後が、まだちゃんと再会する前の2人のすれ違いを見せられるのなんか寂しいんですけど。

 

そして本編の方の最後も、一緒に暮らせるっていっても、1年の期限付きってどうなの?
1年は一緒に暮らせても、その後そのままならまた離れちゃうんだよね。
とりあえず1年語学研修にいって、陸が国内チームに戻ってくるか、日向が海外で仕事を見つけるか、っていう可能性もあって、その先どうなるかわからないけど、今の状態ならまた離れるのがわかってて、一時的に一緒にいられるだけって、微妙・・・。

一緒にいられたのは1年未満で7年のほとんどは遠距離恋愛。
長いよ、6年て。そりゃあ、日向も男だし、スポーツ選手はいつまでもできなくて今は収入が多くてもいずれ引退する時期がくるし、と考えると日向もちゃんと仕事持ってる方がいいから、そう簡単に海外に住むわけにもいかなかったんだろうし、陸もずっと同じチームとは限らず、移籍のたびに陸にくっついていって、職場変えるのも大変だろうとは思うけど。

 

カップルになれても遠距離で何年もで長いって、どれだけ日向をかわいそうな状況にするんだよって思いました。離れてるのは陸にとってもかわいそうな状況だけどさ。

それだけずっと日向はかわいそうな状況だったんだから、最後はせめて、もっとしっかり幸せな状況にして終わりにしてほしかったなぁ。

日向はずーっと不幸感が漂っていて、最後まで何かよくない事が起こるんじゃないかとハラハラドキドキだったし。

一応ハッピーエンドだけど、ずっとかわいそうな感じの話だったので、もっとすごいハッピーエンドにしてほしかったなぁ。
叔母への制裁の甘さもモヤっとするし、なんか不満が残る終わりでした。