小説「(仮)花嫁のやんごとなき事情3 離婚できずに新婚旅行」作者:夕鷺かのう イラスト:山下ナナオ 感想


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中世っぽい世界観で、孤児院育ちの女の子が、お姫様の替え玉として、すぐに離婚するミッションで隣国の皇子に嫁いでいくお話。のシリーズ3作目。
呪毒の黒幕を探りに夕輝晶の産地ティカルへ新婚旅行という名目で訪れる話。
エルラント帝国の第一王子、クロウの兄のジルフォードが登場する。

以下、ネタバレありなので、ご承知の上。

「(仮)花嫁のやんごとなき事情1」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情2」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情3」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情4」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情5」感想
「(仮)花嫁のやんごとなき事情6」感想

 

ストーリーは細かく書かずに重要な部分だけ書きます。

フェルの血筋を調べるため、ユナイア王家の家系について執事ケイが調べてきた。
直接フェルがユナイア王家と繋がるような可能性のあるところはなかったが、ユナイア王家では時々、先祖返りと呼ばれるシレイネ&フェルのような容姿の子が生まれており、それは全て女性のみ。

そしてその先祖返りの子供はほとんどが成人前にいなくなってしまう。
夭逝したり養子に出したり等ではなく、突然、いなくなり行方不明になってしまうらしい。
シレイネの曾祖母にあたる女性は成人したが子供を産んですぐに行方不明になっている。
その女性の産んだ子供がシレイネの祖父。
その行方不明になったシレイネの曾祖母が一般市民の中で暮らし子を産んでフェルに繋がった可能性はあるが、確証はない。

 

前巻の話で呪毒にかかった黒龍師団の兵舎から「眠らずの蝶」の標本がみつかり、調べるとティカル産の夕輝晶が使われていたことがわかった。
夕輝晶は希少価値の高い宝石で、エルラントが厳格な輸出規制をかけているので、大量に買い付けた者がいれば記録が残るはずだが、記録がない。つまりティカルから直接密輸されたものだと推測される。

ティカルを治めるイル族が事件と関わっている可能性があるため、調べにいくことになる。
クロウの領地クルヴァッハには異民族が多く、ティカルのイル族もその1つ。
クロウが領主になるまでは圧政をしいてイル族に夕輝晶の採掘の重労働を課し、イル族は滅びかけていたのだが、クロウが領主になり、クロウはイル族の言葉を覚え髪を伸ばしてイル族の髪型(三つ編み)にし、民族衣装も着る等、イル族に寄り添う姿勢を見せたため、イル族も徐々にクロウに心を開いて友好関係を築いてきた。

 

イル族の首長は、年若いキリヤ・イル・ティカルという19才の青年。
見た目は年齢より若く見られることが多い。

クロウには同母の弟、パーシヴァル(通称パール)がいて、クルヴァッハの領主になった際に、パールもクルヴァッハに招き、傍に置いていた。クロウとパールは仲が良く、パールはクロウが唯一心を開いていた大切な人だった。
3年前、パールをティカルの視察に送った際にパールは呪毒にやられ、ティカルの民を虐殺。
かけつけたクロウにパールは自分を殺してほしいと言って、クロウの剣で自刃した。

パールはクロウの事も、クロウの治めるクルヴァッハの事も好きだった。
そのパールのためにクロウはクルヴァッハを守ると心に決め、クロウのクルヴァッハだけを大切に守ろうとする箱庭思考が生まれた。

パールは、自国の民を大量に殺害するという犯罪を犯して狂って死んだため、エルラント帝国ではパールの存在自体をなかったことにされ、記録などを全て抹消されている。
ティカルの民を殺したため、ティカルにも埋葬できず、ティカルの外れにパールの墓がある。

 

クロウが呪毒に詳しかったのは、このためで、パールの事件の事は、クロウの心の深い傷になっていて、ティカルに着いてから、クロウは毎晩パールの夢を見て、うなされていた。

パールに呪毒をもったのはクロウとパールの実母。
クロウとパールの母親は、エルラントが征服した国の妃だったがエルラント皇帝の妃にされた。「白い結婚」期間中に子供を産み(=元夫の子供)、その赤子は生まれてすぐに皇帝に首を切り落とされた。
「白い結婚」の風習は、実際には他の男の子供を妊娠していないかを見定めるための期間としてあるのだった。

皇帝に前夫との子を殺されたクロウ母は、心を病み、皇帝との間に生まれたクロウやパールを愛さず、復讐のために、クロウには子供の頃から毒を盛ったり暴言を吐いて心を傷つけてきた。
クロウ母は、パールがクロウにとって大切な存在だと知り、クロウを傷つけるためにパールを殺した。
特にクロウを憎んでいるのは、クロウの容姿が皇帝に似ているため、だったかな?

 

クロウ達がティカルに着いたすぐ後に、クロウの長兄、第一王子、ジルフォード・グリフレイ・エルラントがティカルに来る。
ジルフォードは少し変わり者で、話し方も独特だが、次期皇帝にふさわしい能力の高い人物。
ジルフォードの最優先事項はエルラント帝国だが、イグレックとは違って、クロウに愛情も持っている。

クロウは国内で呪毒が広がりつつあることをジルフォードに知らせていた。
エルラント帝国内で呪毒の被害があった地域を地図に記した際に、ジルフォードの領地のグリフレイだけ被害がなかったのは、そのためで、クロウの警告によりグリフレイに呪毒が入るのを防げていた。
今回は、呪毒の件でクロウから報せを受けて&シレイネの事を見定めるためにティカルに乗り込んできた。

 

前巻の最後で、本物のシレイネが持っていた切り刻んだクロウの肖像画は、ジルフォードの所に送られていた。その肖像画を持っていたのは王家の人間等に限定されるため、シレイネが送ったのか、その意図はクロウへの敵意を示しているのか、ということを探りに来た。
フェルはジルフォードと二人きりで話をした際に、その肖像画を見せられ、直接その質問を受ける。もちろんフェルは知らないのだが、それを持っていたと考えられるのは本物のシレイネのため、本物シレイネをいい人だと思っているフェルは混乱する。

クロウはジルフォードに呪毒の件の黒幕だという嫌疑で、黒龍師団と共に捕らえられるが、それは本当の犯人をあぶり出す罠のためだった。
クロウはジルフォードに企みを持ちかけられていたが、フェルを危険に晒す案だったため承諾せず、二人の間で合意はとれていなかったが、ジルフォードが何か企んでいることはわかっていたので、捕らえられたのもその一環だとわかっており、捕らえられた際にフェルに今後の行動を指示する。

 

クロウの指示により、立ち入りが禁じられているティカル聖域にフェルは入り込み、危ういところで、ジルフォード、クロウ、それぞれの師団に助けられる。
フェルは危険な目にあったが、それでもジルフォードが提案した案よりも危険が少ない策だったらしい。

夕輝晶で呪毒を作り密輸していたのは、首長のキリヤと数人のティカルの貴族だった。
言うことをきかないと呪毒をティカルに広めると脅されて、だった。

ここでクロウ、ジルフォードを始めとするその場にいた者が呪毒にかかってしまうが、フェルの瞳の力で解毒する。キリヤはフェルの瞳の事、フェル自身の秘密も知っているようだったが、この巻では明らかにされない。
キリヤは妖精のおとぎ話に出てくる、朝焼け色の瞳、フェルは夕暮れ色の瞳の持ち主らしい。

 

キリヤが呪毒と夕輝晶に関する全てのことを話す、という条件で、クロウは彼らを罪に問わないことにする。ジルフォードは彼らが企てたわけではなく脅されてのことだったので、皇帝には言わず、対処はクロウに任せることにした。

フェルはクロウを守ろうとして大切にしている、愛情を持っていると判断したジルフォードは、何かあったら頼っていいとフェルに言って、これですぐに領地に戻る。

クロウとフェルはクルヴァッハに戻る途中、パールの墓に寄り、フェルはガウェインから聞きかじった死者を弔う詩篇を吟詠した(ガウェインは聖職者だからフェルは見聞きして覚えている)。聖職者にパールのためにそれを唱えることを拒否されたと聞いていたため。

 


徐々に、クロウの過去、フェルの秘密が明らかになってきていて、そこが面白くなってきました。
キリヤが全てを話す、ということで、ついにフェルの秘密がわかるのかと思ったら、クルヴァッハの首都に連れて行ってそこで話を聞くようで、この巻ではまだわかりませんでした。
それとフェルがとうとうクロウへの恋心を自覚しました。

次巻ではフェルの正体がバレてることがフェルにもわかるのかな?
もういいかげん素でしゃべるだけにしてほしい。
フェルのお姫様口調が好きじゃないので。

クロウ&パール母の事情が、王族にありがちですが、悲しい。
前夫との間にはおそらく愛情があって、その子供を殺されてしまい、子供を殺した憎い男の妻にされ、その子供を産まされることになるという。
そして子供の頃から母親に愛されないどころか、殺されそうになってるクロウが悲しい。
とはいっても、王族だと乳母に育てられる事が多いだろうから、普通の母親っぽい愛情は乳母からもらってるかもしれないけど。でもクロウの今までの話からすると、それもあんまりないのかな。

 

ただ、そんなに嫌で、自分が産んだ子まで害する程なんだったら、それくらいなら自害するとか考えなかったんだろうかと思ってしまった。

それと聖域から脱出する時に、ケイからもらった花火をフェルが使うんですが、花火の玉の導火線に火をつけて投げて壁を爆破するのって、タイミングが難しいんじゃないかなって思いました。
壁にぶつかったら跳ね返って戻ってきちゃうだろうし、あんまり構造がはっきりわかってないけど、投げつけてぶつかった衝撃で爆発するわけじゃないから難しいんじゃないかなーと。
まあ、そこら辺は、ご都合主義でもいいんですけどね。

 

「(仮)花嫁のやんごとなき事情4」感想

 

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